外資系投資銀行で働く社員の年収は高いというイメージを持たれている方は少なくないでしょう。実際に外資系投資銀行では20代で1,000万円以上を得ている人も多く、国内の大手証券会社や金融機関と比べても非常に高い水準です。

しかし年収が高いのには相応の理由があるため、高年収という点だけに注目してキャリアを決めることは避ける必要があります。

この記事では外資系投資銀行の年収をテーマに、年収水準や年収が高い理由、注意点などを解説します。

転職を成功させるために必要なスキルや考え方についても確認しておきましょう。

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外資系投資銀行の年収水準

まずは外資系投資銀行で働く社員の一般的な年収水準を日系投資銀行と比較しながら紹介します。

外資系投資銀行の年収は1,000万円超

外資系投資銀行の年収は職級（タイトル）による違いが大きいですが、新卒の若手でもベースサラリーは800万円前後、ボーナスをあわせると1,000万円以上ということも少なくありません。

職級が上がれば年収も上がるので、20代後半で年収1,000万円以上稼いでいる人が多いです。

日系投資銀行との年収比較

日系投資銀行（日系証券会社の投資銀行部門）の年収相場は700万～800万円です。

経験年数に応じて上がっていきますが、年収1,000万円台に到達するのは30代以降というケースが多いようです。

700万～800万円というのは一般的に見れば高年収ですが、外資系投資銀行の年収と比べると低いというのが一般的です。

外資系投資銀行の年収が高い理由

外資系投資銀行では数百億円から数兆円におよぶ規模の企業の合併や買収、株式公開などの超大型案件に限定して請け負っています。

これらの案件は高度な専門知識やネットワーク、交渉力が必要なので、成功報酬も非常に高額です。その分、社員の年収も高額になります。

また外資系投資銀行では年収が高くても、その年収以上の労働力を提供しています。平日は夜遅くまで、週末も出勤は当たり前といったワーカホリックのような働き方をしている人も少なくありません。

さらに退職金や福利厚生などは充実していません。その分が給与として支払われているようなイメージです。

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外資系投資銀行の年収構成

外資系投資銀行の年収は基本的に「ベースサラリー」と「ボーナス（インセンティブ）」の2つで構成されています。

職級ごとに異なるベースサラリー

外資系投資銀行では職級（タイトル）が設けられているのが一般的です。もっとも若手の「アナリスト」から始まり、「アソシエイト」「ヴァイスプレジデント」「ディレクター」「マネージング・ディレクター」と上がっていきます。

日系企業で役職によって基本給が変わるのと同じように、外資系投資銀行でも職級ごとにベースサラリーが変わります。

ベースサラリーに加えて支給されるボーナス

外資系投資銀行のボーナスは、成果や業績によって支払われるインセンティブ給のことです。支払いが保証されるものではありませんが、ベースサラリーの30～100%という割合で支給されます。

成果次第では非常に多くのボーナスが支給されるわけで、これが外資系投資銀行の年収を押し上げる一因となっています。

また年俸が一定額以上だと、一定額を超えた分のボーナスは株式で支払われることがあります。アメリカの企業では一般的なRSU（譲渡制限付き株式ユニット）という制度で、自社株を数年に分けてもらえる仕組みのことです。

RSUで支払われた場合、すべての株式が自分のものになるには在籍年数を満たす必要があるため、企業にとっては従業員が全額を行使できるまでは辞めないという効果があります。

職級が上がるとボーナスの割合が高くなる

職級が上がるとボーナスの割合は増えていくのが一般的です。特にディレクターとマネージング・ディレクターはボーナスの割合が多いため年収は個人差が大きくなり、人によっては1億円以上稼ぐケースもあります。

成果が高いと年収も高額になりますが、反対に成果を出せない場合はボーナスがゼロということもあります。

以下、職級ごとの年収目安です（ベースサラリー＋ボーナス）。

職級	年収
アナリスト	800万～1,000万円
アソシエイト	1,000万～1,500万円
ヴァイスプレジデント	1,500万～2,000万円
ディレクター	2,000万円～
マネージング・ディレクター	3,000万円～

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外資系投資銀行の年収に関する注意点

日系投資銀行やその他の金融機関・企業と比べて非常に高い年収を得られるのが外資系投資銀行であり、それが働く魅力のひとつでもあります。しかし、ほかの企業と同じように働いたうえで高年収を得ているわけではありません。

年収に関しては以下の点に注意が必要です。

労働時間が総じて長い

外資系投資銀行では高い報酬に見合うだけの成果を求められるため、労働時間は総じて長くなります。プロジェクトの期限やクライアントの要望に応えるために、法定ぎりぎりまでは働くというのが普通です。

また、国際的な取引が多いため時差を考慮して海外の拠点と連携する必要もあり、働く時間帯が不規則になることも多々あります。

労働時間が長いことで年収も上がりやすくなりますが、健康やプライベートなどの面ではデメリットです。外資系投資銀行で働くことを考える際には、この点を十分に理解しておく必要があります。

徹底した成果主義にもとづく高年収である

外資系投資銀行では業績や貢献度に応じてボーナスや昇進が決まるため、優秀な人材は高い報酬を得ることができます。一方で、成績が振るわない場合は減給やリストラのリスクもあるという点は覚えておく必要があります。

外資系投資銀行の年収は一部のトップパフォーマーが押し上げている面もあり、実際には個人差が非常に大きいものです。

高いリターンと高いリスクをともなう仕事であることを理解し、自身のキャリアプランを考える必要があるでしょう。

退職金や福利厚生は期待できない

先述したように退職金や福利厚生はほとんど期待できません。

日系の企業では外資系投資銀行と比べて年収は下がりますが、退職金や福利厚生は充実しているケースが多く、長く勤めることもできます。

そのため、生涯年収で考えれば日系のほうが恵まれている場合もあります。

金融政策や市場の影響を受けやすい

外資系投資銀行は国際的な金融市場において多様なサービスを提供するため、世界的な経済情勢や金融規制の変化に敏感に反応します。

たとえばアメリカの利上げや金利差の拡大は外資系投資銀行の収益にプラスの影響を与えますが、反対に金融危機や市場の混乱が起きると収益を減少させる可能性があります。

外資系投資銀行の年収は、安定性や予測性に欠けるという点を押さえておきましょう。

高年収を維持できる年数が短いこと

高年収を維持できる年数は、日系の投資銀行と比べて短いです。マネージング・ディレクターまで昇進し、その後も上級幹部などになっていない限り、40代半ばくらいでキャリアの終わりを迎えます。

これは順調に昇進したケースなので、3年程度で転職する人や成果を出せずにリストラという形で退職する人も少なくありません。

短期的に高年収を稼ぎたい方や必ず昇進してやるという意欲が高い方はよいのですが、単に年収が高いという理由で外資系投資銀行を選ぶことは注意しなければなりません。

外資系投資銀行の採用動向や応募要件

外資系投資銀行の採用動向や応募要件を確認しておきましょう。経験者・未経験者ともに、採用ハードルは非常に厳しいです。

採用枠はあるが数は少ない

外資系投資銀行では多様な人材を確保する観点から中途採用枠が以前と比べて広がってはいるものの、数は非常に少ないというのが現状です。

求められるスキルや経験が高いうえに優秀な人材の応募が多いため、競争も激しいことを覚悟しましょう。

非常にシビアな選考が実施されるため、優れた経歴があっても書類選考の段階ではじかれるというケースは多々あります。

投資銀行部門での実務経験が求められる

外資系投資銀行での経験か、日系であっても投資銀行部門での実務経験が求められるケースが多いです。たとえば国内の大手証券会社や銀行などで、M&AやIPOなどの案件に携わった経験があるとよいでしょう。

未経験採用はあまりないので、応募要件をよく確認する必要があります。もっとも、投資銀行部門で活かせる経験があれば採用される可能性があります。

若手アナリストなら未経験採用の可能性あり

基本的に経験者採用を行う外資系投資銀行ですが、もっとも職級が低いアナリストであれば未経験採用を行っている場合があります。この場合、年齢は若いことが前提なので第二新卒や20代前半が応募の目安です。

もちろんただ若いだけでは難しく、論理的思考力や高いコミュニケーション能力、ファイナンスの知識や英語力などが求められます。

採用可能性がある前職の例

外資系投資銀行や日系投資銀行での実務経験者のほかには、コンサルティングファームや監査法人などで、金融機関の戦略策定や財務分析などの業務を担当した経験がある方が採用されるケースもあります。

ほかには外資系企業や日系大手グローバル企業で海外とのビジネス交渉やプロジェクトマネジメントなどの業務を行った経験がある方も、外資系投資銀行で求められる知識や能力を備えていると判断される可能性があります。

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外資系投資銀行へ転職するために必要なスキルや資質

外資系投資銀行へ転職するためには、多様なスキルや知識が求められます。厳しい労働環境に耐えられる資質も厳しくチェックされるでしょう。

外資系投資銀行への転職に必要な、最低限のスキルや資質を紹介します。

語学力

語学力については外資系、日系問わず求められます。投資銀行業務は、国内だけでなく海外の市場に関する情報も掴んでおく必要があるからです。

クライアントへのプレゼンで外国語を使う場面もあります。特に外資系投資銀行はクライアントや資金調達市場、同僚や上司とのコミュニケーションはすべて外国語です。したがって、ネイティブレベルの語学力が求められます。

語学力については基本的に英語を使えれば問題ありませんが、中国語やスペイン語などの多言語を話せると、より多くの取引先とコミュニケーションが取れるだけでなく異文化理解や柔軟性も身につきます。

ファイナンスの知識や数的能力、分析力

外資系投資銀行ではさまざまな金融商品や市場の動向を分析し、クライアントに対して最適な投資戦略やアドバイスを提供することが求められます。そのためにはファイナンスの知識や数的能力、分析力が不可欠です。

これらのスキルが高いほど、より正確で洞察力のある分析やアドバイスを行うことができ、クライアントや上司からの信頼も得られます。

コミュニケーションや交渉力

さまざまな国や企業との取引や交渉を行うには、相手のニーズや立場を理解し、自分の提案や意見を効果的に伝える必要があります。上司や同僚に対して自分の考えや分析結果を伝えたりフィードバックを受けたりする場面もあるでしょう。

これらの場面では高いコミュニケーションや交渉力が求められます。単に外国語が話せるというだけでなく、論理的かつ簡潔に話せることも大切です。

ストレスと長時間労働に耐えられるタフネス

外資系投資銀行では高いパフォーマンスを求められるだけでなく、時差や締め切りなどの要因で常にプレッシャーのかかる環境に置かれます。また、クライアントや上司からの要望に応えるために深夜や休日も働くことが多々あります。

このような状況に対応できるだけの精神力と体力がなければ、外資系投資銀行での仕事は長続きしません。ストレスと長時間労働に耐えられるようなタフネスであることが必要です。

すべてのスキルにおいて高度なレベルが求められる

英語やコミュニケーション、タフネスといったスキルや資質は、外資系投資銀行に限らずどの業界・業種でも必要とされます。しかし外資系投資銀行ではすべてにおいて非常に高度なレベルが求められます。

スキルや知識をただ持っているだけでなく、最大限にまで磨き上げる努力が欠かせません。

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外資系投資銀行への転職と高年収を獲得するために必要なこと

外資系投資銀行への転職を成功させ、高年収を得るためには何が必要なのかについて解説します。

業界や業種に対する深い理解

外資系投資銀行への転職と高年収を獲得するためには、業界や業種に対する深い理解が必要です。

外資系投資銀行は国内の金融機関とは異なる文化やビジネスモデルをもっているため、転職する際には自分が志望する部門やポジションの業務内容や市場動向を把握しておく必要があります。

また、外資系投資銀行ではグローバルな視点でビジネスを展開しているため、国際的な経済や政治の情勢にも敏感であることが求められます。

業界や業種に対する深い理解を持つことで、採用担当者に自分の適性や価値をアピールすることができます。高い専門性や分析力を身につけることで、高年収を得ることにもつながります。

自己分析の徹底

自己分析の徹底も欠かせません。自分の強みや弱み、価値観や目標、適性や志向などを深く掘り下げて理解しておきましょう。

自己分析を徹底して行うことで自分がどのようなポジションや業務に向いているか、応募の際にどのようなスキルや経験をアピールできるか、どのようなキャリアプランを描けるかなどが明確になります。

また、自己分析をすることで自分の弱点や課題に気づき、改善策を考えたり学習したりすることができます。自己分析は、転職活動だけでなく今後のキャリア形成においても重要なステップです。

求める人材像の正確な把握

外資系投資銀行ではポジションごとに求める人物像が明確に設定されており、自社の文化やビジネスモデルに合ったスキル・マインドセットを持った人材を採用したいと考えています。

基準にあわないと即不採用になるため、応募先で求める人材像は正確に把握する必要があります。

自分の強みや適性をアピールするだけでなく、応募先の特徴や求められる役割を理解し、それに対してどのように貢献できるかを具体的に示しましょう。

スキルや能力をアピールする際には、証明できる実績やエピソードを準備しておくことも大切です。

説得力のある志望動機の作成

志望動機は、自分がなぜ外資系投資銀行で働きたいのか、どのような価値観やビジョンを持っているのかを明確に伝えるものです。

外資系投資銀行は高いパフォーマンスとグローバルな視野を求められる職場なので、志望動機では自分がどのようにビジネスに貢献できるかを具体的に示す必要があります。

また、志望動機は自分のキャリアプランや目標に沿ったものであると同時に、応募先の求める人材像や企業文化にもマッチしたものであることが重要です。

さらに、自分の強みやモチベーションをアピールするだけでなく、応募先に対する熱意や理解度も示すことで採用担当者の印象に残りやすくなります。

転職エージェントのサポート

外資系投資銀行の求人は一般的な求人サイトにはほとんど掲載されておらず、自力で探すのは非常に困難です。また採用基準が高いため徹底した対策が欠かせません。

そのため、転職エージェントのサポートを利用することがおすすめです。投資銀行への転職に強みをもつ転職エージェントなら業界の求人情報や採用動向を把握しており、求職者のスキルや志向に合った企業を紹介してくれます。

応募書類の添削や面接対策なども行ってくれるため、採用の確率を高めることができます。

外資系投資銀行への転職でおすすめの転職エージェント5選

外資系投資銀行への転職を実現させたい方に、おすすめの転職エージェントを5社紹介します。

LHH転職エージェント

外資系投資銀行への転職と、年収アップの両方を実現して転職を成功させるなら「LHH転職エージェント」がおすすめです。

スイスの上場企業であるアデコグループが運営しており、そのグローバルなネットワークを活かして外資系企業への転職に強みがあります。

また、LHH経由での転職者は3人に2人が年収をアップさせて転職しています。年収の上り幅は平均101万円と、「キャリアもライフも上げる」というスローガンに見合った転職成功実績があります。

公式サイト：https://jp.lhh.com/

ロバート・ウォルターズ

外資系・日系グローバル企業への転職に強みがある、「ロバート・ウォルターズ」をご紹介します。

ロンドン発の外資系人材紹介会社で、世界31か国にオフィスを構えるグローバル企業です。2000年に東京にもオフィスを設けており、日本でも20年以上の人材紹介実績があります。

求人やアドバイザーの質が高いことはもちろんのこと、公式サイトで公開されている履歴書の書き方や面接対策などの転職お役立ちコンテンツもおすすめポイントのひとつです。

公式サイト：https://www.robertwalters.co.jp/

コトラ

「コトラ」は金融、コンサル業界のハイクラス人材に特化した転職エージェントです。

圧倒的な業界知識と情報量をもとにロジカルな分析・アドバイスをしてくれるプロフェッショナル集団なので、外資系投資銀行への転職確率を高められます。

ジョブマーケットの最新動向や個別企業の状況にも詳しいため、転職のベストなタイミングを知りたい方も相談してみましょう。

公式サイト：https://www.kotora.jp/

ムービンストラテジックキャリア

コンサルタントの転職に特化した転職エージェントをお探しなら、「ムービンストラテジックキャリア」がおすすめです。

コンサルティングファームへの転職だけでなく、投資銀行やPEファンドなどへの転職支援実績も豊富にあります。

コンサルタントのキャリアに精通しているため、ポストコンサルとして外資系投資銀行を検討中の方は相談必須です。

公式サイト：https://www.movin.co.jp/finance/

アンテロープキャリアコンサルティング

「アンテロープキャリアコンサルティング」は、金融・コンサル業界の転職に特化した転職エージェントです。

投資銀行や投資ファンド、資産運用などの求人数は国内トップクラスなので、希望に合った求人に出会える可能性があります。

専任のコンサルタントに何度でも相談可能で、入社した後も見据えた長期的なキャリアについてアドバイスしてもらえます。

公式サイト：https://concord-ib.careers/

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まとめ

外資系投資銀行では、20代から1,000万円以上の年収を得ることも可能です。職級が上がれば数千万円、場合によっては1億円といった年収に到達できます。

一方でハードワークや徹底した成果主義によるストレスなどリスクもあるため、年収以外の面も考慮したうえでキャリアを選択しましょう。

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