公務員から公認会計士への転職は難しい?注意点と転職の3ステップ・おすすめ転職サイトも解説

           
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公務員の仕事に限界を感じ、さらなるキャリアのために公認会計士や税理士の資格を取得し、転職を考える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、公務員と公認会計士の比較、公務員から公認会計士に転職するためのステップを紹介していきます。

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目次

徹底比較!公務員 VS 公認会計士|転職前にしておくべき両者の違い

公認会計士を目指す前に、まず公務員と公認会計士、どちらのほうがよりよいキャリアを歩めるか、しっかりと検討する必要があります。

ここでは、公務員と公認会計士の違いについて様々な面から比較検討を行っていきます。

業務範囲の違い

公認会計士の資格自体は、公務員でも活用する場面はあります。特に活躍する場面としては、金融機関の検査、財務状況の分析や、財政支出に関する監査といったものが挙げられます。

また、税金に関する監査、地方公共団体などへの会計検査・原価計算や財務分析事務なども、国税局といった公務員の職務の範疇です。

公認会計士として一般企業に転職する場合、様々な業務が可能になります。例えば金融機関であれば貸付先の調査に役立ちますし、IPOを目指すベンチャーでも社内に公認会計士が必要となる場面があります。

一般的な監査法人でも、ただ監査の作業をするだけではなく、会計コンサルティングや税務アドバイザリー、M&Aアドバイザリーなど幅広い業務が存在します。

ただし、一般企業はあくまで利益追求をしなければなりません。ノルマがある企業もありますので、自身のキャリアを考えたときにどちらのほうが魅力的か、しっかりと吟味するとよいでしょう。

専門性の違い

公務員の仕事は大体3年程度で身についてくるといわれています。ただし、公務員は異動・転勤が多い職場であることは有名です。平均すると3~4年に1回のペースで行われるといわれています。

特に国家公務員の場合、全国レベルで飛び回る事も想定されます。地方公務員の場合は基本的に自治体内から動くことは少ないそうです。

仕事が身についてきた段階で異動となることがあるので、時には転職レベルで知識の転換・獲得が必要になるともいわれています。専門性を磨くという観点でいえば、そこまで高められる人は少ないといってよいでしょう。

公認会計士は常に最前線の情報をキャッチアップしていく必要があり、専門性は高いです。最近でも法改正により売上の計上方法に変更が加えられました。これにより適用となる会社、ならない会社がでてくるなど、様々な影響が考えられます。

クライアントごとにどういった影響があり、どのようにすれば最も効率的なのか、アドバイス・コンサルティングを求められることもあるでしょう。

対応相手の違い

公認会計士の場合、基本的には企業のそれなりのポジションの方や、経理等の現場の方とお話をする機会があります。一般企業に勤めている人たちなので、非常識な言動や理不尽な要求は比較的少ない傾向があります。

試験さえ合格してしまえばある程度のポジションを用意してもらえる可能性がありますが、年上の部下ができるなどの気苦労は発生します。一方、公務員は職種によって様々ですが、中には住民の相手をする職務があります。

多種多様な人からあらゆることを要求されるため、気苦労が多いといわれています。また、上司との不和も多いというのが一般的です。バブル時代は公務員の倍率が今よりもずっと低く、公務員になりやすい時代といわれていました。

今のように難関試験を突破してきたわけではない人たちが上司になることがあるので、認識の祖語や仕事への向き合い方が合わないケースがあるようです。

働き方の違い

公認会計士として監査法人に入社した場合、11月~5月の繁忙期は特に残業が多くなるというデメリットがあります。この期間の残業時間は100時間を超える事務所も珍しくありません。

コンサルティングを行うような事務所の場合、クライアントごとに対応時間が異なるなどの事情で生活が不規則になりやすいといったことが考えられます。特に海外と取引のある事務所では夜中に電話がかかってくることもあります。

公務員の場合、国家公務員や地方公務員、その職種等によって様々ですが、一般的に有給休暇も取りやすく残業もそこまで多くはありません。しかし官僚と呼ばれる一部の国家公務員では、残業時間が350時間にも上ったということが一時期ニュースになったりもしました

公認会計士・公務員と一口に言っても様々ですので、自分に合った場所に巡り合えるかどうかが肝になります。

キャリアパスの違い

公務員といっても様々なキャリアパスがあります。一般的な地方公務員の王道コースでは、3~4年毎に職種を異動しながら様々な経験を積み、その時にいた部署の管理職になって定年まで勤めあげるのが一般的です。定年後も自治体での再雇用や関連団体への就職といったキャリアがあります。

国家公務員も、俗にいうキャリア官僚とその他ではキャリアパスが異なります。キャリア官僚以外ならば、地方公務員と似たようなキャリアになる事が多いです。

公認会計士の場合様々なキャリアパスが存在します。監査法人に入社してそのままマネージャーを目指すキャリアもありますし、独立して自分のビジネスを作り上げていくことも可能です。

ベンチャー企業でCFO的な立ち位置のポジションを獲得するというのも一つのキャリアです。特にIPOを目指すベンチャー企業は公認会計士の需要があります。IPOをするためには一定の会計基準をクリアしている必要があり、このために公認会計士を雇って財務会計の体制を整備していく必要があります。

このほか金融機関でその能力を発揮したり、証券会社でファンドマネージャーになるなど、幅広いキャリアの選択が可能です。

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収入の違い

ここでは実際に公開されている統計データなどから給与について比較していきます。総務省の報道資料「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によれば、平均給与月額は、地方公務員は約36万。国家公務員は約40万とされています

平均給与月額

これは都道府県等によって多少前後しますが、おおむねこれらの水準だと考えてよいでしょう。

一方の公認会計士ですが、厚労省の「平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によれば、公認会計士が属する「学術研究,専門・技術サービス業」の平均約82万となっています。

士業の場合、独立した個人事業主や4大会計事務所のような大手企業など幅広く存在するため、かなり広い分となりますが、初年度でも大体500万程度はもらえる様です。

出典:総務省|令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要
出典:厚労省|平成30年賃金構造基本統計調査

日本最難関の公認会計士とは

公認会計士は弁護士・不動産鑑定士と並び日本の三大資格と呼ばれるほど難易度が高い試験です。合格率は例年10%近くで、令和2年の試験(令和3年試験は執筆現在実施中)では10.1%でした。

ちなみに同じ国家資格である医師試験の合格率は91.4%(令和3年)でしたので、この難易度の高さがうかがえます。公認会計士資格の難しさは、その試験範囲の広さと試験制度にあります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

試験範囲の広さ

公認会計士試験の範囲は、全6科目あります。3科目は固定で3科目は選択式です。このうち1次試験で4科目、2次試験で5科目が出題されます。平均的な勉強時間は3~4,000時間程度といわれています。

固定の3科目は、

  1. 財務会計論
  2. 管理会計論
  3. 監査論

です。

これらはまず簿記の概念をしっかりと理解していなければならず、学習する上で簿記1級レベルの知識がないと、コツをつかめず勉強時間に対して成果が乏しいといわれています。また、財務会計論は15年前まで「簿記」「財務諸表論」の2科目に分割されていました。逆に言うと現在は2科目の範囲を1科目内でカバーする必要があるのです。

選択式の科目は企業法(会社法・商法・金融商品取引法)、租税法(法人税・所得税・消費税)からそれぞれ1科目、そして経営学・経済学・民法・統計学から1つを選択する方式となります。

試験制度

公認会計士の試験制度は、短答式・論文式の2回受ける必要があり、全科目を同時に受験する必要があります。さらに難易度を高くしているのが、公認会計士試験の1次試験は科目合格がありません。税理士試験は科目合格があるので、1科目ずつ合格すれば良いのですが、公認会計士にはそうした戦略は通用しないのです。

ただし、2次試験には科目合格がありますので、1次試験を突破できる程度の実力を身に着ければ、ある程度難易度を下げることができるかもしれません。

出典:公認会計士・監査審査会|公認会計士試験の合格発表の概要について
出典:厚生労働省|第115回医師国家試験の合格発表について

公務員は公認会計士になるのに有利?

公認会計士試験の難易度は上記のとおりですが、それでも公務員は公認会計士になるのに有利だといわれています。その理由を解説していきます。

時間の確保がしやすい

前述のとおり公認会計士試験には3000時間を超える学習時間と合格率10%以下の試験を突破しなければなりません。

しっかりと自分を鼓舞してモチベーションを維持する必要があります。特に公務員の場合、安定志向が強い人が多いため、チャレンジをするタイプの方にとって環境的にモチベーションを維持しにくいといった声もあります。

しかし、目的と意思をしっかりと持って取り組むことができれば、一つ一つ着実に身に着けて行けば合格できる試験です。働き方の比較でも述べたとおり、地方公務員の場合有休も取得しやすく残業もそこまで多くありません。勤務時間も規則正しいので管理しやすく、勉強と仕事が両立しやすいと言われています。

公認会計士試験は試験範囲が膨大ですが、スケジュール管理をしっかりと行える公務員なら対策を立てやすいでしょう。

また、次項で触れますが、公認会計士試験には一定の条件で科目試験の免除が受けられる場合があります。その条件の中に「会計専門職大学院において一定の単位を修了」した場合、以下のものが免除になる場合があります。

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論

会計専門職大学院は社会人に適したカリキュラムを提供していたり、2年で必修科目を修了できるコースを提供している大学もあります。比較的時間のコントロールが効く公務員ならば、働きながらこうした学校に通いつつ科目免除と合格を狙っていくことも可能です。

科目免除になる場合も

公認会計士試験は、一定の条件を満たすことで特定の科目試験が免除されます。例えば税理士資格を保有していれば「財務会計論」が免除されます。公務員の場合、会計または監査に関する事務・業務に通算7年以上従事したことがある方は「財務会計論」が免除されます。

前述のとおり財務会計論は元々2科目だったものが統合された科目で、試験範囲・難易度ともに公認会計士試験の中で上位にある科目ですので、これは大きなメリットとなります。

また、公認会計士ではありませんが、税理士は国税専門官といった国税に関する業務に一定年数勤めると全科目免除になります。例えば税務署の国税業務の場合23年間と定められています。

公認会計士試験の科目には税法が選択科目としてあります。実務に近い内容が出題されるので、こうした実務経験がある人は、テキストだけで学ぶ人よりもアドバンテージがあると考えられます。

また、税理士の資格を持っていれば財務会計論が免除になります。

県庁職員から会計事務所に転職

県庁職員から税理士試験を突破したKさんのケースを紹介します。

勤続3年目|水産系の現場仕事から遠ざかったことが転職のキッカケに

Kさんはもともと海洋系大学出身で、県庁でも水産事務所で勤務していました。水産系の仕事にはやりがいを持って取り組めていたそうです。

転機が訪れたのは勤続3年目のときでした。公務員につきものの異動の事例がでて、県庁の中でもより行政よりの仕事に従事するようになったそうです。Kさんは大好きだった水産系の現場仕事から遠ざかってしまったことから、自分のキャリアについて見直すようになりました。

半年間で簿記に合格|会計事務所に勤務

実はKさん、異動前に漁業協同組合の会計監査をするために簿記1級を取得していました。そこで受験指導校の先生から「次は税理士ですね」と言われたのが税理士を知ったきっかけでした。

税理士についてよく調べてみると、ますますその仕事に魅力を感じるようになりました。好きなことから遠ざかってしまった現在の仕事を辞め、税理士になろうと決心したのがこの頃でした。

県庁職員を辞め、半年間で簿記論に合格。その勢いに乗って8月の本試験と同時に就職活動をし、9月には会計事務所に入所しました。しかし、本試験の結果は4科目とも不合格。そこで働きながら税理士を目指す決心をしたそうです。

1年に1科目ずつ合格していく戦略に変え、7年の時を経て晴れて税理士試験に合格。これまで会計事務所に勤務していたので、翌年には税理士として登録ができました。

このように、目標をもって挑戦し、公務員から税理士へ転職するケースも実際にあるのです。この事例のように異業種からの公認会計士への転職を難しいと諦めず、地道に挑戦していくことが大事になります。

参照:https://www.tac-school.co.jp/tacnewsweb/professional/pro202109.html

公務員から公認会計士へ転職するための3ステップ

ここからは公務員から公認会計士になるためのステップを紹介していきます。様々な方法がありますが、上記のような複数の体験談から、多くの方におすすめだと考えられる方法を紹介していきます。

公認会計士試験に合格する

先述の事例では、科目合格の時点で転職し、そこから7年かけて合格を果たしました。しかし、一部の官僚級の公務員を除く多くの人の場合、公務員をしながら公認会計士試験を目指すことをおすすめします。

その理由の一つが科目免除の可能性です。会計または監査に関する事務・業務を通算7年以上経験していれば、財務会計論が免除されます。この「会計または監査に関する事務・業務」は、国・地方・その他公共団体問わず、会計・監査に関する業務であればカウントされる可能性が高いのです。

また、税務署の国税業務のなどの実務経験を一定年数積めば税理士として登録可能になります。税理士資格を取得していれば、同じく財務会計論が免除されます。

これらに加え、やはり公務員は規則正しい生活が送れる点が大きなメリットです。ある程度仕事に慣れてきて、時間をコントロールできるようになれば、予備校や会計専門職大学院に働きながら通うことが可能になります。

転職して実務経験を積む

見事公認会計士試験に合格しても、公認会計士として登録することはできません。正式に資格を得るには、実務経験期間が2年間以上必要となります。このため、資格試験に合格してから転職活動を行いましょう。試験合格者であれば、どこの企業でも有利に就職活動ができる可能性が高まります。

ただ、一般的に公務員の経験は一般企業で役に立たないと言われることがあります。公務員は企業と異なり利益追求をしなくてもよいので、仕事への向き合い方や進め方が合わないと考える方もいるのです。

しかし、公認会計士の仕事であれば、公務員の経験を活かせる場面もあります。例えば地道な仕事をコツコツこなすことができる、ルールをしっかり守る、手順を遵守し正確に作業を行えるなどです。

うまく自分が行ってきたことをアピールできるように、エージェントを頼るなども考えるとスムーズになります。

公認会計士になった後は?

試験に合格し、実務経験を積んだ後は再度筆記試験の修了考査を受ける必要があります。これが終了すれば晴れて公認会計士として登録です。

公認会計士に登録した後は、様々な選択肢が待っています。独立はもちろん、経験を積んだ会計事務所でパートナーマネージャーを目指す、転職して企業の経理部長・CFOとして腕を振るうなど様々な経験が積めるでしょう。

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しかし、これらのリスクがあったとしても、やはり公認会計士のキャリアは自由にあふれ魅力的でしょう。リスクに見合ったリターンは得られやすいのではないでしょうか。ぜひ、夢に向かって諦めずに挑戦してみてください。

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2021年7月20日 東証グロース上場(7378)
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