税理士・科目合格者が未経験で転職するには?アピールできる経験・スキルや年齢と転職難易度の関係性を解説

編集者
佐藤達也
【キャリアアドバイザー】国弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。
税理士未経験の転職
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税理士や科目合格者であっても、未経験で税理士法人や会計事務所に転職する方は多くいます。

実務経験を積んで専門性を高めるためには会計事務所や税理士法人で働くのがもっとも効果的ですが、未経験での転職難易度はどの程度なのでしょうか?

本記事では未経験で転職を目指す税理士・科目合格者の方向けに、転職を成功させるためのポイントや、未経験でもアピールできる経験・スキルを解説します。

転職活動をはじめるまえに、ぜひ一読してください。

目次

未経験で転職を成功させるためにおさえるべき5つのポイント

税理士や科目合格者は未経験でも転職できる可能性が十分にありますが、経験者と比べられてしまうと不利になることは確かです。そのため、以下のポイントを押さえて転職活動を進めるようにしましょう。

  1. 未経験採用に積極的な事務所を調べて応募する
  2. 希望年収は未経験者の相場を踏まえて設定する
  3. 税務関連の業務経験や資格取得に励む
  4. できるだけ若いうちに転職する
  5. 転職エージェントのサポートを受ける

各項目について、詳しく解説します。

未経験採用に積極的な事務所を調べて応募する

採用方針は事務所によって異なるため、未経験採用に積極的な事務所を探して、応募条件を入念に調べて応募することは重要なポイントです。

応募条件や組織体制をしっかり把握していないと、求める人物像に当てはまっていないのに応募してしまい、不合格が続いてしまいます。

たとえば大手税理士法人は組織が大きい分キャリア採用の人数も多いですが、新卒や経験者の応募が集まるため未経験だと競争に勝てない可能性があります。未経験の若手なら転職できる可能性がありますが、年齢が上がるにつれて転職難易度が上がるでしょう。

中規模の事務所は未経験者を積極採用しており、かつ選考に通りやすい傾向にあります。中規模というのは職員の人数が20~40名程度の事務所を指します。

ある程度人数がそろっており組織体制ができているため、事務所の拡大に力を入れており、かつ新人を教育する余裕があります。社会人経験がない新卒を採用するより、社会人経験はあるが税理士業務の経験がない人材を望んでいる事務所も多くあります。

ただし募集人数が多い事務所は、常に人手不足でひとりあたりの業務量が多かったり教育体制がなかったりハードな環境の可能性があります。

人材募集の背景を見極めるために、組織構成や教育体制などは事前にチェックしておきましょう。

希望年収は未経験者の相場を踏まえて設定する

転職する際に年収は重要な項目だと考え、希望年収を高めに設定する方は多くいます。

ある程度こだわりをもって年収を設定するのは、転職の満足度を高めるために重要なことです。しかし年収というのはその人が事務所に提供する価値への対価なので、未経験の転職は年収が下がることがよくあります。

この点に納得できないと、なかなか応募にすら至らない、応募しても先方と折り合いがつかないなどいつになっても転職できません。

現年収から下がってしまう場合も、今後の年収の伸びに期待したり、理想のキャリアを実現するための序章と考えてある程度許容することが大切です。

経験に見合わない希望年収を提示して評価を下げることがないように、未経験者の相場に合わせて適正な希望年収を設定することが大切です。

税務関連の業務経験や資格取得に励む

未経験であることは、経験者に比べてハンデになることはいうまでもありません。このハンデを補うには、関連業務の経験を積んだり資格取得に励むとよいでしょう。

事業会社における税務や会計分野の業務経験は、税理士法人や会計事務所で働く場合にも役立ちます。税理士補助業務の即戦力とまではいきませんが、一定の知識を持っているか否かの違いは大きく評価を分けます。

転職活動と並行して、資格の取得に取り組むのもよいでしょう。簿記2級以上や税理士の科目合格は高評価です。

資格そのものがアピールになるのはもちろん、勉強中であってもその学習意欲が評価の対象になります。会計業界では頻繁に法改正や制度変更に対応する必要があるため、学習意欲の高さやスキル習得の姿勢をアピールすることで採用の可能性を高めます。

インターネットやセミナーなどを活用して、最新の会計トレンドや税制改正について情報収集する習慣をつけることもおすすめです。

できるだけ若いうちに転職する

税理士・科目合格者の転職は、比較的年齢のハードルが低いと言われています。税理士業界は高齢化が深刻なため、若手人材は貴重だからです。

一方で、同じ年齢の未経験者と経験者で比較されたらその差は歴然です。年齢を重ねるほど転職市場の経験者割合が高まるため、未経験者の割合が高い若手のうちが転職しやすいでしょう。

また若いうちは新しい知識やスキルを身につけやすい傾向にあるため、未経験でも業務にすぐ慣れるだろうと判断されます。さらに年齢を重ねるほど経験してきた業務の関連性やビジネススキルの成熟度が見られるようになるため、転職難易度が上がります。

いずれにせよ、早い段階で転職を決断したほうがメリットが大きいでしょう。

転職エージェントのサポートを受ける

未経験の場合は書類選考で不採用になることも多いため、アピールできる経験やスキルの棚卸しが重要です。面接も同様に、徹底した準備が必要となります。

また、未経験歓迎の求人は募集背景を把握することが大切です。転職できても、未経験者にはハードな環境の可能性もあります。

選考対策や事務所研究を代行してくれるのが、転職エージェントです。対策と情報収集の精度が上がることにより、転職活動が効率化するだけでなく転職の成功確率が高まります。

とくに税理士や科目合格者に特化した転職エージェントをおすすめします。業界特化型の転職エージェントは、希少な未経験者向けの求人を豊富に保有しています。

また業界特有の転職事情に精通しているため、経歴やスキルを鑑みた求人提案や選考対策をしてくれます。未経験での転職に不安がある税理士・科目合格者の方に登録をおすすめします。

未経験でもアピールできる4つの経験・スキル

税理士・科目合格者が未経験で転職する際に、これまでの社会人経験の中でアピールできる4つの経験・スキルを紹介します。

事業会社の経理経験

会計事務所や税理士法人ではクライアントから記帳や決算申告、給与計算といった経理代行を依頼されることが多々あります。そのため税理士業務が未経験でも、事業会社の経理経験はアピールポイントになります。

経理業務のなかでも、事業会社の税務を担当していた人は有利です。税理士業務とは異なるものの、税務に関する基礎知識を持っている人材として評価されます。

会計業界への転職を希望する場合、現職の段階で有利に働きそうな業務を経験できるように働きかけましょう。

会計業界のアルバイト経験

会計事務所や税理士法人での正社員経験がなくても、アルバイトやパートの経験があれば評価されます。

実際、中小規模の事務所では所長以外はアルバイトやパートで構成されていることも珍しくありません。その場合はアルバイトやパートが税理士補助業務を担い、正社員とそん色ない十分な戦力となっています。

アルバイト・パート経験の有無に加え、応募ポジションの業務範囲と経験業務が被っていることをアピールできると、高評価になります。

ITスキル

会計ソフトの操作はもちろん、システムの導入やITスキルを用いたデータ分析など、会計業務を効率化できるレベルのITスキルがあると高評価になります。

大手の会計事務所や税理士法人の場合はすでにDX化が進んでおり、システムやツールに順応し活用できることが最低条件です。

いまだに紙文化が残っているような中小事務所の場合は、業務プロセスやシステムを改善できるレベルの人材は重宝されます。ITスキルを用いた業務効率化の実績がある場合は、アピールしていくと良いでしょう。

ビジネススキル

社会人経験が3年以上ある未経験者の場合は、ビジネススキルの高さをアピールできると良いでしょう。

ビジネスマナーやコミュニケーション能力、課題解決スキルなど、社会人として不可欠な能力は必須です。プロジェクト管理や交渉、プレゼンテーション能力など、よりビジネスを推進させるようなスキルは高評価です。

これまでの社会人経験で自分のビジネススキルが活きた実績を話せるように、具体的なエピソードを用意しておきましょう。

ビジネススキルは応募書類の書き方や選考中のやり取り、面接でのコミュニケーションに自然と表れるため、普段から意識しておきましょう。

税理士・科目合格者が未経験でも転職しやすい背景

一般的に未経験での転職は難易度が高いと言われていますが、税理士業界では以下のような理由から未経験の転職も可能と言われています。

人材不足と高齢化の背景により未経験でも転職できる

会計事務所や税理士法人が未経験者へまで間口を広げている理由のひとつが、人材不足です。日本では人口減少が進んでいるため、単純に働き手が減っています。ほかにも仕事に対する価値観の変化や職員の給与水準の低さなどさまざまな要因によって税理士業界では人材が不足しています。

税理士の高齢化も大きく関係しています。日本税理士連合会によると、税理士は60代が最も多く、全体の約3割を占めます。

20代は全体の0.6%、30代は10.3%である一方で、70代は13.3%、80代は10.4%と年配の税理士のほうが多い状況です。

もともとの人材不足に高齢化の影響が加わり、会計事務所や税理士法人のキャリア採用は難航しています。その対策として、未経験者の採用を増やしてポテンシャルのある人材を確保したいと考える事務所が増えています。

したがって、税理士業務が未経験であっても会計事務所や税理士法人へ転職できるチャンスはおおいにあるといえるでしょう。

※参考:税理士の魅力とリアル|日本税理士連合会

税理士補助業務は未経験でも馴染みやすい

税理士補助とは、税理士資格がなくても従事可能な付随業務をおこなうポジションを指します。税務アシスタントや会計アシスタントなどと呼ばれることもあります。

業務内容としては税理士の業務である税務書類の作成や税務申告の補助、その他の事務作業などがメインとなり、これらを税理士の監督下でおこないます。

税理士補助は専門的な知識がなくても対応でき、一般的な事務作業と大きく変わりません。そのため、税理士業務が未経験であっても応募可能となっています。

税理士業務が未経験でも経理経験が活きる

税理士業務の経験がなくても、事業会社の経理経験があれば採用される可能性が高まります。

事業会社内でも税務を扱いますし、会計事務所や税理士法人でも経理代行など経理経験が生きる業務があります。事業会社の経理経験者は、会計業界に順応しやすいスキルをもっています。

税理士業界の高齢化の影響で募集年齢が上がってきているとはいえ、同じ未経験の場合は若手のほうが採用されやすいのが現実です。

若手に勝てるポイントは、経験値のほかにありません。税理士業務が未経験でも関連業務の経験を積んでおく必要があります。

税理士・科目合格者の未経験転職における年齢とスキルの関係性

税理士業務未経験での転職難易度は、年齢によって変わってきます。20代・30代・40代の年代別に、転職に必要なスキルを解説します。

20代は転職しやすいが有資格者が有利

20代前半なら、一般的な転職市場と同様に会計業界でも転職しやすい状況にあるでしょう。

ただし、20代後半になると経験者が転職市場に出てくるため、簿記2級・1級か税理士試験の科目合格を取得していると採用可能性が高まるでしょう。

有資格・未経験の若手は基本的な知識は身に着けている一方で採用コストが低いため、会計事務所や税理士法人では重宝される人材です。

また20代は学習能力が高く、伸びしろがあるとして期待されます。高齢者が多い会計業界に、新鮮な視点や新しいアイデアをもち込んでくれるだろうという期待もあります。

20代の会計業界志望者は確実に売り手市場です。応募者が殺到するような人気の事務所を志望するなら、念のため資格を取得しておきましょう。

30代は3科目以上合格・経理経験が必要

未経験でも30代前半であれば比較的売り手市場ですが、30代後半になると応募条件が少し厳しくなります。

30代で未経験の場合、簿記論・財務諸表論の必修2科目に加えて1科目以上合格しているとよいでしょう。求人によっては3科目以上合格を応募条件としている場合もあります。

また、30代になると一定の実務経験を必要とされることが増えます。税理士業務は未経験でも、事業会社などで経理業務の経験があると即戦力性が高まるためアピールしておきましょう。

30代は、人によっては10年以上の社会人経験があり高いビジネスマナーが備わっているため、クライアント業務が多い会計事務所や税理士法人では需要が高い世代です。

未経験でも経理や顧客対応の経験をしっかりアピールすれば、十分に転職が可能です。

40代で完全未経験の場合、転職が難しい

高齢化が進む会計業界においては40代はまだまだ若手で需要が高いとされていますが、それは経験者に限った話です。いくら高齢社会でも、40代で完全未経験だと転職難易度は上がります。

事業会社での経理経験に加えて税理士試験に合格しているなど、複数条件が求められます。

とくに大手事務所はクライアントに大手法人が多く、業務内容もより専門的になるため、未経験40代の場合は転職が難しいことが多いでしょう。求職者からの人気も高いので、実務経験がある応募者との競争で不利になることも多いはずです。

一方で、中小規模の事務所は大手事務所よりもさらに採用難に陥っていることが多いため、40代で未経験でも採用される可能性があります。後継者がいない地方事務所に、後継者候補として入所できる可能性もあります。

ただし中小事務所だからこそ教育環境がないケースもあるため、教育体制の有無を確認したうえで転職するようにしましょう。

税理士・加茂k合格者におすすめの転職エージェント5選

税理士業界への転職では、以下の転職エージェントの利用をおすすめします。

ハイスタ税理士

ハイスタ税理士は、税理士や科目合格者、税務経験者の転職支援に特化した転職エージェントです。

キャリアアドバイザーが求職者と事務所・企業の両方を担当する「両手型」のエージェントなので、ミスマッチの少ない転職を実現できます。

業界特化型のため、厳選された良質な税理士・科目合格者向け求人を多数保有しています。もちろん、実務未経験でも応募可能な求人もあります。

登録するだけで、求人紹介からキャリア相談、面接対策、条件交渉まで一貫したサポート受けられます。まずは登録して求人情報の共有を待ってみましょう。

公式サイト:https://hi-standard.pro/tax/

マイナビ税理士

マイナビ税理士

マイナビ税理士では、税理士と科目合格者に特化した転職サービスを提供しています。

丁寧なサポートで新卒や若手人材の転職を支援してきた実績があるため、20代・30代前半の方におすすめです。まさに未経験者向けのエージェントと言えるでしょう。

公式サイト:https://zeirishi.mynavi-agent.jp/

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアは、税理士・公認会計士・経理の転職に強みをもつ転職エージェントです。

求人紹介だけでなくキャリア全体のサポートを提供しているため、未経験からのキャリア構築に一役買ってくれるでしょう。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

Hupro

ヒュープロ

Huproは、税理士・会計士業界の公開求人数がトップクラスです。未経験者向けの求人も多数保有しています。

大手税理士法人からスタートアップを支援する気鋭の税理士事務所まで、求人の種類も豊富です。

公式サイト:https://hupro-job.com/

MS Agent

MS-Japan

士業・管理部門特化型のMS Agentは、特化型エージェントとして30年以上の実績がある老舗のエージェントです。

蓄積されたノウハウと業界内ネットワークを活かして、求職者の希望にそった求人紹介とサポートを提供しています。未経験者でも安心できる手厚いサポートが魅力です。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

まとめ

人口減少や高齢化の影響により、税理士業界では未経験の採用も積極的におこなわれています。

年代ごとの注意点やポイントを押さえ、未経験を歓迎する求人に応募すること、スキルアップを継続させることが大切です。

会計業界に特化した転職エージェントの活用も、転職を成功させるためのポイントのひとつです。

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佐藤 達也

弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。