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不動産は金額の大きな財産であるゆえ、その売買には誰しも慎重になるものです。
これから売買を考えている方の中にも、あらかじめ起こり得るトラブルを知って、予防策を講じておきたいという方もいるでしょう。
不動産売買におけるトラブルは、売買契約を締結する当事者間の齟齬によって生じるものがほとんどです。
そのため、よく起きるトラブルについて知っておけば、契約の際に注意したい点がわかるので、トラブルの発生を未然に防げるでしょう。
本記事では、不動産売買におけるトラブルの原因や事例を紹介するほか、トラブルを防止するための方法、トラブルに巻き込まれてしまった場合の相談窓口について紹介します。
不動産売買をスムーズにおこなうためにも、ぜひ参考にしてください。
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売買契約は、当事者・目的物・契約内容の3つの要素から成り立ちます。
不動産売買契約とは、売主が買主に(当事者)、不動産の所有権を(目的物)買主が売買代金を支払うことと引き換えに移転する(契約内容)ことをいい、当事者双方にとって平等な契約です。
不動産の売買契約におけるトラブルは、これら3つの要素のうちのどれかが想定とは異なる状況となり、売主と買主のうちのどちらかが不利益を被るために起こります。
実際に起こりやすい不動産売買のトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、よくあるトラブル事例を紹介します。
不動産売買の際には、仲介した不動産会社に仲介手数料を支払わねばなりません。
しかし、なかには法外な額を請求する会社もあるため、注意が必要です。
不動産の仲介手数料の上限額は、法律で以下のように定められています(宅地建物取引業法第46条及び令和元年国土交通省第493号)。
売買価格(税抜き) | 仲介手数料 |
200万円以下 | 取引額の5%+消費税 |
200万円以上400万円未満 | 取引額の4%+消費税 |
400万円以上 | 取引額の3%+消費税 |
また、仲介手数料の支払い方法は、売買契約の成立時に一括で支払うか、売買契約成立時と決済・引き渡し時の2回に分けて支払うかのどちらかです。
そのため、売買契約成立以前に請求されても応じる必要はありません。
仲介手数料に関するトラブルを防ぐための対処法は、以下のとおりです。
媒介契約とは、不動産会社と売主、または不動産会社と売主・買主の両方との間で締結する契約です。
媒介契約には、以下の3種類があります。
このうち、不動産会社と専属専任媒介契約を締結した場合、不動産会社が囲い込みをすることで、売主が高値で物件を売却するタイミングを逃し、売主が不利益を被る可能性は有り得ます。
囲い込みとは、売主と買主双方から不動産会社が仲介手数料を取得するために、例えば他の不動産会社が買主を見つけて売買の仲介を依頼したとしてもそれに応じない等、不動産会社が自社で売主と買主を探し出して両者間で売買契約を成立させることができる時まで売買の仲介を行わないという行為です。
囲い込みによって、不動産会社が不動産情報を意図的に開示しないなどした結果、売主は買主を見つけるチャンスを逃したり、市場の反応が鈍いことを理由として売買のタイミングを先延ばしされたりして、結果として、本来より低い価格で不動産売買の仲介を実施されるなど、売主が大きな不利益を被る可能性があります。
このようなトラブルを避けるためにも、不動産仲介会社を選ぶ際は以下の点を確認しましょう。
売買契約成立後に、買主が住宅ローンの審査に通らなかったことを理由に、契約解除を申し出ることでトラブルになるケースもあります。
特に、売買契約書にローン特約解除条項が設けられていなかったがために、当事者間及び不動産仲介業者との間で、トラブルになる可能性が高いので、注意が必要です。
ローン特約解除条項とは、不動産売買契約を締結した後で、金融機関からローンの承認を得られなかった場合、当該契約を解除できるという特約です。
また、ローン特約解除条項が付記されていたとしても、ローンについての具体的な条件を付記していなかったためにトラブルになることもあります。
このようなトラブルを防ぐためには、以下の点に注意することが大切です。
決済日になっても買主が支払いをおこなわない、手付金は支払われているものの、残額の支払いがされないなどといったトラブルもよくあります。
契約時に定められた手付解除期日が経過すれば、買主は、必ず売買代金の残金を支払わねばなりません。
支払われない場合は、売主は以下のように対処をする外ないと思われます。
また、支払いに関するトラブルを防ぐためにも、以下のような対策を講じるのもおすすめです。
不動産に何らかの契約上の不適合(瑕疵)があれば、告知書と呼ばれる不動産の状況を説明する書類に記載しなければなりません。
契約上の不適合(瑕疵)とは、物件が備えるべき品質を欠くことをいい、不動産では、土壌の汚染、建物の雨漏り、シロアリ被害、家の傾きなどが該当します。
通常、売買契約書には契約不適合責任(瑕疵担保責任)の条項が設けられ、万が一、売買成立後に不動産に瑕疵が見つかった場合には、売主がその責任を負担します。
売買成立時には見つけられなかったものについても、売主が責任を負わねばならないため、売主側は、特に注意が必要です。
あとになって負担が生じるのを防ぐためにも、以下のような対策を講じておくとよいでしょう。
住宅診断(ホームインスペクション)とは、住宅診断士という専門家が建物の状態を確認するサービスです。
利用したい場合は、以下のWebサイトより依頼先を探すことができます。
また、契約不適合責任の免責条項を設けておけば、契約成立後に瑕疵が見つかった場合の責任の所在についてあらかじめ当事者で合意しておけます。
さらに、既存住宅売買瑕疵担保保険に入っておけば、買主が瑕疵を発見した場合に最大1,000万円の修繕費用を支払ってもらえます。
買主側も安心して購入できるでしょう。
大きな金額が動く不動産売買では、特に余計なトラブルは経験したくないものです。
トラブルが起こるのをできるだけ防ぐためにも、売買に臨む前に下記のような対策をしておくとよいでしょう。
不動産売買に関する知識について基本的な部分だけでも学んでおけば、契約の場で、理解できることが増えます。
わからないまま進んでしまうことが少なくなるため、防げるトラブルもあるはずです。
書籍を読む、セミナーに参加するなどして、対策しておきましょう。
不動産適正取引推進機構が出版している「不動産売買の手引」を一読するのもおすすめです。
手軽に不動産売買における基礎知識を勉強できます。
【参考】出版物のご案内|一般財団法人 不動産適正取引推進機構
トラブルを防ぐためにも、売買契約書はあいまいな点をなくすつもりでよく確認しましょう。
契約内容についての認識に齟齬があったために、トラブルが発生することもあります。
特に、売主側にとってリスクが大きい契約解除条項には注意しましょう。
解約条件、解約手付、ローン特約解除条項など、売買契約の解約に関わる条項は、できるだけ具体的に記載するようにします。
もし契約書への記載がなかった場合は、書面化しておきましょう。
あらかじめ細かく確認したことを形にしておくことで、防げるトラブルも多くあります。
どのようなトラブルが起こりやすいのか知っておけば、不動産売買において気をつけたいポイントがわかります。
あらかじめ対策を講じておくことで、防げるケースも多くあるだけでなく、万が一トラブルに直面してもスムーズな対処ができるはずです。
不動産トラブルについては、以下のWebサイトでも調べられます。
項目ごとに過去の裁判例を絞り込めますので、気になる内容だけでも確認し、理解を深めましょう。
トラブルを防ぐためには、きちんとした不動産会社を選んで、仲介を依頼することも非常に大切です。
不動産売買におけるトラブルは、不動産会社が売買契約書を適切に作成し、売主・買主の双方にきちんと説明すれば防げるものがほとんどのためです。
不動産会社はなんとなくで選ばず、信用できる会社かどうかをしっかり見極めてから依頼しましょう。
信頼できる不動産会社に仲介を依頼するためにも、不動産会社は次のポイントをチェックしながら選びましょう。
宅建業者にはさまざまな義務が定められており、それに忠実に従っているかどうかは、信頼できるかどうか見極めるポイントのひとつといえます。
事務所や従業員に対しては次のような義務がありますので、相談に訪れた際には事務所や従業員をチェックしてみるとよいでしょう。
宅建業者名簿や免許申請書などを閲覧すれば、どのような会社かがある程度わかります。
以下にまとめた項目を中心に、確認してみましょう。
項目 | 確認できること・特記事項 |
免許証番号 | 営業年数 |
過去の営業成績 | 更新の免許申請5年間の取引件数や取引額 |
商号・代表者・役員・事務所所在地 | 会社の所在地、代表者名など |
取引士の氏名・略歴など | 担当する宅地建物取引士の氏名 |
資産状況 | 資本金・財務状況 |
宅建業者名簿や免許申請書は、国土交通省の地方整備局や各都道府県の建築関係の担当課で確認できます。
過去に大きなトラブルを起こしたことのない業者であれば、ある程度安心して依頼できます。
なお、国土交通省のWebサイトでは、最近5年分の不動産売買・管理に関する行政処分情報が公開されているので、一度調べておくと安心でしょう。
【参考】不動産の売買・管理 宅地建物取引業者|国土交通省 ネガティブ情報検索サイト
不動産売買におけるトラブルの解決には、専門知識が必要です。
自分一人で悩んでもどうしようもないことも多くあります。
下記のような相談窓口を頼り、早期解決を目指すことをおすすめします。
不動産売買におけるトラブルは、契約や権利関係など、法的なことが問題になるケースがほとんどです。
そのため、法律の専門家である弁護士に頼るのがよいでしょう。
弁護士に相談すれば法的な観点から有効なアドバイスをもらえますし、依頼をすれば代理人として不動産会社や買主と交渉してもらえます。
解決に至るまで全て任せられるので、安心できるでしょう。
不動産売買におけるトラブルを相談・依頼する弁護士を探すなら、「ベンナビ不動産」がおすすめです。
ベンナビ不動産には、不動産売買をはじめとする不動産トラブルの解決実績を豊富に備える弁護士が多数掲載されています。
詳しい相談内容と地域から絞り込めるので、近くで活動するあなたにぴったりの弁護士を見つけやすいでしょう。
不動産売買に関するトラブルに巻き込まれて悩んでいるなら、ぜひベンナビ不動産で弁護士を探し、早めに相談してください。
消費生活センターとは、商品やサービスの売買など、身近な消費者トラブルについて相談できる窓口です。
交渉の進め方や解決のためのアドバイスをもらえ、不動産売買に関するトラブルについても相談できます。
全国統一の電話番号「188」にかけるか、全国各地に設置された消費生活センター窓口などに相談できます。
【参考】全国の消費生活センター等|独立行政法人 国民生活センター
各都道府県に設置された宅建協会では、一般消費者向けの相談窓口を設置しています。
宅建業者についての苦情についても受け付けており、専門の相談員によるトラブル解決に向けたアドバイスを無料でもらえます。
各都道府県の相談所は、以下のWebサイトに掲載されています。
利用の際は、事前に電話で確認のうえ訪れるようにしましょう。
宅建業者とのトラブルについては、各都道府県の宅建業者を管轄する部署にも相談できます。
居住する都道府県の窓口は、以下のWebサイトから調べられます。
【参考】建設産業・不動産業:都道府県に関する窓口|国土交通省
不動産売買のトラブル解決には、さまざまな専門知識が必要になるものです。
ご自身で勉強して対応してもかまいませんが、相手方となる不動産業者のほうが知識だけでなく経験も豊富に備えるために、望ましい結果は得られない可能性が高いでしょう。
早期解決のためには、弁護士などの専門家に早めに相談・依頼するのが賢明といえます。
ぜひ「ベンナビ不動産」を利用して、近くで活動する不動産トラブルの解決実績が豊富な弁護士に、早めに相談してください。