ファクタリングに消費税は課されない!非課税取引の根拠と計算ポイント

ファクタリングに消費税は課されない!非課税取引の根拠と計算ポイント
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売掛債権を回収するスパンを短くする手段として、ファクタリングがあります。

ファクタリングを利用すれば手元の現金が増えるため、キャッシュフローを改善できます。

ファクタリングの利用にあたっては、消費税の取り扱いについて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ファクタリングと消費税の関わりや、消費税が課されるケースなどについて解説します。

ファクタリングは非課税取引なので消費税がかからない

ファクタリングは非課税取引なので、利用しても消費税は発生しません

これは、ファクタリングが「債権の譲渡」にあたるためです。

国税庁は、債権の譲渡を有価証券の譲渡と同じであるとしています。

有価証券の取引は資本の移転とされているため、消費税がかかりません。

具体的には、株式や債券、投資信託の証券といった金融商品の売買が消費税の課税対象外です。

ファクタリングも有価証券の譲渡と同様であるため、非課税取引となります。

ファクタリングが非課税取引として扱われる理由と根拠

ここでは、ファクタリングが非課税取引として扱われる理由と根拠について解説します。

1.消費税の課税対象としてなじまない取引に該当する

消費税は、国内で事業者が事業活動を通じて対価を受け取る取引に適用される税金です。

ただし、税負担を消費者に求める性質上、課税対象として適さない取引や、社会的配慮により非課税とされる取引もあります。

非課税取引に分類される例として、国税庁は有価証券や金銭債権などの譲渡を挙げています。

ファクタリングも、ファクタリング業者に対して債権を譲渡することでお金を得る手段であるため、非課税となるのです。

(2)有価証券等の譲渡

国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡

ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

引用元:No.6201 非課税となる取引|国税庁

2.上記の取引に関連する手数料なども非課税になる

ファクタリングで非課税になるものは、売掛債権を売却することで得るお金だけではありません。

ファクタリング利用の際には、売掛債権の一部を手数料としてファクタリング業者に支払う必要があります。

この手数料分も、国税庁は非課税であると定めています

消費税は、商品やサービスを提供した結果、消費者から支払われるお金に対して課される税金です。

そのため、手数料などお金の流れに関する項目は課税対象とはならず、非課税取引として扱われます。

【参照元】No.6221 預金や貸付金の利子など|国税庁

ファクタリングを利用した場合の消費税の計算ポイント

ここでは、ファクタリングを利用した場合に消費税を計算するポイントについて解説します。

1.非課税取引として帳簿に記載しておく

ファクタリングによって売掛債権を売却した場合は、会計処理を適切におこなわなければなりません。

取引の性質を把握し、帳簿に正しく記載することは、消費税を申告するために欠かせない重要なポイントです。

ファクタリングは非課税なので、非課税取引として処理を進めましょう。

非課税取引として記録されていれば、誤って消費税の計算に含めてしまったり、税務調査が入ったときに指摘を受けたりするリスクを回避できます。

正確な決算書・財務諸表を作成するためにも、正確な記載は必須です。

消費税を正しく計算するためには、全ての取引を適切なカテゴリに分類して記録しなければなりません。

もし会計ソフトを使っていれば、ファクタリングによって得たお金は「非課税売上」に分類しておきましょう。

2.課税売上割合の計算で分子には算入しない

ファクタリングに関わる消費税を計算するためには、課税売上割合の正確な算出が必要です。

課税売上割合とは、売上高全体のうち課税売上が占める割合を指す数値であり、課税売上高を総売上高で割ることにより求められます。

計算の際は、ファクタリングが非課税取引である点を考慮しましょう。

非課税取引の場合は課税売上高に含まれないため、分子には算入せず、原則として分母のみに数値を算入します。

誤ってファクタリング取引を課税売上として計算に含めると、実際よりも高い課税売上割合が算出されてしまうので注意してください。

3.仕入税額控除のルールに従い消費税を計算する

ファクタリングを利用したら、仕入税額控除のルールに従って消費税を計算しましょう。

仕入税額控除とは、取引にあたって支払った消費税額を、売上に対して発生する消費税額から差し引ける仕組みです。

仕入税額控除は、下記の4種類に分けられます。

  • 全額控除:消費税額を全額控除する
  • 個別対応方式:仕入れに対する消費税を3つに区分して控除分を決める
  • 一括比例配分方式:仕入れにかかる消費税額を、課税売上割合分のみ控除する
  • 簡易課税制度:課税売上高に「みなし仕入率」をかけて控除分を決める

また、それぞれの仕入税額控除の対象者は、下記のとおりです。

区分仕入税額控除の種類
課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上全額控除
課税売上高5億円超または課税売上割合95%未満個別対応方式
一括比例配分方式

前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の場合には、簡易課税制度を適用できます。

ファクタリング取引だけど消費税が課されるケース

ここでは、ファクタリング取引において消費税が課されるケースについて解説します。

1.司法書士に報酬を支払うケース

ファクタリング取引で消費税が課されるケースは、司法書士に報酬を支払う場合です。

ファクタリングにおいては、債権の譲渡契約を正式かつ法的に確実なものとするために、「債権譲渡登記」をおこなうことがあります。

債権譲渡登記とは、債権の譲渡を公に記録する手続きです。

第三者に対して債権の譲渡を明確にし、権利関係を守るためにおこなわれます。

債権譲渡登記をおこなう際には、司法書士に手続きを依頼しなければなりません。

司法書士への報酬支払いはサービスに対する対価であるため、課税対象の取引となるのです。

司法書士が登記手続きをおこなった場合、業務に対する報酬に消費税が加算されます。

ただし、債権譲渡登記にあたって支払う登録免許税や印紙代は非課税として取り扱われます。

ファクタリング自体は消費税の対象外ですが、取引を円滑かつ正確に進めるために必要な司法書士への報酬には課税されると覚えておきましょう。

2.銀行で振込手数料を支払うケース

ファクタリング取引で消費税が課されるケースは、銀行で振込手数料を支払う場合です。

ファクタリングによって売掛債権を売却して現金を得る際には、銀行振込を利用する場合が一般的です。

ファクタリング業者から口座へ入金されるときに、振込手数料が発生します。

振込手数料は銀行が提供する決済サービスへの対価ですが、実は消費税も含まれています

明確に示されているわけではありませんが、消費税込みの金額を支払うのだと覚えておきましょう。

銀行によって振込手数料には差があるため、ファクタリングを利用する際は手数料がかからない銀行や安い銀行を選択するとよいでしょう。

3.交通費などに実費を請求されたケース

ファクタリングで消費税が課されるケースは、司法書士やファクタリング業者に交通費などの実費を請求された場合です。

債権譲渡登記の手続きを司法書士に依頼すると、役所へ行くための交通費や書類の郵送費などがかかります。

これらの費用は、司法書士が取引を進めるうえで実際にかかる経費であり、手続きを円滑に進めるために必要なものです。

交通費や郵送費などの実費に対しては消費税が適用されるため、その分も併せて司法書士に支払わなければなりません。

報酬以外にも、業務にあたって発生した実費と、実費に対する消費税を支払う必要がある点をあらかじめ考慮しておきましょう。

ファクタリング会社から消費税を請求されたら要注意!

ファクタリングによって売掛債権を売却して得たお金は、消費税の課税対象外です。

ファクタリング会社から消費税を請求された場合は、知識不足の相手を騙そうとしている悪徳業者の恐れがあります。

消費税の請求を受けたら、契約をしない、あるいは早めに契約を解除することをおすすめします。

もし支払いをしてしまった場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

ファクタリングは多くの金額が発生する取引であるため、信頼できる業者を選ぶことでさまざまなトラブルを回避し、リスクを抑えられます。

さいごに|ファクタリングには消費税がかからないと覚えておこう

ファクタリングでは、基本的に消費税が発生しません

その理由は、ファクタリングが消費税の対象外となる債権の売買をおこなう取引であるためです。

この点を押さえたうえで、会計処理を正確に進めていきましょう。

もしファクタリング会社から消費税を請求されたら、その会社は悪徳業者の恐れがあります。

あらかじめ消費税が発生しないことを知っておけば、騙されるリスクを軽減できるでしょう。

消費税の有無も含め、ファクタリングについての基本的な知識を把握したうえで取引を進めていくのがおすすめです。

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。