ファクタリングの手数料の相場や計算方法、手数料を安くするためのポイントを解説
ファクタリングの手数料は業者によってさまざまであるため、内訳や相場を正しく理解することが大切です。
本記事では、買取型ファクタリングの手数料の相場や計算方法、手数料を安くするためのポイントを解説します。
ファクタリング会社を選ぶ際の参考にしてください。
ファクタリングの手数料とは?
ファクタリングとは、自社の売掛金をファクタリング会社に売却し、資金を調達する金融サービスです。
ファクタリングを利用して売掛金を売却する際は、一定の手数料が発生します。
ファクタリングの手数料の計算方法
ファクタリングの手数料は、売掛債権の買取額に対して所定の割合の手数料率を乗じて算出されます。
【ファクタリングの手数料の計算方法・計算手順】
- ファクタリング会社の「掛け目」と「手数料率」を確認する
- 額面×掛け目(%)で買取額を算出する
- 買取額×手数料率で手数料を算出する
掛け目とは「買取率」のことで、融資の際の担保評価額と似た意味合いを持ちます。
ファクタリング会社の売掛債権は、債権額全額を買い取るのではなく、一定の比率である掛け目を乗じた金額を算出します。
回収リスクが低ければ低いほど、掛け目の割合は高くなると覚えておきましょう。
ファクタリングの手数料の決まり方
ファクタリング会社は、それぞれの会社の基準を基にしてサービスの手数料を設定します。
手数料率は、次のようなポイントを目安として定められています。
【ファクタリングの手数料に影響する主な要素】
- 売掛先への信頼度
- 売掛金の金額
- 利用するファクタリング方式
ファクタリングは、売掛債権を回収して初めて成立するサービスです。
ファクタリング会社は、売掛先から売掛債権を回収できない場合、大きな負債を抱えてしまいます。
そのため、与信調査を実施して売掛先への信頼性の確認が必要です。
信頼性が高いと判断されれば、低い手数料で利用でき、リスクが高いと判断された場合は、高い手数料が設定されます。
ファクタリング会社にとって売掛金が高額であるほど利益が出るため、少額の案件よりも高額な売掛金のほうが、手数料を安く設定する傾向にあります。
また、利用するファクタリング方式によっても回収リスクが異なるため、手数料が大きく変動するのが特徴です。
このように、ファクタリングの手数料はさまざまな要素によって決まります。
少しでもコストを抑えたい場合は、手数料を安くするポイントを理解したうえで、ファクタリングサービスを利用しましょう。
ファクタリング手数料の相場|2社間と3社間の場合
ファクタリングの手数料の相場は、ファクタリング方式によって大きく異なります。
こちらでは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの概要と手数料の相場を解説します。
2社間ファクタリング|10~20%程度
2社間ファクタリングとは、利用企業とファクタリング会社間で成立する取引です。
売掛先に売掛債権譲渡の承諾を得る必要がないため、ファクタリングを利用していると知られずに済みます。
2社間ファクタリングでは、売掛金の10〜20%の手数料で取引されるケースが多くあります。
この方式は、債権そのもののリスクが非常に高く、売掛金が回収できないリスクも高まることから、高額な手数料が設定されるのが特徴です。
3社間ファクタリング|1~9%程度
3社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用する企業とファクタリング会社、売掛先とでおこなわれる取引を指します。
売掛先には、取引先がファクタリングを利用している旨が伝えられるのが特徴です。
3社間ファクタリングの手数料は、売掛金の1〜9%で取引されるケースがほとんどです。
ファクタリング会社は売掛先から直接資金を回収するため、未回収のリスクが低いことから、2社間ファクタリングに比べて手数料が安く設定されています。
ファクタリングの手数料を安くする9つのポイント
ファクタリングの手数料を安くするためのポイントを9つ紹介します。
1.複数のファクタリングの見積もりを取る
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社によって大きく変動します。
それぞれの会社が独自の審査基準を設けているのも特徴です。
複数のファクタリング会社に見積もりを依頼し、比較することで手数料の安いファクタリング会社を見つけられるでしょう。
2.オンライン型のファクタリングを利用する
オンラインファクタリングとは、申し込みから契約まで全ての手続きをオンラインで完結させるサービスです。
対面での手続きが必要なファクタリング会社と比較して、出張費や契約時の印紙代などもかからないため手数料が安い傾向にあります。
3.なるべく3社間ファクタリングを選択する
ファクタリングの手数料を安く抑えたい、最小限のコストでファクタリングを利用したい場合は、3社間ファクタリングを利用しましょう。
未回収リスクの高い2社間ファクタリングに比べて、手数料が10%以上低いケースもあります。
ただし、ファクタリングの利用を売掛先に知られたくない場合は、3社間ファクタリングでの利用は難しいでしょう。
この場合は、2社間ファクタリングの利用を検討してください。
4.債権譲渡登記ありのファクタリングにする
債権譲渡登記をおこなうことで、ファクタリングの手数料は低くなります。
債権譲渡登記とは、企業が売掛債権を譲渡して所有権が変更されたことを公にする登記です。
そのため、2社間ファクタリングで売掛先に債権譲渡の承諾を得ない状態であっても、債権譲渡登記をおこなえば、ファクタリング会社が売掛債権を所有していることを証明できます。
その結果、二重譲渡のリスクを回避できるため、手数料も安くなります。
5.信頼度の高い売掛債権で契約をおこなう
ファクタリングでは、売掛先の与信が審査をするうえで重要な要素です。
そのため、売掛先の信用度が高いほど支払い能力に問題がないと判断され、必然的に手数料も割安になります。
信用力の高い売掛先の売掛債権をファクタリングに利用した資金確保をおすすめします。
6.できる限り売掛債権の金額を大きくする
手数料を安く抑えるためには、売掛債権の金額にも注目しましょう。
ファクタリング会社は、高額の契約を結んだほうが事務的なコストも削減できます。
そのため、一般的には、売掛金が高額になるほど手数料は安くなると覚えておきましょう。
7.売掛債権の回収期日が短いものにする
売掛債権の支払い期日までの期間が短ければ短いほど、ファクタリング利用者にとって有利な条件で契約できます。
支払い期日を長く設定してしまうと、期限内に売掛先が倒産するリスクや差押えに遭うリスクが高くなるため、手数料も高くなる傾向にあります。
なるべく支払い期日までの期間を短く設定するのがおすすめです。
8.同じファクタリング会社を継続的に使う
同じファクタリング会社を継続的に利用することで、信頼関係を築けるでしょう。
信頼度の高い取引先と判断されれば、より安い手数料で利用できます。
ファクタリングを利用するたびに異なる業者に依頼するのではなく、同じ業者を継続して利用するよう意識してください。
9.ファクタリング会社のキャンペーンを利用する
ファクタリング会社のなかには、初回限定や期間限定などのキャンペーンを実施しているケースがあります。
キャンペーン期間中に契約することで、通常時よりも安い手数料で利用できる場合もあるため、お得な情報を見逃さないようにしましょう。
買取型ファクタリングを利用したときの仕訳方法
買取ファクタリングとは、自社で保有する売掛金を売却し、早期に現金化する金融サービスです。
資金の受け取り時には、売掛金から手数料を差し引いた金額が振り込まれるため、取引によって負債を抱えることはありません。
つまり、ファクタリングを利用する際は、保有する売掛金を未収入金に振り替える処理をおこないます。
処理後に売掛金を譲渡して資金を受け取った際、売掛金に対して資金を受け取ることで発生する手数料は、売上債権売却損として処理されます。
その結果、未収入金はなくなり、現金預金が入金されます。
ファクタリングの手数料に関する注意点
ファクタリングの手数料に関して、注意すべきポイントを解説します。
ファクタリングの手数料には消費税は課されない
ファクタリングは、国税庁により有価証券の譲渡と同様に、非課税取引として定められています。
そのため、原則ファクタリングの手数料は消費税の課税対象外です。
ただし、ファクタリング利用の債権譲渡登記は消費税の課税対象となるため、注意が必要です。
債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社もあるため、消費税がかかるケースもあると理解してください。
ファクタリングの手数料以外の費用にも気を付ける
ファクタリングサービスを契約する際、手数料以外にも次のような費用がかかるケースがあります。
- 債権譲渡登記費用
- 印紙代
- 振込手数料
- 交通費など
債権譲渡登記費用は、司法書士の報酬も含めて5〜10万円が相場です。
印紙税は売掛金の額によって変動します。
そのほかにも、振込手数料や交通費などを請求されるケースもあるでしょう。
上記の費用とは別に、着手金を請求するファクタリング会社には注意が必要です。
本来、売掛先や利用者の信用力・リスクを見極めるスキルがあれば、着手金は必要ありません。
特別な理由もなく着手金を請求するファクタリング会社は避け、ほかの業者の利用を検討しましょう。
さいごに|適正な手数料のファクタリングを利用しよう!
ファクタリングは、利便性に優れた資金調達方法です。
すぐに現金が必要なケースはもちろん、万が一回収できなかった際のリスクヘッジとして活用できます。
しかし、高い手数料を請求されるケースもあるため、業者選びは慎重におこなうべきです。
紹介した内容を参考にしながら、自社に最適なファクタリング会社を選びましょう。