万引きをすると検察から呼び出しを受けるかも|注意点・逮捕のリスク・刑事手続きなどを解説

万引きをすると検察から呼び出しを受けるかも|注意点・逮捕のリスク・刑事手続きなどを解説

捜査機関から万引きの疑いをかけられると、いずれは検察官に呼び出されて取調べを求められます。

検察官に対して取調べで話した内容は、起訴・不起訴の判断材料となるほか、刑事裁判における証拠として用いられます。

被疑者には黙秘権があることを念頭に置きつつ、取調べには慎重に対応しましょう。検察庁へ向かう前に、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

今回は、万引きで検察官に呼び出された場合の注意点・逮捕のリスク・刑事手続きの流れなどを解説します。

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この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

万引きをすると、検察官に呼び出されることがある

万引きをした疑いをかけられると、警察官から取調べを求められます。

警察官による取調べが一段落すると、検察官に呼び出されることもあります。

万引きで検察官に呼び出される理由

検察官が万引きをした疑いのある被疑者を呼び出すのは、起訴するかどうかを判断するに当たって取調べを行うためです。

検察官は、刑事事件の被疑者を起訴する権限を有します(刑事訴訟法第247条)。

検察官が被疑者を起訴するのは、犯罪の嫌疑が(公判手続きで立証可能な程度に)確実であり、かつ刑罰を科すことが相当と考えられる場合です。

起訴相当かどうかは捜査資料からおおむね判断できるケースが多いですが、被疑者からも取調べによって事情を訊き、最終的に起訴するか否かを判断します。

万引きで検察官に呼び出されるのはいつ?

検察官の取調べは、警察の捜査がおおむね終わった後で行われます。

警察による捜査の資料が出揃ったところで、その内容を踏まえて検察官の取調べが実施されます。

被疑者が逮捕されていない場合は、万引きの捜査について特に期間制限はありません。

したがっていつ検察官から呼び出されるかはわかりませんが、何度か警察官の取調べを受けた場合は、後に検察官からも取調べを求められる可能性が高いでしょう。

検察官の呼び出しに応じる義務はあるのか?

検察官に呼び出されたとしても、取調べに応じるかどうかは任意です。

呼び出しを拒否することもできます。

ただし、万引きの疑いのある被疑者が取調べに応じない場合は、捜査機関が逮捕に動く可能性が高まる点に注意が必要です。

検察官の呼び出しに応じるか否かについては、弁護士への相談をおすすめします。

検察官に呼び出された場合の注意点

万引きの疑いで検察官に呼び出された際には、以下の各点にご留意ください。

  1. 被疑者には黙秘権がある|話しても話さなくてもよい
  2. 取調べで話したことは、刑事裁判の証拠となる
  3. 事前に弁護士へ相談すべき

被疑者には黙秘権がある|話しても話さなくてもよい

刑事事件の被疑者には黙秘権があり、取調べで何を話すかは被疑者の判断に委ねられています。

検察官による取調べの間、ずっと黙っていることもできます。話したいことだけ話して、話したくないことは黙っていても構いません。

ただし取調べで嘘をつくと、後で供述の矛盾を突かれて不利になるおそれがあります。

答えにくい質問を受けたら、取り繕って嘘をつくことは避けつつ、黙秘も選択肢の一つであることを覚えておきましょう。

取調べで話したことは、刑事裁判の証拠となる

警察官や検察官に対して取調べで話した内容は、後に刑事裁判(公判手続き)における証拠となります。

犯罪を認める供述をした場合には、自白として刑事裁判における犯罪立証に用いられます。

万引きについて反省の態度が窺えない言葉を発すると、有罪判決を受けることになった際、量刑上不利に考慮される可能性があります。

取調べにおける供述内容は、自分にとって不利益に働き得ることを十分理解した上で、慎重な心構えで検察官の取調べに臨みましょう。

事前に弁護士へ相談すべき

検察官の取調べへ臨むに当たっては、被疑者に認められた黙秘権について正しく理解することや、話すべき内容とそうでない内容を区別することなど、注意すべきポイントがあります。

前述のとおり、取調べにおける供述内容は刑事裁判における証拠となるため、不用意な供述は控えなければなりません。

事前に弁護士へ相談すれば、取調べへ臨む際の心構えや注意点などについてアドバイスを受けられます。

警察官や検察官に取調べを求められた際には、お早めに弁護士へご相談ください。

万引きをすると、逮捕されることもある

万引きは窃盗罪(刑法第235条)に該当する犯罪であり、悪質なケースでは逮捕されることも十分あり得ます。

窃盗犯の検挙事件数に占める逮捕率は32.6%

検察統計によると、窃盗に関する2021年の検察庁における既済事件は7万6587件で、逮捕の有無に関する分布は以下のとおりです。

検察庁逮捕21件(0.0%)
警察から身柄送致2万3187件(30.3%)
警察で身柄釈放1730件(2.3%)
逮捕されないもの5万1649件(67.4%)
合計7万6587件

※窃盗に含まれる犯罪

  • 窃盗罪
  • 常習特殊窃盗罪
  • 常習累犯窃盗罪
  • 不動産侵奪罪

出典:検察統計(2021年)罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員|e-Stat

検察庁が取り扱う窃盗事件のうち、逮捕に至ったケースは32.6%です。

微罪処分(検察官への個別送致がなされない軽微な事件について行われる)で済んだケースや、被疑者が特定されなかったケースなどが除かれていることを考慮すると、窃盗による逮捕率はそれほど高くありません。

しかし被害金額が高額、常習性が認められるなどの事情がある場合には、逮捕される可能性が高まります。

逮捕後の手続きの流れ

万引きで逮捕された場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。

  1. 逮捕による身柄拘束|最長72時間
  2. 検察官による勾留請求
  3. 勾留による身柄拘束|最長20日間
  4. 検察官による起訴・不起訴の判断
  5. 起訴された場合|公判手続きor略式手続き
  6. 刑の確定・執行(または執行猶予)

逮捕による身柄拘束|最長72時間

逮捕による身柄拘束は、最長で72時間とされています(刑事訴訟法第205条2項)。

この間、警察官や検察官が被疑者に対して取調べを行います。

被疑者には黙秘権があるので、取調べに回答するか否かは任意です。

検察官による勾留請求

罪証隠滅や逃亡のおそれがあるため、被疑者の身柄を引き続き拘束する必要があると判断した場合、検察官は裁判官に対して勾留請求を行います。

裁判官が勾留の理由と必要性を認めた場合は勾留状が発せられ、被疑者の身柄拘束が延長されます(刑事訴訟法第207条1項、60条1項)。

これに対して、勾留状が発せられなかった場合には、被疑者は釈放されます(刑事訴訟法第207条5項)。

勾留による身柄拘束|最長20日間

起訴前勾留による被疑者の身柄拘束は、当初は原則10日間、最長で20日間です(刑事訴訟法第208条)。

その間、引き続き警察官と検察官による取調べが行われます。

比較的単純な万引き事案であれば、勾留延長がなされず、勾留請求から10日以内に釈放されるケースもあります。

これに対して、余罪がたくさんあるなど捜査に時間がかかる場合には、20日間の上限まで起訴前勾留がなされるケースが多いです。

検察官による起訴・不起訴の判断

逮捕・勾留期間中における捜査の結果を踏まえて、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断します。

検察官の被疑者に対する処分は、以下の3種類です。

公判請求(正式起訴)

裁判所に対して、正式な刑事裁判(公判手続き)の開催を求める処分です。

略式命令請求(略式起訴)

簡易裁判所に対して、略式命令による被疑者への科刑を求める処分です(刑事訴訟法461条)。

略式命令の審理は、公判手続きよりも簡略化されています。

求刑が100万円以下の罰金または科料であり、かつ被疑者の書面同意がある場合に限って略式起訴が可能です。

不起訴

被疑者に対する科刑を求めず、刑事手続きを終了させる処分です。

嫌疑がないか不十分であり、公判手続きにおける立証の見込みが立たない場合は不起訴となります。

また嫌疑が確実であっても、犯罪の内容や被疑者の態度などから社会における更生を促すべきと判断した場合にも、不起訴となることがあります(起訴猶予)。

検察統計によると、2021年の窃盗に関する既済事件のうち、勾留がなされた2万1258件につき、被疑者に対する処分状況の分布は以下のとおりです。

公判請求(正式起訴)1万2642件(59.5%)
略式命令請求(略式起訴)901件(4.2%)
釈放6898件(32.4%)
その他817件(3.8%)
合計2万1258件

出典:検察統計(2021年)罪名別 既済となった事件の被疑者の勾留後の措置、勾留期間別及び勾留期間延長の許可、却下別人員|s-Stat

勾留がなされた窃盗事案の6割程度について公判請求がなされていますが、3割程度は不起訴・釈放となっています。

起訴された場合|公判手続きor略式手続き

検察官によって被疑者が起訴された場合、公判手続きまたは略式手続きへと進みます。

正式起訴の場合|公判手続き

起訴前勾留から起訴後勾留へと切り替わり、引き続き被告人として身柄が拘束されます。

起訴後勾留への移行後は、保釈保証金の預託を条件に保釈が認められることがあります(刑事訴訟法第89条、90条)。

正式起訴から約1か月後を目安に、公開法廷で公判手続きが開催されます。

検察官による犯罪事実の立証に対し、被告人は必要に応じて反論します。

審理が熟したら、裁判所は判決を言い渡します。判決に対しては、控訴・上告が可能です。

②略式起訴の場合|略式手続き

簡易裁判所による書面審査を経て、略式命令で量刑などが告知されます。

公判手続きとは異なり、被告人が裁判所へ出頭する必要はありません。

略式命令に対しては、告知日から14日以内に限り正式裁判の請求が認められています(刑事訴訟法第465条1項)。

刑の確定・執行(または執行猶予)

有罪判決または略式命令が確定した場合には、刑が執行されます。

ただし、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金が科された場合には、執行猶予が付されることがあります(刑法第25条1項)。

検察官に呼び出された後、起訴されたかどうかを知る方法

被疑者が逮捕されていない場合、捜査に期間制限がないため、検察官がいつ起訴・不起訴の処分をするかはわかりません。

もし検察官に起訴されたら、裁判所から被告人へ起訴状が送達されるので、起訴状を確認すれば自分が起訴されたことがわかります。

これに対して不起訴となった場合、検察庁から被疑者へ不起訴処分が通知されることはありません。

しかし、検察庁に処分状況を確認すれば、不起訴になったことを教えてもらえます。

また必要であれば、不起訴処分告知書を交付してもらうことも可能です(刑事訴訟法第259条事件事務規程第76条1項)。

万引きを疑われた場合は弁護士に相談すべき

捜査機関に万引きの疑いをかけられたら、速やかに弁護士へ相談しましょう。

取調べに臨む際の心構えや注意点、刑事手続きの流れなどについてアドバイスを受けられます。

特に万引きの場合、将来的に逮捕される可能性が否定できないので、早めに弁護士へ相談するのが安心です。

万引きについて警察官・検察官から取調べを求められたら、お早めに弁護士へご相談ください。

万引きの弁護を依頼する場合の弁護士費用

万引きの弁護を弁護士に依頼する際には、主に以下の費用がかかります。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 報酬金
  4. 日当

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。

実際の費用は依頼先の弁護士によって異なるので、法律相談の際などにご確認ください。

相談料の目安

相談料は、弁護士へ正式に依頼する前の法律相談について発生します。

30分当たり5,500円程度(税込)が標準的ですが、無料で相談に応じてくれる弁護士もいます。

着手金の目安

着手金は、万引きの弁護を正式に依頼する際に支払います。

一括払いが原則ですが、経済的に困難な事情がある場合には分割払いが認められることもあります。

<万引きの刑事弁護に関する着手金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件

(一審・上訴審)

22万円~55万円
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件

(一審・上訴審)

再審事件

22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること

②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

報酬金の目安

報酬金は、弁護士による万引き事件の対応が終了した際に、事件処理の結果に応じて支払います。

<万引きの刑事弁護に関する報酬金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)<起訴前>

不起訴:22万円~55万円

求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額

 

<起訴後>

刑の執行猶予:22万円~55万円

求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額

上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

<起訴前>

不起訴:22万円~55万円以上

求略式命令:22万円~55万円以上

 

<起訴後>

無罪:55万円以上

刑の執行猶予:22万円~55万円以上

求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額

検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること

②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

日当の目安

日当は、弁護士が出張した日数に応じて支払います。

たとえば逮捕された場合の接見や、公判手続きへの出席について日当が発生することがあります。

<万引きの刑事弁護に関する日当額の目安>

半日(往復2時間超4時間以内)3万3,000円以上5万5,000円以下
一日(往復4時間超)5万5,000円以上11万円以下

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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