公然わいせつ罪・不同意わいせつ罪・不同意性交等罪・痴漢・盗撮など、性的な行為をともなう犯罪のことをまとめて性犯罪といいます。
性犯罪を犯してしまった場合、迅速に弁護士に相談・依頼する必要があります。
弁護士に相談・依頼すれば、自首に同行してくれたり、取り調べでの受け答えをアドバイスしてくれたり、被害者との示談交渉をスムーズに進められたりします。
本記事では、性犯罪を犯してしまった加害者向けに、性犯罪事件の無料相談窓口を紹介します。
また、性犯罪事件について無料相談するときの注意点や弁護士ができること、性犯罪事件の解決を依頼する場合の弁護士費用などについても解説します。
【状況別】性犯罪事件の無料相談窓口・制度
ここでは、性犯罪事件の加害者向けに弁護士と無料で相談できる窓口・制度を紹介します。
- ベンナビ刑事事件
- 当番弁護士
- 国選弁護人
- 日弁連の刑事被疑者弁護援助制度
ベンナビ刑事事件|今すぐ弁護士に無料相談したい場合
性犯罪事件が得意な弁護士を探したい場合は、「ベンナビ刑事事件」を利用するのがおすすめです。
ベンナビ刑事事件は、刑事事件が得意な弁護士を探せるポータルサイトであり、性犯罪事件が得意な弁護士も多数掲載されています。
また、土日祝日・夜間相談可能、オンライン相談可能、初回相談無料などに対応した弁護士を見つけることが可能です。
各法律事務所の解決事例や対応方針、料金体系などを比較しながら依頼先を決められます。
当番弁護士|すでに逮捕されている場合
当番弁護士制度とは、刑事事件で逮捕された際に無料で弁護士に接見に来てもらえる制度のことです。
- 一度だけ無料で接見に来てもらえる
- 今後の流れや疑問について回答してもらえる
- 被疑者の家族でも要請を依頼することができる
被疑者やその家族から派遣要請を受けると、被疑者が身柄拘束されている場所に当番弁護士がすぐ駆けつけてくれて、取調べに向けたアドバイスを受けたり、家族への伝言を依頼できたりします。
被疑者本人が当番弁護士制度を利用したい場合は、警察官、検察官、裁判官に対して「当番弁護士を呼んでほしい」と伝えましょう。
ただし、注意点として弁護士を選択することはできないため、必ずしも性犯罪の弁護活動が得意な弁護士が選任されるとはかぎりません。
国選弁護人|すでに勾留されている場合
国選弁護人制度とは、刑事事件を起こして勾留され、経済的事情で弁護活動を依頼できない場合に国が弁護人を選任してくれる制度のことです。
国選弁護人制度には資力要件があり、資産が50万円未満であれば申告することで国選弁護人が派遣され、基本的に無料で弁護活動をおこなってくれます。
1度だけ接見に来てくれる当番弁護士とは異なり、国選弁護人に関しては原則として最後まで弁護活動をおこなってくれます。
ただし、当番弁護士と同様に弁護士を選択することはできないため、必ずしも性犯罪の弁護活動が得意な弁護士が選任されるとはかぎりません。
日弁連の刑事被疑者弁護援助制度|経済的事情で弁護士費用を払えない場合
日弁連とは「日本弁護士連合会」の略称で、全国の弁護士・弁護士法人が所属している組織のことです。
日弁連では、経済的に困窮している刑事事件の被疑者のために「刑事被疑者弁護援助制度」という制度を設けています。
刑事被疑者弁護援助制度とは、経済的事情で弁護活動を依頼できない場合、逮捕から勾留までの間の弁護士費用を日弁連が立て替えてくれるというものです。
刑事被疑者弁護援助制度では「弁護士を選択できる」という点で当番弁護士や国選弁護人とは異なりますが、原則として事件解決後は費用を返済する必要があるため注意が必要です。
性犯罪事件で無料相談を利用する際の注意点
ここでは、性犯罪事件について弁護士に無料相談するときの注意点について解説します。
- 事件の経緯や人物関係などを整理しておく
- 嘘をついたりせずに全ての事実を打ち明ける
- 相談だけでなく事件対応を依頼することも考える
事件の経緯や人物関係などを整理しておく
弁護士との無料相談では、時間制限が設けられています。
そこで効率よく相談するためにも、事件の経緯や人物関係などを事前に整理しておくのがおすすめです。
「いつどのような経緯で事件が発生したのか」「現在どのような状況になっているのか」などを時系列に沿ってわかりやすくまとめておきましょう。
嘘をついたりせずに全ての事実を打ち明ける
性犯罪について弁護士に相談するときは、嘘をつかないことが非常に重要です。
たとえば、被害者の同意がないのに「被害者から同意があった」と主張している場合、適切なサポートを受けることができなくなります。
弁護士側は被疑者を弁護するためにできる限り正確に事件の詳細を把握する必要があります。
弁護士からの適切なサポートを受けるためにも、弁護士には嘘をつかずに事件のことを正確に話すようにしましょう。
相談だけでなく事件対応を依頼することも考える
性犯罪事件では、弁護士によるサポートが欠かせません。
自分で対応するとなれば、法律に対する知識が乏しいため、うまく対応することが難しいでしょう。
事件対応も依頼すれば、今後どう罪と向き合っていけばいいのかが明確にできます。
弁護士に無料相談する場合、事件対応も依頼することを前提に利用するほうがよいでしょう。
なお、相談する際は以下のような点についても確認しておきましょう。
- 刑事事件(とくに性犯罪事件)の解決実績が豊富か
- 相談者の話を丁寧に聞いてくれて、わかりやすく説明してくれるか
- 依頼後すぐに示談交渉を始めてくれるなど、スピード感があるかどうか
- 弁護士費用の見積もりを出してくれて、料金の総額を教えてくれるか など
性犯罪事件で弁護士に無料相談・依頼するメリット
ここでは、性犯罪事件で弁護士に無料相談・依頼するメリットを確認しましょう。
- 刑事手続きの流れや今後の見通しをアドバイスしてくれる
- 自首する場合は警察署まで同行して上申書を提出してくれる
- 被害者との示談交渉を進めてくれる
- 早期釈放や減刑を求めて捜査機関に働きかけてくれる
- 冤罪事件の場合は無実を主張してくれる
刑事手続きの流れや今後の見通しをアドバイスしてくれる
性犯罪事件を起こして逮捕されてしまうと、身柄を拘束されて捜査機関から取調べを受けることになります。
取調べを受ける場合、取調べで作成された供述調書は刑事裁判で証拠として採用される可能性があります。
そのため、被疑者は必要に応じて黙秘権を行使する、間違いのある供述調書にはサインしないなどの適切な対応が必要です。
しかし、逮捕後から勾留決定までの約72時間は、弁護士以外は面会が一切できません。
逮捕されてしまった段階で速やかに弁護士に相談することで、今後の流れや取調べに関する具体的なアドバイスをもらうことができ、適切に刑事手続きに対応することができます。
自首する場合は警察署まで同行して上申書を提出してくれる
弁護士に依頼することで、上申書の作成や自首の同行をサポートしてもらえます。
上申書とは、警察に対して提出する、事件の詳細や反省文などを書いた文書のことです。
自首する際に上申書を提出することで、逃亡や証拠隠滅の意思がないことを伝えられます。
また、自首当日には弁護士が同行し、捜査機関に対して示談交渉をおこなうことなどを説明してくれます。
その結果、逮捕の可能性を下げることができるのです。
もし「逮捕する必要がない」と判断された場合は、身元引受人に迎えに来てもらって帰宅することになります。
通常、身元引受人は家族や会社の上司となりますが、弁護士とともに自首した場合はその弁護士が身元引受人となってくれることが多く、家族や上司に「性犯罪に及んだ」ということを知られずに済む可能性があります。
被害者との示談交渉を進めてくれる
性犯罪事件では、被害者に対して十分謝罪し、慰謝料・賠償金を支払い、示談を成立させることが重要です。
示談が成立した場合、逮捕前の段階であれば被害届や告訴を取り下げてもらえたり、逮捕後であれば捜査機関に被害者の被害感情や処罰感情が和らいでいると判断されて不起訴処分を獲得できたりする可能性があります。
しかし、多くの被害者は加害者と直接やり取りすることを嫌がるため、被害者との示談交渉は弁護士に依頼する必要があります。
弁護士であれば、被害者の承諾を得たうえで捜査機関から被害者の連絡先を手に入れることができ、被害者側も冷静に話し合いに応じる可能性が高いです。
被疑者の今後にもかかわるため、弁護士に依頼して示談交渉をできる限りスムーズに進めてもらいましょう。
早期釈放や減刑を求めて捜査機関に働きかけてくれる
性犯罪に及んだ場合、逮捕や勾留で長期間の身柄拘束をされたり、起訴されると有罪判決になったりする可能性が高いです。
しかし、弁護士に依頼した場合は、以下のような早期釈放や減刑獲得のための弁護活動をしてくれます。
- 釈放や不起訴を求める手続き
- 無罪を主張するための証拠収集
- 実名報道を避けるための要望書作成 など
できる限り早い段階で弁護士に依頼し、適切なサポートを受けられるようにしましょう。
冤罪事件の場合は無実を主張してくれる
性犯罪事件の場合、「まったく身に覚えのない罪で逮捕された」「合意のうえで性行為に及んだにもかかわらず訴えられた」などのケースもあります。
このようなケースでは、取調べで不利な供述調書を作られないように注意が必要ですし、起訴されると高い確率で有罪判決となるため起訴前に的確な弁護活動を受けることが重要になります。
弁護士に依頼して証拠不十分であることを訴えかけてもらい、被害者との示談交渉なども進めてもらうことで、不起訴処分となって前科も付かずに済む可能性が高まります。
性犯罪事件の解決を依頼する場合の弁護士費用
性犯罪事件の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
相談料 | 30分あたり5,000円程度 ※無料相談可能な事務所もある |
着手金 | 20万~50万円程度 |
接見費用 | 1回あたり2万円~5万円程度 |
日当 | 1時間あたり1万円程度 |
実費 | 事件内容によって異なる |
ただし、弁護士事務所や事件の内容によっても料金体系は異なります。
相談の際には必ず見積書を作成してもらい、弁護士費用の詳しい内訳を確認しておきましょう。
性犯罪事件を起こしてしまった場合によくある質問
ここでは、性犯罪事件に関するよくある質問・疑問について解説します。
Q.弁護士を紹介してもらうにはどうしたらいい?
「まずは弁護士を紹介してほしい」という方は、弁護士会の弁護士紹介制度を利用するのがおすすめです。
たとえば、東京弁護士会の場合は、メールやファックスで弁護士紹介の申し込みができ、3〜5営業日程度で刑事事件を担当できる弁護士を紹介してくれます。
なお、各弁護士会によって紹介制度の有無、相談方式、受付時間などが異なるため、事前に「全国の弁護士会・弁護士会連合会」で弁護士会の情報を確認しておくとよいでしょう。
Q.国選弁護人と私選弁護人はどちらのほうがいい?
国選弁護人と私選弁護人の主な違いは、選任できるタイミング・弁護活動の内容・弁護士の選択の可否・弁護士費用などです。
原則として国選弁護人と私選弁護人で受けられるサポートに違いはありませんが、サポートが受けられるタイミングが異なるという点には注意が必要です。
当番弁護士 | 国選弁護人 | 私選弁護人 | |
---|---|---|---|
選任できるタイミング | 逮捕後 | 勾留後 | いつでも可能 |
接見回数・弁護活動 | 接見1回のみ | 勾留後・起訴後の弁護活動全般 | 逮捕前~起訴後の弁護活動全般 |
弁護士の選択 | 不可 | 不可 | 可能 |
さいごに|性犯罪を犯してしまったら弁護士に相談
性犯罪を犯してしまった場合は、できる限り早い段階で弁護士に相談・依頼することが重要です。
逮捕前であれば刑事事件化を阻止できる可能性があり、逮捕後であれば早期の身柄解放や不起訴処分・執行猶予付き判決の獲得などにつながる可能性があります。
また、実名報道を避けるためのサポートなどもしてくれるでしょう。
刑事事件が得意な弁護士を探しているなら、「ベンナビ刑事事件」の利用をおすすめします。
性犯罪事件では迅速な対応が必要になりますが、ベンナビ刑事事件を利用すれば土日・祝日や夜間などにも対応している弁護士を見つけられます。

