遺産分割
孫に財産分与をしたい!遺産を孫に譲る6つの方法とそれぞれのポイントを解説
2024.09.12
相続手続きをされている方のなかには、遺産分割に関わる手続きの期限について不安に思う方もいるのではないでしょうか。
遺産分割に関わる手続きには期限が定められています。
期限を超過してしまうと、相続に関する重要な手続きができなくなってしまい、トラブルに発展してしまうこともあるでしょう。
そのため、遺産分割協議をおこなう際は、各手続きの期限について把握しておくことが重要です。
本記事では、遺産分割に関わる手続きの期限や、手続きを正しく進める方法について解説します。
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遺産分割協議自体には、とくに期限は定められておりません。
ただし、遺産分割に関する各手続きには、それぞれ期限が定められています。
それぞれの手続きの期限を詳しく解説します。
相続放棄は、相続開始を知ったときから3ヵ月を経過するまでにおこなう必要があります。
相続放棄とは、相続権を放棄することです。
たとえば、被相続人の相続財産がプラスの財産よりも、借金などのマイナスな財産が多い場合は、相続権を放棄したほうが経済的負担を減らせるでしょう。
そのため、相続をする際は財産調査で被相続人の財産を明確にして、まずは相続を承認するのか放棄をするのかを十分に検討する必要があります。
期限を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなるため、被相続人の相続財産に借金があった場合でも相続されてしまうので注意しましょう。
ただし、やむを得ない理由から熟慮期間内に相続放棄の判断ができない場合にかぎって、相続放棄の期間を延長できます。
たとえば、被相続人の財産調査に時間がかかっている場合や、相続人が所在不明で連絡を取るのに時間が必要な場合などは、期間の延長が認められる可能性があります。
延長される期間は裁判所の判断によって異なりますが、通常は1ヵ月~3ヵ月程度でしょう。
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得に対する確定申告を、代わりに相続人が申告をするものです。
準確定申告をすべきかどうかを確かめるには、被相続人に確定申告の義務があるかを確認しましょう。
具体的には、被相続人が以下にケースにあてはまっていれば確定申告が必要になります。
場合によっては、準確定申告をおこなうことで還付金を得られる可能性があります。
ただし、申告期限に遅れてしまうと追徴税が課される可能性があるため注意しましょう。
相続税の申告・納付期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、法定相続分で計算した暫定的な相続税を支払う必要があります。
その場合は相続税の金額を抑えられる特例控除を利用できなくなるでしょう。
「3年以内の分割見込書」を提出すれば、のちに協議がまとまった際に特例控除の還付を受けることは可能ですが、請求に手間がかかったり申告時の相続税額の増加したりなどのデメリットがあります。
そのため、できるだけ10ヵ月の期限内に遺産分割協議を完了し、確定した相続税を申告・納付できるとよいでしょう。
遺留分を請求できる権利は「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったとき」から1年です。
遺留分侵害額請求とは、遺産分割協議や遺言により本来受け取るべき遺留分を受け取れなかった相続人が、その侵害分を取り戻すための手段になります。
しかし、遺留分侵害額請求の時効は1年です。
つまり、遺留分が侵害された事実を知った日から1年以内に請求しなければ、時効によりその権利を行使することができなくなります。
自身の相続分を確保するために遺留分を侵害されていかないかを早めに確認して、遺留分が侵害されたと知った際はすぐに適切な法的アドバイスを求めることが重要です。
相続財産の預金は5年、株式の権利は10年で権利が消滅してしまう可能性があります。
預金、株式の権利の時効については、民法で以下のように定められています。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。引用元:民法|e-Gov法令検索
債権に時効が発生してしまうと、遺産を相続できなくなる場合があります。
そのため、債権の消滅時効が成立してしまう前に遺産分割協議をまとめるようにしましょう。
特別受益と寄与分は相続開始の時から10年以内に主張する必要があります。
特別受益とは被相続人からの生前贈与や遺贈によって受けた利益のことです。
もし相続人の中に特別受益を受けた方がいる場合は、相続財産の額と合算して相続分を決めます。
寄与分とは被相続人の財産維持や増加に貢献した場合、ほかの相続人よりも相続財産を相続できる制度です。
特別受益と寄与分の請求できる期限について、民法では以下のように定めています。
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、……
第九百四条 前条に規定する贈与の価額は、……
(寄与分)
第九百四条の二 共同相続人中に、……
(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。引用元:民法|e-Gov法令検索
特別受益と寄与分は相続開始から10年を経過すると請求できなくなります。
ただし、10年以内に遺産分割協議がまとまらない場合でも、期限内に相続人が家庭裁判所に遺産分割協議の請求をすることで特別受益や寄与分の主張が可能です。
また、期限満了6ヵ月の間に遺産分割できないやむを得ない事由があった場合、この事由が消滅したときから6ヵ月以内に家庭裁判所へ遺産分割調停や審判を請求した場合にも、特別受益や寄与分の主張ができます。
遺産分割を正しく進める方法としては以下のようなものがあります。
それぞれの方法を詳しく解説します。
まずは、法定相続人と相続分を正確に把握しましょう。
これは相続財産を公正に分配するために必要な手続きです。
法定相続人は民法により定められており通常は配偶者や子ども、親などの血縁者が該当します。
相続分も法律で定められた割合により算出されるため、まずは「誰がどの程度の割合を相続するのか」を把握しておきましょう。
次に、相続財産を把握するために財産調査をおこないます。
財産には現金、預金、不動産、株式、貴重品などさまざまな種類があります。
また、プラスの財産のみでなく借金のようなマイナス資産が存在する場合もあるでしょう。
相続財産によって遺産分割協議の方向性は大きく異なります。
相続人が継承する全ての財産を詳細にリストアップして、あとからトラブルが起きないようにしましょう。
相続財産が確定したら、法定相続人で遺産分割協議をおこないます。
基本的には、法定相続分を基準にして決めるのが一般的です。
ただし、相続人が合意すれば法定相続分と異なる割合で相続しても問題ありません。
遺産分割協議は、公平かつ公正におこなう必要があります。
ときには協議に時間を要しますが、それぞれの相続人の希望やニーズを尊重しながら進めていくことが重要です。
万が一、協議が難航して合意ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることもひとつの手段です。
遺産分割調停では、中立的な立場である調停委員が公平な解決を図ります。
親族同士では冷静な話し合いができないこともあるため、相続に関しての専門家を入れて話し合いをすることで解決につながるでしょう。
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遺産分割を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
それぞれのメリットを詳しく解説します。
相続人との交渉を弁護士に任せられます。
相続問題は相続人同士が感情的になりやすいため、なかなか話し合いが解決に向かわないことも多いでしょう。
中立的な立場から交渉を進められる弁護士がいれば、冷静な判断で話し合いができます。
また、専門知識を持つ弁護士は適切な提案や解決策を示してくれるため、遺産分割がスムーズかつ円滑におこなえるでしょう。
弁護士に依頼すれば、相続人調査や相続財産調査を一任できます。
専門的な知識や経験が必要になる調査なので、不慣れな人がおこなうと時間と労力が多くかかってしまうでしょう。
弁護士は、適切な法的手段を用いて相続人の特定や遺産の評価をおこないます。
各相続人の負担も軽減されますし、遺産調査が正確におこなえれば公正かつ公平な遺産分割にもつながるでしょう。
遺産分割協議が完了したら、あとからトラブルにならないように遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書の作成には法的知識が必要です。
遺産分割協議書には相続財産の内容や価値、各相続人が受け取る財産の詳細、相続人全員の署名や押印などが必要になります。
もし協議書に不備があれば、法務局や金融機関でも受け付けてもらえないため、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しができないでしょう。
法律や相続の専門家である弁護士が作成することで不備が発生する心配はありません。
トラブル回避やスムーズな相続手続きのために、遺産分割協議書の作成は弁護士に依頼するとよいでしょう。
自身に合った相続の方法をアドバイスしてもらえます。
たとえば、相続には法定相続、遺産分割協議による相続、遺言による相続などさまざまな方法やシチュエーションがあります。
遺産の種類や価値、相続人の状況によっても相続の方法は異なるでしょう。
弁護士に相談すると経済的、税制的なメリットなどをふまえながら、最適な相続方法を提案してくれるでしょう。
万が一、ほかの相続人によって遺産が不適切に使い込まれてしまった場合は、弁護士に依頼することで取り戻せる可能性があります。
弁護士は、被相続人の預貯金取引履歴を取得して状況を調査します。
不適切な使い込みが発覚した場合は、返還請求をして使い込んだ金額を取り返す手続きをおこないます。
もし、相手が返還に応じない場合には訴訟手続きも可能です。
弁護士に依頼することで、相続人同士では解決しづらいトラブルも相談できるでしょう。
遺産分割を弁護士に依頼する際にかかる費用は以下のとおりです。
それぞれの費用について詳しく解説します。
相談料の相場は30分5,500円程度です。
相談料とは、弁護士に遺産分割について相談する際にかかる費用です。
初回の相談料は無料という法律事務所もあります。
着手金の相場は20〜30万円程度です。
着手金とは、弁護士が遺産分割に関わる具体的な業務をおこなう際にかかる費用です。
着手する業務の内容や遺産の大きさなどによって金額が異なることもあります。
報酬金は解決後に得られた利益によって決定します。
報酬金は遺産分割問題が解決したときに支払う費用です。
報酬金の金額は、弁護士に依頼したことで得られた経済的利益に応じて算出されます。
たとえば、経済的利益が300万円だったら、経済的利益の16%である48万円を報酬金として支払うケースがあるでしょう。
報酬金の算出方法は法律事務所ごとで異なるため、依頼前によく確認しておきましょう。
実費の相場は1〜2万円程度です。
実費は弁護士が依頼を遂行するうえで発生する具体的な費用です。
たとえば交通費、郵送費、印紙代などが含まれます。
調停を申し立てた場合は裁判所までの交通費や印紙代がかさむので、費用が高くなる傾向があるでしょう。
日当の相場は1日当たり5万円程度です。
日当とは弁護士が出張する場合に支払う費用です。
たとえば、遠隔地にある不動産の確認やほかの相続人との面談をする際に必要になります。
日当は出張しなければ発生しないので、0円になるケースもあるでしょう。
遺産分割問題をスムーズに解決したいなら、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士は法律や相続のプロフェッショナルであるため、遺産分割について適切なアドバイスを提供してくれます。
また、遺産分割に関わる各手続きには期限があるため、正確かつスピーディーにおこなう必要があるでしょう。
弁護士に依頼することで相続人調査・相続財産調査、遺産分割協議書の作成など複雑な手続きを代行してくれます。
また、ほかの相続人との交渉も一任できるため、公正かつ公平で確実な遺産分割を実現できるでしょう。
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