相続放棄はどこまでする?相続人の順位や相続放棄するとどうなるかを解説

相続放棄はどこまでする?相続人の順位や相続放棄するとどうなるかを解説

被相続人が借金や未払金のような負債を残している場合、相続を承認した相続人はその負債も受け取らなければなりません。

したがって、負債額が上回るような場合は「相続しない」という判断のほうが適しているケースもあります。

このようなときに必要になる手続きが、相続放棄です。

相続放棄をすると相続順位が低い相続人に相続権が移り、それがトラブルに繋がってしまう可能性があるため注意が必要です。

本記事では、相続放棄を検討している方に向けて、相続放棄の影響が及ぶ範囲、法定相続人と相続順位の基本、相続放棄をおこなう人、相続放棄をする際の注意点、弁護士に相談・依頼するメリットを紹介します。

この記事を読んで、相続放棄はどこまで影響するのか、相続放棄をどこまですればいいのかなどの疑問を解消しましょう。

【注目】相続放棄をどこまですべきかわからずお悩みの方へ

相続放棄を検討していても、「相続放棄はどこまですべき?」と悩んでいませんか。

結論からいうと相続放棄の範囲は被相続人の甥・姪までです。

しかし、思わぬ相続人が出てきたことによる相続放棄漏れや、相続放棄で返って損をすることも考えられるため、一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続放棄の正しい範囲を教えてもらえる
  • 相続放棄すべきかどうかを判断してもらえる
  • 相続放棄後の財産管理やトラブル防止のアドバイスをもらえる
  • 相続放棄の申述書の作成や、必要書類の収集をしてもらえる

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この記事を監修した弁護士
黒井 新弁護士(井澤・黒井・阿部法律事務所 東京オフィス)
15年以上の実績のなかで多くの相続問題に取り組み、その実績を活かし、相続分野における著書執筆や不動産の講演・セミナーへ登壇するなど、活動の幅は多岐にわたる。

相続放棄後の影響はどこまで及ぶのか?

相続放棄の影響は最大で「被相続人の甥・姪」まで及びます。

そもそも相続放棄とは、相続人が被相続人の遺産を相続する権利を放棄する行為を指します。

民法第939条には「相続放棄をした相続人は、初めから相続人とならなかったものとみなす」と規定されており、その相続権は相続順位が低い相続人が得ることになります。

民法上、相続順位が最も低いのは兄弟姉妹であり、その兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子ども(甥・姪)まで代襲できます。

ただし、同順位の別の相続人の相続分が増えることもあります。

法定相続人の範囲と相続順位の基本

「相続放棄の影響がどこまで及ぶのか」を理解するには、法定相続人の範囲や相続順位を正しく理解しておく必要があります。

ここでは、法定相続人の範囲と相続順位の基本について確認しておきましょう。

【関連記事】法定相続人とは?範囲や相続の順位・割合(法定相続分)をわかりやすく図解

配偶者は相続順位に関わらず、必ず相続人になる

民法890条の規定により、被相続人の配偶者(夫・妻)は必ず法定相続人になると決められています。

なお、配偶者が相続権を放棄したとしても、姻族にあたる配偶者の親・兄弟などが相続権を受け取ることはありません。

(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

血縁者への相続は「相続順位」によって決まる

配偶者以外で法定相続人になれる可能性があるのは、被相続人の子ども、直系尊属、兄弟姉妹となっています。

相続順位は、民法によって明確に決められているため、以下で相続順位に関するルールを詳しく確認しましょう。

第1順位:被相続人の子

被相続人に子どもがいる場合は、その子どもは法定相続人になります。

また、子どもが亡くなっている場合、その子どもの子ども(被相続人からみた孫)がいれば、被相続人の孫が法定相続人になると決められています。

ただし、相続放棄をした場合は、最初から相続人ではなかったとみなされるため、孫やひ孫などには相続権は移りません。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

第2順位:被相続人の直系尊属

被相続人に子ども(直系卑属)がいない場合や、子どもたち全員が相続放棄をした場合などでは、被相続人の直系尊属である両親が法定相続人になります。

直系尊属の場合、両親が亡くなっていると祖父母が法定相続人になると決まっています。

なお、直系卑属のときと異なり、両親が相続放棄をしたとしても祖父母などの相続権は失われません。

第3順位:被相続人の兄弟姉妹

被相続人の直系卑属や直系尊属が存在しない場合や、第1順位と第2順位の全ての法定相続人が相続放棄している場合などでは、第3順位である被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になります。

また、兄弟姉妹が亡くなっており、子ども(被相続人から見た甥・姪)がいる場合は、被相続人の甥や姪が相続人になります。

なお、兄弟姉妹が相続放棄をした場合は、代襲相続されないため、相続権が甥・姪に移ることはありません。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
引用元:民法 | e-Gov法令検索

相続放棄をする場合はどこまで対応すればいいのか?

相続放棄をする場合は、基本的には自分の分の手続きだけをおこなえば問題ありません。

しかし、同順位の相続人が相続放棄をする場合は、まとめて手続きをすることができます。ここでは、相続放棄をする場合の手続き内容を解説します。

基本的には自分の分の手続きだけ対応すればよい

相続放棄をする場合は、基本的には自分の分の手続きだけをおこなえば問題ありません。

相続放棄は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申し立てをすることでおこなえます。

申し立てをすると約10日後に「相続放棄に関する照会書」が届きます。

その書類を返送し、裁判所に受理されると、正式に相続放棄をしたものと認められます。

自分が相続放棄をしたら次の相続人に連絡しよう

相続放棄の手続き後、ほかの相続人にその旨を伝える義務はありません。

しかし、相続放棄をすると次の順位の相続人が借金の取り立てなどをされてしまう可能性があり、その相続人がトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます。

家庭裁判所に相続放棄を受理された際には、できる限りほかの相続人に相続放棄した旨を伝えましょう。

未成年の相続放棄は法定代理人がおこなう

相続人に未成年の子どもが含まれる場合は、法定代理人である親権者(父・母)が相続放棄の手続きをおこなう必要があります。

未成年者の相続放棄は、親権者(配偶者)と同じタイミングでもできますし、親権者が相続放棄を終えてからでもできます。

なお、未成年の子どもが複数いる場合は、全員の手続きを同時におこなわなければなりません。

同順位の相続人の相続放棄はまとめて手続きできる

子ども同士、両親同士、兄弟姉妹同士など、同順位の法定相続人が相続放棄をする場合は、一緒に手続きをすることが可能です。

別々に手続きする場合は添付書類をそれぞれ用意する必要がありますが、一緒に手続きをする場合は戸籍謄本などの共通書類1通だけで済ませられます。

なお、申述書などはそれぞれ用意する必要があります。

相続放棄をする際の注意点

相続放棄をする場合、期限内に手続きをしなければならなかったり、特別代理人を選任しなければならなかったりするなど、いくつか注意点があります。

ここでは、相続放棄をする際の注意点を確認しましょう。

相続の開始を知ったときから3ヵ月以内におこなう

相続放棄には期限が設けられており、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内」に手続きをしなければなりません。

ただし、どうしても3ヵ月以内に相続放棄ができない場合は、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることで、相続放棄の期限を3ヵ月延ばすことができます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

【関連記事】相続放棄の期限は3ヵ月!期間を延長する方法や期限を過ぎてしまったときの対処を解説

親権者と子どもの利益が対立する場合は特別代理人を選任する

相続人に未成年の子どもが含まれる場合は、原則として親権者が相続放棄の手続きをおこないます。

しかし、「親権者が相続放棄をせずに、子どもだけ相続放棄させる場合」や「複数いる子どものうち、一部の子どもだけ相続放棄させる場合」には利益相反行為にあたるため、特別代理人を選任しなければなりません。

特別代理人の選任が必要になる場合は、家庭裁判所に対して「特別代理人選任」の申し立てをおこなうようにしましょう。

(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

相続放棄後も一定期間は財産の管理が必要になる

家庭裁判所から相続放棄が認められた場合でも、直ちに財産の管理義務が免除されるわけではありません。

民法第940には「次の相続人が相続財産の管理を始めることができるまで、その財産の管理を継続しなければならない」といった旨が規定されています。

そのため、相続財産に空き家や森林などが含まれる場合には注意が必要になります。

(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

 

相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリット

相続放棄は相続人自身がおこなうこともできますが、弁護士に手続きを依頼することもできます。

相続放棄を弁護士に相談・依頼するメリットには、相続放棄に必要な書類を用意してもらえる、相続放棄後の相続財産の管理についてアドバイスがもらえるなどがあります。

ここでは、相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリットを解説します。

相続放棄の手続きに必要な書類を集めてもらえる

相続放棄をするには、相続放棄の申述書、申述人の戸籍謄本、被相続人の住民票除票または戸籍附票などさまざまな資料が必要です。

これらの資料を集めるのは非常に手間がかかり、相続放棄の期限である3ヵ月以内に用意するのは難しいケースもあります。

弁護士に相談・依頼すれば、これらの資料を集めてもらうことも可能です。

相続放棄後の遺産の管理義務について相談・確認できる

相続放棄後にも一定期間は相続財産の管理義務を負うことになりますが、「誰が責任を負うのか」「いつまで続くのか」「管理義務は誰に対して負うのか」など、相続財産の管理義務の判断は非常に複雑となっています。

弁護士に相談することで、相続財産の管理義務をどうしたらいいのかについてアドバイスをもらえるでしょう。

複数の相続人で依頼すると費用が抑えられる可能性がある

相続放棄を複数の法定相続人で同時におこなう場合、同じ弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

同じ専門家に依頼した場合、申述書の作成費用などが安くなる可能性があるからです。

相続放棄にかかる弁護士費用を少しでも抑えたいなら、ほかの法定相続人と一緒に依頼するとよいでしょう。

相続放棄が得意な弁護士を探すなら「ベンナビ相続」がおすすめ

相続放棄や相続問題で弁護士を探しているなら、「ベンナビ相続」を利用することをおすすめします。

ベンナビ相続では、近くの弁護士事務所の中から「相続放棄が得意な弁護士」を探すことができます。

「来所不要」「電話相談可能」「初回の面談相談無料」など、それぞれの事務所の特徴も比較しやすいです。

ベンナビ相続でニーズに合う弁護士事務所を探して、まずは相続放棄について相談してみるとよいでしょう。

まとめ|相続放棄で困ったら弁護士に相談を

先順位の法定相続人が相続放棄をすると、相続権は第2順位、第3順位の法定相続人に移っていきます。

第3順位の兄弟姉妹が健在している場合は、彼らが相続放棄をすればそこで終わりますが、兄弟姉妹が亡くなっており、子ども(被相続人から見た甥・姪)がいる場合は、その子どもたちが相続放棄をしなければなりません。

このように相続放棄の手続きは複雑ですので、もし、相続放棄で困り事や悩み事があるなら相続問題が得意な弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談・依頼するときのポイントは、まず、相続問題を得意としている弁護士事務所を見つけることです。

「ベンナビ相続」を使って、近くの相続トラブルが得意な弁護士を探してみましょう。

【注目】相続放棄をどこまですべきかわからずお悩みの方へ

相続放棄を検討していても、「相続放棄はどこまですべき?」と悩んでいませんか。

結論からいうと相続放棄の範囲は被相続人の甥・姪までです。

しかし、思わぬ相続人が出てきたことによる相続放棄漏れや、相続放棄で返って損をすることも考えられるため、一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続放棄の正しい範囲を教えてもらえる
  • 相続放棄すべきかどうかを判断してもらえる
  • 相続放棄後の財産管理やトラブル防止のアドバイスをもらえる
  • 相続放棄の申述書の作成や、必要書類の収集をしてもらえる

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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