INTERVIEW
インタビュー
管掌役員と副統括責任者に人材紹介事業の立ち上げから現在、今後についてインタビュー

PROFILE
柚木 瑛里那/河原 雄太
HR事業部
2020年、現在の人材紹介事業の前身となる株式会社trientを子会社として立ち上げ、5年という節目で黒字化を達成しました。これまでさまざまな課題にぶつかりながらも、売り上げ・組織ともに成長し、アシロのHR事業部は新たなステージに入ろうとしています。
今後、アシロのHR事業部はどのように成長を目指していくのでしょうか。
事業の立ち上げから携わり、現在副統括責任者を務める柚木さんに立ち上げから現在までのお話を、そして管掌役員の河原さんに今後のビジョンについて伺いました。
まずは、事業の立ち上げから現在までを牽引してきた副統括責任者の柚木さんが、これまでの軌跡を語ります。
■アシロの人材紹介事業のこれまでの物語と現在
Q,自己紹介をお願いします
HR事業部 副統括責任者の柚木 瑛里那と申します。
前職ではキャラクターストアで販売職をしていましたが、未経験ながらポテンシャル採用として2017年に営業職としてアシロへ入社しました。
入社してからはリーガルメディア事業部の営業担当として、弁護士や法律事務所のお客様に対してベンナビの広告掲載を提案しておりました。
2019年に、現在の人材紹介事業の前身となる株式会社trientの立ち上げに携わり、2021年アシロへの吸収合併を経て、現在に至ります。
Q,人材紹介事業立ち上げの背景や立ち上げ当時の状況教えてください
一番最初のきっかけは、ベンナビへの広告掲載を提案する中で、お客様から「拡大・成長のためにも広告を載せたいが弁護士の人手が足りない」というお声をいただいたことからでした。
広告の出稿意欲が高かったり、ベンナビを上手に活用してくださっているお客様に多い傾向であり、アシロ内でも「お客様、ユーザー、そしてアシロ自身の三方にとって機会損失ではないか」という課題が共有されていました。
そんな中、現在メディア事業本部で上級執行役員を務めている横尾さんが発起人となり、弁護士の人材紹介事業を立ち上げようという話になりました。営業担当として私と牧さん、マーケティング担当として岡さんに声をかけて招集し、動き出すに至ります。
課題も見えない手探りの立ち上げ
前述の通り、人材紹介事業は当初trientという子会社での立ち上げになりました。
しかしながら、人材紹介事業を経験したメンバーがいないので、当時は「何が課題なのかさえ分からない」という手探りの状況。
集客方法や営業手法、契約書や人材採用における企業の流れなども不透明な状態で、まずは異業種交流会などに参加し、人材紹介をしている会社へ3ヶ月間出向させていただきノウハウや必要な基礎知識を学びました。
毎日のように横尾さんや牧さんと話し合いながら壁打ちをして、少しずつ人材紹介におけるナレッジを蓄積しました。
事業始動とコロナ禍の直撃
人材紹介事業の立ち上げに動き出したのは2019年末ごろで、事業として会社を設立し稼働し始めたのは2020年4月のことでした。とにかく前進したいという気持ちの一方で、まさにコロナ禍の真っ最中、社会全体がパンデミックに対して手探りで、静観せざるを得ない状態です。
私自身も当初はリモートワークで情報収集をしていたのですが、これでは埒が明かないと思い、出社して求人確保のためテレアポで見込み顧客へ営業をかけました。
しかしながら「人は募集しています。どんな人がいるんですか?」と聞かれても、求職者の登録者数が少ないという状況です。
また求職者から「インハウスの弁護士に興味がある」とリクエストをいただきましたが、これまで法律事務所ばかりを顧客として想定していたため、新たな顧客の開拓も必須でした。
企業法務に関して猛勉強し、成果が出るかも不透明な中でメルアポやテレアポを続け、1年ほど失敗と学習をくり返しながら、後述する転換点「はじめての売り上げ」に至ります。
▲2020年 柚木さん撮影 立ち上げ当初のシェアオフィスでの写真
Q,アシロの人材紹介事業の歴史における転換点を教えてください
「はじめての売り上げ」と「採用の拡大」の2つがあります。
前述の通り、当初ノウハウがなかった私達は、人材紹介事業における売り上げの成立方法やスキームを理解できていませんでした。ベンナビの営業では、受注したその月に売り上げが発生しますが、人材紹介においては内定のタイミングではなく入社のタイミングで売り上げが発生します。
はじめてそれを実体験として理解したときには、事業部全体で「こうやって売り上げになるのか!」と腑に落ちた感覚がありました。
それらのスキームを理解していなかったため、実は目標設定や管理の方法もわからず、定期的に売り上げが発生するまで何度も失敗と学びをくり返したと思います。
そうした状況が3年ほど続き、はじめて人材紹介事業で私たちの仲間となる人材の採用を開始します。
現在マネージャーとして活躍してくれている福留さんが入社したタイミングが印象的でした。今では20名ほどの組織となったHR事業部ですが、これから事業として成長していく土壌ができてから、はじめて芽が出たタイミングだと記憶しています。
Q,アシロの人材紹介事業の強みや特徴があれば教えてください
人材紹介業界によくある葛藤として、転職者の年収を優先するか、それ以外のやり甲斐やワークライフバランスを優先するかといった議論があります。アシロでは各所で「求職者様はどっちを望んでいるのか」が議論されている点が、特徴であり強みです。
前提知識として、人材紹介は採用に至った求職者の想定年収によって売り上げが決まります。年収600万円の採用が決まったとして、例えば35%が報酬と設定されていれば、売り上げは210万円です。つまり、年収が高いほど、私たちの売り上げも高くなります。
「求職者のニーズ優先」というのは一見して当たり前のことではありますが、実態として人材紹介を営む企業の中には、求職者のニーズよりも売り上げを優先して推薦するケースが少なくありません。
そんな業界において、アシロでは常に「求職者がなにを望んでいるか」が議論されており、立ち上げに携わっていないメンバーでも、同じ理念を持って顧客に向き合っています。
文化として根付く「顧客への最善」
アシロが大切にしている価値観として、目の前にいる人のために最善を尽くす、というものがあります。これは私たちのような人材紹介事業をしている者にとって、例外なく必須です。
最善を尽くすことによって、御本人も想像だにしていなかったキャリアが開かれることがあります。キャリアアドバイザーの勝手な判断で諦めることは、目の前にいる求職者のキャリアを閉ざしてしまうことにつながりかねません。
私が過去に担当させていただいた求職者の中に、中国の弁護士資格を有している方がいました。当時、中国の法務に関する求人が出ていませんでしたが、国際法務に注力している法律事務所に心当たりがあったため、決して多い事例ではありませんが、個別に提案したところ採用に至りました。
こうした事例はさほど珍しいことではありませんし、こういったケースを積み重ねることで、アシロの人材紹介事業としての手札が増えることにもつながります。
また上記のケースでは、紹介した法律事務所様から採用の構想段階で相談いただくことも増え、柔軟な発想やお客様に尽力してきたことが、その後の案件にもつながる結果となりました。
Q,現在アシロのHR事業部はどのようなステージにありますか?
第三フェーズだと考えています。第一フェーズは立ち上げのタイミングで、第二フェーズが人員を増加して売り上げが出始めたものの赤字が続いていた状態でした。
現在を第三フェーズと表現したのは、今期から事業が黒字化し、これから全員の目線をひとつあげて、利益の拡大を目指すことができるようになったためです。
第三と表現しつつも、実態としてはやっと人材紹介事業者としてのスタートラインに立つことができただけだと思っています。売り上げをどこまで伸ばせるかも重要ですが、同じくらい立ち上げた当時の理念や、前述のアシロの強みを維持し続けられるかが重要です。
Q,現在のメンバーへ期待することを教えてください
圧倒的にやりきってもらうことを期待しています。お客様や求職者様だけではなく周りのメンバーからも「100%以上の成果を出し切っている」と評価されるような人材であってほしいです。
そして立ち上げ以来、私たちが大事にしてきた顧客至上主義であったり、理念といったものを次世代にも受け継げるような、組織のキーマンとなる人材になってもらいたいと思います。
組織が拡大するにつれて特に実感するのですが、前職のキャラクターストアは世界中に何十万人という規模で従業員がいる組織でありながら、全員が同じマインドで働けているからこそ、それほどの規模になったのではないかと思っています。
特にマネジメントレイヤーは、ともすると綺麗事のようにも聞こえる理念を心酔し、自分の中で言語化して落とし込めているからこそ、メンバーの方向性が多少逸れてしまっても一緒に軌道修正をして、結果につなげているのだと感じます。
アシロが創業時から大切にしているマインドを徹底的に落とし込み、どれだけ成長しても常にアシロらしいサービスを提供できるようにしたいです。
Q,現在活躍している人材の特徴を教えてください
これまで抽象的なお話が多かったので、具体的に回答すると「毎日自分がやるべきことをやりきる人」ではないでしょうか。
たとえば依頼された仕事やタスクをきちんと期日までに返せたり、自分の業務に関わる人の目線や導線を考えて気を配れたりする人は、高いパフォーマンスを発揮しています。
更に活躍している人材は、お客様や求職者様、同僚がどんなアウトプットをしてくるかまで予測して、関わる方が満足していただけるような形で成果物を納品するなど、細部まで気配りのできる方が活躍している印象です。
とても基礎的なことかもしれませんが、これを常に続けることは簡単なことではありません。
そうした意識が徹底している人は、仕事を任せやすいですし、任せる仕事が増え、期待に応え続けることで周囲からの信頼もどんどん厚くなります。
簡単なことではありませんが、プロとしては当たり前のことでもあるので、こうした基本的なことも抜かりなく徹底されているプロ集団を形成したいです。
…
■アシロの人材紹介事業の現在とこれからの物語
Q,自己紹介をお願いします
HR事業部の管掌役員をしている河原 雄太です。
アシロが創業して間もない2011年7月にアシロへ入社。リーガルメディアの立ち上げから携わり、営業組織の成長・拡大などに注力しました。
HR事業部の前身となった株式会社trientをアシロが吸収合併した後、2022年1月に執行役員を拝命し、2023年12月よりHR事業部の管掌役員として現在に至ります。
Q,現在アシロのHR事業部はどのようなステージにありますか?
HR事業部は、2025年10月期の第2四半期で黒字化を達成しました。事業がようやく黒字化したということで、やっとスタートラインに立つことができた段階であると認識しています。
赤字続きだったHR事業部を立て直すべく、私がHR事業部の管掌役員としてジョインしたのですが、私がジョインした当初、人員規模は現在と変わらないながらも売り上げは低調に推移していました。各々の裁量で業務に向き合っていることや、広告に対するコストの投じ方やマネジメント、コミットメントに課題があると感じ、徹底的なマインドセットとコストの見直しを図りました。
まずは徹底的にPL(※)を分析しながら、メンバーが持つKPI(※)の妥当性、広告のROAS(※)、人材配置といった定量的な見直しを実施。同時に赤字組織とはどういうことを意味するのか、未達癖のついた組織にコミットメントの重要性をメッセージとして定期的に発信することで、メンバーのマインドセットの改善を図りました。
課題を徹底的に洗い出し、ひとつひとつ手を加えていくことで、組織全体の生産性が上がり、ついに黒字化を達成するに至ります。
しかし利益を創出できるようになっただけであり、ここからいかにアクセルを踏み成長できるかが勝負なので、前述の通りHR事業部はやっと走り出した段階です。
PL:事業や企業の会計期間における収益・経費・利益の状況をまとめた報告書。事業の収益性を判断するための財務諸表の一つ。
KPI:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略。目的実現に向けたプロセスの達成度合いを測るための、中間目標的な指標。
ROAS:Return On Advertising Spendの略。広告費に対してどれだけの売り上げが得られたかを示す指標。
Q,競合他社と比較したときアシロの人材紹介事業の強みとは
バックグランドとしての土壌の強みと、人材の魅力の2点があります。
士業の転職支援立ち上げは、そもそもリーガルメディア『ベンナビ』の掲載を法律事務所へ提案する中で「広告を拡大したいけど人材がいない」といったお客様の声がきっかけでした。
そのため法曹界や弁護士業界については知見があり、弁護士資格を持っている求職者へのヒアリングや、弁護士を求めている法律事務所や事業会社に対する課題の深堀りに強みがあります。
また手前味噌で恐縮ですが、HR事業部のメンバーは倫理観が高く、信頼される人材が揃っていると感じます。顧客・求職者・アシロの三方よしを原則としており、そうしなければ持続可能性がないことをメンバー全員がきちんと理解しています
人材業界におけるアシロのあるべき立ち位置
人材紹介事業は通常、紹介した人材の想定年収と比例して売り上げが高くなるのですが、売り上げよりも求職者のキャリアや顧客の課題解決になるかどうかを重視しており、売り上げだけを追うような利己的判断をすることはありません。
顧客満足度は非常に高いと自負しており、実際に顧客や求職者をご紹介いただくことも多いです。
私自身も、管掌役員の立場で常にそうしたメッセージを発信しており、これからも持ち続けてほしい強みといえます。
「顧客満足」と「売り上げ」、妥協の許されない矛盾
一方で、KPIを持つビジネスパーソンとして目標達成は必須事項であり、売り上げを度外視して良いということではありません。無理なKPIを付与することはありませんが、行動量は求められます。
我々がお預かりする転職のご相談や採用課題は、人生や事業の節目であり、売り上げという我々の都合が優先されるべきではありません。
しかし、我々も事業である以上は売り上げ目標の達成は至上命題であるため、妥協できることでもありません。
一見して矛盾する「顧客満足度」と「売り上げ目標」ですが、抗えないダブルスタンダードであるため、行動量と生産性向上により両立し続ける組織であらねばならないと考えています。
Q,アシロのHR事業部が現在抱えている課題を教えてください
人材教育です。新しいメンバーがジョインしてから、独り立ちできるまで9ヶ月ほどかかっていますが、もっと短縮しなければ売り上げの拡大と成長スピードの目標が達成できないと考えています。
そこで2025年7月に、大手の総合型転職エージェントでプレイヤーと兼任して人材教育・研修を担当されていた方を採用し、マネージャーと協力して新たな教育プログラムを策定中です。
現在は、独り立ちまでの期間を6ヶ月に短縮できる未来を描いています。独り立ちまでの期間を属人化させずに平準化して、誰しもが一定期間で活躍するような教育体制を目指しています。
▲2025年現在 事業部全体で21名が所属する組織に成長しました
Q,今後どんな事業部にしていきたいですか?
非常にシンプルですが、売り上げ・営業利益とも毎期着実に成長できる組織になってほしいです。
働いているメンバーの幸せや充実感といった理想を掲げたいところですし、私自身もその重要性は理解していますが、そのための前提に売り上げ目標や営業利益目標の達成が存在します。
経営陣としてメンバーに昇給してほしいと考えていますし、お金が全てではありませんが、豊かな人生を送るためにも、働き甲斐のためにも昇給は重要な要素です。
理想論に甘えず、今後の組織のビジョンとして、売り上げと営業利益のお話をさせていただきました。
Q,これからのHR事業部で活躍できる人材の特徴を教えてください
月並みではありますが、「素直でひたむきに業務に取り組み、チャレンジできる人」に尽きるのではないでしょうか。
HR事業部にかかわらず、これまでマネジメントをした中で、成果を出している人材の特徴や共通点を考えてみると、さまざまな個性はありつつも必ずそうした特徴に集約されます。
そして、そのような特徴をもつ人材が、現在副統括責任者を務める柚木さんのもとで働けるのは、非常に望ましいことです。
とても親身ですし、アドバイスが具体的ですし、抜け漏れがなく、ご本人も成果を出しており、まさに理想的な上司といっても過言ではありません。私が新卒であれば、彼女のもとで学びたいと思うほどです。
私がリーガルメディア事業部を管掌しているときには、プレイヤーであった柚木さんのマネジメントをしていましたが、プレイヤーとしても素晴らしい人材でした。
やろうと決めたことは絶対にやりきりますし、仮に短期的な成果が出ないとしても、ひたむきに行動し続け、最終的には成果へ結びつけます。
HR事業立ち上げの際には、誰にもノウハウがない状況からチャレンジと失敗から学ぶことをくり返し、ここまでHR事業部を成長させてくれました。
ご本人は「頭が良いタイプじゃない」と謙遜しますが、そんなことはありません。
会話の細かい表現が非常に繊細でありながらも、スピード感があり、それでいて気配りができているため、非常に頭が切れるビジネスパーソンだと私は評価しています。
ちなみにこれまでの話では、柚木さんがハードワーカーのように感じるかもしれませんが、さほど残業をするわけでもなく、プライベートを大切にしており、メンバーにも同じようにしてほしいと考えているので安心してください。
これからHR事業部で働く方や、HR事業部に興味を持っている方に是非ご期待いただきたいのですが、柚木さんはめちゃくちゃ良い上司になってくれますよ!