成年後見
成年後見を弁護士に依頼するメリット|費用の目安や基本的な流れも解説
2023.06.30
成年後見制度を利用する場合、申し立ての手続きをおこなったり、成年後見人を選出したりする必要があります。
どちらも自分たちでおこなうことができますが、面倒な手続きが手間に感じることや、法律の知識が求められ悩んでしまうことも考えられます。
そのため、成年後見制度を利用するなら弁護士へ依頼するのがおすすめです。
しかし、弁護士への依頼となると、費用がどれくらいかかってしまうのか不安ですよね。
本記事では、成年後見人を弁護士に依頼する場合の費用を解説します。ぜひ参考にしてください。
結論からいうと、弁護士へ相談・依頼することで、成年後見人制度にかかる費用や手続きについて詳しく知ることができます。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
当サイトでは、成年後見人制度をはじめとする相続問題の解決を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
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成年後見人を弁護士に依頼する場合、かかる費用は以下の2つに大きく分かれます。
以下ではそれぞれの費用の目安について解説します。
成年後見制度の申し立て手続きには、以下の費用がかかります。
成年後見制度利用の申し立ての手数料として、800円がかかります。
なお、手数料は収入印紙によって支払います。
成年後見制度を利用するためには、すでに成年後見制度を利用していないことを証明する必要があります。
証明書は法務局で取得でき、1通あたり300円を収入印紙にて納めます。
成年後見制度の申立てをおこなうと、裁判所から申立人に審判書などの書類を郵送しますが、郵送のための切手代を事前に納める必要があります。
切手代は利用する成年後見制度によって異なり、後見の申し立てであれば3,270円、補佐・補助の申し立てであれば4,210円とされています。
成年後見制度を利用するためには、まず申立人が本人の状況を医師に診断してもらい、その診断書を取得する必要があります。
診断書の作成は、医師や病院によって異なりますが、数千円から1万円程度の費用がかかります。
成年後見制度の申立てをするためには、被後見人の住民票と本人の相続人がわかる戸籍謄本が必要です。
これらの取得には、1件あたり数百円程度の費用がかかります。
成年後見制度の利用は、本人の健康上の理由により、判断能力が低下している必要があります。
医師による診断で判断能力の低下が明確にならなかった場合、鑑定を実施したうえで成年後見制度の利用が必要かどうか判断されます。
鑑定は裁判所が医師に依頼をおこない、費用は5万円から20万円程度かかります。
成年後見制度の申し立てが受理された場合、後見人であることを証明できるようにするために、後見登記をおこなう必要があります。
この登記には登記手数料が必要で、費用は2,600円です。
弁護士や司法書士に成年後見制度の申し立て手続きを依頼した場合、上記までの実費とは別に依頼料が必要となります。
依頼料は、弁護士や司法書士によって異なるほか、依頼内容によっても変動しますが、数万円から数十万円ほどが相場になります。
事前に確認し、納得したうえで依頼しましょう。
成年後見人には、被後見人の財産を管理する責任があるため、毎月報酬が支払われることが一般的です。
報酬額については、以下のように定められています。
基本報酬は、後見人の日常的な後見事務に対して支払われる報酬です。
管理している財産の金額によって報酬が決まるのが一般的で、目安は以下のとおりです。
管理している財産 | 基本報酬 |
1,000万円未満 | 月額2万円 |
1,000万円〜5,000万円未満 | 月額3万〜4万円 |
5,000万円以上 | 月額5万円〜 |
成年後見監督報酬は、後見人の後見事務を監督する後見監督人に支払われる報酬です。
なお、後見監督人は必要に応じて家庭裁判所より選任されます。
基本報酬と同じく、管理している財産の金額によって報酬が決まるのが一般的で、目安は以下とおりです。
管理している財産 | 基本報酬 |
5,000万円未満 | 月額1万〜2万円 |
5,000万円以上 | 月額2.5万〜3万円 |
付加報酬は、通常の後見事務を大きく超えた場合に支払われる報酬です。
一例として、被後見人に代わって遺産分割協議をおこなったり、不動産の売却をおこなったりした場合があげられます。
どのような場合に、どの程度の報酬を支払う必要があるかは、家庭裁判所の判断によって定められます。
成年後見人の費用は高額なため、支払いに困る場合もあります。
ここでは万が一に備えて、成年後見人のについて知っておきましょう。
市区町村によっては、成年後見人の報酬にかかる費用を助成する制度を設けている場合があります。
助成金制度は、市区町村によって条件や支援内容が異なるため、必ずご自身が住む市区町村のWebサイトや役所で確認するようにしましょう。
また、助成金の金額や申し込み期限が限られている場合があるため、早めに申請するのがおすすめです。
法テラスは国が運営する法的支援の機関です。
生活困窮者に対して、弁護士費用の一部を免除したり、建て替えを請け負ったりしています。
成年後見制度の申立て費用を準備するのが厳しければ、相談してみる価値はあるでしょう。
最後に、成年後見人を弁護士に依頼する場合のメリットを紹介します。
成年後見人が対応しなければいけない事務手続きは幅広く、なかには法的な知識を求められるものもあります。
後見人を弁護士に依頼することで、さまざまな事務手続きにもスムーズに対応してもらえるうえ、法的な知識が求められる場面でも対応が可能です。
成年後見人には親族でもなることができます。
しかし、第三者である弁護士に依頼することで、被後見人の財産管理や身上監護を公正かつ適切に対応できる可能性が高いといえるでしょう。
被後見人が遠方に住んでいる場合、相続人の財産管理や後見事務への対応は負担が大きくなるほか、対応も難しくなります。
その場合は、被後見人の居住地にあわせて弁護士に依頼することで、満足いく管理をしてもらうことが可能です。
弁護士が成年後見人になった場合、被後見人の財産状況を把握しているため、将来を見据えた生前贈与や遺産相続についての相談がおこないやすくなります。
また、弁護士ならではの法的な知見を活かし、適切なアドバイスももらえるでしょう。
成年後見制度を利用するなら、弁護士への依頼がおすすめです。
もちろん費用はかかりますが、成年後見人をおこなう手間や負担を考えたら充分メリットはあるといえます。
成年後見制度を弁護士に依頼する場合、成年後見制度や遺産相続に強みをもつ弁護士に依頼することが大切です。
遺産相続に強い弁護士が集まるWebサイトであるベンナビ相続を利用して、成年後見制度に強い弁護士を探しましょう。