相続手続き
兄弟のみの相続はどうやってする?手続き方法や相続分を解説
2023.07.24
相続手続きの中には、手続き自体に費用がかかるものがあります。
また、相続手続きを弁護士・司法書士などに依頼すると、依頼費用も発生するため、どれくらいの費用を見込んでおけばよいかわからず悩んでいる方もいるでしょう。
本記事では、相続手続きにかかる費用について、自分でおこなう場合と専門家に依頼する際にかかる費用の目安を解説します。
相続手続きを専門家に依頼する場合の選び方や費用負担を少しでも抑える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
まずはじめに、相続手続きを自分でおこなう場合と専門家に依頼する場合の費用の目安を紹介します。
相続手続きを自分でおこなう場合にかかる費用は、数千円程度で済むケースが多いでしょう。
内訳は、戸籍謄本などの相続手続きに必要な書類の取得費用が主で、どれも役所で数百円から取得が可能です。
だだし、家や土地などの不動産や車を相続する場合は、相続登記などの手続きや登録免許税などの別途費用が発生するため、数千円~数万円程度になることを見込んでおくとよいでしょう。
相続手続きを弁護士や司法書士に依頼する場合は、依頼費用として10万円以上かかることを見込んでおきましょう。
専門家への依頼費用は、弁護士・司法書士・行政書士などのどの専門家に依頼するかによって異なるうえ、どこまでサポートを受けるかによっても大きく上下します。
相続手続きに必要な書類の作成だけを依頼する場合は、数万円で収まるケースも多いですが、相続手続きを全て任せたい場合や、相続手続き中のトラブルの解決などを依頼する場合は、数十万円の費用が発生する可能性があることも覚えておきましょう。
相続手続きを専門家に依頼する場合、依頼費用が発生します。
相続手続きの依頼費用は、どの専門家に依頼するかによって異なるので、以下で相場を押さえておきましょう。
弁護士に相続手続きを依頼する場合、およそ30万円の費用がかかります。
主にかかる費用は、以下のとおりです。
報酬金は、経済的利益(弁護士に依頼することで得られた利益)によって異なるため、一概に費用を出すことはできません。
また、手数料や日当・実費については、発生しないケースもあります。
着手金の設定は法律事務所によって異なりますが、30万円~と設定しているケースが一般的です。
ほかの士業と比較すると高額ではありますが、弁護士であれば全ての業務を依頼できます。
司法書士に依頼する場合は、相続手続きのどの部分を依頼するかによって費用が異なります。
たとえば、相続登記申請のみを依頼した場合、以下の料金に設定されています。
ただし、これはあくまでも一例であり、司法書士事務所によって金額は変動します。
なお、司法書士が対応できる相続手続きを全て依頼する場合は、20万円ほどに設定している司法書士事務所が多い傾向です。
弁護士と比べると割安な料金設定ではありますが、対応できる業務は限られてしまいます。
税理士に相続手続きを依頼した場合の費用目安は、遺産総額の0.5%~3%です。
実際には、税理士事務所で料金を設定できますが、遺産総額の0.5%~3%が適正相場といえます。
たとえば、遺産総額が500万円であれば、税理士報酬は2万5,000円~15万円かかることになります。
上記の相場は、基本報酬や加算報酬も含めた相場となります。
遺産総額が少なければ少ないほど報酬も下がりますが、対応できる業務範囲も少なくなります。
行政書士に相続手続きを依頼する場合は、手続きのどの部分を依頼するかによって異なります。
たとえば、遺産分割協議書の作成のみを依頼した場合、以下のように設定されている行政書士事務所があります。
そのほか、各手続きの内容によって費用は異なります。
行政書士事務所によっても設定している料金は大きく異なるため、事前にいくつかの事務所に確認をしておきましょう。
ただし、税理士と同様、行政書士も対応できる業務範囲は弁護士と比べて少なくなります。
銀行に相続手続きを依頼した場合は、士業に依頼するよりも高額になる傾向があります。
一例として、ある銀行が提供している遺産整理業務(相続手続き代行サービス)の場合では、手数料の最低額が110万円と設定されています。
さらに、以下の部分についてはご自身で負担しなければなりません。
手数料のほか、士業に支払う費用も発生するため、相続手続きを依頼できる窓口のなかでも、最も高額になります。
相続手続きにかかる費用は、依頼する内容によっても異なります。
相続手続きについて依頼できる内容は、遺産分割協議書作成から相続税申告など多岐にわたります。
以下では、相続手続きの依頼内容別の費用目安について解説します。
遺産分割協議書作成については、主に弁護士または行政書士に依頼が可能です。
それぞれの事務所によっても料金は異なりますが、一例として以下のような事務所があります。
法律事務所のほうが高額ではあるものの、弁護士は遺産分割協議に依頼者の代理人として参加できます。
一方、行政書士はあくまで書面の作成までに留まります。
不動産登記については、一般的に司法書士に依頼するケースがほとんどです。
司法書士事務所によって料金設定は異なりますが、一例として以下のような事務所があります。
相続登記の申請のみと不動産名義の変更を分けているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
相続税の申告は、税理士に依頼するのが一般的です。
税理士に依頼した場合の費用は、遺産総額の0.5%~3%が相場です。
そのほか、かかる費用はありません。
相続手続きで発生する書類の作成は、主に遺言書・遺産分割協議書の2つです。
書類作成代行を依頼するのは、主に弁護士と行政書士のいずれかになります。
書類作成代行のみであれば、行政書士に依頼したほうがが安くなります。
しかし、弁護士であれば書類作成代行のみに留まらないサポートができます。
相続の紛争解決は、弁護士のみがおこなえる独占業務です。
ここでは、遺留分請求をおこなった場合の参考となる例を紹介します。
【A社】
【B社】
上記のように、調停になった場合は高額な費用がかかります。
調停にならないためにも、できる限り早い段階で弁護士に介入してもらうことをおすすめします。
預貯金の相続手続きは、行政書士または司法書士に依頼することができます。
費用は、1件あたり2万円~と設定している事務所が一般的です。
弁護士に依頼できるケースもありますが、法律事務所で預貯金の相続手続きを扱っているケースは多くはありません。
有価証券の相続手続きは、行政書士または司法書士に依頼できます。
預貯金と同様、弁護士に依頼できるケースもありますが、一般的ではありません。
費用は、1件あたり1万円~です。
自動車の相続手続きは、行政書士に依頼できます。
費用の相場は、2万円~3万円とされているケースが一般的です。
そのほか、ナンバープレート代や車庫証明取得費用などがかかります。
相続手続きの費用がネックになってしまう方は、費用を抑えて依頼できるように工夫しましょう。
ここでは、費用負担を最小限にするための具体的なポイントについて解説します。
相続手続きの費用を抑えるためには、ある程度の部分をご自身でおこなうとよいでしょう。
専門家に一貫して依頼した場合、報酬金が高額になってしまいます。
相続手続きについて、全てを依頼する必要はないため、一人で対応できそうな部分はご自身でおこなってみましょう。
少しでも費用を抑えるために、相談料が無料の専門家に相談しましょう。
相談料は、各事務所によって異なります。
たとえば、弁護士への相談料の目安は30分あたり5,000円ですが、「初回相談無料」「依頼に至った場合には相談料無料」としている法律事務所もあります。
依頼を検討している事務所のホームページなどを確認して、相談料がかかるかどうか、事前に調べておきましょう。
士業に依頼する場合は、ワンストップで相続手続きを依頼できる事務所を選びましょう。
ワンストップで依頼できる事務所を選ぶことで、一つひとつの士業への相談料などが抑えられます。
とくに弁護士や司法書士は、ほかの士業と連携してチームで相続手続きをおこなっているケースが多くあります。
これにより、費用が抑えられるだけではなく、それぞれの士業とのやり取りを省けるメリットもあります。
相続手続きは、必ずしもプラスになるとは限りません。
被相続人の財産によっては、専門家に依頼することで費用倒れしてしまうケースもあります。
そのため、費用倒れするリスクがあることや、明確な料金を提示してくれる専門家を選びましょう。
また、どのようにすれば費用倒れしないかをアドバイスしてくれるような専門家を選ぶのもポイントです。
親切な専門家であれば、相談の時点で費用倒れになるかどうかを伝えてくれるでしょう。
相続の手続きは、士業などに依頼しなければならないわけではありません。
遺産協議書の作成や相続税の申告、登記手続きなどは自分でもおこなえます。
しかし、全ての手続きを自分でおこなおうとすると、大きな手間になるうえに、トラブルに発展する可能性があります。
ここでは、自分で相続手続きをおこなわないほうがよい理由について解説します。
ご自身で相続手続きをおこなおうとすると、多大な時間と手間がかかります。
相続手続きをおこなうには、書類を発行したり、提出したりするために、金融機関や税務署など多くの公共機関に出向かなければいけません。
日々の仕事や家事をこなしながら、こまめにそれぞれの機関に出向くのは大きな負担になります。
また、公共機関のほとんどは平日の夕方までしか窓口があいていないため、フレキシブルな対応が求められる場面も出てくるでしょう。
相続手続きには、専門的な知識が必要です。
知識がないままで相続手続きをおこなおうとすると、ご自身にとって不利な状況での相続になってしまう可能性があります。
たとえば、遺言書がない場合の遺産相続では、どのように遺産を公平に分けるかを話し合わなければいけません。
このとき、誰が何を取得するかによって、控除や特例の適用を受けられるかどうかが変わってくるため、専門的な知識が必要といえます。
そのほか、相続に関わる膨大な知識が必要になることからも、士業へ依頼したほうがよいでしょう。
相続税の申告をご自身でおこなう場合は、相続税額の計算をしなければなりません。
参考までに、一般的な相続税の計算方法を見てみましょう。
上記のように、相続税額の計算は非常に複雑です。
そのため、正しい知識を持って計算しなければ、相続税額に誤りが生じてしまう可能性があります。
相続登記を自分でおこなった場合、トラブルに発展する可能性があります。
たとえば、遺産分割協議書に不備がある場合には、手続きが中断されてしまうだけではなく、記載内容が明確でない場合は相続人間でもめる原因になってしまいます。
このような事態を避けるために、士業に依頼すれば、法的な知識を交えながら細かい文言の表現も含めて慎重に作成してくれます。
相続人同士でのトラブルを避けるためにも、自分でおこなわず、弁護士などの士業に依頼することをおすすめします。
相続手続きは、士業に依頼するケースが一般的です。
しかし、ひとえに士業といっても、対応できる業務範囲はさまざまです。
また、相続手続きは銀行でもおこなうことが可能です。
相続手続きにおいて、各士業がどのような対応ができるのかについては、次のとおりです。
対応業務 | 弁護士 | 司法書士 | 税理士 | 行政書士 | 銀行 |
相続人の調査 | 可 | 可 | 可 | 可 | 可 |
相続財産の調査 | 可 | 可 | 可 | 可 | 可 |
遺産分割協議の調整 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
遺産分割調停・審判の代理 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
遺産分割協議書の作成 | 可 | 場合によって異なる | 場合によって異なる | 可 | 可 |
相続登記 | 可 | 可 | 不可 | 不可 | 可 |
相続放棄の代理 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
遺言書の作成サポート | 可 | 可 | 可 | 可 | 可 |
遺言書執行者就任 | 可 | 可 | 可 | 可 | 可 |
相続税申告 | 可 | 不可 | 可 | 不可 | 可 |
上記のように、士業によっても対応できる業務範囲は異なります。
依頼したい内容や対応範囲を確認して、あなたの状況にあった専門家に依頼するようにしましょう。
相続手続きは、費用を考えながら専門家に依頼するのが、最良の選択です。
法律的な知識のない方が自分だけでおこなおうとすると、ほとんどの場合で不備が発生してしまいます。
また、日常生活のなかで時間を割いて全ての手続きをおこなうのは非常に困難です。
専門家に依頼すれば、日常生活に支障がでることなく、複雑な手続きをおこなってくれます。
どの専門家に相談すべきか迷った際は、以下を参考にしてください。
ご自身の状況に合った専門家に依頼し、相続手続きをスムーズに進めましょう。