相続放棄
法テラスで相続放棄をする費用は?| 法テラスに依頼するデメリットも解説
2024.10.08
親が借金を残して亡くなったため相続放棄を検討しており、弁護士に依頼すべきか悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
相続放棄で弁護士に手続きを依頼するメリットを知りたくて調べている方も少なくありません。
相続放棄についてよく理解したうえで、弁護士に依頼したいと考えるのは当然です。
ただし、相続放棄に関しては注意点も多くあります。
手続きも複雑で期限も決められているため、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
本記事では、相続放棄の基本理解、相続放棄を弁護士に相談・依頼するメリットとデメリット、弁護士に依頼してから相続放棄が完了するまでの流れ、司法書士と弁護士どちらに依頼するのがいいのか、相続放棄を依頼する弁護士の選び方のポイント、相続放棄について弁護士に相談・依頼する際の注意点について解説します。
「相続放棄」とは、相続人が相続財産のすべてを受け取らないことを意味します。
相続放棄をした場合、その相続人は相続に関する権利と義務を一切失います(民法第939条)。
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。引用元:民法 | e-Gov法令検索
その結果、相続財産はほかの相続人に分配されます。
相続放棄をするには、家庭裁判所に「申述」という書類を提出する必要があります(民法第938条)。
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。引用元:民法 | e-Gov法令検索
この申述は、相続が開始されたことを知った日から3ヵ月以内におこなわなければなりません。
この期間を熟慮期間といいます。
ただし、特別な事情がある場合は3ヵ月を超えても相続放棄ができる場合があります(民法915条1項ただし書き)。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。引用元:民法 | e-Gov法令検索
相続放棄のメリットとして、以下の点が挙げられます。
相続放棄する理由はさまざまですが、おもな財産が被相続人の自宅のみであり、老朽化や遠隔地にあるため引き継ぎたくない場合にも選択肢のひとつとなります。
また、借金の有無に関わらず、相続人同士が疎遠で、相続についてトラブルになりそうな場合も相続放棄を検討することができます。
相続放棄をする場合は、法定期間内に裁判所に届け出る必要があります。
相続放棄は、一度おこなうと取り消すことができないので注意が必要です。
また、遺産分割は相続人同士のトラブルだけでなく、法的な手続きや書類作成にも時間と労力が必要になります。
遺産分割に関わりたくない場合は、すぐに相続放棄を検討するのがおすすめです。
相続放棄のデメリットとして、以下が挙げられます。
相続放棄をする場合は、相続が発生したことを知った日から3ヵ月以内に裁判所に申し立てる必要があります。
相続放棄をしたあとに、相続財産が発見されても、相続権を回復することはできません。
ですから、相続放棄をするかどうかを決める前に、相続財産の全体像を把握することが重要です。
なお、遺産の一部を消費したり、処分したりすると、相続放棄の意思がないと判断される可能性があります。
その場合、相続放棄は認められないか、あるいは取り消されるかもしれません。
相続放棄を考えているなら、財産に手を出さないようにしましょう。
相続放棄は適切な知識がないと、あとで大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そこで、弁護士のアドバイスを受けて、正しい手続きをおこなうことが重要です。
相続放棄を弁護士に相談・依頼するメリットとして、以下の点が挙げられます。
相続放棄をすると、借金だけでなく、不動産や預貯金などのプラスの財産も全て相続できなくなります。
ですから、相続放棄をするかどうかは、慎重に考えなければなりません。
相続の方法には、おもに単純承認と限定承認があります。
単純承認は全ての財産と借金を相続し、限定承認は財産の範囲内で借金を相続します。
これらの方法は、相続人や財産の状況によって適切なものが変わります。
また、相続放棄は相続が始まってから3ヵ月以内にしなければなりません。
時間が限られているので、正確に処理する必要があります。
弁護士に依頼すれば、相続放棄の判断や手続きをサポートしてもらえます。
弁護士は、金融機関などから情報を開示してもらえる権利があり、弁護士に相談することで、相続放棄をするべきかどうかを正確に判断できるでしょう。
相続放棄を希望する場合は、一般的には相続が発生したことを知った日から3ヵ月以内に申し立てをおこなう必要があります。
しかし、「相続財産が存在しないと認識していた」「相続財産の把握が困難だった」など、相談者に特段の事情がある場合や過失がない場合は、期限を超えても相続放棄を請求することが可能です。
このような事情や期限内に申し立てをおこなうことが難しい状況にある場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
相続放棄をする場合は、法律上の決められた手続きを正しくおこなう必要があります。
しかし、相続放棄に関する知識や経験がない方が多く、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類作成に手間取ったり、期限内に手続きが完了しなかったりといったトラブルが発生しやすいのです。
また、相続人の数や関係によっては、必要な書類の種類や内容も変わってくることがあります。
そのため、ご自身で相続放棄をしようとすると、非常に困難な場合もあるでしょう。
そこでおすすめなのが、相続問題に精通した弁護士に依頼することです。
弁護士に相続放棄の手続きを任せれば、スムーズかつ確実に相続放棄ができるだけでなく、不安やストレスも軽減できるでしょう。
相続放棄をする場合、家庭裁判所に対して申述書と必要書類を提出する必要があります。
その後、家庭裁判所から届く照会書に必要事項を記載し、返送します。
このように、相続放棄は単に「相続しない」と宣言するだけではなく、いくつかの手続きが必要です。
弁護士に依頼すれば、書類のやり取りや記入など、相続放棄に必要な事務作業のほとんどを代行してもらえます。
仕事で忙しい方や、法律に関する書類を作成することに不安がある方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
相続放棄をする理由としては、遺産の負債が収入を上回っている場合が多いでしょう。
相続放棄をしたら、その遺産は他の相続人に移ることになりますが、それが原因で相続人同士のトラブルになることもあります。
弁護士に依頼すると、相続放棄の手続きだけでなく、ほかの相続人への説明や交渉も代行してくれます。
弁護士は専門的な知識と経験をもっているので、円満に解決する可能性が高まるでしょう。
相続放棄の手続きをおこなう際には、遺産に負債が含まれている可能性があります。
この場合、相続放棄をするという意思表示をしたあとでも、債権者からの連絡や支払い要求がくることがあるでしょう。
これは非常にストレスフルな状況であり、相続人の負担になるため、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士は、債権者との交渉や調整を代行してくれるだけでなく、相続放棄の手続きをスムーズに進めることができます。
弁護士に依頼することで、相続放棄の確実性を高めるとともに、不要なトラブルを回避できるでしょう。
依頼する内容や難易度、事務所によって料金は異なりますが、一般的な相場は5万円~15万円程度となっています。
この金額は、依頼者の要望に応じて作成される文書の種類や内容、作業時間や納期などによって変動します。
費用項目 | 費用目安 |
相談料 | 5,000円/30分 |
実費 | 5,000円〜1万円程度 |
申述費用 | 10万円 |
弁護士に依頼してから相続放棄が完了するまでの流れは、どのようになるのでしょうか。
以下、依頼から手続き完了までの流れについて詳しくみていきましょう。
まずは、ベンナビ相続でお住まいの近くの弁護士を探します。
「ベンナビ相続」は、相続問題に特化した弁護士の情報を提供するポータルサイトです。
無料相談サービスを利用できるほか、電話・オンライン面談・LINEでの相談が可能な弁護士も多く掲載されています。
また、相続放棄や遺産分割協議遺留分減殺請求、遺言書作成など相続問題の種類ごとに最適な弁護士を検索できる機能もあります。
ベンナビ相続を利用すれば、自分に合った方法で気軽に相続問題に関する法律相談が可能です。
相続問題に悩んでいる場合は、ベンナビ相続の利用がおすすめです。
契約前には、弁護士との面談が必要です。
面談では、弁護士の専門性や対応力、過去の成果などを確認します。
面談には費用がかかりますが、一般的には30分あたり5,000円程度です。
もし、複数の法律事務所を検討したいなら、初回相談料が無料のところを探してみるとよいでしょう。
相続放棄を依頼したあとは、弁護士が財産の調査や書類の準備を進めてくれるため、弁護士から対応を求められた場合を除いて、基本的に依頼者が対応することはありません。
このように、相続放棄の手続きは弁護士に任せることができるので、依頼者は負担やリスクを最小限に抑えることができます。
相続放棄の費用は、弁護士によって異なりますが、一般的には5万円から15万円程度です。
相続放棄を検討している方は、まずは無料相談を利用して弁護士に相談してみることをおすすめします。
相続放棄を希望する場合は、まず財産調査をおこなって、被相続人の負債が財産を上回っていることを確認しましょう。
その後、被相続人の住民票の記載されている地域の家庭裁判所に相続放棄の申立書を提出します。
相続放棄は、本人が直接おこなわなければなりません。
ただし、未成年者や成年被後見人などの場合は、法定代理人が代わりに申立書を提出できます。
相続放棄の申立書は、被相続人の最終住所地にある家庭裁判所に送付するか、直接持参してください。
なお、相続放棄には期限があります。
相続が開始された日から3ヵ月以内に申立書を提出しなければなりません。
期限を過ぎると、相続放棄はできなくなりますので注意が必要です。
相続放棄の手続きには、家庭裁判所への申述と相続放棄照会書への回答が必要です。
申述をした後、約1週間〜10日で相続放棄照会書が届きます。
これは、相続放棄が本人の自由意思に基づくものかどうかを確認するための書類です。
相続放棄照会書は本人あてに送られることもありますが、通常は弁護士の事務所に送られます。
相続放棄照会書には質問事項が記載されており、それに対して相続放棄回答書を作成して返送しなければなりません。
相続放棄回答書は自分で作成することもできますが、弁護士に依頼するのがおすすめです。
相続放棄回答書を裁判所に提出すると、裁判所から相続放棄受理通知書が届きます。
この通知書を確認し、弁護士に依頼した場合は弁護士費用を支払います。
これで、相続放棄の手続きは終了です。
相続放棄の手続きや対応を専門家に任せたい場合、弁護士に依頼するのがおすすめです。
司法書士に依頼しても、相続放棄照会書や回答書は依頼者のもとに届くので、司法書士に送り直す必要があります。
司法書士であっても書類の作成はサポートしてもらえますが、自分で記入する必要があるので、面倒だと感じるかもしれません。
一方、弁護士に依頼すれば、ほかの相続人との説明や交渉も代わりにおこなってもらえます。
相続放棄を依頼する弁護士に関しては、どのような点をチェックすればよいのでしょうか?
以下、選び方のポイントについて詳しくみていきましょう。
相続放棄をする場合は、専門的な知識と経験をもつ弁護士に相談することが重要です。
相続放棄の手続きは複雑であり、誤った判断や行動が将来の権利や義務に影響を及ぼす可能性があります。
法律事務所のホームページを参考に、相続に関する実績が豊富で、信頼できる弁護士を選びましょう。
相続放棄をする場合には、担当する弁護士との関係が大切です。
相続放棄の手続きは比較的簡単なので、頻繁に連絡を取る必要はありませんが、時間に制約があるため、迅速かつ正確に対応できる弁護士を選ぶべきです。
あわせて、初めて面談するときには担当者が信頼できるかどうかを判断しましょう。
弁護士に相談すると高い料金がかかるので、複数の弁護士を比較したいなら、初回相談料が無料の法律事務所に行ってみるとよいでしょう。
相続放棄をする場合、弁護士に依頼することができますが、その際にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。
法律事務所によっては、料金体系や支払い時期などが明確になっていないこともあります。
事前にホームページなどで費用の目安を調べておくと、相談するときに不安を減らすことができます。
なお、ホームページに記載されている費用はあくまで参考ですので、相談時には詳細な費用の見積もりを依頼するようにしましょう。
相続放棄は必ず成功するという保証はありませんし、相続放棄を強く勧める弁護士も信用できません。
自分の利益のために、相続放棄をおこなわせようとする弁護士もいるかもしれません。
そうした弁護士は、相続放棄のデメリットやリスクを隠している可能性が高いと考えられます。
相続放棄をおこなうかどうかは、最終的には自分自身の判断になります。
自分の意思に反して、弁護士に説得されて相続放棄をおこなってしまうと、後悔することになるかもしれません。
相続放棄をおこなう前には、弁護士の評判や実績を調べたり、複数の弁護士に相談したりすることをおすすめします。
それによって、自分にとって最適な弁護士を見つけることができるでしょう。
無料相談を利用する前に、弁護士に相談したい内容を整理しておくことが大切です。
無料相談は、一般的には30分程度の時間が設けられていますが、そのなかで弁護士に自分の状況や希望を正確に伝えることができれば、より有意義な相談になります。
また、無料相談では弁護士の対応や信頼感などを確かめることもできます。
無料相談を受ける際には、事前に予約をする必要がある場合もありますので、注意が必要です。
相続放棄について弁護士に相談・依頼する際の注意点として、以下の点が挙げられます。
無料相談を利用して弁護士に相談する場合、どの時点から費用が発生するのかを知っておくことが大切です。
弁護士に支払う費用は、法律相談料と着手金・報酬金の2種類があります。
法律相談料は、多くの法律事務所で無料ですが、時間制限がある場合もあります。
その場合は、無料の範囲を確認しておきましょう。
着手金・報酬金は、調停や訴訟などの依頼をしたときにかかります。
着手金は依頼時に支払う固定費用で、報酬金は依頼内容が達成されたときに支払う成功報酬です。
着手金・報酬金の額は、訴訟の目的となる金額によって変わります。
訴訟で争う金額が大きいほど、費用も高くなります。
弁護士と相談していくなかで、共に問題を解決していくことができるかどうかをしっかり見極めましょう。
依頼者と弁護士は、問題解決のためのパートナーです。
お互いに誠実に対応し、互いの意見を尊重しあい、人間関係の信頼を築いていくことが重要になります。
ご自身が弁護士との相性がよくないと感じるのであれば、無理に依頼する必要はありません。
弁護士に依頼を断られるケースとして、以下の場合が挙げられます。
弁護士に依頼する際には、費用倒れや勝算の見込み、そして弁護士との信頼関係が重要な要素となります。
費用倒れは、弁護士に支払う費用が、弁護士に依頼した結果、得られるであろう見込みの利益を上回ってしまうことです。
弁護士との信頼関係も重要で、依頼者が弁護士とのコミュニケーションを怠ったり、過大な要求をしたりするケースも避けなければなりません。
これらの要素が欠けている場合、弁護士は受任を断る可能性が高いでしょう。
したがって、弁護士に依頼する際には、これらの要素を考慮して、合理的かつ誠実な姿勢で相談することが望ましいです。
相続放棄をおこなう場合、相続開始を知ってから3ヵ月以内に手続きしなければなりません。
一方で弁護士に依頼することで、相続放棄の必要性の判断や実際の手続きを全て一任できます。
不備や間違いが少ない相続放棄をおこなうためには、早い段階で弁護士に相談しなければなりません。
弁護士に依頼せずに放置してしまうと、相続人同士のトラブルになったり、相続放棄が認められない可能性もあるでしょう。
借金を引き継がないためにも、スムーズに相続放棄をするかどうかを判断するのがおすすめです。
費用はかかりますが、弁護士に依頼することで相続財産調査から相続放棄手続きまで全ての手続きを一任できるため、相続人の負担を軽減できるうえに、確実に相続放棄を処理することができます。
確実な相続放棄のためにも、なるべく早く専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。