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贈与契約書のひな型と作成ポイント|生前贈与でトラブルを防ぐために
2023.07.14
亡くなった親が借金の連帯保証人になっていた場合、知らないうちに連帯保証人の地位を相続している可能性があります。
連帯保証人は単なる保証人よりも責任が重いため、地位を相続しないように対処するべきですが、以下のような疑問も生じてしまうでしょう。
連帯保証人は主債務者(借金している人)の借金を一括返済するケースもあるので、地位を承継したくないときは相続放棄を検討したほうがよいでしょう。
ただし、相続放棄は手続きの期限が短く、相続財産の全容把握が前提になるため、スピーディに対応しなければなりません。
ここでは、連帯保証人の地位を回避するための相続放棄のやり方や注意点、相続放棄できなかったときの対処法をわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
親が連帯保証人だったことがわかり、その地位を引き継ぎたくなくても方法がわからずに悩んでいませんか。
結論からいうと、親の連帯保証人の地位は相続放棄で回避することができます。しかし、相続放棄は財産調査のうえでおこなわないと損をする可能性もあるため、一度弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
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相続の対象には連帯保証債務も含まれているので、被相続人(亡くなった方)が連帯保証人になっていたときは、相続人が連帯保証人の地位を引き継がなくてはなりません。
単なる保証人の場合、債務者(お金を借りている人)の返済が滞ったときだけ借金の返済を肩代わりしますが、連帯保証人は以下の責任を負っています。
保証人よりもかなり重い責任になっており、主債務者の返済に問題があったときはすぐに連帯保証人へ請求されるため、一気に財産を失ってしまう可能性があります。
相続発生後、一定期間何もしなければ自動的に連帯保証債務を引き継ぐので、亡くなった家族が連帯保証人かどうか調べたいときは、以下のように対処してください。
亡くなった人が連帯保証人なっているかどうか気になるときは、以下の方法で調べてください。
親族や親しい友人・知人が不動産を購入していたり、賃貸マンションなどを建築したりしている場合、亡くなった人が連帯保証人になっている可能性があります。
亡くなった人が連帯保証人になっていた場合、主債務者の借金返済を一時的に肩代わりしているかもしれません。
預金通帳の出金欄に高額な払い出しがあり、使い道が特定できないときは、借金の返済に充てている可能性があります。
振込票が残っていれば振込先がわかるので、本人が取り引きしていた金融機関や貸金業者かどうかチェックしておきましょう。
なお、キャッシュカードだけで出金していると通帳は合算表示されるので、詳細がわからないときは金融機関に取引履歴を請求してください。
ほとんどの金融機関は過去10年分の取引履歴を保存しており、相続人であれば発行請求できます。
取引履歴を請求するときは戸籍謄本など(相続人であることの証明用)の書類が必要になるので、あらかじめ金融機関に確認しておいてください。
亡くなった人の中には、通帳がないタイプの預金口座やネット口座を開設している人もいるので、パソコンやスマートフォンも調べておきましょう。
主債務者や債権者から、連帯保証債務に関するメールやLINEを受け取っている可能性があります。
ログインIDやパスワードがわかればネット口座の入出金履歴もわかるので、「パスワード」などの名前になっているファイルや、本人の日記・手帳なども調べてください。
連帯保証人は債権者と連帯保証の契約書を取り交わしているので、机の引き出しなどを調べると契約書が見つかる場合もあります。
金融機関からは定期的に(年1回程度)保証残高の通知も郵送されるので、郵便物もチェックしましょう。
また、以下の機関に照会すると、連帯保証人になっているかわかるケースがあります。
それぞれ照会方法や必要書類が異なっているので、ホームページでよく確認しておきましょう。
亡くなった人が連帯保証人かどうか調べるときは、親族や友人・知人など、交流の深かった人にも問い合わせてください。
以下のような話が出るケースでは連帯保証人になっている可能性があります。
いずれも金融機関や貸金業者から借入れしていることが多いので、連帯保証人を頼まれているかもしれません。
なお、亡くなった人が経営者だった場合、自分が法人の連帯保証人になっている可能性が高いので、連帯保証の契約書を探すか、金融機関に問い合わせてみましょう。
連帯保証人の相続人が複数いる場合、連帯保証債務も遺産分割の対象になるため、以下のように債務の負担割合を決定します。
法定相続分は被相続人(連帯保証人)との関係によって以下の割合になります。
法定相続分は遺産分割の目安に過ぎないため、相続人同士の話し合いで分割割合を変更しても構いません。
ただし、連帯保証債務があるときは法定相続分に従わなければならないため、分割割合を変えたいときは債権者の承諾が必要です。
各相続人の経済的な余力に差があるときは、債権者と協議してみましょう。
連帯保証人の地位を引き継ぎたくない時は、相続放棄も選択できます。
相続放棄は特殊な手続きになるため、以下のように基礎知識を押さえておきましょう。
相続放棄すると最初から相続人ではなかったことになるため、預貯金や不動産などの財産をもらえなくなりますが、連帯保証人の地位を引き継ぐこともなくなります。
ただし、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、相続放棄が認められたあとは原則として撤回できません。
あとで高額な財産がみつかったとしても相続人には戻れないので、3ヵ月間で預貯金や借金、連帯保証債務を全て調査する必要があります。
また、相続開始後3ヵ月(熟慮期間といいます)の間に相続財産を使い込むと、単純承認の成立(相続を承諾したことになる)によって相続放棄が認められなくなります。
財産調査だけでもたいへんですが、家庭裁判所に提出する書類(戸籍謄本など)も準備しなくてはならないため、多忙な方にはハードルの高い手続きになるでしょう。
相続放棄の手続きは弁護士に依頼できますが、単純承認が成立や熟慮期間の経過によって相続放棄できなかったときは、以下のように対処してください。
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亡くなった家族が連帯保証人だと知らず、相続放棄もできなかったときは、連帯保証債務は必ず引き継がなければなりません。
主債務者が返済を続けていれば特に問題はありませんが、一括返済などを迫られたときは以下の対処法を検討してみましょう。
連帯保証債務を負担しなければならなくなった場合、資金に余裕があれば全額返済を検討してください。
返済に応じなかったときは通常の利息に加えて年利5~14.6%の損害遅延金も発生するため、返済額も割高になってしまいます。
ひとまず連帯保証債務を解決し、問題を少なくしてから遺産分割を考えてもよいでしょう。
ただし、自分一人で全額返済するときは、主債務者やほかの連帯保証人へ事前連絡してください。
全額返済は主債務者などの負債を立て替えたことになるため、立替え分を求償によって請求できます。
いきなり求償されると相手も戸惑うので、事前連絡で了解を得ておきましょう。
また、「聞いていない」などのトラブルを防止するため、一人で全額返済することや、あとで求償することを内容証明郵便で通知してください。
連帯保証債務を負担する余裕がないときは、債権者(金融機関など)と減額交渉してみましょう。
減額に応じてくれるかどうかは債権者次第ですが、「自己破産されてしまうより減額に応じたほうが得」と考え、建設的に話し合いできるケースもあります。
ただし、保有資産に見合わない減額を要求すると交渉打ち切りになる可能性が高く、不動産などを仮差押えされる場合があるので注意しなければなりません。
有利な条件で減額を成功させたいときは、弁護士に交渉を依頼するとよいでしょう。
任意整理とは、債権者と交渉して将来的な利息分をカットし、3~5年程度で借金完済を目指す方法です。
任意整理すると損害遅延金が免除されることがあり、借金の残額の返済方法も見直しできます。
借金の大幅減額ではありませんが、毎月の返済はかなり楽になるため、債権者と交渉してみる価値はあるでしょう。
ただし、以下のようにメリット・デメリットがあるので、自分に向いている方法かどうか、じっくり検討しなければなりません。
【任意整理のメリット】
【任意整理のデメリット】
信用情報機関のブラックリストに登録されると、今後5年間程度は新たな借入れができなくなります。
同じ債権者からの借金は難しくなるので、将来的に借入れするかもしれない債権者の任意整理は避けたほうがよいでしょう。
また、任意整理は交渉テクニックも必要になるため、交渉が苦手な方は弁護士に依頼することをおすすめします。
【関連記事】任意整理とは?費用やメリット・デメリットを解説
個人再生とは、裁判所に申し立てて借金を5分の1や10分の1に減額してもらい、残額を3年間(最長5年)で返済する方法です。
住宅ローンは減額できませんが、住宅ローン以外の借金が5,000万円以下であれば、最低返済額が10分の1になる可能性もあります。
任意整理と異なり借金の大幅減額になりますが、裁判所へ申し立てる前に以下のメリット・デメリットを比較検討しておきましょう。
【個人再生のメリット】
【個人再生のデメリット】
個人再生の場合は官報(国の機関紙)に掲載されますが、一般の方が購読しているケースは少ないため、周囲に知られる可能性は低いでしょう。
ただし、闇金業者にとっては顧客リストのような情報になるため、個人再生した途端に借金の勧誘電話が増えたり、ポストに大量のチラシが入ったりする場合があります。
また、裁判所を介した手続きになるため、必ずしも個人再生が認められるとは限らず、決着するまでに1年近くかかるケースが一般的です。
専門家以外の対応はかなり難しいので、個人再生を申し立てるときは弁護士にサポートしてもらいましょう。
【関連記事】個人再生とは?基本をわかりやすく解説
裁判所へ申し立てて「支払い不能」の免責を受け、借金全額を免除してもらう方法が「自己破産」です。
自己破産が認められると借金は全てなくなりますが、以下のメリット・デメリットを考慮して決めなければなりません。
【自己破産のメリット】
【自己破産のデメリット】
自己破産は本人だけしか関係しないため、保証人や連帯保証人の返済義務はそのまま残ります。
一部の家財道具や99万円以下の現金、20万円未満の財産は手元に残せますが、自宅や車などの高額財産は換価処分(売却代金を返済に充てる)されてしまいます。
自己破産完了までに3~6ヵ月程度かかり、膨大な提出書類も準備しなくてはなりません。
書類収集だけでもかなりたいへんな作業になるので、自己破産を申し立てるときは必ず弁護士に相談しておきましょう。
【関連記事】自己破産するには何が必要?満たすべき条件や費用などを徹底解説
被相続人が主債務者の連帯保証人になっている場合、相続放棄すれば連帯保証人の地位を引き継ぐことはありません。
ただし、被相続人が生前に借金をしており、その連帯保証人に自分がなっていたときは、相続放棄しても返済義務が残ります。
高額な借金だったときは任意整理や個人再生、自己破産を検討する可能性もあるので、どの解決方法を選択するかも含め、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
連帯保証人の地位を相続しても、すぐに借金の返済を迫られるわけではありません。
主債務者が滞りなく返済していれば問題はないでしょう。
ただし、無事に完済してくれる保証はどこにもないため、常に時限爆弾を抱えているような状況になってしまいます。
親の財産が少なく、預貯金や現金をあきらめても問題ないようであれば、相続放棄を検討してみるべきでしょう。
相続放棄は熟慮期間が短く、財産調査も短期間で済ませなければならないので、困ったときは必ず弁護士に相談してください。