遺留分
孫に遺留分はある?認められるケースと遺留分侵害額請求の手順をわかりやすく解説
2024.08.09
遺言書で指定された遺産配分に極端な偏りがある場合、あなたの遺留分が侵害されている可能性があります。
遺留分が侵害されているときは、侵害している相手(遺産を多くもらっている相手)に返還請求できますが、以下の問題を解決しなければなりません。
しかし、具体的に何をすればいいのかわからず、まずは誰かに相談したいという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、遺留分問題の無料相談窓口や、弁護士に依頼するメリットをわかりやすく解説しますので、不公平な遺産分割を解消したい方はぜひ参考にしてください。
遺留分侵害額請求にお悩みなら、こちらから今すぐ弁護士に無料相談しましょう。
「ベンナビ相続」なら遺産分の問題に注力している弁護士を多数掲載しているので、安心してあなたの悩みにピッタリの弁護士に相談できます。
無料相談はもちろん、平日19時以降・休日相談・電話相談可能な弁護士も多く、あなたのタイミング・ご希望の方法で相談可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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遺留分の侵害があった場合、侵害額の正確な把握や相手との交渉が必要になります。どちらもハードルの高い作業なので、以下の相談窓口6つを利用して専門家に無料相談してみましょう。
遺留分の侵害は時間が経つほど返還請求が難しくなるため、解決を急ぎたい方は弁護士事務所の無料相談を利用してください。
弁護士の法律相談料は一般的に30分5,000円、1時間1万円程度ですが、初回のみ無料としている弁護士が多いので気軽に相談できます。
要点をまとめておけば短時間でも的確なアドバイスを受けられるので、以下の資料を準備しておくとよいでしょう。
遺留分問題に詳しい弁護士は事務所のホームページをみるとわかるので、「相続+自分の住所+弁護士」などのキーワードでネット検索してください。
「1件ずつ調べるのは手間だな」と感じたら、以下のベンナビ相続を活用してみましょう。
ベンナビ相続を活用すると、電話相談や無料相談に対応した弁護士がすぐに見つかります。
自宅や最寄駅に近い弁護士へ相談したい方は、「地域+相談したい内容」で絞り込み検索してみましょう。
ベンナビ相続には以下の情報も掲載されているので、自分に合った弁護士を探しやすくなっています。
相続の相談をする場合、家族や第三者との関係、相続財産などの情報が必要になるため、「身の上話」的な内容になるケースがほとんどです。
家庭事情を打ち明けられる弁護士選びがポイントになるので、プロフィールや顔写真、弁護方針をみて相談しやすい弁護士かどうかをチェックしておきましょう。
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とりあえず相談して専門家の意見を聞いてみたい方は、市区町村の無料法律相談を利用してみましょう。
相談場所は市役所や区役所などの庁舎内、または市役所近くの公共施設などを利用しているケースが多いので、交通の利便もよいでしょう。
相談に乗ってくれる専門家は弁護士や司法書士となっており、主に日常生活で発生する法律問題を受け付けてくれます。
相談日は市役所や区役所ごとに異なっているので、以下の内容を担当窓口に問い合わせるか、市役所ホームページなどで確認してください。
なお、司法書士は紛争解決に対応できないケースがあるので、遺留分侵害の相手と対立している場合、相談を受け付けてもらえない可能性があります。
紛争解決は弁護士の専門分野ですが、担当弁護士の専門が相続ではない場合もあるため、担当者と相談できる内容は必ず確かめておきましょう。
日弁連(日本弁護士連合会)の法律相談センターは全国約300カ所に設置されており、相続争いや遺留分などの相談に乗ってくれます。身近な弁護士を紹介してもらえるので、どこに相談してよいかわからない方は利用してみましょう。
相談場所は主に各地域の弁護士会館となっており、基本的に有料相談ですが、一部の地域・場所では無料相談も受け付けています。
都市部ではオフィスビルや商業施設内(デパートなど)にも相談センターが設置されているので、仕事の休憩時間を利用した法律相談もできるでしょう。
日弁連公式サイトには「ひまわり相談ネット」のウェブ予約システムがあり、弁護士との面談日をいつでも予約できます。
ひまわりお悩み110番(0570-783-110)を使った電話予約もできるので、日時を指定して弁護士に相談したい方は利用してください。
【参考】日弁連の法律相談センター
法テラス(日本司法支援センター)とは、各都道府県に設置された法務省所管の法律相談窓口です。
収入や資産が少ない方は法テラスの民事法律扶助制度を使えるので、弁護士への相談が3回まで無料となり、弁護士費用の立替払いにも応じてもらえます。
なお、無料相談や分割払いを利用するときは、以下のように民事法律扶助制度の要件を満たす必要があります。
相談方法は直接面談、電話・メール相談となりますが、相談に乗ってくれる弁護士を指定できないため、遺留分の解決に詳しくない弁護士が担当する場合もあります。
担当弁護士も毎回同じではないので、アドバイスの内容が途中で変わってしまい、どちらがベストな提案なのかわからなくなる可能性もあるでしょう。
そのため、遺留分に詳しい弁護士を確実に選びたい方は、日弁連の法律相談センターやベンナビ相続を利用してみるとよいでしょう。
【参考】法テラス(日本司法支援センター)
遺留分の問題だけに限らず、相続全般の相談をしたい方は遺産相続無料相談センターを利用してみましょう。
一都三県(東京・千葉・埼玉・神奈川)の方に限定されますが、相続専門のコンサルタントが相談に対応し、必要に応じて弁護士や司法書士を紹介してくれます。
無料相談は1時間程度の直接面談のみとなっており、事前にメールや電話で予約するため、相談日時を指定したい方にはおすすめです。
遺産相続無料相談センターJR神田駅(東京都千代田区)から徒歩圏内なので、東京都内や都内近郊の方は利用しやすいでしょう。
なお、相談者の住所が一都三県以外でも、遺留分を侵害している相手や相続財産となる不動産の住所地が一都三県であれば、相談に乗ってもらえるケースもあります。
士業(弁護士、司法書士、税理士など)との連携がスムーズなので、遺留分以外の問題も同時解決できるでしょう。
【参考】遺産相続無料相談センター
遺留分は一定範囲の相続人だけに認められているので、自分に請求権があるかどうか、どういう状況が遺留分侵害になるのか理解しておきましょう。
遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められており、被相続人(亡くなった方)と以下の関係にある人が遺留分権利者となります。
民法で定められた相続人を法定相続人といい、配偶者は必ず法定相続人になります。
配偶者以外の法定相続人は相続順位が決められており、被相続人に子どもがいる場合、順位が下位となる父母は相続人になれません。
従って、直系尊属(父母など)の遺留分は被相続人に子どもがいないときに発生します。
なお、被相続人よりも先に子どもが亡くなっていた場合、孫がいれば子ども(自分の親)の相続権を引き継ぐ代襲相続が発生するので、孫が遺留分権利者になります。
代襲相続ではありませんが、被相続人の父母の両方が亡くなっていても、祖父母がいれば直系尊属として法定相続人となり、遺留分も発生します。
民法では遺産分割の目安となる法定相続分を定めており、遺留分は基本的に法定相続分の1/2となります。まず、法定相続分がどれだけの割合になるか理解しておきましょう。
【各相続人の法定相続分】
【各相続人の遺留分】
遺留分の割合は相続パターン(誰が相続人になるか)によって変わるので、法定相続人を間違えないように注意しましょう。
遺留分には以下の3種類の時効があり、時効完成(遺留分請求権の消滅)の到来が早いので注意しなければなりません。
時効の起算点(起算日)も重要となるので、具体的な内容をみていきましょう。
遺留分を請求する権利を遺留分侵害額請求権といい、以下の両方を知ったときから1年で時効となります。
たとえば、被相続人が1月1日に亡くなり、1月5日に遺言書を開封して遺留分の侵害を知った場合、1月5日が時効の起算点になります。
遺留分侵害額請求権を行使しないと1年間で時効となり、遺留分は取り返せなくなるので注意しましょう。
なお、遺言書が自筆証書遺言(手書きの遺言書)であれば、開封前に家庭裁判所の検認が必要になるため、遺留分の侵害を知るタイミングはもう少し遅くなるでしょう。
遺留分の侵害があったことを知らなかった場合でも、相続開始から10年経過(除斥期間の経過)すると遺留分侵害額請求権は消滅します。
通常、内容証明郵便などを送付すれば時効のカウントが一時的に停止し、完成猶予され、調停などの手続きによって時効の更新や中断(時効のリセット)も可能です。
ただし、除斥(じょせき)期間には停止(完成猶予)や中断(更新)の概念がないので、遺留分侵害を知った日が相続開始から10年後であれば、すでに遺留分侵害額請求権は消滅しています。
除斥期間とは、民法で定められた「権利を行使できる期間」のことであり、中断や停止される方法がなく、自動的にカウントが進むので注意しましょう。
内容証明郵便などによって遺留分侵害額請求権を行使しても、その後5年間何もしなければ、金銭支払請求権の時効が完成します。この点は、旧遺留分減殺請求権のときとは異なっているので注意が必要です。
遺留分の請求権とは異なる権利であり、時効の起算点は「遺留分侵害額請求権を行使した日」になるので、それぞれの時効完成に注意しなければなりません。2020年4月1日には法改正もあったため、金銭支払請求権は以下のように時効完成までの期間が分かれています。
なお、相手に内容証明郵便を送付しても金銭支払請求権の時効は止まらないため、以下のように対処する必要があります。
相手が遺留分の返還を承諾すると時効はリセットされますが、5年後にはまた時効が到来するので、スケジュール管理に気を付けましょう。
遺留分侵害額を請求する場合、相手が返還を承諾しても口先だけのケースがあるので注意しなければなりません。確実に支払ってもらうためには、以下の方法を検討してください。
遺留分の侵害額が高額だったときは、相手に分割払いや支払期限の延長を提案してみましょう。ただし、相手が約束を守らない可能性もあるので、法的に有効な契約書を作成しなければなりません。
たとえば、分割払いにするときは以下の内容を取り決めておく必要があります。
法的効力がなければ相手が従わない可能性もあるので、弁護士に契約書を作成してもらい、公証役場で公正証書にしておくとよいでしょう。公正証書は法律の専門家である公証人が作成するため、法的効力を有した契約書を作成できます。
公証役場は市役所や区役所とは異なるので、以下のリンクを参考にしてください。
【参考】公証役場一覧(日本公証人連合会)
遺留分を侵害している相手とは対立関係になりやすいので、返還に応じてもらえないときは弁護士に交渉を依頼しましょう。弁護士に依頼すると相手も「訴訟されるかもしれない」と考え、支払いに応じやすくなります。
当事者同士で交渉するとケンカ別れになりやすく、交渉再開の目途が立たなくなる可能性があるので、最初から弁護士に対応してもらうのが安心です。
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遺留分請求の交渉が決着しないときは、家庭裁判所を介した調停を検討してみましょう。
調停は話し合いによる解決手段であり、調停委員に対して自分の意見を主張するので、相手と顔を突き合わせることがほとんどありません。調停が成立すると調停調書が作成され、遺留分の問題も決着となります。
なお、調停が不成立になったときは裁判に移行するため、遺留分請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円超であれば地方裁判所へ訴訟を提起します。
訴状が受理されると裁判開始になりますが、一般的には判決の前に和解の場が設けられます。和解が成立すれば和解調書の作成となり、不成立だった場合は裁判官の判決が下されるので、判決内容に従わなければなりません。
相手が判決にも従わないようであれば、以下の強制執行も視野に入れましょう。
調停や裁判を経て調停調書などが作成されていれば、裁判所へ強制執行の申し立てができるので、相手の給料や財産を差し押さえて遺留分を回収できます。
ただし、差し押さえ可能な財産がいくらあるか調べる必要があり、相手との関係もほぼ確実に破たんするので、実行するかどうか慎重に検討しなければなりません。
判断に迷ったときは、遺留分問題に詳しい弁護士へ相談しておきましょう。
遺留分の侵害を逆の立場からみると、相手は「遺言書どおりに相続した自分の財産」と思っていますから、請求しても簡単には支払いに応じないでしょう。
金額の妥当性を疑って支払いを拒否する、またはあなたとの接触を避けて時効完成を狙うケースも想定されます。しかし、弁護士に依頼すれば以下のメリットがあるため、遺留分を取り戻せる可能性が高くなります。
弁護士には相続財産の調査を依頼できるので、遺留分の侵害額を正確に把握できます。
遺留分侵害額は遺産総額(相続財産の合計額)をベースに計算するので、財産調査を漏らすと、本来の侵害額よりも低い金額を算出することになるでしょう。
相続問題に詳しい弁護士は財産調査も得意なので、ネット口座の預金や株式など、相続人に知らされていない財産も見つけてくれます。
相続財産の調査と関連しますが、弁護士は不動産などの評価額に関する資料を収集し、これを計算してくれるので、正確な遺留分侵害額がわかります。
土地や非上場株式は評価が難しいため、素人が計算すると金額の妥当性を疑われてしまい、支払いに応じてもらえなくなる可能性があります。
しかし、弁護士に依頼すると正確な評価額がわかり、算出根拠も示してくれるので、相手も妥当性を疑う余地がなくなるでしょう。
遺留分侵害額には以下の生前贈与なども考慮しなければなりませんが、弁護士に依頼すると正確に計算してくれます。
基本的に遺留分侵害に関する生前贈与は全て把握しなければならず、特別受益(婚姻費用の贈与など)は判断が難しいので、弁護士に計算してもらうことをおすすめします。
弁護士は適切な方法で時効の完成を阻止してくれるので、遺留分侵害額請求権の消滅を回避できます。
遺留分の請求は口頭でも構いませんが、請求権を行使した証拠が残らないため、一般的には内容証明郵便を送付します。不慣れな方が対応すると文面に迷ってしまうことが多く、請求権の行使が遅くなりやすいため、いつの間にか時効完成の直前になっているケースがあります。
しかし、遺留分問題に詳しい弁護士は内容証明郵便の作成が早く、スケジュール管理もしてくれるため、時効の完成は確実に阻止できるでしょう。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すると、相手が返還に応じる可能性が高くなります。
自分で対応すると以下の状況になりやすいため、相手との交渉は弁護士に任せた方がよいでしょう。
弁護士は交渉のプロフェッショナルなので、効果的なアプローチで相手を納得させてくれます。今後も付き合いの続く親族であれば、関係を悪化させないように交渉してくれるでしょう。
自分で遺留分を請求した場合、のらりくらりの態度で交わされてしまう可能性もありますが、弁護士が関与すると相手も裁判を警戒するでしょう。
相手にとって調停や裁判はデメリットしかないため、「申し立てや訴訟の前に支払った方が得策」と考えてくれる可能性が高くなります。
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遺留分の請求には特殊な事情が関係することもあるので、以下のQ&Aも知っておいてください。2018年の法改正も理解しておくとよいでしょう。
認知されていない子どもを非嫡出子(ひちゃくしゅつし)といい、父親が亡くなったときの相続人にはなれないため、遺留分もありません。
非嫡出子が父親の相続人になる場合、生前に認知されている、または遺言書で認知されている(遺言認知)必要があります。
ただし、父親の死後3年以内であれば、死後認知の訴訟を提起できます。検察官を被告とした裁判になり、DNA鑑定が必要になるケースもあるので、まず弁護士に相談しておくべきでしょう。
2018年の法改正により、遺留分は原則として現金返還になっています。
改正前は現物返還だったため、不動産相続で遺留分の侵害が発生した場合、相手と自分の持分に応じた共有状態になるケースもありました。
現在は現金返還を請求できますが、相手がすぐにお金を用意できない可能性もあるため、裁判所への申し立てで支払猶予が認められる場合もあります。
被相続人への特別な貢献を特別寄与といい、相続財産の増加や維持などに貢献した人を特別寄与者(または寄与者)といいます。
遺留分の計算には特別寄与を考慮しないため、遺留分を侵害している人が特別寄与者になった場合でも、請求できる遺留分侵害額が変わることはありません。
相手と和解できても、遺留分の支払いが確実になるわけではありません。
すぐに調停を申し立てても構いませんが、まず和解契約書を2部作成して相手と取り交わしてください。和解契約書には相手との合意内容を記載するので、弁護士に原案を考えてもらい、公正証書にするとよいでしょう。
公正証書にすると相手も無視するわけにはいかなくなり、裁判に発展した場合でも自分の立場が有利になります。
遺留分は民法で保障された最低限の取り分となるので、相手が返還に応じてくれなくても諦めずに交渉を続けましょう。
ただし、正しい手順を踏んでおかなければ時効が完成するため、適切かつスピーディな対応が必要です。
遺留分侵害額の計算や相手との交渉も必要になりますが、弁護士に依頼すれば全て対応してくれるので、ストレスなく遺留分の問題を解決できるでしょう。
「よく調べたら時効が間近に迫っていた!」という方は、ベンナビ相続で素早く弁護士を見つけてください。
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