交通事故の後遺障害等級とは?症状別等級と慰謝料・逸失利益の目安を解説

交通事故の後遺障害等級とは?症状別等級と慰謝料・逸失利益の目安を解説
この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

交通事故によるケガが完治せず、後遺症が残った場合、加害者に対して後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。

後遺障害慰謝料・逸失利益の請求に当たって、重要となるのが「後遺障害等級」の認定です。

認定される後遺障害等級によって、後遺障害慰謝料・逸失利益の金額が大きく変わるので、適正な等級の認定を受けられるように準備を進めましょう。

この記事では、後遺症の症状ごとに認定される後遺障害等級の一覧や、等級別の後遺障害慰謝料・逸失利益の目安などを解説します。

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後遺障害等級とは?

後遺障害等級とは、交通事故による後遺症について、損害保険料率算出機構によって認定される等級をいいます。

要介護の後遺障害について1級・2級、通常の後遺障害について1~14級の、計16等級が存在します。

認定される後遺障害等級によって、被害者が請求できる後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わるので、適正な等級の認定を受けることがきわめて重要です。

後遺障害等級認定の申請は、医師により「症状固定(※)」の診断が行われた後に行います。

※症状固定
これ以上治療をしても、症状の改善が見込めないと医学的に判断された状態

部位別の後遺障害等級一覧

後遺障害等級は、後遺症の発生した部位や症状の内容・重さなどに応じて、後遺障害等級表に従って認定されます(後遺障害等級表|国土交通省)。

以下では、後遺障害等級を部位ごとに分類しましたので、ご自身やご家族の症状がどの等級に当てはまるかの参考としてください。

眼の後遺障害等級

後遺障害等級 眼の後遺障害の内容
1級 両眼が失明したもの
2級 ・1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
・両眼の視力が0.02以下になったもの
3級 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
4級 両眼の視力が0.06以下になったもの
5級 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
6級 両眼の視力が0.1以下になったもの
7級 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
8級 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの
9級 ・両眼の視力が0.6以下になったもの
・1眼の視力が0.06以下になったもの
・両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの
・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
10級 ・1眼の視力が0.1以下になったもの
・正面を見た場合に複視の症状を残すもの
11級 ・両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
・両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
・1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
12級 ・1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
・1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
13級 ・1眼の視力が0.6以下になったもの
・正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
・1眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの
・両眼のまぶたの一部に欠損を残しまたはまつげはげを残すもの
14級 1眼のまぶたの一部に欠損を残しまたはまつげはげを残すもの

口の後遺障害等級

後遺障害等級 口の後遺障害の内容
1級 咀嚼および言語の機能を廃したもの
3級 咀嚼または言語の機能を廃したもの
4級 咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの
6級 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの
9級 咀嚼および言語の機能に障害を残すもの
10級 ・咀嚼または言語の機能に障害を残すもの
・14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級 ・7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
・味覚を脱失したもの
13級 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級 ・3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
・味覚を減退したもの

耳の後遺障害等級

後遺障害等級 耳の後遺障害の内容
4級 両耳の聴力を全く失ったもの
6級 ・両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
・1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7級 ・両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
・1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
9級 ・両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
・1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
・1耳の聴力を全く失ったもの
10級 ・両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
・両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
・1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
11級 ・両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
・1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
12級 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
14級 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

鼻の後遺障害等級

後遺障害等級 鼻の後遺障害の内容
9級 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
12級 嗅覚を脱失し、または鼻呼吸困難が存するもの
14級 嗅覚の減退するもの

見た目(醜状障害)の後遺障害等級

後遺障害等級 醜状障害の内容
7級 外貌に著しい醜状を残すもの
9級 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級 外貌に醜状を残すもの
14級 ・上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
・下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

内臓・生殖器の後遺障害等級

後遺障害等級 内臓・生殖器の後遺障害の内容
1級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級 腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級 ・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
・両側の睾丸を失ったもの
9級 ・胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
・生殖器に著しい障害を残すもの
11級 胸腹部臓器に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
13級 胸腹部臓器に障害を残すもの

背骨などの体幹骨の後遺障害等級

後遺障害等級 脊柱・体幹骨の後遺障害の内容
6級 脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
8級 脊柱に運動障害を残すもの
11級 脊柱に変形を残すもの
12級 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの

手足の後遺障害等級

後遺障害等級 手足の後遺障害の内容
1級 ・両上肢を肘関節以上で失ったもの
・両上肢の用を全廃したもの
・両下肢を膝関節以上で失ったもの
・両下肢の用を全廃したもの
2級 ・両上肢を手関節以上で失ったもの
・両下肢を足関節以上で失ったもの
3級 両手の手指の全部を失ったもの
4級 ・1上肢を肘関節以上で失ったもの
・1下肢を膝関節以上で失ったもの
・両足をリスフラン関節以上で失ったもの
・両手の手指の全部の用を廃したもの
5級 ・1上肢を手関節以上で失ったもの
・1上肢の用を全廃したもの
・1下肢を足関節以上で失ったもの
・1下肢の用を全廃したもの
・両足の足指の全部を失ったもの
6級 ・1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
・1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
・1手の5の手指またはおや指を含み4の手指を失ったもの
7級 ・1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
・1足をリスフラン関節以上で失ったもの
・1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
・1手のおや指を含み3の手指を失ったもの、またはおや指以外の4の手指を失ったもの
・1手の5の手指またはおや指を含み4の手指の用を廃したもの
・両足の全部の用を廃したもの
8級 ・1上肢に偽関節を残すもの
・1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
・1下肢に偽関節を残すもの
・1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
・1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
・1手のおや指を含み2の手指を失ったもの、またはおや指以外の3の手指を失ったもの
・1手のおや指を含み3の手指の用を廃したものまたはおや指以外の4の手指の用を廃したもの
・1足の足指の全部を失ったもの
9級 ・1手のおや指またはおや指以外の2の手指を失ったもの
・1手のおや指を含み2の手指の用を廃したものまたはおや指以外の3の手指の用を廃したもの
・1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
・1足の足指の全部の用を廃したもの
10級 ・1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
・1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
・1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
・1手のおや指またはおや指以外の2の手指の用を廃したもの
・1足の第1の足指または他の4の足指を失ったもの
11級 ・1手のひとさし指、なか指またはくすり指を失ったもの
・1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
12級 ・長管骨に変形を残すもの
・1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
・1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
・1手のこ指を失ったもの
・1手のひとさし指、なか指またはくすり指の用を廃したもの
・1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったものまたは第3の足指以下の第3の足指を失ったもの
・1足の第1の足指または他の4の足指の用を廃したもの
13級 ・1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
・1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
・1手のこ指の用を廃したもの
・1足の第3の足指以下の1または2の足指を失ったもの
・1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したものまたは第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
14級 ・1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
・1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
・1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの

神経系統の後遺障害等級

後遺障害等級 神経系統の後遺障害の内容
1級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級 局部に神経症状を残すもの

後遺障害等級別|後遺障害慰謝料の金額は?

後遺障害を負ったことにより被った精神的な損害は、「後遺障害慰謝料」によって補償されます。

後遺障害慰謝料の金額は、基本的に後遺障害等級によって定まりますが、その際3つの算定基準が存在することに注意が必要です。

慰謝料算定の3つの基準について

後遺障害慰謝料を算定する基準には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つが存在します。

  1. 自賠責保険基準
    被害者に対して最低限の補償を提供する、自賠責保険から支払われる保険金を算定する基準です。
  2. 任意保険基準
    加害者側の任意保険会社が独自に設定している、保険金額の算定基準です。
  3. 弁護士基準(裁判所基準)
    裁判例に基づき、被害者に生じた客観的な損害額を計算するための基準です。

後遺障害慰謝料の金額は、自賠責保険基準がもっとも低く、弁護士基準(裁判所基準)がもっとも高くなります。

被害者としては、本来弁護士基準(裁判所基準)による後遺障害慰謝料を請求する権利があります。

しかし加害者側の任意保険会社と示談交渉を行う際には、任意保険基準によって算定された慰謝料額を提示される可能性が高いので、任意保険会社の言い分を鵜呑みにしてはいけません。

弁護士基準(裁判所基準)による損害賠償を請求するためには、弁護士に依頼するのがスムーズですので、お早めにご相談ください。

等級別|後遺障害慰謝料(自賠責保険基準・弁護士基準)

後遺障害等級ごとの、自賠責基準・弁護士基準(裁判所基準)による後遺障害慰謝料の金額は、以下のとおりです(任意保険基準は非公開)。

後遺障害等級 自賠責基準 1級(要介護含む) 1,100万円 2,800万円
2級(要介護含む) 958万円 2,370万円
3級 829万円 1,990万円
4級 712万円 1,670万円
5級 599万円 1,400万円
6級 498万円 1,180万円
7級 409万円 1,000万円
8級 324万円 830万円
9級 245万円 690万円
10級 187万円 550万円
11級 135万円 420万円
12級 93万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

このように、等級が一つ違うだけでも金額が大きく異なるので、適正な等級の認定が受けられるように準備を整えましょう。

後遺障害等級別|逸失利益の算定方法

交通事故後に後遺障害が残ったケースにおいて、後遺障害慰謝料と並んで高額の賠償を請求できる項目が「逸失利益」です。

逸失利益は、後遺障害により労働能力の全部または一部が失われた場合に、将来得られるはずだった収入を補填する性質を持ちます。

後遺障害による逸失利益の計算式

逸失利益の金額は、以下の式によって算定されます。

逸失利益=1年当たりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

※1年当たりの基礎収入は、基本的に事故前の年収の実額がベースとなります。専業主婦の方も、賃金センサスの平均データをベースとして、逸失利益を請求することが可能です。
※労働能力喪失期間とライプニッツ係数については、国土交通省HPの係数表を参照(就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省)。
※軽微な後遺障害については、労働能力喪失期間が限定されるケースがあります(5年や10年など)。

等級別|労働能力喪失率

労働能力喪失率は、認定される後遺障害等級によって、以下のとおり目安が存在します。

後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 33%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

逸失利益の金額は、将来にわたる生涯賃金をベースに計算されるため、パーセンテージによって大きく変動します。

十分な逸失利益の損害賠償を受けるためにも、適正な後遺障害等級の認定を受けることが大切です。

まとめ

交通事故によるケガの治療後に後遺症が残った場合、症状に応じて後遺障害等級の認定が受けられます。

認定される後遺障害等級によって、慰謝料と逸失利益の金額が大きく変わるので、きちんと準備を整えて等級認定の申請を行いましょう。

弁護士に相談すれば、申請に必要な書類等の準備に関するサポートを受けられます。

交通事故の被害に遭い、後遺障害が残ってしまいそうな方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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この記事の調査・編集者
みぞ
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。