交通事故の慰謝料はいくらもらえる?相場や慰謝料請求の注意点

交通事故の慰謝料はいくらもらえる?相場や慰謝料請求の注意点
目次
  1. 慰謝料の金額を決める3つの基準
    1. 自賠責基準
    2. 任意保険基準
    3. 弁護士基準
  2. 交通事故の入通院慰謝料相場|入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料とは
    1. 自賠責基準の入通院慰謝料
    2. 任意保険基準の入通院慰謝料
    3. 弁護士基準の入通院慰謝料
  3. 入通院慰謝料についての注意ポイント
    1. 必ず病院へ通院する
    2. 定期的に通院する
    3. 完治もしくは症状固定まで通院する
  4. 交通事故の後遺障害慰謝料
    1. 自賠責基準の後遺障害慰謝料
    2. 任意保険基準の後遺障害慰謝料
    3. 弁護士基準の後遺障害慰謝料
  5. 後遺障害慰謝料についての注意ポイント
    1. 継続的に通院する
    2. 必要な検査を受ける
    3. 後遺障害診断書は正確に記載してもらう
    4. 後遺障害の認定は被害者請求で行う
  6. 交通事故の死亡慰謝料
    1. 自賠責基準の死亡慰謝料
    2. 任意保険基準の死亡慰謝料
    3. 弁護士基準の死亡慰謝料
  7. 死亡慰謝料についての注意ポイント
    1. 死亡慰謝料には2種類ある
    2. 死亡慰謝料は法定相続分で分配される
  8. 慰謝料が増額するケース・減額するケース
    1. 増額するケース
    2. 減額するケース
  9. 慰謝料以外に請求できる損害賠償金
    1. 積極損害
    2. 消極損害
  10. 慰謝料請求は弁護士に依頼しよう
    1. 弁護士基準での慰謝料請求が可能になる
    2. 後遺障害の等級認定につながりやすい
    3. 慰謝料以外の賠償金も適切に請求できる
    4. 保険会社と自分自身で交渉せずにすむ
  11. まとめ

交通事故被害者になると、加害者に対して「慰謝料」の請求が可能な場合があります。しかし、交通事故に遭うことは頻繁にはないでしょうし、どれくらい慰謝料が請求できるのか理解している人は多くはないでしょう。

入院や通院をして一定期間経つと加害者側の保険会社から慰謝料を含む賠償額を提示されることが通常ですが、このとき「これが適切な保険金かわからない」「本当はもっとお金をもらえるんじゃないの?」と不安になってしまっても不思議ではありません。

実は、交通事故に関する慰謝料には基準や計算方法があります。くわしくは後述しますが、一般的に保険会社が提示する慰謝料の金額は裁判をした場合に認められる慰謝料よりも低い傾向にあります。

つまり、保険会社の提示をそのまま受け入れてしまった場合、適切な慰謝料額を受け取れない可能性があるのです。

そこでこの記事では、慰謝料はどういった基準をもとに決定されるのか、どのようにして慰謝料は算出されるのかといった基本的なことから、慰謝料請求の注意点、適切な慰謝料額を獲得するためにやるべきことなどを解説します。交通事故の被害に遭われて疑問をお持ちの方は参考にしてください。

弁護士に依頼をすると、慰謝料の増額や後遺障害認定の獲得、適切な過失割合の獲得などが望めます。交通事故に関するお悩みを抱えている方は、交通事故弁護士ナビで弁護士を検索の上、まずはご相談ください。

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慰謝料の金額を決める3つの基準

慰謝料とは、「精神的な苦痛を慰謝するための損害賠償」のことです。分かりやすく言い換えると、交通事故被害によって受けた精神的苦痛に対して支払われる補償と表現できるでしょう。

慰謝料は、治療費、休業損害、入院雑費などと同様に示談金の一部として扱われます。

精神的な苦痛を金銭に換算するのは一般的に困難ですが、交通事故においては算定を公平・公正に行うために3つの算定基準が設けられています。それぞれ「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」と呼ばれます。

ここでは、それぞれの基準がどういったものか、どういった場合に用いられるのかについて確認しておきましょう。

自賠責基準

自賠責基準とは、自賠責保険で慰謝料を算定するときに使われている基準です。自賠責保険は自動車を運転するときに加入が義務付けられる保険で、自賠責基準は法令で定められた最低限度の補償を行うことを目的とした基準です。

自賠責基準では事故を迅速に処理するための簡易な計算をもって慰謝料を算出します。そのため、十分な慰謝料額が算出されるものではなく、3つの中で最も金額が低い基準となっています。

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が設定している独自の基準です。任意保険会社はそれぞれで蓄積したデータを保有しており、その積み重ねによって独自に慰謝料額を算出しています。任意保険会社ごとに大きな差があるわけではありませんが、まったく同じ慰謝料になるということでもありません。

任意保険基準は、多くの場合、自賠責保険よりわずかに高い金額にしかなりません。自賠責基準に次いで低い基準で、次に紹介する弁護士基準より低く設定されているのが通常です。

弁護士基準

弁護士基準とは、弁護士が慰謝料を算出する際に用いる基準のことです。裁判例を参考にした基準で、裁判をした場合にも用いられるため裁判基準とも呼ばれています。通常、3つの基準のなかで最も高額で、納得度の高い慰謝料を算定できるものだといえるでしょう。

あなた自身で保険会社と交渉した場合、保険会社から弁護士基準を用いて金額を提示されることはまずないと思ってよいでしょう。

そのため、もし弁護士基準での慰謝料請求をしたい場合には、弁護士に対応を依頼するべきです。

交通事故の入通院慰謝料相場|入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料とは

ここからは、交通事故で加害者側に請求できる慰謝料について確認していきましょう。交通事故で受け取れる慰謝料には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」がありますが、まずは「入通院慰謝料」にフォーカスを当てます。

入通院慰謝料とは、交通事故で怪我を負いその治療のために入院や通院を強いられたことに対する慰謝料です。金額は入通院をした期間によって決定されるのが通常です。

ここでは、3つの基準ごとの入通慰謝料の算出方法を確認してみましょう。

自賠責基準の入通院慰謝料

自賠責基準の入通院慰謝料は治療日数によって変わり、次の計算によって求めます。

自賠責基準の入通院慰謝料計算式

4,300円×日数(※)
※日数に関しては次のうち短い方が適用される

①治療した期間(事故発生からケガの完治日もしくは症状固定日まで)
②入通院した日数(入院日数+実際に通院した日数)×2
(★) 2020年3月31日以前に発生した事故については4,200円×日数が適用されます。

①の治療した期間とは、実際に病院に通っていた通院期間のことをいいます。一方、②の入通院した日数は、実際に病院に入通院した実日数のことです。

たとえば、最初に通院した日が4月1日、最後に通院した日が4月30日で、その期間で病院に10回行ったとしましょう。このときの①の「治療した期間」は30日、「入通院した日数×2」は20日ということになり、このケースでは②が採用されることになります。

入通院慰謝料の計算例

例えば次のようなケースでの自賠責基準での慰謝料額を求めてみましょう。

この場合、①の治療期間は80日ですが、②の入通院した日数は60日(40日+20日)で×2の120日が基準となります。したがって、①の基準が採用され、入通院慰謝料は以下のようになります。

自賠責基準の入通院慰謝料=4,300円×80日=34万4,000円

つまりこのケースでの自賠責基準の慰謝料額は34万4,000円です。

任意保険基準の入通院慰謝料

任意保険基準の入通院慰謝料は、通院期間と入院期間の合計によって算出されます。期間に応じてある程度金額が決まっており、その期間に応じて慰謝料額が決定されます。

任意保険会社が独自に決めていますので正確な金額は各保険会社によって異なります。もっとも、かつて保険会社が用いていた次の「旧任意保険支払い基準」が相場の目安にはなります。

【任意保険基準の入通院慰謝料表(単位:万円|推定)】

縦を通院期間、横を入院期間とし、1月を30日として慰謝料額を算出します。たとえば、入院期間が0日、通院期間が30日だった場合は12万6,000円、入院期間が60日、通院期間が120日だった場合は89万4,000円となります。

なお、入院期間や通院期間で端数が出る場合については、端数分が該当する月の額と、その前の月の額の差額を、端数日額分を日割り計算して、前の月分の額と合算して慰謝料を求めます。次の例で詳しく見てみましょう。

任意保険基準の入通院慰謝料計算例1|通院期間が45日

入院期間なし、通院期間が45日の場合、2月の端数分は15日となります。2月の通院慰謝料は25万2,000円、1月の通院慰謝料は12万6,000円ですから、差額を取って日割計算すると次のようになります。

(25万2,000円-12万6,000円)×15/30日=6万3,000円

そして、前の分と合計すると次の通りです。

12万6,000円+6万3,000円=18万9,000円

よって、上記の表を前提に通院期間が45日の場合の任意保険基準での慰謝料を計算すると、18万9,000円となります。

任意保険基準の入通院慰謝料計算例2|入院期間40日・通院期間40日

入院も端数、通院も端数のケースでも、慰謝料額の求め方に違いはありません。1月あたりを30日として、入院期間、通院期間ごとに日割計算を行います。入院40日、通院40日のケースでは、まず入院40日、通院30日の慰謝料を求め、次に入院40日、通院60日の慰謝料を求めます。最後に差額分について通院分を日割り計算して求め、合算して慰謝料額を求めます。

具体的に計算してみましょう。まずは、入院40日、通院30日の慰謝料を求めます。

37万8,000円+(63万円-37万8,000円)×10/30日=46万2,000円

次に、入院40日、通院60日の慰謝料を求めます。

50万4,000円+(73万円-50万4,000円)×10/30日=57万9,333円(※)

最後に、入院40日、通院40日の慰謝料を求めます。

46万2,000円+(57万9,333円-46万2000円)×10/30日=50万1,111円

よって、入院40日、通院40日の場合の入通院慰謝料は50万1,111円となります。

(※)端数計算の決まりはありませんが、四捨五入か切り上げることが多いようです。

弁護士基準の入通院慰謝料

弁護士基準の入通院慰謝料も、入院期間と通院期間に応じて金額を算出します。求め方は任意保険基準のケースと同じですが、前述の通り弁護士基準の方が慰謝料額は高くなっています。

また、弁護士基準では通常のケースと軽傷(むちうち・打撲・すり傷など)のケースの2種類があり、受傷の状態によって用いられる算定表が異なりますので注意しましょう。

【弁護士基準の入通院慰謝料表(単位:万円|通常)】

【弁護士基準の入通院慰謝料表(単位:万円|軽傷)】

参考:赤い本(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)

任意保険基準との違いが分かりやすいように、同じ条件での弁護士基準の入通院慰謝料を求めてみましょう。

弁護士基準の入通院慰謝料計算例|入院期間40日・通院期間40日

弁護士基準でも、1月あたり30日として、入院期間、通院期間ごとに日割計算を行って慰謝料を求めるのに違いはありません。ここでは、通常の方の算定表を用いて計算してみましょう。

まずは、入院40日、通院30日の慰謝料を求めましょう。次の通りとなります。

77万円+(122万円-77万円)×10/30日=92万円

次に、入院40日、通院60日の慰謝料を求めます。

98万円+(139万円-98万円)×10/30日=111万6,667円

最後に、入院40日、通院40日の慰謝料を求めましょう。

92万円+(111万6,667円-92万円)×10/30日=98万5,556円

よって、このケースでの弁護士基準での慰謝料額は98万5,556円となります。同じ条件での任意保険基準での慰謝料計算例が50万1,111円です。

任意保険基準の方はあくまで推定ですが、弁護士基準と比べると大きな差がでることがわかっていただけるでしょう。

【関連記事】通院慰謝料の計算手順と高額な慰謝料を請求する為に知っておくべきこと

入通院慰謝料についての注意ポイント

入通院慰謝料を適切に請求するためにはいくつかのポイントがあります。具体的には次の3つが挙げられるでしょう。

交通事故の慰謝料請求では、怪我が事故によるものであるという因果関係を示さなければなりません。そのために上記のポイントを抑える必要があるのです。ここでは、それぞれの内容を簡単に見てみましょう。

必ず病院へ通院する

事故で怪我を負った場合には、必ず病院へ通院しましょう。自己判断で接骨院や整骨院、カイロプラクティック、整体院のみに通うのは避けてください。損害賠償を請求するには医師の診断が重要となるからです。

病院を受診する際には怪我の原因が交通事故であることのほか、どういった症状があるかを細かく医師に伝え、診断書を作成してもらいましょう。細かいことであっても慰謝料額の算定に関係する可能性があります。気になったことはすべて医師に伝えるようにしてください。

定期的に通院する

仕事の都合などで、定期的な通院をやめてしまうケースもありますが、これは避けてください。入通院慰謝料は入院期間・通院期間をもとに算出されますが、定期的・継続的な通院をしていないと治療の必要がないと判断され、相手保険会社から十分な慰謝料を支払ってもらえない可能性があるからです。

もっとも、必要以上に通院する必要はありません。医師の判断を仰ぎながら、適切な頻度で通院するようにしましょう。

完治もしくは症状固定まで通院する

怪我の症状が治まってきたからといって、自己診断で通院を止めないようにしましょう。お伝えしている通り、入通院慰謝料は入院や通院の期間に応じて支払われます。また、期間の対象は完治または症状固定(※)までです。

自己診断で通院をやめてしまうと、その時点で完治もしくは症状固定したと判断され、本来受け取れる慰謝料から減額されてしまう可能性があるからです。

なお、完治や症状固定については、本人の訴えや症状などを踏まえて医師が判断します。保険会社側から症状固定を打診されることがありますが、直ちに応じる必要はありません。

(※)症状固定
怪我が治っておらず症状はあるものの、治療を続けてもその効果が期待できなくなった状態。

交通事故の後遺障害慰謝料

次に、後遺障害慰謝料について確認してみましょう。

後遺障害(後遺症)とは、治療後であっても完治せず、将来にわたり体に症状が残ることをいいます。簡単に言い換えると、事故後の怪我が完治せず、障害として残ったものです。そして後遺障害慰謝料とは、後遺障害についての精神的な損害に対する補償のことです。

後遺障害は、高次脳機能障害からむち打ち症まで、その内容によって、1級~14級の等級が定められています。基準ごとに慰謝料額は異なりますが、等級に応じて慰謝料額が変動するという点は同じです。

ここでは、各基準の後遺障害慰謝料について確認してみましょう。

自賠責基準の後遺障害慰謝料

自賠責基準における後遺障害慰謝料額です。後遺障害の等級に応じで慰謝料額が決定されます。

等級 自賠責基準の後遺障害慰謝料
第1級 1,150万円(1,100万円)
※介護を要する場合、1,650万円(1,600万円)
第2級 998万円(958万円)
※介護を要する場合、1,203万円(1,163万円)
第3級 861万円(829万円)
第4級 737万円(712万円)
第5級 618万円(599万円)
第6級 512万円(498万円)
第7級 419万円(409万円)
第8級 331万円(324万円)
第9級 249万円(245万円)
第10級 190万円(187万円)
第11級 136万円(135万円)
第12級 94万円(93万円)
第13級 57万円(57万円)
第14級 32万円(32万円)

(※)かっこ内は2020年3月31日以前に発生した事故に適用

任意保険基準の後遺障害慰謝料

任意保険基準の後遺障害慰謝料は次の通りです。なお、各保険会社から公表はされておりませんので、あくまで推定の金額になります。

等級 任意保険基準の後遺障害慰謝料(推定)
第1級 1,600万円程度
第2級 1,300万円程度
第3級 1,100万円程度
第4級 900万円程度
第5級 750万程度
第6級 600万円程度
第7級 500万円程度
第8級 400万円程度
第9級 300万円程度
第10級 200万円程度
第11級 150万円程度
第12級 100万円程度
第13級 60万円程度
第14級 40万円程度

弁護士基準の後遺障害慰謝料

弁護士基準の後遺障害慰謝料も等級に応じて金額が変わります。具体的な数字は次の通りです。

等級 弁護士基準の後遺障害慰謝料
第1級 2,800万円
第2級 2,370万円
第3級 1,990万円
第4級 1,670万円
第5級 1,400万円
第6級 1,180万円
第7級 1,000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

後遺障害慰謝料についての注意ポイント

後遺障害慰謝料の請求についても、適切な金額を獲得するにはいくつかのポイントがあります。

そもそも後遺障害慰謝料は、自覚症状があるだけでは認められず、「損害保険料算出機構」で後遺障害があることの認定を受ける必要があります。

後遺障害の認定は、原則として提出した書面に基づいて等級の認定を行います。提出する書類は診断書その他必要書類です。つまり、これら提出書類に不備があれば、本来であれば受け取れた後遺障害慰謝料が、後遺障害が認められないことで受け取れなくなってしまうという可能性もあります。

ここでは、後遺障害認定を適切に受けて、後遺障害慰謝料が認められるためのポイントを確認しておきましょう。

継続的に通院する

後遺障害を正しく認定してもらうには、継続的に通院することが重要です。

事故直後の症状や診断内容のほか、経過途中の症状なども判断材料とされることがあります。特に、他覚所見がないむちうち症の場合は、これらが重要視されます。治療中は主治医の判断に従いながら、自身の症状もしっかりと伝えたうえで、継続的に通院するようにしてください。

必要な検査を受ける

上記でもお伝えしましたが、後遺障害の認定を受けるためには、医学的に障害が認められる必要があります。つまり、障害を認めてもらうために必要な検査は受けなければなりません。

もっとも、医師によっては、後遺障害の認定に関しては詳しくない場合があります。そのため、後遺障害の認定を受けるためには弁護士のサポートを受け、認定に必要な検査をしてもらうのが望ましいでしょう。

後遺障害診断書は正確に記載してもらう

後遺障害診断書は、後遺障害の認定を受けるうえで最も重要な書類です。つまり、後遺障害診断書が正確に書かれているかについては細心の注意を払う必要があります。

後遺障害診断書の記載内容が正確ではない、漏れがある、曖昧な表現だったなどの場合、正確に等級が認定されない可能性もあります。

なお、後遺障害診断書が、後遺障害が認定されるよう正確に記載されているかの判断はご自身では難しいケースが通常です。

弁護士はこれまでの事例に基づいて、診断書をチェックすることも可能です。場合によっては診断書を書き直してもらうことをサポートすることもあります。心配な場合は弁護士に依頼するようにしてください。

後遺障害の認定は被害者請求で行う

後遺障害認定は、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。事前認定は加害者側の任意保険会社を通じて行う方法で、被害者請求は加害者側の自賠責保険会社に対して行う方法です。

事前認定は、保険会社に後遺障害診断書を提出するだけで済みますが、その他の必要書類を確認することができません。

一方、被害者請求であれば、後遺障害診断書のほか、通常の診断書、交通事故証明書などの書類をすべて集める必要があるものの、提出書類をすべて確認できるほか、必要に応じて追加書類も提出でき、等級が獲得しやすくなる可能性があります。

後遺障害が認められると、慰謝料のほか、逸失利益など損害賠償額に大きな影響を与えます。手間はかかりますが、被害者請求を行うことを検討しましょう。

なお、弁護士に依頼すると被害者請求もあなたに代わって行ってもらえます。自分での申請が難しい場合には弁護士に依頼するようにしてください。

弁護士に依頼をすると、慰謝料の増額や後遺障害認定の獲得、適切な過失割合の獲得などが望めます。交通事故に関するお悩みを抱えている方は、交通事故弁護士ナビで弁護士を検索の上、まずはご相談ください。

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交通事故の死亡慰謝料

交通事故では、被害者が亡くなった場合に、死亡されられたことに対する精神的損害の補償を請求することが可能です。これを死亡慰謝料と呼んでいます。

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料と同様、3つの基準に応じて慰謝料額が異なります。ここでは、それぞれの基準での慰謝料額を確認しておきましょう。

自賠責基準の死亡慰謝料

自賠責基準の死亡慰謝料は、事故で亡くなった方本人の慰謝料と、遺族への慰謝料に分かれており、次の通りです。

亡くなった本人への慰謝料
400万円(※350万円)
遺族への慰謝料
請求権者が1人の場合 550万円
請求権者が2人の場合 650万円
請求権者が3人以上の場合 750万円
被害者に扶養者がいる場合 上記の金額に200万円を加算

ここでの遺族とは、被害者の父母(養父母含む)、子供(養子・認知した子供含む)、配偶者です。上記の通り、被害者に扶養者がいた場合には200万円が加算されます。

仮に、配偶者が1人、子供が2人で、3人ともが被害者の扶養者だった場合、自賠責基準での死亡慰謝料は次の通りです。

400万円+750万円+200万円=1,350万円

(※)2020年3月31日までに発生した事故についてはかっこ内の金額が適用されます。

任意保険基準の死亡慰謝料

任意保険基準の慰謝料額も、他の慰謝料と同様に独自の設定があり正確には決まっていません。もっとも、自賠責保険とは異なり被害者本人と遺族に分けて計算せず、被害者が家族内でどういう立場であったかで算出するのが通常です。

任意保険基準での死亡慰謝料はおおよそ次のようなものとされています。

被害者の家族内での立場 任意保険基準の死亡慰謝料額(推定)
一家の支柱 1,500万円~2,000万円程度
配偶者・専業主婦(専業主夫) 1,300万円~1,600万円程度
子供・高齢者・その他 1,100万円~1,500万円程度

弁護士基準の死亡慰謝料

弁護士基準での死亡慰謝料も、任意保険と同様、被害者の家族内での立場によって金額が変わります。弁護士基準の死亡慰謝料は次の通りです。

被害者の家族内での立場 任意保険基準の死亡慰謝料額(推定)
一家の支柱 2,800万円程度
配偶者・専業主婦(専業主夫) 2,500万円程度
子供・高齢者・その他 2,000万円~2,500万円程度

死亡慰謝料についての注意ポイント

交通事故の死亡慰謝料については、注意しておきたいポイントが2つありますので、ここで確認しておいてください。

死亡慰謝料には2種類ある

死亡慰謝料には次の2種類があります。

1については、本来であれば亡くなった被害者本人に支払われるべきですが、受け取る権利は相続人が相続することになります。つまり、相続人である遺族は、被害者本人の慰謝料と被害者遺族固有の慰謝料を受け取ることが可能です。

死亡慰謝料は法定相続分で分配される

死亡慰謝料は、原則として相続人間で法定相続分によって分配されます。もっとも、上記の2で説明した遺族固有の慰謝料はその遺族本人が受け取ります。

例えば、被害者本人の慰謝料が2,000万円、配偶者の慰謝料が300万円、子供の慰謝料が200万円、両親の慰謝料が100万円と仮定しましょう。この場合、遺族固有の各慰謝料については、各遺族がそのまま受け取ります。一方、被害者本人の慰謝料2,000万円については、法定相続院である配偶者と子供が法定相続分に応じて受け取ることになります。

ただし、被害者本人の慰謝料に関しては相続人全員が合意することで法定相続分に則さず、話し合いによって受け取る額を決定することも可能です。必要に応じて話し合いの場を設けるとよいでしょう。

慰謝料が増額するケース・減額するケース

ここまででお伝えした通り、交通事故の慰謝料は、事故で受けた怪我の状態などに加え、3つのどの基準を用いるかによって決まります。しかし例外的に、その他の個別事情を考慮して、慰謝料が増額・減額するケースがあります。

もっとも、ここで紹介する事情があったとしても、直ちに増額・減額が認められることはなく、加害者側の保険会社と交渉する必要があります。ご自身での交渉が難しいと感じたら、まずは弁護士に相談してみてください。

増額するケース

加害者に故意・重過失がある

加害者が故意に事故を起こした場合や、交通事故が起きた原因に加害者側に重過失がある場合には、獲得できる慰謝料が増額する可能性があります。

故意・重過失の具体例としては、飲酒しての運転、無免許運転、ひき逃げ、信号無視、居眠り、著しい速度超過などがあります。

加害者の事故後の対応が不誠実

加害者に事故後の対応が著しく不誠実であった場合も、慰謝料が増額する可能性があります。具体的には、交通事故の事実を隠蔽しようとした、証拠隠滅をしようとした、死亡事故で被害者遺族に謝罪しなかったなどがあります。

減額するケース

過失相殺

過失相殺とは、事故状況を考慮して被害者にも事故発生の過失があった場合に、加害者側が発生した損害をすべて負担するのは不公平であることから、その過失の割合に応じて賠償額を減額し、損害の公平な分担を図ることをいいます。

仮に、認められた慰謝料額が1,000万円であったとしても、加害者と被害者の過失割合が8:2であった場合には、2割が減額され、支払われる慰謝料は800万円となります。

通院日数が少ない

通院日数が少ない場合、具体的には1ヶ月の実通院日数が10日以下の場合、入通院慰謝料が減額される可能性があります。具体的には実通院日数の3倍程度の日数を用いて慰謝料額を決める場合があります。

この場合、仮に通院期間が2か月であったとしても、その間の期間の実通院日数が5日であれば、2か月ではなく15日分として慰謝料額が算出されます。

素因減額

素因減額とは、被害者が事故に遭う前から持っていた既往症や精神病などによって被害が拡大した部分について、慰謝料のほか損害賠償額を減額し、損害について加害者と被害者で公平な負担をはかることです。

例えば脊椎狭窄症があったために本来よりも被害が大きくなった場合や、うつ病を患っており定期的に通院ができず治療が終わるまで時間がかかる場合などがあるでしょう。

そういった際の損害賠償額について、増額した要因が被害者側にもあるため、素因減額によって減額するという調整が行われるのです。

慰謝料以外に請求できる損害賠償金

交通事故に遭った場合、加害者に慰謝料を請求できますが、請求可能なのは慰謝料だけではありません。事故で発生した損害については、すべてを加害者に請求することができ、慰謝料はそのうちの一部なのです。

加害者に対して治療費や慰謝料等を請求することを損害賠償請求といいます。

慰謝料以外にも請求できるものとして、大きく分けて積極損害と消極損害の2種類があります。ここでは、それぞれがどういった内容かについて簡単に見ておきましょう。

積極損害

積極損害とは、事故の被害に遭わなければ出費しなかったであろう費用のことです。積極損害として請求できるものは多岐にわたりますが、具体例を出すと次のようなものが挙げられます。

事故の種類 積極損害
怪我について 入院費・治療費
整骨院や温泉治療やマッサージ代、はり灸代
付添看護費
将来の手術や義足・善歯・義眼代など
雑費
交通費
通院のための宿泊費
子供の学習費・保育費・学費等
訴訟で勝訴した際の弁護士費用(1割程度)
その他費用
死亡について 死亡までの治療関係費(治療費・入院費、交通費、宿泊費、付添看護費、雑費)
葬儀費用

もちろん、人身事故における請求だけに限りません。物損事故における車両修理費など、事故の被害を原因として出費したものは積極損害として加害者に請求できる可能性があります。適性額を請求するためにも、ご自身での判断が難しい場合には弁護士に相談してみましょう。

消極損害

消極損害とは、事故に遭うことを原因として失われてしまった、本来であれば得られたであろう利益のことです。消極損害は大きく休業損害と逸失利益に分けられます。

休業損害とは、事故で受けた怪我の治療のために仕事を休まなければならなかったときの収入の減少分を言います。怪我を負うと治療のために通院しなければなりませんが、このとき仕事を休まなければならないこともあります。その際の減少した収入を加害者に請求できるのです(休業補償)。

一方の逸失利益とは、後遺障害を負ったことによる経済的な損失のことです。後遺障害があると労働能力が低下し、事故に遭わなかった場合と比べて収入が減少することが通常ですが、その差額分を逸失利益として加害者に請求できます。また、死亡した場合も、事故に遭わなければ将来得られた利益を逸失利益として請求可能です。

慰謝料請求は弁護士に依頼しよう

ここまで慰謝料の基準や請求の際のポイント、どういったことに注意しなければならないかについて説明しました。その中で何度か「弁護士に依頼することをおすすめする」旨をお伝えしました。

交通事故の被害に遭って慰謝料を請求する場合には、弁護士に依頼することを強くおすすめします。「弁護士に相談するのは費用が心配」という方もいるかもしれませんが、近年では無料相談を実施している事務所も少なくありません。

ここでは、慰謝料請求をする場合に弁護士に依頼すると得らえるメリットについて確認してみましょう

弁護士基準での慰謝料請求が可能になる

前述のとおり、慰謝料には3つの基準があります。そして、弁護士基準での慰謝料を獲得したいなら、弁護士への依頼は必須だといえるでしょう。

そもそも、慰謝料額を決めるにあたって、通常は保険会社との交渉から始まりますが、多くの場合保険会社は任意保険基準での慰謝料額を提示してきます。ご自身で弁護士基準をもって交渉することは不可能ではありませんが、保険会社がその提示額に応じることは一般的にありません。弁護士があなたに代わって交渉することで、保険会社は初めて裁判になる可能性を考慮し、弁護士基準での慰謝料額に応じてくれるのです。

弁護士基準は裁判をした場合に適用される基準です。3つの基準のなかでもっとも適切な基準だといえます。弁護士基準での慰謝料額を請求するために、弁護士への依頼は必須だと理解しておいてください。

後遺障害の等級認定につながりやすい

後遺障害が認定されると後遺障害等級が設定されて、後遺障害慰謝料が認められるほか、逸失利益も請求でき加害者から支払われる損害賠償金額に大きな影響を与えます。

すでにお伝えしましたが、後遺障害が認められるためには、事故直後から適切に通院し、必要な検査を受け、正しく診断書を作成してもらわなければなりません。

医師は後遺障害の認定に詳しくないこともあり、認定に必要な検査をしない、適切に診断書を作成してくれないといったこともあり得ます。

事故直後から弁護士に依頼しておけば、後遺障害を認定してもらうためのあらゆるサポートを受けられますし、本文中で紹介した「被害者請求」もあなたに代わって行ってくれるでしょう。

後遺障害が認められるか、そしてどの等級に該当するかは損害賠償額に大きな影響を与えます。後遺障害が認定される可能性が少しでもあるなら、ただちに弁護士に依頼するようにしてください。

慰謝料以外の賠償金も適切に請求できる

お伝えした通り、事故の被害に遭った場合には慰謝料以外にも、「消極損害」「積極損害」を加害者に請求できます。ただし、加害者側の保険会社が請求できる項目をすべて教えてくれるということはありません。あなた自身で主張する必要があります。請求できる項目は多岐にわたりますので、あなた自身では算出が困難なケースが通常です。

弁護士であれば事故で発生した損害について、漏れなく適切に請求が可能です。被害者自身で交渉を行った場合には、本来であれば得られたはずの金額を請求できず、不利益を被ってしまったということになりかねません。

【関連記事】損害賠償と慰謝料の違い|示談に役立つ損害賠償請求の知識

保険会社と自分自身で交渉せずにすむ

事故の加害者と連絡を行ったりご自身で交渉したりすることは大きなストレスになりえます。また、損害賠償の請求に必要な書類などを収集することも手間だと感じる人も少なくありません。

弁護士に依頼すれば、基本的に弁護士と連絡を取ればよいだけになります。必要書類の収集や、保険会社との交渉もすべて一任することができるのです。時間や手間、ストレスが軽減でき、治療にも専念しやすくなるでしょう。

弁護士に依頼をすると、慰謝料の増額や後遺障害認定の獲得、適切な過失割合の獲得などが望めます。交通事故に関するお悩みを抱えている方は、交通事故弁護士ナビで弁護士を検索の上、まずはご相談ください。

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まとめ

交通事故の慰謝料には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。また、慰謝料の算出には3つの基準があり、どの基準を用いるかによって慰謝料額は大きく異なります。

最も高い慰謝料額となる「弁護士基準」で請求するためには、弁護士への依頼は必須です。交通事故の被害に遭われた方は手続きを任せられるというメリットもありますから、依頼を検討するとよいでしょう。近年では相談料無料の弁護士事務所も多数存在しています。

【関連記事】弁護士費用が気になる方へ|分野別の相場・払えない場合の対処法

なお、弁護士の業務は多岐にわたります。交通事故の示談交渉の経験がない弁護士に依頼すると適切に損害賠償問題を解決できない可能性があります。そのため、交通事故業務を豊富に取り組んだことのある弁護士に依頼するようにしましょう。事前にホームページで取り扱い案件を調べても良いですし、直接連絡して確認してもよいでしょう。

この記事の調査・編集者
ぐっぴー
法律ライターとして入社後、新規事業部のコンテンツSEO、外部ライターディレクション、SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングに従事。ほぼ全ての法律分野の執筆に携わる。