遺留分侵害額請求の審判とは?調停・訴訟の流れやポイントを解説

遺留分侵害額請求の審判とは?調停・訴訟の流れやポイントを解説

相続人と遺留分について話し合うなかで、話がなかなかまとまらず、審判を行うことを検討している人もいるのではないでしょうか。

しかし、遺留分が侵害された場合には、まずは審判や訴訟以外の方法で話し合いを進めるのが一般的です。

遺留分侵害があった場合には、まず弁護士に相談することをおすすめします。

法律の専門家である弁護士にサポートしてもらうことで、希望に近い形で問題解決できるかもしれません。

本記事では、遺留分についてもめている際の解決までの流れを解説します。

遺留分侵害額請求に必要な手順についても解説していますので、実際に遺留分について問題がある方はぜひ役立ててください。

【注目】遺留分侵害額請求でお困りの方へ

遺産の遺留分について、相続人同士での話し合いがうまくいかず、悩んでいませんか。

結論からいうと、遺留分侵害額請求で話し合いがうまくいかない場合は、審判ではなく調停での話し合いが必要になります。

調停は自身でおこなうことも可能ですが、自分の主張を法的観点から説明する必要があるため、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相手の請求している遺留分請求額が適切か確認してもらえる
  • 調停での注意点や法的観点からのアドバイスをもらえる
  • 弁護士に依頼すべきか判断できる

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この記事を監修した弁護士
桜総合法律事務所
雫田 直輝弁護士(桜総合法律事務所)
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遺留分侵害額請求の話し合いがまとまらない場合は審判ではなく、調停で話し合う

遺留分を侵害する行為があって相当分を請求したいときには、まず相手と話し合うところから始めます。

話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停申立てを行い、解決を目指します。

ただし、時効には別の配慮が必要です。

調停申し立てをしただけでは、時効による遺留分侵害額請求権の消滅を防ぐことは出来ません。

調停とは別に、相手に対して、内容証明で権利行使をしておく必要がある点は注意が必要です。

なお、遺留分「侵害額請求」と遺留分「減殺請求」は、似て非なるものです。

令和元年7月1日以降に相続が生じた場合については本ページで解説する遺留分「侵害額請求」の場面となりますが、同年6月30日までに生じた相続については遺留分「減殺請求」という法改正前の制度が適用されます。

調停は、当事者同士でまとまらなかった問題について裁判官と調停委員を仲介して話し合う手続きです。

遺留分に関する問題は割合や相続開始時期の確定など親族の間で起きることが多いため、話し合いによる解決が最も望ましい方法であるといわれています。

調停の手順を踏まずに遺留分侵害額請求訴訟を起こしたときにも、通常は、裁判所の判断で家庭裁判所での調停の手続きへ回送されます。

そして、調停で話がまとまらなかった場合でも、審判での判断は行われません。

調停で遺留分侵害額請求を行うメリットとは

調停で遺留分侵害額請求を行うのは、いくつかのメリットがあるからです。

ここでそのメリットを紹介します。

第三者を介することで冷静に話し合える

当事者同士の話し合いでは、どうしても感情的になって冷静に話し合えない面があるでしょう。

そこで、調停により第三者を介すると、当事者同士が順番に意思表示をして話し合いを進めます。

また、調停委員が間に入ることにより、当事者の主張ではなく第三者の立場から話を聞いて判断するため、冷静に交渉を進められる点もメリットです。

解決策などを提示してもらえる

調停委員は、双方の話し合いを感情的にならず冷静に聞いてくれます。

その際、調停委員のなかには妥当な解決策を提示してくれる人がいます。

冷静な第三者がいることで、お互いが納得できる条件で合意できる可能性があるのです。

自分で申立てを行える

調停の申立を行うとき、他の手続きを行う際に提出する書類のように難しい知識などは必要ありません。

ひな形などが用意されているため、その気になれば自分で申立が可能です。

ただし、事案が複雑な案件の場合は早い時期に書類を揃えて提出すると安心して進められます。

そこで、専門的な知識やノウハウを持つ弁護士に依頼した方が心強いでしょう。

また、時効との関係で、適切な権利行使をしておくために、弁護士へ依頼された方が安心だろうと思われます。

相続人と遺留分について話がまとまらない場合の流れとは

遺留分侵害額請求を行う際、まずは相手方と話し合いを行うところから始まります。

話し合いによって解決できるのであれば、それが最も望ましい方法です。

しかし、話し合いによる解決が難しい場合には調停を行います。調停でも話がまとまらない場合には、訴訟提起に移っていくという流れです。

相手が話し合いを拒否するなど調停での解決が困難であることが予想される場合、調停の手順を踏まずに訴訟手続きが開始されることもあります。

請求調停の概要

まずは家庭裁判所への調停の申立てについて解説します。

遺留分侵害額請求の権利者が申立人となり、相手方の住所地または当事者間で同意した地を管轄する家庭裁判所に対し申立てを行います。

この際、遺留分侵害額請求権をいつ・どのように行使していくか明確にしなければなりません。

申立書が家庭裁判所に到達したら、家庭裁判所によって調停の日程が設定されます。

調停の当日は裁判官1名・調停委員2名が間に入り行っていきますが、対立が激化するなどで同席が難しい場合には、事前の申し出により同席を回避することも可能です。

その後、申立人と相手方が交互に調停室に入りお互いの主張を述べます。

調停を進めるときは合理的な主張を行うことが大切です。専門的な知識が必要となるため、事前に弁護士に相談しておくと良いでしょう。

そこで話し合いが合意に至れば調停は終了し、合意できない場合は訴訟へと移ります。

請求調停の申立方法

遺留分侵害額の請求調停を行うときには、遺留分侵害額請求権者が申立人になり、遺留分を侵害している人を相手方にして進めていきます。

申立は、相手方の住所地またはお互いが同意した地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

申立書の用紙は各裁判所に備えられているほか、裁判所のサイトから様式をダウンロードすることも可能です。

「申立ての趣旨」や「申立ての理由」などの項目を埋め、管轄の裁判所に提出して申立を行います。

請求調停にかかる費用

請求調停を行うにあたり、まず収入印紙が1,200円分必要で、申立書の所定の位置に貼り付けて支払います。

また、調停を行う際、裁判所から関係者に連絡をする際に使用する郵便切手(予納郵券)も申立の書類に同封します。

予納郵券の額は管轄の家庭裁判所によって異なるため、提出の前に必要となる額を確認しておきましょう。

請求調停に必要な書類

請求調停の申立てに必要な書類は、申立書と相手方の人数分の写し、そして必要となる情報が記載された添付書類です。添付書類は、以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの、全ての戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
  • 相続人全員の現在戸籍の謄本
  • 被相続人の子や代襲者のうち、既に死亡している人がいるときは、その人の出生から死亡までの全ての戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
  • 遺言書が存在するときは、遺言書の写しまたは遺言書検認調書の謄本の写し
  • 遺産の内容が分かる証明書
  • 被相続人の父母が相続人に含まれていて、その一方が既に死亡している場合は、死亡の記載がされている戸籍

同じ書類は1通あれば足ります。また、内容に応じ追加の書類が必要となるケースがあります。

「申立ての趣旨」を記載するときのポイント

調停の申立てを行う際、「申立ての趣旨」によって、相手方に何を求めるか結論について記していきます。

遺留分侵害額請求では、侵害された額について具体的な金額を記載して請求するのが原則ではありますが、実際のところは調停の申立てを行う段階で具体的な金額の計算ができないケースもあるでしょう。

また、調停の場でその金額について話し合われる場合もあります。

そこで「申立ての趣旨」を記載する段階では「遺留分侵害額に相当する金銭を申立人に支払うことを、相手方に対して求める」といった内容の記載をしておけば問題はないでしょう。

「申立ての理由」を記載するときのポイント

「申立ての理由」では、調停の申立てを行った経緯や、遺留分が侵害されている状況の説明などを記載します。

具体的に記載しておくべき主な項目として、以下が挙げられます。

  • 被相続人の氏名及び死亡日時
  • 被相続人と、申立人や他の相続人・相手方との関係
  • 遺言書がある場合は、作成された時期及び内容
  • 相続財産及び、遺留分侵害に該当する贈与や遺贈の詳細(日付や相手方なども含む)
  • 遺留分侵害額請求をこれまでに行っている場合、請求の内容や、解決されず調停に至った経緯

「申立ての理由」は調停の当日に口頭で行うことも可能です。

しかし、裁判官や調停委員に事前に内容を把握しておいてもらうためにも、要点をまとめて事前に記載し、提出しておくことをおすすめします。

訴訟提起の概要

遺留分侵害額請求の調停が不成立になると、家庭裁判所からその旨の通知が届きます。

この通知を受けた日から2週間以内に遺留分侵害額請求訴訟を提起すれば、訴訟提起に必要な収入印紙の金額から、調停申立ての際に納めた1200円の収入印紙の金額を差し引いてもらえます。

ただし、2週間以内に訴訟提起をしなければならないわけではありません。

ここで注意しなければいけないのは、訴訟は家庭裁判所ではなく地方裁判所または簡易裁判所が管轄になるため、訴訟の提起は改めて行わなければいけないという点です。

提起のためには、家庭裁判所で調停不成立証明申請書の交付申請・取得が必要です。

訴訟は、裁判所に訴状を提出して提起します。

訴状が受理されると、被告に対し裁判所より呼出状と書類のコピーが送付されるので、被告は認否及び反論を記した答弁書を第1回の期日までに提出しましょう。

原告と被告が書面によって認否と反論を繰り返しながら裁判が進んでいきますが、裁判官が仲裁して和解に向けた話し合いの場が設けられることがほとんどです。

和解がまとまれば調停調書が作成されますが、まとまらなかった場合には判決が出されて訴訟が終了します。

遺留分の話がまとまらない場合は、弁護士に相談するのがおすすめ

遺留分侵害額請求の調停は、その気になれば自身でも行えます。

しかし、調停委員に対し合理的に説明をしなければならない等、専門知識や経験がないと不利になる可能性があります。

遺留分侵害額請求を行うためには1年間という消滅時効もあり、自身で行う際には大きな障壁となるため、相続問題に注力する弁護士に相談をした方が無難でしょう。

弁護士に相談をすると、手続きを迅速に行ってくれるほか、遺留分について合理的に計算をしてくれるメリットがあります。

また、相手との交渉や調停などを一任できるため、安心できる点もメリットの1つです。

遺留分が侵害されているが相手が反論してくる場合や、遺留分に大切な財産が含まれている場合や物件が含まれている場合などには、弁護士に相談をしてみましょう。

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まとめ

遺留分が侵害されて当事者同士の話し合いがまとまらない場合は、調停で解決を目指します。

ここで解決しないとき、遺産分割では審判に移りますが、遺留分の場合は訴訟を起こすことになります。

調停になった場合、自身で行うことも可能ですが、専門的知識がない場合は話し合いで不利になる可能性もあるでしょう。

話し合いを有利に進めるためには、専門知識を持ち、相手との交渉なども代わりに行ってくれる弁護士に相談することをおすすめします。

無料相談や電話相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、気軽に法律相談してみるとよいでしょう。

【注目】遺留分侵害額請求でお困りの方へ

遺産の遺留分について、相続人同士での話し合いがうまくいかず、悩んでいませんか。
結論からいうと、遺留分侵害額請求で話し合いがうまくいかない場合は、審判ではなく調停での話し合いが必要になります。
調停は自身でおこなうことも可能ですが、自分の主張を法的観点から説明する必要があるため、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相手の請求している遺留分請求額が適切か確認してもらえる
  • 調停での注意点や法的観点からのアドバイスをもらえる
  • 弁護士に依頼すべきか判断できる

当サイトでは、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
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この記事の調査・編集者
梶原美香
法律系SEOライターとして入社。何よりも読者第一であることを掲げ、読みやすく、理解しやすいコンテンツ制作を心がけている。離婚問題に注力している。
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