遺産分割
孫に財産分与をしたい!遺産を孫に譲る6つの方法とそれぞれのポイントを解説
2024.09.12
不動産を相続する際には、相続登記手続きをおこなうことになります。
登記申請をする際は、申請書とともに「登記原因証明情報」を添付する必要があります。
登記原因証明情報とは、「なぜ登記が発生し、誰にどの権利が移ったのか」を証明する情報です。
登記原因証明情報には、相続人が複数いる場合、誰が不動産を相続したのかを証明する必要があるため、「遺産分割協議書」を添付するのが一般的です。
ケースによっては不要となる場合があるので、どのようなケースで協議書が必要となるかを知っておく必要があります。
ここでは、相続登記の際に遺産分割協議書が必要となるケース・不要なケースを中心に、遺産分割協議書についての解説をおこなっていきます。
相続登記をする際に、遺産分割協議書が必要かわからずに困っていませんか?
結論からいうと、相続登記時に遺産分割協議書が必要かどうかは、相続人数や相続方法によって異なります。そのため、自身の状況を一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
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まず、相続登記手続きで遺産分割協議書が必要となるケースについて見ていきましょう。
民法には、被相続人と相続人の関係に応じた相続分が規定されています(900条)。
これを「法定相続分」といい、相続人が配偶者と子どもの場合、それぞれの相続分は2分の1ずつです(同条1号)。
法定相続分はあくまで目安であり、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割しても構いません。
その場合は、相続人間で話し合い(=遺産分割協議)をおこなう必要があり、相続登記時に協議書が必要になります。
遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、相続処理を完了するためには遺産分割協議が必要です。
ただし、法定相続分で遺産分割する場合や、調停・審判を利用する場合は必要ありません。
次に、協議書が不要となるケースについて見ていきましょう。
遺言書に沿って遺産分割をおこなう場合に必要となる書類は当該遺言書のみで、遺産分割協議書は不要です。
公正証書遺言以外の方法で遺言書を作成した場合は、検認手続きを受ける必要があるので、申請に際して家庭裁判所が発行する検認済証明書を添付することを忘れないようにしましょう。
ただし、遺言書に日付漏れがあったり、押印がなかったりするなど、法律で定められている形式・要件を守っていない場合、その遺言書は無効となります。
遺言書が無効となれば、協議により遺産を分割する必要があります。
また、「○○に財産を3分の1、△△に財産を3分の2相続させる」というように、相続割合の指定のみ記載した遺言書であれば、遺言自体は有効であるものの、具体的にどのように分けるかを話し合う必要があるため、遺産分割協議をおこなうことになります。
これは特定の財産のみ指定がある場合も同様です。
さらに、たとえ法律上の形式が守られ、具体的な指定がなされていても、相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割が可能であり、(ただし、遺言執行者の承諾が必要)、協議書が必要となります。
対象となる不動産について、法定相続分で持ち分の登記をおこなう場合、遺言書も遺産分割協議書も必要ありません。
【参考】法定相続分(民法900条各号)
相続人が、被相続人の配偶者と子ども(直系卑属)の場合 | 配偶者の相続分 1/2 | 子ども(直系卑属)の相続分 1/2×(子どもの人数) |
---|---|---|
相続人が、被相続人の配偶者と親(直系尊属)の場合 | 配偶者の相続分 2/3 | 親(直系尊属)の相続分 1/3×(親の人数) |
相続人が、被相続人の配偶者と兄弟姉妹の場合 | 配偶者の相続分 3/4 | 兄弟姉妹の相続分 1/4×(兄弟姉妹の数) |
相続人が、子ども・直系尊属・兄弟姉妹のいずれかで、複数人いる場合 | 各自の相続分は等しい割合 (ただし、父母のうちどちらか一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方とも同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1) |
遺産分割協議では話がまとまらず、家庭裁判所の調停・審判による決定がある場合、遺産分割協議書が不要となります。
調停の場合は調停調書、審判の場合は審判書が作成され、これらはそれぞれ遺産分割協議書の代わりとなるからです。
よって、このケースでも協議書は必要ありません。
相続人が1人だけの場合、当然、他の相続人と話し合う必要がないことから、遺産分割協議書は必要ありません。
遺産分割協議書には決まった形式や書式はありませんが、確認しやすいようにわかりやすく書くことが大切です。
協議書のひな形と作成上の注意点を以下でご紹介します。
遺産分割協議書のひな形は以下を確認して下さい。
作成の際はその下の注意点を参考にしましょう。
遺産分割協議書を作成する際には以下の点に注意しましょう。
誰がどの財産を相続するかを相続人全員で協議して決める遺産分割を「協議分割」といい、その協議の結果をまとめたものが「遺産分割協議書」です。
「協議分割」には、こうしなければならないという決まりはありません。
例えば、父親名義の土地を長男1人に相続させたい場合は、その旨を協議書に記載します。
相続登記時に遺産分割協議書が必要となるケースをご紹介しましたが、協議書は相続登記以外にも大きな役割を果たしています。
そのひとつが、協議後の親族間での紛争防止です。
協議書を作成していないと、後日、遺産の分割方法の条件をめぐって親族間で「言った、言わない」の水掛け論になり、再度協議が必要になることもあります。
よって、遺産分割協議をおこなった場合は、必ず協議書を作成するようにしましょう。
また預貯金などを引き出す際にも協議書が必要になります。
相続税の申告・納付にも協議書が必要です。
このように、遺産分割協議書は公的機関で手続きをおこなう際に証明書として重要な役割を果たす書類といえるでしょう。
ここまで、相続登記時に遺産分割協議書が必要となるケース・不要となるケースなどを紹介しました。
上記のように、相続人の人数や、相続方法によって手続きに必要となる書類が異なってくるため、初めての相続登記はわからないことだらけだと思います。
役所から指摘を受けるまで移転登記をしない方もいらっしゃいますが、相続登記を放置していると後々不動産の所有権をめぐってトラブルが発生する可能性もあります。
不動産を相続したら、忘れないうちに手続きをおこなうようにしましょう。