遺産分割調停の呼び出しは無視できる?無視するデメリットと欠席時の対処法

遺産分割調停の呼び出しは無視できる?無視するデメリットと欠席時の対処法

相続問題で揉めている相手から遺産分割調停を申し立てられると、初回期日はあなたの都合を聞かずに指定されます。

調停は平日の昼間におこなわれますので、どうしても都合があわないこともあります。

また、相続争いにこれ以上巻き込まれたくないと思う気持ちもあるでしょう。

しかし、どのような理由でも遺産分割調停期日の呼び出しを無視すると、あなたに不利な結論が出てしまうことがあります。

本記事では、なぜ調停期日は無視できないのか、無視した場合に発生するデメリットは何かを解説します。

調停を欠席する理由は人によってさまざまで、その理由によって対処方法も変わります。

  • 相続自体に関わりたくない
  • 自分の相続分には争いがない
  • 裁判所に行くこと自体が困難
  • 平日の昼間は常に仕事 など

記事を読むことであなたの場合はどうしたらよいかがわかり、不利益を避けることができます。

ぜひ参考にしてみてください。

【注目】遺産分割調停の呼び出しでお困りの方へ

遺産分割調停の呼び出しがあっても、仕事や予定があって指定された日程は厳しい場合、無視してもよいのかわからず悩んでしまいますよね。

結論からいうと、遺産分割調停の呼び出しを無視すると自分にとって不利に働く可能性があります。
事情があって調停に赴けない場合は、まずは弁護士に相談し、どう対処すべきかを聞くのがおすすめです。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 調停を欠席する場合の対処法を教えてもらえる
  • 相続を希望する場合は、自分の希望について相談にのってもらえる
  • 相続放棄を考えている場合は、本当に相続放棄してもよいか意見をもらえる

当サイトでは、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士
葛城 繁弁護士(葛城法律事務所)
相続問題を中心に分野を問わず幅広い法律問題に対応。 『ご依頼者の利益が最大限になるためのサポート』となることを心掛け、的確なアドバイスを伝えられるよう客観的視点を忘れず、日々、業務と向き合っている。

遺産分割調停の呼び出し状を無視しても大丈夫?欠席した場合に起きるデメリット

遺産分割調停を正当な理由なく無視すると、5万円以下の過料制裁を受ける可能性があります。(家事事件手続き法第258条1項、第51条1項、同3項)

このような規程があることに驚くかもしれません。

しかし、ここでいう「正当な理由」の判断は緩やかで、遺産分割調停において、実際に過料に処せられることはめったにありません。

遺産分割調停を無断で欠席する最も大きなデメリットは、自分の主張を伝える機会を失うことです。

以下で詳しく説明します。

調停委員の心証を悪くする

調停を無断で欠席すると、調停委員に悪い印象を与えるおそれがあります。

調停委員は、裁判所から選任を受け、調停で当事者同士の話し合いを仲介する役割を担います。

もちろん調停委員は中立の立場で両者を仲介しますが、感情をもった人間でもあります。

一度でも無断で欠席すれば、次回以降出席したとしても、調停委員に不信感を与えることになりかねません。

遺産分割において自分の主張ができなくなる

遺産分割調停を欠席すると、自分の意見を主張する機会を失います。

自分は親の事業を大きくした、自分は親と同居して介護をしていたなどの主張があっても、出廷しなければ主張することはできません。

反対に、出廷した相続人は調停委員に対して自分の主張をしっかり伝えることができます。

遺産分割調停が始まった以上、裁判外での主張は反映されません。

その結果、自分に不利な遺産分割方法になることもありえます。

自分の言い分があり調停を有利に進めたいと思うなら、調停に出廷して調停委員に伝える必要があります。

欠席が続くと審判に移行する

理由なく無断欠席を続けると、調停は「不成立」で終了します。

遺産分割調停は相続人全員でおこなわなければなりません。

調停が不成立で終了すれば、自動的に審判に移行します。(家事事件手続き法272条1項)

審判は調停のように話し合いではないので、欠席者がいても進められ、最終的には裁判所が決定を下します。

審判期日も無断で欠席を続けると、裁判所は相手の主張と提出証拠類に基づいて審判を下さざるを得なくなります。

【タイプ別】遺産分割調停に出席できない場合の対処法

遺産分割調停の呼び出しは、無視すると不利益を被ることがわかりました。

では、それでも欠席しなければならない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

調停に出廷しないといってもでも、その理由はさまざまです。

  • 自分の相続人については争いがないので、行く意味がない
  • 相続自体に関わりたくないので、自分の取り分がなくなっても構わない
  • 自分の主張はあるが、平日の昼間に仕事を休んで出廷するのが困難
  • 遠方で出廷負担が大きい

理由によって、対処方法は違います。

どのような理由にせよ、遺産分割調停が始まる前に意思表示をしておくだけで、全く印象は違ってくるはずです。

自分が相続する財産は争いなく決まっている|答弁書に事情を記載して提出する

自分の取得する財産には争いがなく、他の相続人が自分の相続分以外の財産で争っている場合でも、調停は相続人全員を相手として申し立てをしなければなりません。

自分が当事者となっている以上、無断で欠席するべきではありません。

申し立て時点では、裁判所はそのような事情が把握できないからです。

この場合、答弁書に事情を記載して提出し、担当の裁判所書記官に相談しましょう。

場合によっては裁判所側の配慮で必要な期日のみの出廷としてもらえるかもしれません。

遺産分割に興味がなく相続争いに巻き込まれたくない|相続放棄の申述をする

遺産もいらない、とにかく相続争いに巻き込まれたくない方は、相続放棄の申述をしておきましょう。

相続放棄が受理されれば、相続発生時に相続人ではなかったこととなり、遺産分割調停の当事者から外れることができます。

ただし、相続放棄ができるのは自分が相続人になったことを知ってから3か月以内です。

3か月以上経ってから遺産分割調停を申し立てられた場合には相続放棄はできません。

3か月の期限が過ぎてしまったけれど相続争いに巻き込まれたくない場合は、相続分の放棄や譲渡をすれば調停の当事者から外れることができます。

相続分の放棄や譲渡をした場合でも、あらかじめ答弁書にその旨を記入して裁判所に提出しておきましょう。

調停の初回期日にどうしても外せない用事がある|進行に関する照会回答書に欠席の旨を書いて提出する

初回期日にどうしても出廷できない場合は、家庭裁判所から遺産分割調停申立書と一緒に送付されてくるしましょう。

初回期日は申立人と裁判所で調整して決められ、ほかの相続人には一方的に通知されます。

2回目以降の調停期日は、答弁書に記載した希望日を考慮して設定してもらえます。

自分の希望する分割案があれば、あらかじめ答弁書に記載して提出しておくことで意思表示もできます。

家庭裁判所に行くことが困難である|電話会議システムの利用を裁判所に申請

調停が開かれる家庭裁判所が遠方で移動の負担が大きい、もしくは健康上の理由で裁判所に行くことが難しい場合は電話会議システムの利用を裁判所に申請しましょう。

電話会議システムが認められると、自宅の最寄りの家庭裁判所から電話で調停に参加できます。

健康上の都合で出廷自体が難しいなら、自宅から電話会議によって調停に参加することも可能です。

あらかじめ担当書記官に事情を伝えて申請しておきましょう。

平日の日中は仕事でいけない|代理人の弁護士を選任

調停期日は常に平日の日中、裁判所が開廷している時間帯におこなわれます。

平日昼間に仕事があり、期日のたびに毎回休みを取ることが難しい場合は、代理人に弁護士を選任しましょう。

弁護士に遺産分割調停での代理人を依頼すれば、出廷できないときに代わりに出廷してもらうだけでなく、出廷できるときでも調停期日に同席してもらえます。

遺産分割調停では、約8割の方が弁護士を代理人につけています。(参考:日本弁護士連合会「弁護士白書2021年版」)

弁護士に依頼することで、調停委員に説得力のある主張ができるなどのメリットもあります。

出廷できる、できないにかかわらず、一度検討してみるといいでしょう。

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遺産分割調停の基本をおさらい

裁判所から呼び出し状が届いたけれど、そもそも遺産分割調停がどんなものかよくわからない、という方のために、遺産分割調停の基本を確認しておきましょう。

遺産分割調停とは

遺産分割調停は、相続人同士の話し合いによって遺産分割がうまくいかないときに、家庭裁判所に中立な立場での仲介を求める手続きです。

実際の調停期日では、家庭裁判所の裁判官1名が進行を取り仕切り、調停委員2名が中立な立場で相続人の主張を聞いて話し合いの仲裁をします。

相続人は別々の部屋に待機し、一人ずつ調停委員の部屋に呼び出されて意見を伝えます。

ただし、調停はあくまで話し合いです。

相続人同士の意見がまとまらなければ不成立となり、自動的に審判手続きに移行します。

調停がまとまれば裁判所書記官が「調停調書」を作成し、当事者に送付します。

【関連記事】
遺産分割調停とは?家庭裁判所での流れと弁護士に依頼するメリット

調停で決めること

調停で決めるのは、遺産の具体的な分割方法です。

被相続人が所有していた不動産、預貯金、株式などについて、誰が何をどの程度取得するのかを決めます。

遺言書がなければ、遺産は基本的に法定相続割合により分配されます。

しかし双方が合意することで、法定相続分以外の方法での分割も可能です。

遺産分割調停と審判の違い

調停は当事者による話し合いであり、審判は裁判所による決定です。

調停では、話し合いで折り合いがつかなければ打ち切られ「調停不成立」となります。

一方審判は、簡易的な訴訟のように裁判所主導で手続きが進み、最終的な決定も裁判所が下します。

その他、調停では相続人同士が顔をあわさずに調停委員が仲介して手続きを進めますが、審判では相続人全員が同席して裁判官が手続きを進めるという違いもあります。

遺産分割調停遺産分割審判
相続人主体で進められる

合意がなければ成立しない(結果が出ない)

相続人が別々に呼び出されて主張、期日に顔をあわせることはない

裁判所が主導する

相続人が合意しなくても裁判所が決定を下す

裁判官がいる部屋に申立人とほかの相続人が同席して手続きが進む

遺産分割調停に関するQ&A

調停から審判に移行するときに別途申立ての手続きが必要ですか?

遺産分割調停が不成立で終了した場合には、調停申立時に遺産分割の審判申し立てがあったものとみなされ、事件は自動的に審判移行します。(家事手続き法272条4項)

調停が不成立になると調停事件は一旦終了し、その後裁判所から改めて双方に審判期日が指定されます。

再度申し立てをおこなう必要もなく、手数料も不要です。

遺産分割調停を弁護士に依頼すべきでしょうか?

遺産分割調停は自分だけでも進められますが、弁護士に依頼することでたくさんのメリットがあります。
<弁護士に依頼するメリット>

  • 調停期日に同席してもらえる
  • 自分の都合が悪いときには代わりに出廷してもらえる
  • 法的根拠や証拠に基づいた主張ができるため、調停委員の納得を得られやすい
  • 相手の相続人の主張にも根拠をもって反論できる
  • 迷ったときも有利な方向へ導いてくれる

あなたが依頼しなくても相手方が弁護士に依頼していれば、調停を有利に進められてしまう可能性もあります。

遺産分割協議を納得のいく形で進めていくためにも、弁護士への依頼は有効です。

【関連記事】相続問題は弁護士に電話相談できる?無料相談できる弁護士の探し方や注意点を解説

まとめ|遺産分割調停の呼び出し状を無断で無視するのはおすすめしない

遺産分割調停の呼び出し状を受け取ったら、無視するのはおすすめできません。

確かに、相続の話し合いで揉めているときに突然調停や審判を申し立てられたら、驚き、気分を害することもあるでしょう。

しかし、当事者として呼び出された以上、欠席する前にすべきことがあります。

  • 初回調停期日が差し支えるなら、答弁書を提出のうえ次回期日の候補日を伝えておく
  • 遠方で出廷の負担が大きいなら、電話会議システムを申請してみる
  • 相続の揉め事に関わりたくないなら、相続放棄の申述や相続分の譲渡、放棄をする
  • 平日の昼間に毎回時間が取れないなら弁護士に代理人を依頼する

以上のような方法で、前もって裁判所に伝えておけば、不利な状況に追い込まれることもありません。

遺産分割調停自体が不安ならば、呼び出し状を受けた時点で弁護士に依頼しましょう。

遺産分割調停では、約8割の方が弁護士に代理人を依頼しています。(参考:日本弁護士連合会「弁護士白書2021年版」

弁護士はあなたが相続手続きに対してどんな要望をもっていても、要望を実現させるために全力でサポートしてくれるでしょう。

【注目】遺産分割調停の呼び出しでお困りの方へ

遺産分割調停の呼び出しがあっても、仕事や予定があって指定された日程は厳しい場合、無視してもよいのかわからず悩んでしまいますよね。

結論からいうと、遺産分割調停の呼び出しを無視すると自分にとって不利に働く可能性があります。
事情があって調停に赴けない場合は、まずは弁護士に相談し、どう対処すべきかを聞くのがおすすめです。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 調停を欠席する場合の対処法を教えてもらえる
  • 相続を希望する場合は、自分の希望について相談にのってもらえる
  • 相続放棄を考えている場合は、本当に相続放棄してもよいか意見をもらえる

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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