相続放棄
法テラスで相続放棄をする費用は?| 法テラスに依頼するデメリットも解説
2024.10.08
法テラスでは、さまざまな法律問題について相談・依頼できますが、相続放棄も例外ではありません。
金銭的に余裕がない方は、法テラスに相続放棄を依頼することで、費用を抑えつつ確実に手続きができるでしょう。
とはいえ、法テラスで相続放棄をする際にかかる費用は気になるものです。
そこで本記事では、法テラスに相続放棄を依頼する場合の費用について徹底解説します。
法テラスに相続放棄を依頼する際の条件や、法テラスに相続放棄を依頼するメリット・デメリットや注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
法テラスに相続放棄を依頼する際にかかる費用は、おおむね4万円~6万円です。
費用の内訳は以下のとおりです。
事件名 | 実費 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|---|
相続放棄 | 10,000円〜20,000円 | 33,000円〜44,000円 | 原則としてなしとする。 ただし、事案が複雑困難な場合は、離婚・認知等請求事件に準ずる。 |
法テラスを利用しても費用はかかりますが、弁護士に直接依頼するよりも安く済むため、費用を抑えて相続放棄するにはおすすめです。
弁護士に相続放棄を依頼すると5万円〜10万円程度の費用がかかります。
弁護士に直接依頼した場合の費用内訳は以下のとおりです。
相談料 | 0〜1万円/60分 |
---|---|
申述書作成の代理費用 | 5,000〜1万円 |
代理手数料 | 5万円〜10万円 |
弁護士に直接依頼した場合と比べると、やはり法テラスを通したほうが費用は安くなるでしょう。
法テラスの無料法律相談や立て替え制度を利用するには、資力が一定基準の以下である必要があります。
なお、資力基準は家族人数や住んでいる地域によって異なります。
家族人数 | 収入基準 | 資産基準 |
---|---|---|
1人 | 200,200円 | 180万円以下 |
2人 | 276,100円 | 250万円以下 |
3人 | 299,200円 | 270万円以下 |
4人 | 328,900円 | 300万円以下 |
家族人数 | 収入基準 | 資産基準 |
---|---|---|
1人 | 182,000円 | 180万円以下 |
2人 | 251,000円 | 250万円以下 |
3人 | 272,000円 | 270万円以下 |
4人 | 299,000円 | 300万円以下 |
※収入の基準は、同居の家族人数が1名増えるごとに上記基準額に加算。
(東京や大阪などの地域は、33,000円、それ以外の地域は30,000円)
5人家族で東京に住んでいる場合、収入は361,900円、資産は300万円が基準となる
家賃・住宅ローンを支払っている場合は控除が可能
資力基準の詳細については、以下公式サイトを参照してください。
【公式サイト】無料法律相談のご利用の流れ | 無料法律相談・弁護士等費用の立替 | 法テラス
法テラスに相続放棄を依頼するメリットは、以下のとおりです。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
法テラスにおける弁護士や司法書士の費用は、一般的な相場よりも低く設定されています。
また、費用の立て替え制度を利用すれば、分割で費用を支払うこともできます。
総額の負担も、一時的な負担も減らすことができるので、経済的な事情がある方にとってはメリットが大きいでしょう。
法テラスでは、弁護士や司法書士に無料で3回まで相談が可能です。
初回相談後に疑問があった場合でも、追加で相談して解消できる点はメリットでしょう。
また、弁護士に相談することで、自分では気づかない法的なリスクや最適な方法についての助言を受けることができ、結果としてより安心して問題解決に向かうことができます。
一般的に、弁護士や司法書士への依頼時には、費用を一括で支払うことが多いです。
法テラスと契約している弁護士・司法書士に依頼する場合は、法テラスが費用を立て替え、利用者は毎月5,000円~1万円ずつ分割して支払います。
これにより、利用者の負担が軽減され、無理なく支払いが可能です。
生活保護受給者でも法テラスの立替制度を利用可能です。
また、生活保護の受給中は返済が猶予され、事件終了後も受給している場合は返済免除を申請できます。
返済の猶予や免除には、別途申請が必要なうえ、必ず認められるわけではありませんので、注意してください。
法テラスに相続放棄を依頼するデメリットは、以下のとおりです。
それぞれのデメリットについて、以下で解説します。
法テラスの民事法律扶助制度を利用する際は、収入や資産要件の審査に2週間ほどの時間がかかります。
相続放棄手続きには、相続があったことを知ってから3カ月以内という期限があります。
審査に時間がかかると、手続き期限に間に合わなくなる恐れもあるでしょう。
利用審査で書類の不備があると、審査に1カ月以上の期間がかかってしまうこともあります。
審査を受ける際は、弁護士や法テラススタッフのサポートを受けて確実に対応するようにしてください。
相続放棄の期限は「自己が相続人となって相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内」ですが、法テラスに依頼すると期限に間に合わない可能性があります。
特に相続放棄に不慣れな弁護士が担当すると財産調査に時間がかかり、さらに民事法律扶助制度の審査期間も考慮しなければなりません。
期限後の相続放棄は原則認められないため、相続放棄に詳しい弁護士を自分で探し、直接依頼したほうが良い場合もあります。
法テラスの利用には一定の制約があるため、その点を理解したうえでの利用が求められます。
具体的には、相談者が弁護士を選ぶことができない分、相談内容に注力する弁護士が担当にならないことや、弁護士との相性が合わない場合でも、変更が難しいことが挙げられます。
相続放棄の手続きについても、法テラスを通じて依頼する際には注意が必要です。
特に、相続放棄の手続きを得意とする弁護士を希望する場合には、法律事務所に直接依頼することを検討することが推奨されます。
法律事務所であれば、弁護士を選ぶことができ、またその弁護士が相続放棄に注力しているかどうかも確認することができます。
また、法テラスでは司法書士が相続放棄を担当することもありますが、その役割は書類の作成に限られます。
相続放棄の手続きは、自分でおこなうこともできます。
ここでは、相続放棄の手続きの流れや依頼するケースについて解説します。
法テラス専門家への依頼を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
相続放棄を弁護士に依頼して手続きをする流れは、以下のとおりです。
相続放棄は、期間内に迅速に手続きを完了しなければなりません。
スムーズに手続きを進めるためにも、流れを把握して全体のスケジューリングをしっかり決めながら手続きをおこなうようにしましょう。
詳細については、以下の記事を参照してください。
【参考記事】相続放棄の手続き方法|流れ・期間・必要書類・費用を解説
相続放棄の手続きを自分でおこなっても問題ないケースは、以下のとおりです。
これらの条件が揃っていれば、専門的な法律知識や他の相続人との調整が必要なく、自分で相続放棄の手続きを進めても問題はないでしょう。
相続放棄の手続きを法テラスや専門家に任せたほうがよいケースは、以下のとおりです。
これらのケースでは、法律の専門知識が求められ、複数の相続人との調整や煩雑な手続きが必要となります。
専門家に依頼することでスムーズに対応できるでしょう。
相続放棄の際、期限が近い場合や全員が放棄する場合など、状況によっては費用が高くなることがあるため、予算に余裕をもって準備しなければなりません。
相続放棄の費用が高くなるケースは、主に以下の4つです。
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
相続財産の調査を専門家に依頼すると追加料金が必要で、費用は20万円~30万円が目安です。
財産評価にも追加料金がかかるため、不動産や非上場株式がある場合は予算を多めに見積もらなければなりません。
とはいえ、相続財産の調査は相続放棄をすべきかどうかの重要な判断材料になります。
遺産がどれくらいあるかわからない場合は、財産調査も合わせて依頼することで、結果的に損をするリスクを抑えられるでしょう。
相続放棄の期限が迫っている場合、専門家に依頼すると短期間での作業が必要となり、費用が割増しになる可能性があります。
また、期限に間に合わない場合は家庭裁判所に期限延長の申し立てなければならず、追加料金がかかることもあるでしょう。
相続放棄の期限後に専門家に依頼すると、家庭裁判所に提出する上申書の作成手数料が1万円~5万円ほどかかります。
上申書が受理されれば、相続放棄の期限が1ヵ月~3ヵ月延長されますが、上申書が却下された場合、高等裁判所に即時抗告をする必要があるでしょう。
その際にも抗告状の作成費用として1万円~5万円の追加料金がかかることを覚えておいてください。
相続人全員が相続放棄しても、不動産などの管理義務は残るため、相続財産管理人を選任しなければなりません。
相続財産管理人は、債権者への弁済や不動産の国庫帰属を代行します。
選任は家庭裁判所に申し立てなければならず、その際に10万円~100万円程度の予納金が必要です。
また、相続財産管理人の報酬として月に1万円~5万円程度がかかり、予納金の余りは申立人に返還されます。
ここでは、相続放棄を弁護士や司法書士に依頼したほうがよいケースについて解説します。
相続放棄は法テラスや司法書士にも依頼できますが、確実におこないたい場合は弁護士に依頼すべきです。
弁護士は幅広い対応が可能で、財産調査が難しい場合でも相続放棄をサポートしてくれます。
そのほか、相続放棄を弁護士に依頼すべきケースは以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
弁護士に相続放棄を依頼すると、相続放棄や限定承認に関するサポートやアドバイスを受けられます。
どちらが最適か判断しにくい場合でも相談可能で、手続きに必要な書類や入手先についても詳しい情報を提供してもらえるでしょう。
相続放棄に関する紛争や対立が予想される場合、弁護士に依頼することが望ましいです。
弁護士は法的な争いやトラブルを解決するための専門知識と経験を持ち、代理人として交渉や訴訟をおこないます。
弁護士のサポートを受けることで、問題をスムーズに解決し法的トラブルを未然に防げるでしょう。
相続放棄は法的な手続きが必要で、複雑な場合があります。
特に複数の相続人間で問題が予想されるときは、弁護士に依頼すると、全ての手続きを任せられます。
弁護士への依頼により、相続放棄照会書や回答書のやりとりも弁護士がおこなうため、依頼者の不安も軽減されるでしょう。
相続放棄に関して、書類の収集や作成のサポートが必要な場合、司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士は法的書類関連の専門家で、手続きに必要な書類の整備や提出に詳しいためです。
さらに、司法書士は相続放棄に関する法律や手続きの最新情報にも精通しており、適切なアドバイスを提供してくれます。
ここでは、相続放棄を司法書士に依頼すべきケースについて、以下4つを紹介します。
一方で、弁護士に相続放棄を依頼すると10万円~15万円程度かかります。
費用だけを見ると、弁護士よりも司法書士に依頼したほうが安く済むでしょう。
司法書士のサポートだけでも相続放棄手続きは十分に可能なので、経済的な事情がある場合は司法書士への依頼も検討しましょう。
相続放棄で法的アドバイスや紛争解決が不要なら、書類収集や作成をサポートする司法書士が理想的です。
司法書士は法的書類の専門家で、正確な書類準備と手続きを円滑に進めるためのサポートをしてくれます。
相続放棄の手続きで相続人同士に争いがない場合、司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士は基本的な手続きや書類作成に特化しており、相続人同士の信頼関係が良好かつ手続きをスムーズに進めたい場合に役立ちます。
相続財産に不動産が含まれる場合、司法書士に相続放棄の手続きを依頼しましょう。
不動産の相続は、共有名義の不動産や市価が不明な土地など、具体的な評価や処分方法が難しい場合が多く、相続手続きが一層複雑になることがあります。
このようなケースでは、司法書士に相続放棄の手続きを依頼するのが有効です。
司法書士は不動産登記や関連書類の作成を専門とし、法的知識を持っているため、効率的に手続きを進めることができます。
また、不動産が含まれる相続では、相続人全員の同意を得るための協議書の作成や不動産の評価、登記変更など多くの手続きが必要です。
司法書士を利用することで、相続手続きの煩雑さを軽減し、法的に適切な手続きを進めることができます。
相続財産に不動産が含まれている場合、専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。
法テラスに相続放棄を依頼することで、費用を抑えることができます。
一方で、法テラスの民事法律扶助制度の審査に時間がかかったり、依頼先の弁護士を選べなかったりなどのデメリットがあります。
また、相続放棄に関する確認や調査、手続きを全て相続人自らがおこなうのは難しいでしょう。
手続きをスムーズに処理するためにも、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
費用はかかりますが、相続財産調査から相続放棄手続きまで全ての手続きを一任できるため、相続人の負担を軽減できるうえに、確実に相続放棄を処理することができます。
相続放棄は、なるべく早く専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
なお、ご自身にあった弁護士を探す際は、「ベンナビ相続」を活用しましょう。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)は、相続放棄に特化した弁護士を検索できるポータルサイトです。
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