遺留分
孫に遺留分はある?認められるケースと遺留分侵害額請求の手順をわかりやすく解説
2024.08.09
遺言書の内容に遺留分の侵害が発生していれば、侵害している相手(遺産を多くもらった相手)に対して遺留分侵害額を請求できます。
相手が応じてくれると公平な遺産相続になりますが、以下の問題をクリアする必要があるため、簡単には解決しないでしょう。
いずれもハードルの高い作業になるので、自分で解決できそうにないときは弁護士に相談してください。
ただし、相続問題に詳しく遺留分に注力している弁護士へ相談しなくてはらならないため、どこで探すか、どうやって見極めるかが重要となります。
ここでは、遺留分に強い弁護士の探し方や、弁護士に依頼するべき理由をわかりやすく解説しています。遺留分侵害を解決したい方はぜひ参考にしてください。
結論からいうと、遺留分侵害については弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
ベンナビ相続では、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。
一般的に「遺留分に強い」とは、以下のような弁護士を指すことが多いようです。
判断基準があれば遺留分に強いかどうか見極めやすいので、具体的な内容を参考にしてください。
遺留分関係の著書を執筆している弁護士や、専門書の監修に携わっている弁護士であれば、遺留分に注力していることが確実です。
相続の状況次第で遺留分の解決はかなり複雑になるため、ハイレベルな専門知識や法理論の構成が求められます。
同じ弁護士向けの実務解説などを監修しているケースもあるので、ネット検索で調べてみましょう。
著書や監修本は法律事務所のホームページで紹介されており、通販サイトや大型の書店でも取り扱っています。
遺留分を請求すると相手も弁護士を立ててくる可能性があるので、より専門性の高い弁護士に依頼して、先手を打っておく必要があるでしょう。
遺留分に詳しい弁護士は相続トラブルの解決実績が豊富なので、法律事務所のホームページを調べてみましょう。
遺留分などの相談件数や相続トラブルの解決実績が掲載されていれば、紛争解決が得意な弁護士とみて間違いありません。
「解決実績÷在籍弁護士の人数」を計算すると一人あたりの対応件数がわかるので、少ない人数でより多くの相続トラブルを解決していれば、優秀な弁護士集団といえます。
遺留分問題の解決事例も参考にするとよいでしょう。
遺留分は時効完成(請求できるタイムリミット)までの期間が短いため、以下のように対応が素早い弁護士へ依頼しなければなりません。
弁護士に依頼した時点で時効のカウントはある程度進んでいるので、内容証明郵便を送付して時効完成を阻止する必要があります。
遺留分侵害額を計算する場合、相続財産の全容を把握しなければならないため、すぐに調査を開始してくれるかどうかも重要なポイントです。
遺留分の解決に詳しい弁護士であれば、相手に応じた効果的な解決方法を提案してくれます。
遺留分侵害額を請求する場合、相手の立場(親族なのか第三者なのか)や性格、資産状況などに応じてアプローチを変えなければなりません。
支払う気がまったくない相手もいれば、支払うつもりはあるが資金が足りないだけ、というケースもあります。
相手が親族の場合は今後の関係を考慮しなければなりませんが、亡くなった方しか接点のない第三者であれば、裁判も視野に入れる必要があるでしょう。
弁護士に任せれば適切に判断してくれるので、相手に応じた請求方法が見つかります。
遺留分に注力している弁護士は不動産や非上場株式の評価にも詳しいので、正確な遺留分侵害額を把握できます。
遺留分侵害額は遺産総額をベースに計算するため、各財産の評価額を算出しなければなりませんが、不動産や非上場株式は評価方法が複雑です。
自分で評価額を計算した場合、相手から「金額に妥当性がないので支払いには応じられない」といわれる可能性が高いので、弁護士に依頼するのが確実です。
遺留分の問題を解決したいときは、相続税にも詳しい弁護士を探してください。
遺留分の返還によって相続財産が増加した場合、一定額を超えると相続税がかかる可能性もあります。
相続税を考慮せずに遺留分問題を解決した場合、相続税申告までに納税資金を準備できない、または申告そのものを漏らしてしまう可能性があるでしょう。
相続税の申告・納税にも期限があるので、税金の問題もサポートしてくれる弁護士を探すべきです。
遺留分の問題を解決したいときは、以下の方法で弁護士を探してください。
ひとまず相談してアドバイスだけ受けたい方や、すでに遺留分の解決依頼を決めている方など、状況に応じた相談窓口を利用してみましょう。
遺留分の解決に詳しい弁護士を確実に選びたいときは、ベンナビ相続を活用してください。
相続トラブルの解決が得意な弁護士のみ登録されており、地域と相談内容で弁護士を絞り込めるため、相談しやすい身近な弁護士が見つかります。
ベンナビ相続には以下の情報も掲載されているので、自宅から相談できる弁護士や、休日対応の弁護士も探しやすいでしょう。
各弁護士のプロフィールや顔写真も掲載されており、事務所の雰囲気もわかりやすいため、相談・依頼が初めての方でも事前に様子が掴めます。
相続トラブルの具体的な解決事例や、遺留分に関するQ&Aもぜひ参考にしてください。
法テラス(日本司法支援センター)は法務省所管の法律相談窓口となっており、各都道府県に1ヶ所以上は事務所が設置されています。
収入や資産が少ない方は民事法律扶助制度が利用できるので、弁護士への相談が3回まで無料となり、弁護士費用の立替払いにも応じてもらえます。
なお、民事法律扶助制度を利用するときは、以下の要件を満たす必要があります。
弁護士費用を立て替えてもらった場合、原則3年以内の分割払いになるので、経済的な余裕がない方は法テラスを利用してみましょう。
ただし、相談者側から弁護士の指定はできないので、必ずしも遺留分に詳しい弁護士が担当するとは限りません。
自分で弁護士を選びたい方はベンナビ相続を利用する、または法律事務所のホームページをネット検索してください。
【参考】法テラス(日本司法支援センター)
弁護士に相談だけしてみたい方は、市区町村の無料法律相談を利用してみましょう。身近な法律問題を受け付けているので、相続トラブルも相談可能です。
相談日は自治体ごとに異なっているので、市や町のホームページを参照するか、役場の担当部署に以下の内容を問い合わせてください。
なお、担当弁護士が遺留分に詳しいとは限らず、相談日によっては司法書士が担当していることもあります。
遺留分に詳しい司法書士もいますが、紛争解決の相談はできない可能性があるので、担当する専門家や受付可能な相談内容は必ず確認しておきましょう。
近くに弁護士がいない方や、弁護士の選び方に迷っている方は、日弁連(日本弁護士連合会)の法律相談センターを利用してみましょう。
日弁連の法律相談センターは全国約300ヶ所に設置されており、相続トラブルや遺留分の解決が得意な弁護士を紹介してもらえます。
弁護士の相談料は有料ですが、無料相談に対応している地域・場所もあるので、日弁連の公式サイトで調べてみましょう。
地域によっては繁華街の商業施設(デパートなど)や、オフィスビルにも相談窓口があります。
日弁連公式サイトには弁護士との面談日を予約するシステムがあり、電話予約(0570-783-110)もできるので、日時を決めて相談したい方は利用してください。
【参考】日弁連の法律相談センター
遺留分の侵害を解決する場合、相続に関する総合的な知識が必要となり、場合によっては裁判にも対応しなければなりません。
理想的な相談相手は弁護士になるので、以下の理由7つも参考にしてください。
一定要件を満たした遺言書には法的効力があるため、遺留分を侵害する内容でも無効にはなりません。
たとえば、愛人に全て相続させる内容だったとしても、法的に有効となる要件さえ満たしていれば、遺言書どおりの相続を実行できます。
遺留分を侵害している相手からすると、遺言書どおりに取得した自分の財産ですから、簡単には手放したくないでしょう。
しかし、弁護士に相談すれば有効な解決策を提案してくれるので、内容証明郵便の送付など、具体的な請求方法がわかります。
自分で対応できそうにないときは、正式な依頼で代理人になってもらいましょう。
遺留分に関する法律は2018年7月に改正されており、現在は現金返還が原則となっています。
相手が取得した財産が不動産や非上場株式だった場合、遺留分相当額の現金がなければ、すぐには支払いに応じられないでしょう。
このようなケースでは支払期限の延長、または分割払いが有効策となりますが、相手が約束を守るとは限らないため、契約書を作成しておく必要があります。
弁護士に相談すれば有効な契約書を作成してくれるので、相手も契約内容どおりの支払いに応じてくれるでしょう。
特別受益を含む生前贈与は相続財産に加算するので、調査に漏れがあると本来の遺留分侵害額よりも低くなってしまいます。
調査が不十分だった場合、相手に「請求額の根拠が不明瞭なので支払いには応じられない」といわれてしまう可能性もあるでしょう。
妥当性のある金額を請求しなければ相手に断られてしまうため、遺留分の解決は弁護士への相談をおすすめします。
遺留分侵害額請求権は以下の起算点から時効のカウントが始まり、1年で時効完成(侵害額を請求できるタイムリミット)を迎えます。
遺留分の侵害を知らなかった場合でも、相続開始から10年経過(除斥期間の経過)すると遺留分侵害額請求権は消滅します。
時効のカウントは内容証明郵便などの送付で一時的に停められますが、除斥期間(じょせききかん:権利を行使できる期間)には中断や停止の概念がありません。
また、遺留分侵害額請求権を行使しないまま5年経過すると、金銭支払請求権も消滅するため、現金の支払いを請求できなくなってしまいます。
遺留分の時効は起算点の証明も難しく、適切な方法で時効完成を阻止しなければならないので、弁護士のサポートが欠かせないでしょう。
>遺留分を請求できる期間について詳しく知る
遺留分も含めた相続財産が一定額を超えると、相続税申告が発生するケースもあります。
相続税は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」が申告・納付期限になるため、時効の完成とは別にスケジュール管理しなければなりません。
税額計算や申告書の作成、添付書類の準備も全て自己対応になるので、税務申告に不慣れな方は弁護士に相談しておくべきでしょう。
税金問題は税理士への相談が一般的ですが、税理士登録している弁護士であれば相続税の相談も可能です。
税金に詳しくない弁護士でも、同じ法律事務所に税理士が在籍していれば、窓口が1本になるので別々に相談する手間が省けます。
相続税の申告期限を過ぎると追徴課税のペナルティもあるので、高額な遺留分になるときは早めに弁護士へ相談してください。
遺留分は遺言書に優先されますが、相手も自分の財産だと主張してくるケースが多いので、交渉力がなければ解決は困難です。
当事者同士の話し合いは感情的になりやすいため、弁護士に関わってもらうとよいでしょう。
弁護士は交渉のプロフェッショナルであり、相手とのしがらみもないので、冷静かつ論理的な話し合いで相手を納得させてくれます。
相手が親族であれば今後の付き合いにも配慮してくれるので、穏便に解決できる可能性も高いでしょう。
相手が遺留分侵害額請求に応じないときは、調停や裁判も検討しなくてはなりません。
ただし、調停申立書や訴状の作成、財産目録や戸籍謄本などの準備があり、遺留分侵害の事実や、遺留分侵害額請求権の行使を確実に証明する必要があります。
専門知識がなければ調停や裁判への対応はできないので、弁護士にサポートしてもらうべきでしょう。
>遺留分を弁護士に依頼するべきメリットについて詳しく知る
弁護士に遺留分の解決を依頼した場合、以下のような弁護士費用がかかります。一部の費用は節約もできるので、内訳をよく理解しておきましょう。
なお、弁護士費用は遺留分侵害額(依頼者が獲得する経済的利益)によって変わるので、あくまでも一般的な相場です。
弁護士の相談料は30分5,000円、1時間8,000~1万円程度が相場です。
初回のみ無料の弁護士も多いので、一人で抱え込まず、気軽に相談してみましょう。
着手金は問題解決の成否に関わらず発生し、以下のように経済的利益(遺留分侵害額)の額と連動しています。
なお、完全成功報酬制の弁護士は着手金を無料にしているので、まとまった資金がなくても遺留分の解決を依頼できます。
ただし、着手金相当額は報酬金に加算されるので、弁護士費用の総額に大きな違いはありません。
弁護士の報酬金も経済的利益(遺留分侵害額)と連動しており、以下のような割合になっています。
なお、報酬金は問題解決に成功した場合に発生するので、不成功(裁判で敗訴するなど)だったときは支払う必要がありません。
実費には交通費や通信費、財産評価の手数料などが含まれています。
弁護士が事務所を離れて活動するときは日当が発生するので、半日分は3万~5万円、1日であれば5万~10万円程度になるでしょう。
調停や裁判の手続きを弁護士に依頼すると、30万円程度の着手金が必要となり、成功(和解や勝訴)した場合は経済的利益の4~16%程度の報酬金が発生します。
ほかにも印紙代や出廷日当(通常の日当と変わりません)が発生するので覚えておきましょう。
高額なイメージのある弁護士費用ですが、以下のように安くできる方法もあります。
保険の特約で弁護士費用が支払われるケースもあるので、弁護士に相談・依頼するときは必ず参考にしてください。
弁護士費用を安くしたいときは無料相談を有効活用してください。
要点をまとめておけば何度も相談する必要がないので、以下の書類も用意しておくとよいでしょう。
口頭で説明すると時間がかかるため、遺留分に関係する資料はできるだけ多く準備してください。
時効の完成を阻止したい、相手と直接交渉してほしいなど、相談内容も明確にしておきましょう。
弁護士費用は自由に設定できるので、複数の法律事務所で相見積もりを取っておきましょう。
割高な費用の弁護士もいるため、平均的な相場を知っておくことも重要です。
自動車保険や火災保険などに弁護士特約(弁護士費用保険)を付帯していると、弁護士の相談料は10万円まで、着手金や報酬金は300万円まで保険会社が負担します。
「気付いていなかったけど実は加入していた」というケースがあり、家族が加入している弁護士特約を適用できる場合もあります。
補償の範囲は保険会社によって異なるため、相続トラブルが対象になるかどうか、契約書の内容をよく確認しておきましょう。
弁護士特約は日本弁護士連合会も推奨しているので、以下のリーフレットも参考にしてください。
テレビ・新聞・ネットでは身近な法律問題を取り上げるケースが増えたため、遺留分の概要を理解している方もいるでしょう。
しかし、遺留分侵害額の計算や相手との交渉は難易度が高く、簡単には返還に応じてもらえないため、諦めてしまう方もいるようです。
相手からみれば「自分の財産を脅かす存在」になってしまうため、連絡を拒否されたり、交渉に応じてくれなかったりするケースもあるでしょう。
遺留分は法律によって保障されているので、侵害されたときは必ず弁護士に相談してください。
結論からいうと、遺留分侵害については弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
ベンナビ相続では、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。