ハラスメント
パワハラの相談先と相談の流れを解説
2024.09.05
パワハラ防止法が2022年4月1日から全企業に適用されていますが、「上司からパワハラ発言を浴びせられた」というニュースは後をたちません。
社内に相談窓口を設置することが義務づけられましたが、中小企業では守られていないケースもあるため、状況の改善を求めたいときや損害賠償請求したいときは弁護士に相談することをおすすめします。
本記事では、パワハラ発言の種類や、パワハラ発言を浴びせられた時の対処法などをお伝えします。
職場でパワハラを受けているけど、どうすればいいかわからず困っていませんか?
結論からいうと、パワハラは社内の相談窓口や労働局、弁護士に相談することが可能です。
もし、会社に対応を求めたり、相手方を法的に責任追及したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。
ベンナビ労働問題では、職場でのパワハラ問題の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
無料相談・電話相談など、さまざまな条件であなたのお近くの弁護士を探せるので、ぜひ利用してみてください。
パワハラ・セクハラについて弁護士に相談する 電話相談可・初回面談無料・完全成功報酬 | |
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まずは裁判でパワハラ発言であると認められた具体例を紹介します。
パワハラ防止法は、以下の3つの要件を全て満たすものをパワハラと定義づけました。
【参考】
e-Gov法令検索|第三十条の二(雇用管理上の措置等)
厚生労働省指針2(1)
先ほどみたパワハラ発言は、上記の3要件を全て満たしています。
裁判で特に争われる要件は「業務上必要かつ相当な範囲を超えているかどうか」です。
会社や上司は裁判になれば「この発言は必要かつ相当な業務指示・指導だった」と主張してくるでしょう。
厚生労働省が公表した指針によれば、パワハラは大きく6つに分けられるとされています。
パワハラ発言は主に「精神的な攻撃」に分類されます。
パワハラ発言を受けている方は、6つの類型のパワハラを全て受けている可能性があるので、どのような行為がパワハラになるかを押さえておくことが大切です。
身体的な攻撃は、上司や会社の言い訳がほぼ通用しない行為です。
具体的には、殴る・蹴る・たたく・物を投げつける・胸ぐらをつかむなどの行為が該当します。
お酒を強要することも身体的な攻撃にあたる可能性があります。
精神的な攻撃とは、主に言葉での攻撃です。
人格を否定するなど、相手に精神的なダメージを与える行為です。
種類としてはおおまかに以下のように分けられます。
ほかの社員の前で罵倒したり、メールのCCにほかの社員をいれて罵倒したりすれば、名誉毀損になることもあります。
不特定多数の人の前で社会的評価が低下させられたと認定されれば名誉毀損という不法行為が成立します。
人間関係からの切り離しとは、意図的に孤立させる行為です。
仲間外れにしたり、仕事を遂行するために必要な情報を与えないなどの嫌がらせが典型例です。
過大な要求とは、達成することが不可能なレベルや量の仕事を与えることを言います。
仕事とはまったく関係のない雑用などを押しつけることも過大な要求にあたります。
これは過大な要求と真逆の概念です。
合理的な理由がないのに、能力や経験とはかけ離れたレベルの低い仕事を命じることなどが過小な要求にあたります。
仕事を与えない嫌がらせもこれにあたります。
個の侵害とは、プライベートな領域に立ち入ることを指します。
具体例は以下のとおりです。
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パワハラ発言があれば、以下のようなことをできる可能性があります。
以上のように多くの手を打てる可能性がありますが、注意が必要なのは、パワハラ発言があったことを立証しなければならない、ということです。
パワハラ上司に対して何か行動を起こしたい時は、以下のような証拠を集めましょう。
録音は、裁判になった際に非常に強い証明力を発揮します。
なぜなら、パワハラ発言が収録されていれば上司は言い逃れできないからです。
録音がなければ、裁判で言った言わないの水掛論が繰り広げられますが、録音があればその不毛な争いをなくすことができます。
パワハラ上司と過ごしている方は、1日中、録音し続けることをおすすめします。
パワハラ発言の数が多ければ多いほど慰謝料の額も上がります。
言葉だけでなく暴行を受けている方も、録音は有効な手段です。
殴られた時や叩かれた時の音、書類を投げつけられた時の音などが収録されていれば、裁判官は暴行を推認してくれる可能性が高まるからです。
上司から送信されてきたメールやチャットをスクリーンショットしておきましょう。
実際に、裁判でもメモ書きやメールの内容がパワハラを立証する証拠として認められたケースがあります。
裁判官が何を証拠として取り上げるかは未知数のため、さまざまな手を打っておきましょう。
それらを総合考慮してパワハラ認定してくれる可能性があるからです。
日記やメモも証拠となるのですが、証明力は録音やメール・チャットに比べて弱いです。
パワハラ上司が「勝手に作り上げている」と反論してきた場合、裁判所としてはパワハラ認定することをためらうからです。
したがって、日記・メモは、ほかの証拠を押さえたうえでの補完的な証拠と考えてください。
日記を書く時には、かなり具体的に書くことをおすすめします。
上記のような内容を、なるべく時系列順など具体的に書くことをおすすめします。
裁判官が「具体的かつ迫真性に富んでいる」としてパワハラ発言の存在を認定してくれる可能性が高まるからです。
同じ発言でもパワハラになる場合とならない場合があります。
たとえば「バカヤロウ!」でも、緊急事態にとっさに出てしまった「バカヤロウ!」だとパワハラ認定されない可能性がありますが、日常茶飯事で使っている「バカヤロウ」だとパワハラ認定の可能性が高まります。
パワハラ発言になるかどうかは、下記の事情などが総合的に考慮されます。
パワハラ発言されたときは、まず社内のパワハラ相談窓口に相談してみましょう。
もし、相談窓口がなかったり、相談しても十分な対応をしてくれない場合は、以下を検討しましょう。
会社の相談窓口がない、相談しても話が進まないなどの場合は、労働局に相談してみましょう。
労働局では、職場でのさまざまなトラブルの相談を受け付けており(相談無料・解決依頼も無料)、全国に設置されてます。
労働者が解決依頼を申し込むと、労働局が会社を呼び出してくれます。
しかし、会社に参加義務はないので労働局からの呼び出しを無視してくることもあります。
【参考】厚生労働省|都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
ご自身で対応すると手続きが煩雑なこともあるため、初めから弁護士に相談することもおすすめします。
ベンナビ労働問題には、パワハラ問題を含め労働問題に強い弁護士が多数掲載されているので、ご自身に合った弁護士を探してみてください。
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弁護士に相談することのメリットは以下のとおりです。
「パワハラ発言にあたるのか?」「どれくらいの損害賠償請求をできる可能性があるか」などについて法的観点から具体的にアドバイスをしてもらえます。
損害賠償請求以外にも、「上司の異動を求める」「上司に懲戒処分を出してもらう」などの通知書を作ってもらえるなど、ご依頼者の要望に応じた対処をしてくれます。
自分ひとりで「パワハラ発言だから損害賠償請求する」などと会社に申し立てたとしても、会社が聞き入れる可能性は低いでしょう。
なぜなら、パワハラ発言が横行しているような会社だと、労働者が法律的に正当な主張をしても会社が理解を示さないことが多いからです。
したがって、その交渉は非常にストレスのかかるものとなります。
この点、弁護士に依頼すれば、交渉をスムーズに進めてくれます。
先述のとおり、自分ひとりで会社と対峙しても会社が態度を改める可能性は低いですが、弁護士から通知が来ると、会社が態度を一変させて話に応じてくることが多々あります。
ここが一番大きなメリットといえます。
万が一、裁判手続きになったとしても、弁護士に依頼していると安心です。
理由は以下のとおりです。
弁護士に依頼せずに、自分ひとりで「パワハラ発言だから損害賠償請求する」と主張して労働審判や訴訟を起こすことは可能ですが、遂行することは非常に難しいでしょう。
なぜなら、法律的な主張を組み立てることは困難ですし、その主張を組み立てることができなければ敗訴するおそれがあるからです。
裁判官は中立な立場のため、「この主張や証拠が足りない」などと手を差し伸べることはありません。
その結果、本来勝訴できたにもかかわらず、敗訴することもありえます。
弁護士は、裁判手続きに精通しているため、法律的に必要な主張を過不足なく裁判所に提示してくれます。
たとえば、労働者が「パワハラ発言だから損害賠償請求する」と会社に申し入れをしたり、労働局に駆け込んだ場合、ブラック企業は、報復として労働者に対して裁判を起こしてくることがあります。
また、些細なミスにもかかわらず「損害賠償請求する」などと主張して提訴してくることがあります。
このような場合、労働者ひとりで対応していると、その対応は非常に困難かつ労力のかかるものとなりますが、弁護士はその手の会社の主張への対応に慣れているため、的確に反論することが可能です。
パワハラ発言を受けた場合、何らかの行動をとりたければ弁護士に相談することをおすすめします。
損害賠償請求するのか、上司と接点を持たずに働きたいのか、依頼者の要望に沿って戦略をたててくれます。
ベンナビ労働問題ではパワハラ問題に強い弁護士が多く掲載されていますので、ご自身に合った弁護士を探してみてください。
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参考:パワハラの相談窓口はどこ?おすすめの相談先5つと特徴を紹介 | しごとウェブ転職