パワハラに強い弁護士とは?パワハラ解決を弁護士に依頼するメリット・デメリットを解説

パワハラに強い弁護士とは?パワハラ解決を弁護士に依頼するメリット・デメリットを解説

パワハラは見過ごすことのできない労働問題ですが、「部下育成のための指導」などと問題をすり替えられ、被害者が泣き寝入りするケースが少なくありません。

根本的に解決したいときは弁護士への依頼をおすすめしますが、以下のような不安や疑問もあるでしょう。

  • パワハラに詳しい弁護士はどうやって見分ける?
  • パワハラの解決を弁護士に依頼するメリットは?
  • 弁護士費用はいくらかかる?
  • 弁護士に依頼すると上司から恨まれない?

弁護士がパワハラの解決に対応すると、会社側へ損害賠償請求を行い、再発防止策も提案してくれます。

パワハラ問題に悩んでいる方は、安心して働ける環境づくりを弁護士にサポートしてもらいましょう。

今回は、パワハラに詳しい弁護士の見分け方や弁護士費用、弁護士に依頼するメリットやデメリットなどをわかりやすく解説していきます。

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この記事を監修した弁護士
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当社在籍弁護士(株式会社アシロ)
この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

パワハラに強い弁護士の見分け方

弁護士の専門分野はそれぞれ異なっているため、パワハラ問題を解決したいときは、以下のような弁護士に依頼する必要があります。

ネットで法律事務所を探すときや、弁護士に法律相談するときの判断基準にするとよいでしょう。

労働問題に注力していること

上司からのパワハラに困っているときは、必ず労働問題に注力している弁護士を探してください。

法律事務所のホームページには専門分野が掲載されているので、労働問題の解決が得意かどうか、解決実績や具体的な解決例があるかどうか、確認しておきましょう。

「社内ルールが整備されていない企業相手」の解決事例があれば、実力のある弁護士とみて間違いありません。

効率的に弁護士を探したいときは、ベンナビ労働問題でパワハラに詳しい弁護士を探してみましょう。

依頼者の希望に沿った解決方法を提案してくれること

パワハラに詳しい弁護士であれば、依頼者の希望に沿った解決方針を提案してくれます。

弁護士に相談するときは、会社側と和解して継続的に働きたい、または会社と対立しても構わないので慰謝料を優先するなど、依頼内容を明確にしておきましょう。

なお、勝手に解決方針を決める弁護士は会社との対立関係を深めてしまい、慰謝料を獲得できても社内で孤立するなど、依頼者が望まない結果になるので注意してください。

パワハラ防止を会社側にはたらきかけてくれること

労働問題に詳しい弁護士であれば、パワハラ防止を会社側にはたらきかけてくれます。

パワハラ対策が十分な職場は社員の定着率が上がり、生産性も向上しやすいので、会社側にとっても大きなメリットになります。

パワハラの解決を依頼したときの弁護士費用

パワハラを弁護士に解決してもらうと、以下のような費用がかかります。

一般的には50~100万円程度の費用になりますが、弁護士は損害賠償請求を代行してくれるので、弁護士費用の大部分を回収できるケースもあります。

法律相談料

弁護士の法律相談料は30分5,500円、1時間1万1,000円程度が一般的な相場です。

なお、多くの弁護士は初回の相談料を無料にしており、収入や資産が一定額以下の人は法テラスの無料相談も受けられます。

パワハラの悩みを1人で悩みを抱えている方は、早めに無料相談を活用してください。

着手金

パワハラを解決する場合、弁護士の着手金は一般的な相場で10万~30万円程度になるでしょう。

上記は問題解決の成否に関係なく発生する費用なので、原則として依頼者に返還されることはありません。

着手金の支払いが難しいときは、分割払いに応じてくれる弁護士や、着手金無料の弁護士を探してみましょう。

報酬金

報酬金にも特に決まった相場はありませんが、一般的には賠償金の20~30%程度になるでしょう。

ただし、弁護士の成功報酬として請求されるため、パワハラの解決が不成功に終わったときは報酬金が発生しません。

着手金や報酬金には統一基準がなく、各法律事務所が自由に設定しているので、無料相談するときには報酬体系もよく確認しておきましょう。

実費と日当

パワハラの解決を弁護士に依頼すると、1万~3万円程度の実費や、1時間あたり1万円程度の日当がかかります。

実費には交通費や宿泊費、通信費などが含まれており、弁護士が事務所を離れて活動するときは日当が発生します。

実費と日当を節約したいときは、会社に近い法律事務所へ依頼してください。

パワハラの解決を弁護士に依頼するメリット・デメリット

パワハラの解決を弁護士に依頼すると、侵害された人権や就業環境を取り戻せるので、依頼者にとっては大きなメリットになるでしょう。

ただし、以下のようなデメリットもあるため、正式な依頼をすべきかどうか、無料相談の際によく確認しておく必要があります。

弁護士に依頼するメリット

パワハラの解決に弁護士が対応した場合、以下のようなメリットがあります。

  • 会社側との交渉を依頼できる
  • 賠償金を獲得できる可能性がある
  • 訴訟や労働審判をサポートしてもらえる
  • 刑事告訴もサポートしてくれる

弁護士は依頼者の代理人になってくれるので、パワハラの事実確認や損害賠償請求、再発防止の協議などに自分で対応する必要があません。

また、パワハラによって精神疾患などの被害が生じたときは、損害賠償請求も弁護士に依頼できます。

訴訟や労働審判によって解決を目指したいときや、暴行罪や傷害罪で刑事告訴したいときも、弁護士にサポートしてもらうとよいでしょう。

弁護士に依頼するデメリット

パワハラの解決を弁護士に依頼した場合、損害賠償よりも弁護士費用が高くなる「費用倒れ」のデメリットがあります。

パワハラは立証が難しいので、証拠が不十分だったときは損害賠償請求が認められないでしょう。

ただし、自動車保険などに弁護士費用特約をセットしている場合、以下の弁護士費用を保険会社が負担してくれます。

  • 弁護士の法律相談料:10万円まで
  • 着手金などの弁護士費用:300万円まで

パワハラの解決であれば、弁護士費用の自己負担はほぼなくなるでしょう。

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パワハラの解決を弁護士に依頼したときの対応

パワハラが状態化している会社は、経営者や周囲に期待しても解決できる見込みはありません。

しかし、弁護士に依頼すると以下のように対応してくれるので、パワハラの根本的な解決を期待できます。

パワハラ問題の無料相談

自治体や法テラス、各法律事務所ではパワハラの無料相談を受け付けているので、お金の負担がありません。

法律事務所は初回の相談のみ無料となりますが、自分で弁護士を選べるので、具体的な解決に向けた相談ができるでしょう。

また、自治体の法律相談は原則無料になっており、法テラスは一定要件を満たすと3回まで無料相談できます。

ただし、自治体や法テラスは弁護士を選べないので注意してください。

パワハラ被害の調査

弁護士にはパワハラ被害の調査を依頼できるので、社員指導の一環なのか、行き過ぎたパワハラなのか、客観的な証明が可能になります。

会社や上司と直接交渉しても、「教育や指導の一環」「社員育成に必要」などと反論された場合、結論が出ないままパワハラ問題が状態化していくでしょう。

しかし、労働問題に詳しい弁護士に依頼しておけば、パワハラだったかどうか、法律に基づいてジャッジしてくれるはずです。

不払い賃金や残業代の回収

パワハラのエスカレートによって賃金や残業代の不払いが発生した場合、弁護士は回収に対応してくれます。

会社や上司がハラスメント体質になっていると、契約が取れるまで、または仕事が片付くまで退社を認めないパワハラが起きやすく、残業代も付かないケースがあります。

休日返上で仕事をしても賃金を支払わないなど、搾取が当たり前になっている職場もあるでしょう。

しかし、弁護士が対応すると不払い賃金や残業代はほぼ確実に回収できるので、パワハラに困っている方は早めに依頼しておきましょう。

会社側への損害賠償請求

パワハラによる精神的苦痛は損害賠償請求の対象になるので、弁護士に依頼すると、妥当な金額を会社側に請求してくれます。

賠償金は自分でも請求できますが、会社側に妥当額を提示できなければ、根拠のない請求として却下されるでしょう。

また、パワハラや賠償金の根拠を提示できたとしても、会社側との交渉は大きなストレスになり、支払ってくれるかどうかの保証もありません。

損害賠償請求は交渉力も必要になるので、会社側が請求に応じないときや、交渉にストレスを感じている方は弁護士に依頼してください。

訴訟による損害賠償請求

弁護士は訴訟による損害賠償請求もサポートしてくれるので、自分で裁判所に出向かなくても訴訟の手続きを進められます。

会社相手の訴訟には抵抗を感じるかもしれませんが、賠償金がなければ精神疾患の治療費は自己負担となるうえに、会社側のパワハラ体質も改善されることはないでしょう。

侵害された人権の回復や、精神的苦痛に対する補償を獲得したいときは、訴訟による損害賠償請求も検討してください。

加害者の処分

パワハラを根本的に解決したいときは、加害者にも何らかの処分が必要です。

しかし、パワハラが状態化している会社は処分規定を定めていないケースが多く、仮に規定があったとしても機能していない可能性が高いでしょう。

ルールがなければ労働問題の解決は困難になるので、弁護士に会社側と交渉してもらい、加害者にも相応の処分を下してもらえるようにしましょう。

パワハラ予防策の策定

弁護士にパワハラの解決を依頼すると、今後の予防策も策定してくれます。

会社によってはパワハラの定義を理解しておらず、労務管理体制も構築されていないケースが少なくありません。

また、社内ルールが形骸化しており、「会社にパワハラを訴えても無駄」という諦めムードがまん延している例もあるでしょう。

このようなケースでは、賠償金を獲得してもすぐにパワハラが再発し、本業以外に時間と労力を割く羽目になるため、会社にとってもデメリットしかありません。

パワハラを根本的に解決したいときは、弁護士から会社側にはたらきかけてもらい、予防策の策定や定期的な役員研修もおこなってもらいましょう。

パワハラを解決するときの注意点

パワハラの解決には以下の注意点があるので、弁護士に提示できる情報が多くなるよう、できる限り証拠を残すようにしてください。

うつ病などの症状があるときは、必ず病院の診察を受けておきましょう。

パワハラの証拠を残しておく

パワハラの被害に遭ったときは、以下のように証拠を残してください。

  • パワハラの録音
  • 防犯カメラのデータ保存
  • 加害者からのメールやLINEを保存する
  • パワハラの日時と場所、詳細状況をメモに記録する

ボイスレコーダーやスマートフォンを持ち込める職場であれば、加害者の音声を録音しておきましょう。

パワハラの状況が防犯カメラに映っている場合、セキュリティ管理者の協力を得られるようであれば、当日のデータを保存するように依頼してください。

また、加害者からのメールやLINEを会社のパソコンや携帯で受信しているときは、個人のパソコンなどにデータを転送し、証拠を保全しましょう。

録音や録画が難しい場合、パワハラの状況を記録したメモでも有効な証拠になるケースがあるので、証拠となりそうなものは集めておくことをおすすめします。

パワハラと被害の因果関係を証明する

パワハラが原因でうつ病などの精神疾患になったときは、必ず病院の治療を受けてください。

病院で治療を受けると診断書を発行してもらえるので、パワハラと精神疾患の因果関係を証明できます。

パワハラの実態をメモやメールで残しておけば、「被害を受けたあとに治療を開始した」という時系列のつながりもわかります。

うつ病などの精神疾患は精神的・肉体的にも苦しい状況ですが、自宅療養ではパワハラとの因果関係を証明できないので、早めに診察を受けましょう。

転職や退職も視野に入れておく

パワハラの被害を受けた場合、転職や退職も視野に入れておく必要があります。

弁護士の介入によって慰謝料を獲得し、パワハラ防止のルールがつくられたとしても、会社に対する愛着を失ってしまうと、日々の出社が苦痛になってしまいます。

モチベーションが上がらない状態では仕事がストレスになるので、心機一転のため、退職や転職も検討してみるべきでしょう。

ただし、転職に有利な経験や資格がある、または定年退職が近いなど、ある程度の条件も必要です。

弁護士の協力があると、短期間で社風が変わるケースも少なくないので、上司などの様子をみながら決めるようにしてください。

できるだけ早めに弁護士へ相談する

パワハラの解決を目指すときは、できるだけ早めに弁護士へ相談してください。

慰謝料などの損害賠償請求には時効の適用があり、一般的には3年経過後に時効が完成します。

また、労務関係の書類はパワハラの証拠になるケースもありますが、1~3年程度の保存期間が多いので注意してください。

ただし、弁護士に損害賠償請求を依頼すると、内容証明郵便などの方法で時効の完成を阻止してくれるので、請求権が消滅することはありません。

まとめ|パワハラ問題は1人で悩まずに弁護士に相談を

パワハラは上司と部下の個人的な問題ではなく、指揮系統や組織づくりそのものに問題があるケースが多いので、根本的な解決を目指す必要があります。

しかし、自分だけで対応するとパワハラがエスカレートする、または報復人事の被害に遭う可能性もあるでしょう。

また、パワハラは人材流出型のリストラにつながり、「残ってほしい人ほど辞めていく」という状況になりかねません。

パワハラの解決は職場環境の改善にもなるので、1人で悩まず、できるだけ早めに弁護士へ相談してください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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