ハラスメント
パワハラの相談先と相談の流れを解説
2024.09.05
パワハラの被害を受けたときは、加害者の上司や会社に対して損害賠償を請求できます。
ただし、パワハラの証拠がないと、損害賠償請求が認められる可能性は低いです。
手元にパワハラの証拠がない場合には、利用できる証拠がないかをよく検討し、さまざまなアプローチで証拠収集を図りましょう。
本記事では、パワハラの損害賠償請求をしたいけれど、十分な証拠が揃っていない場合の対処法を解説します。
会社でパワハラの被害を受けている方は、本記事を参考にしてください。
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パワハラを受けた労働者は、加害者や会社に対して損害賠償を請求できます。
パワハラの証拠が揃っていれば、数十万円から100万円程度の損害賠償(慰謝料)が認められるケースが多いです。
しかし、パワハラの証拠が十分に揃っていないと、損害賠償請求は難航することが予想されます。
加害者や会社が任意の支払いに応じればよいですが、拒否されることも想定されます。
その場合は訴訟で争うことになりますが、証拠がない状態では、裁判所はなかなか損害賠償を認めません。
パワハラの証拠がない状態で損害賠償請求をおこなうのではなく、利用できる証拠をできる限り集めてから損害賠償を請求する方が得策です。
証拠がない状態で、パワハラの損害賠償を求めて加害者や会社を訴えると、被害者は以下のリスクを負うことになってしまいます。
パワハラの証拠がない状態で加害者や会社に慰謝料を請求しても、請求どおりに慰謝料が支払われる可能性は低いと考えられます。
特に、訴訟の判決で慰謝料の支払義務がないことが確定すると、同じパワハラ行為を理由として再度損害賠償請求をおこなうことはできなくなってしまいます。
十分な準備を怠った結果、損害賠償請求の機会を失ってしまうことは避けなければなりません。
在職中にパワハラの損害賠償請求をおこなう場合は、会社側との関係性の悪化を覚悟する必要があります。
十分な証拠が揃っていないために損害賠償請求が認められないと、会社側との関係性が悪くなっただけで、その見返りとして何も得ることができません。
それどころか「理不尽にパワハラ被害を訴えた人」のようなレッテルを貼られ、損害賠償請求が認められた場合よりも、会社内での立場が弱いものになってしまうおそれがあります。
在職中の損害賠償請求に当たっては、請求が認められることの確信が持てる程度に至るまで、事前に十分な準備を整えるべきです。
手元にパワハラの証拠がない場合には、利用できる証拠をできる限り集めましょう。
具体的には、以下の対応などが考えられます。
メールやメッセージアプリなどの履歴を確認すれば、パワハラの証拠が残っているかもしれません。
上司などによる以下のような言動が記録されていないか、履歴を隅々まで確認しましょう。
上司から受けたパワハラに当たる言動の内容を記した日記なども、パワハラの証拠として役立つことがあります。
特に、日常的にパワハラを受けている場合には、毎日日記を書けば短期間で有用な証拠を確保できます。
日記の証拠価値は、上司の言動が詳しく描写されていればいるほど高くなります。
どのような言動を受けたのか、その時どう感じたのか、言動を受けた前後のやり取りや経緯などを、できる限り具体的に記載しましょう。
上司のパワハラに当たる言動を録音または録画することができれば、パワハラの客観的な証拠を確保できます。
仕事中の上司の言動をどのように録音・録画するかは難しい問題ですが、上司に対して直接「録音(録画)させてください」と伝えることも考えられるでしょう。
上司が訴えられることをおそれて、パワハラをやめるかもしれません。
パワハラによってうつ病などの精神障害を患った場合には、医療機関を受診して医師に診断書を発行してもらいましょう。
医師の診断書は、パワハラによって被害者が受けた損害を立証するために役立ちます。
特に深刻な精神障害の診断を受けた場合には、高額の慰謝料が認められる可能性が高まります。
パワハラの客観的な証拠が乏しい場合には、パワハラの様子を目撃していた同僚などに証言を求めることが考えられます。
証言の内容に一貫性があり、被害者の主張と十分に整合していれば、その証言を根拠にパワハラの損害賠償請求が認められる可能性はあります。
複数の同僚などから証言を得ることができれば、損害賠償請求が認められる可能性はさらに高まります。
会社内での立場が悪くなるなどのリスクを冒して証言してくれる同僚を見つけることは、決して容易ではありません。
しかし、ご自身が受けているパワハラのひどさを訴えれば、協力してくれる同僚が見つかることも多いです。
信頼できる同僚に協力を求めてみましょう。
また、すでに退職した人であれば会社内で立場を気にする必要がないので、在職中の同僚よりも証言してもらいやすいです。
直近で退職した元同僚がいれば、その人にも証言をお願いしてみましょう。
パワハラの証拠を確保しようとする際には、弁護士のアドバイスが役立ちます。
弁護士に相談すれば、依頼者の置かれている状況を分析した上で、利用できるパワハラの証拠をさまざまなアプローチで検討してもらえます。
具体的な証拠収集の方法や注意点についてもアドバイスを受けられるので、パワハラの有力な証拠を確保できる可能性が高いです。
手元にパワハラの証拠が十分に揃っていない場合は、弁護士に相談してみましょう。
「ベンナビ労働問題」にはパワハラ事案への対応に精通した弁護士が多数登録されているので、ぜひご活用ください。
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パワハラの証拠が十分に揃えることができず、すぐに上司や会社を訴えるのが難しい場合には、以下の対応を検討しましょう。
損害賠償を請求することは難しくても、会社側の協力を得てパワハラをやめさせることはできる可能性があります。
上司などが独断専行でパワハラをおこなっている場合は、会社にとっても望ましくない状況といえるので、被害者に協力してくれる可能性が高いです。
まずは人事担当者など、加害者である上司とは直接関係がない人に相談してみましょう。
ハラスメント相談窓口が設けられている場合は、窓口担当者に相談するのがよいでしょう。
会社に対しては、被害者として希望する解決の内容を伝えて協力を求めます。
比較的大きな会社では、加害者の上司から離れるための部署移動の希望などは通りやすい傾向にあります。
また、会社主導によるパワハラの調査の実施を依頼することも考えられます。
会社が調査した結果、上司によるパワハラの事実が発覚すれば、上司に対する懲戒処分などをおこなってもらえるかもしれません。
特に、在職しながらパワハラ被害を解消するためには、会社の協力が欠かせません。
この場合は、いたずらに会社と対立するのではなく、会社と協力してパワハラを解決するという姿勢で対応することが有力な選択肢となります。
パワハラ被害への対処法が分からないときは、都道府県労働局および労働基準監督署に設置されている「総合労働相談コーナー」に相談することが考えられます。
総合労働相談コーナーでは、あらゆる分野の労働問題について、専門の相談員に相談できます。
パワハラ被害への対応についても、総合労働相談コーナーにて相談が可能です。
総合労働相談コーナーでは、面談または電話での相談を受け付けています。
都道府県労働局もしくは労働基準監督署の窓口へ行くか、または地元の都道府県労働局もしくは労働基準監督署に電話をかけてみましょう。
各都道府県労働局・労働基準監督署の所在地および連絡先は、厚生労働省のウェブサイト上で確認できます。
ご自身だけではパワハラの証拠を確保できなかった場合には、弁護士のアドバイスを求めてみましょう。
気づかなかった証拠を発見できる可能性があります。
また弁護士には、会社側との協議を代理でおこなってもらうことができます。
パワハラの被害について、ご自身で会社に伝えるのが精神的に辛いときは、弁護士に代理で対応してもらうことで精神的な負担が軽減されるかもしれません。
パワハラ被害を解消するために何をすればよいか分からず、困ってしまっている方は弁護士へのご相談をおすすめします。
パワハラ被害を受けた場合には、上司や会社に対する損害賠償請求が可能です。
ただし、パワハラの証拠が十分に揃っていなければ、損害賠償請求が認められることは期待できません。
現時点で手元に十分な証拠がない場合には、利用できる証拠をできる限り集めましょう。
弁護士に相談すれば、証拠収集の方法について具体的なアドバイスを受けられます。
「ベンナビ労働問題」には、パワハラを含む労働問題に精通した弁護士が多数登録されています。
相談内容や地域に応じて、スムーズに弁護士を検索可能です。
パワハラ被害を受けており、どのように対応すべきか悩んでいる方は、「ベンナビ労働問題」を通じてお早めに弁護士へご相談ください。
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