残業代請求
変形労働時間制の会社で働くときに知っておきたいこと|残業の計算やトラブル事例など
2023.11.02
残業代請求は会社側と交渉するため、一般的には弁護士に依頼します。
しかし、いざ弁護士に相談しようと思っても、以下のような悩みも生まれるのではないでしょうか。
本記事では、残業代請求を相談する際の弁護士の費用や選び方、弁護士に依頼するメリットをわかりやすく解説していきますので、未払いの残業代に困っている方はぜひ参考にしてください。
残業代請求を弁護士に依頼すると、20~40万円程度の着手金と回収額の15%程度の報酬金が発生します。
回収額が300万円の場合、総額60~80万円程度の費用相場となりますが、具体的な内訳は以下のようになっているので、相談時によく確認しておきましょう。
【参考記事】残業代請求の弁護士費用・相場はいくら?出来るだけ費用を抑えるコツも解説
弁護士に残業代請求を相談すると、30分で税込み5,500円、1時間では1万1,000円程度の法律相談料がかかります。
ただし、初回の法律相談は一定の時間に限り無料にしている弁護士が多く(例:30分無料)、問題を整理して相談すると、時間内に有益なアドバイスを受けられます。
また、メール相談を受け付けている弁護士の場合、ポイントをまとめて本文を作成し、関係資料も一緒に送信しておくとよいでしょう。
弁護士に残業代請求を正式に依頼すると、20万~30万円程度の着手金が発生します。
着手金は「請求額×○%」で計算するのが一般的ですが、労働審判や訴訟のサポートなど、依頼内容の難易度が上がると追加着手金が発生する場合もあります。
なお着手金は、残業代請求が希望した結果にならなかったとしても、弁護士に落ち度がなければ返金されないので注意してください。
弁護士が残業代請求の依頼に成功すると、「依頼者が獲得する利益×○%」の報酬金が発生します。
報酬金は依頼者の利益によって変わるため、決まった費用相場はありませんが、残業代請求の場合は20~30%程度の料率になるケースが多いでしょう。
また、報酬金は弁護士の成果報酬になるので、残業代請求が成功に至らなかったときは発生しません。
委任契約の際には弁護士から報酬金の説明を受けますが、何をもって成功とするかなど計算方法の考え方がずれてしまうと、支払いトラブルが発生するので注意しましょう。
弁護士が残業代請求に着手すると、以下のように日当と実費が発生します。
日当は一定時間を超える出張に限って請求する弁護士が多いので、会社や裁判所に近い法律事務所を選ぶなど、工夫次第では節約も可能です。
なお、日当と実費は弁護士によって請求タイミングが異なるため、委任契約の際によく確認してください。
残業代請求を弁護士に依頼すると、着手金だけでも20万~30万円程度かかりますが、以下のポイントを押さえると弁護士費用を安くできます。
場合によっては無料で残業代請求を依頼できるので、加入済みの保険も確認しておきましょう。
弁護士の法律相談料は、有料の場合は少なくとも5,000円以上かかるので、無料相談を有効活用してください。
無料相談できる弁護士はベンナビ労働問題に登録されており、地域と相談内容を指定して検索すると、残業代回収に注力している弁護士を効率的に探せます。
弁護士によっては無料相談が回数無制限になっているので、まず相談からスタートしてみるとよいでしょう。
弁護士費用には統一基準がないので、残業代請求を依頼するときは相見積もりを取ってください。
複数の法律事務所で見積もりを取ると、大まかな相場が見えてくるので、弁護士費用が高いか安いか判断できます。
なお、弁護士費用の金額だけでなく、弁護士の能力・経験や相性などにも注目して、総合的に信頼できる弁護士を選ぶことが大切です。
残業代請求を弁護士に依頼するときは、弁護士費用の内訳もよく確認してください。
一般的な費用相場に比べて高い弁護士もいますが、回数無制限の無料相談や、数回分の日当などがパッケージ化されており、実は割安になっているケースもあります。
なお、費用の内訳を説明してくれない弁護士に依頼すると、想定外の高額請求になる可能性があるので注意してください。
極端に費用が安い弁護士の場合、残業代請求書の作成や必要書類の準備など、事務手続きのほとんどが依頼者対応になっていることがあります。
弁護士に残業代請求を依頼する場合、提示された見積もりの中でどのような対応をしてくれるのかを具体的に確認しておきましょう。
手元にまとまった資金がないときは、着手金なしの弁護士を探してみましょう。
着手金なしの弁護士は少数派ですが、見つかれば初期費用なしで残業代請求を依頼できます。
ただし、着手金なしの弁護士は報酬金を高く設定しているケースが多く、最終的には着手金ありの弁護士と支払総額が変わらない、または少し割高になる場合があります。
弁護士に残業代請求を依頼する場合、弁護士保険を使うと以下の費用を保険会社が負担します。
残業代請求の依頼であれば、弁護士費用が補償の範囲内になるため、自己負担はないでしょう。
弁護士保険を利用する際、依頼する弁護士は保険会社の指定ではなく、自分で選べるようになっています。
保険契約から数年経っていると、加入していることを忘れている場合があるので依頼前に必ず確認しておきましょう。
また、一般的な弁護士保険は家族の法律トラブルも補償されるので、自分が未加入でも家族の保険で弁護士費用を支払える場合があります。
まだ弁護士保険の加入されていない方は、以下のベンナビ弁護士保険を参考にしてください。
ベンナビの弁護士保険は、毎月の保険料が2,250円からとなっており、1日あたり73円程度で以下のように弁護士の着手金が補償されます。
ベンナビの弁護士保険は以下のトラブルも対象となり、身近な法律問題であれば、弁護士費用の負担はほぼありません。
もちろん、残業代請求の弁護士費用も補償されます。
労働問題は残業代請求以外にも適用されるケースがあるので、残業代未払い以外の労働トラブルが想定されるようであれば、ベンナビ弁護士保険が大きな安心になるでしょう。
各弁護士には異なる特徴があるところ、残業代請求を依頼するときは、以下の基準で弁護士を選んでください。
弁護士が残業代請求に注力しており、解決実績も豊富であれば、短期間の全額回収を期待できます。
残業代請求の解決実績は法律事務所のホームページ、またはベンナビ労働問題で確認してみましょう。
「弁護士に依頼するといくら回収してくれるのか?」と気になる方は、ベンナビ労働問題で各法律事務所の解決事例を参考にしてください。
※実際に残業代を回収できるかどうかは、事案の内容等によって異なる点にご留意ください。
残業代請求を依頼するときは、労働問題の専門書を監修している弁護士に相談してみましょう。
専門書を監修している弁護士には高度な専門知識があり、ノウハウも豊富なので、会社側が弁護士を立てた場合でも対等に交渉を進めてくれます。
また、サービス残業が常態化している会社の場合、高確率でハラスメントや不当人事などの問題も発生しています。
弁護士に相談すれば、複数の労働問題を同時に解決してもらえるケースもあります。
弁護士にトラブル解決を依頼するケースは滅多にないので、残業代請求を相談するときは、弁護士の口コミや評判も参考にしてください。
「○○法律事務所+評判」などのキーワード検索や、Google Mapなどで法律事務所をクリックすると、口コミや評判がわかります。
友人や知人の評価も参考になるので、残業代請求を弁護士に依頼した人がいれば、弁護士の対応や弁護士費用、回収額などを聞いてみましょう。
ただし、評判がいまいちの弁護士でも、自分との相性はよいケースがあるので、無料相談を活用して弁護士と面談し、能力や人柄などをみて最終判断してください。
夜間や休日対応の弁護士であれば、夜勤のある方や、平日に時間が取れない方も残業代請求を相談できます。
平日の夕方に終業する法律事務所の場合、休みが取りにくい方や、退社時刻が遅い方はなかなか立ち寄れないので、弁護士に相談するタイミングが遅くなります。
また、夜勤の終業時刻は早朝になるケースが多く、法律事務所の営業開始まで2~3時間待たなければなりません。
休日夜間に対応できる弁護士であれば、早めの相談が可能です。
早めに相談していれば、サービス残業の証拠保全などをアドバイスしてもらえるので、「大事な証拠をうっかり廃棄した」などの状況も回避できます。
また、残業代の請求には時効があり、一定期間過ぎると請求権が消滅するので、仕事で時間が取れない方以外でも早めに相談しておくことをおすすめします。
弁護士に残業代請求を相談するときは、弁護士費用の後払いや、分割払いに応じてもらえるか聞いてみましょう。
弁護士費用は基本的に一括払いですが、良心的な弁護士は相談者の状況を理解してくれるので、後払いや分割払いに応じてもらえる場合があります。
ただし、まとまった資金はないが収入は安定している、または翌月にボーナスの支給予定があるなど、確実に支払える条件が必要です。
弁護士費用の支払いが遅れると、弁護士が途中で辞任する可能性があります。
それだけではなく、残業代請求が完了していなくても着手金は必ず請求されるので注意してください。
弁護士に相談するときは、依頼者の意向を尊重してくれるかどうかチェックしてください。
たとえば、「残業代を回収しつつ今後も安心して働きたい」という依頼にも関わらず、強引な交渉で会社に詰め寄る弁護士であれば、職場に居づらくなってしまうでしょう。
勝手に解決方針を決める弁護士の場合、望んだ結果にはならない可能性があるので要注意です。
ただし、実現不可能なリクエストには応えてもらえないので、弁護士とよく話し合い、現実的な解決策を提案してもらいましょう。
残業代請求は会社側と法的な論点で交渉するため、弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。
弁護士は労働審判や訴訟もサポートしてくれるので、会社を休まなくても裁判所の手続きを進められるでしょう。
個人で対応すると膨大な労力と時間がかかり、専門知識も必要になるので、残業代請求は弁護士に任せたほうが確実です。
残業代請求には以下の注意点があるので、弁護士に相談するときは十分な下準備も必要です。
残業代を全額回収したい場合、未払いの残業代を正確に計算するための証拠や資料が不可欠です。
就業規則などの資料は弁護士が手配する場合もありますが、給与明細やサービス残業の強要メールなど、自分にしか準備できない証拠も多いので気を付けましょう。
また依頼前には、「残業代の回収だけが目的」なのか「賃金未払いの再発防止まで会社に提言してほしい」のか依頼内容を明確にしておくことも大切です。
そのほか、残業代請求をめぐって会社と対立している場合や、働く意欲を失っている場合は、退職も視野に入れたうえで依頼しましょう。
残業代請求は労働基準法が関係するため、請求できる・できないといった判断が難しいケースもあります。
以下は残業代請求に関するよくある質問なので、管理職の残業代やサービス残業の証拠などを参考にしてください。
会社側に弁護士費用は請求できません。
残業代請求の裁判に勝訴した場合でも、会社側に弁護士費用は請求できないので注意してください。
残業代請求の弁護士費用は決して安くないので、自分や家族が弁護士保険に加入済みであれば、忘れずに利用してください。
タイムカードの打刻データがなくても残業代請求は可能です。
勤怠の状況がわかる以下のデータや資料があれば、労働時間を証明できます。
労働時間を証明できるデータにはさまざまな種類があるので、時間の記録に関係あるメモなどがあれば、必ず保管しておきましょう。
場合によっては請求可能です。
みなし残業時間制の場合、固定残業代を超える残業があれば、超過分の残業代を請求できます。
管理監督者は残業代を請求できませんが、権限や責任、職務の内容などから「名ばかり管理職」になっている場合、36協定の法定労働時間を超えていれば残業代を請求できます。
どちらも雇用形態や就業規則、労働実態などを調査し、残業代も正確に計算する必要があるので、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
自分で会社側と交渉するケースもありますが、残業を立証できなかったために交渉が決裂するなど、残業代請求の失敗例も少なくないので要注意です。
弁護士に残業代請求を任せると勝率が上がり、回収額も増える可能性があります。
労働問題に詳しい頼れる弁護士を気軽に探したい場合は、ベンナビ労働問題で弁護士検索してみましょう。