残業代請求は弁護士に相談を|依頼のメリット・流れ・弁護士費用

残業代請求は弁護士に相談を|依頼のメリット・流れ・弁護士費用

この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

会社に対して未払い残業代を請求する場合、弁護士に依頼するのがお勧めです。

弁護士に依頼をすれば、スムーズかつ適正に残業代請求を行うことができます。

弁護士への依頼について、ハードルの高さを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、初回相談を無料としている弁護士も多いので、一度気軽に弁護士へ相談してみてはいかがでしょうか。

この記事では、残業代請求を弁護士に依頼するメリット・依頼の流れ・弁護士の選び方・弁護士費用などについて解説します。

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残業代請求を弁護士に依頼するメリット

残業代請求を行う場合、会社と交渉を行う、労働審判・訴訟などの法的手続きを講じるなどの対応が必要になります。

弁護士に依頼すると、必要な準備をきちんと整えたうえで、円滑・迅速に未払い残業代を回収できる可能性が高まります。

残業代請求を弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。

残業の証拠収集についてアドバイスを受けられる

会社に対して正当な残業代を請求するには、残業をしたことの証拠を収集することが重要です。

残業の確固たる証拠があれば、分の悪さを感じた会社は、任意に残業代を支払う可能性が大いにあります。

また、労働審判や訴訟に発展した場合にも、労働者側の主張が認められやすくなるでしょう。

弁護士に依頼すれば、残業の事実を示す証拠として何が有効か、どのように証拠を集めればよいかについてアドバイスを受けられます。

仮にタイムカードのような明確な証拠がないとしても、残業の事実を立証する手がかりがないか、多角的な観点から探ってもらうことができるでしょう。

正確に残業代を計算できる

残業代の金額は労働基準法に従って計算しますが、計算方法は賃金体系や勤務形態によって異なります。

労働基準法では、以下のようにさまざまな賃金体系・勤務形態が認められており、それぞれに応じた正しい方法を用いて残業代を計算することが必要です。

<賃金体系>

  • 月給制
  • 時給制
  • 日給制
  • 年俸制
  • 歩合給制(完全歩合給制はNG)
  • 固定残業代制

<勤務形態>

  • 通常の労働時間(所定労働時間が固定されている)
  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

弁護士に依頼すれば、労働基準法の規定を正しく適用して、正確に残業代の金額を計算できます。

正確に残業代の金額を計算することは、残業代請求の大前提なので、弁護士に任せるのが安心です。

会社との残業代支払い交渉を一任できる

個人である労働者の方にとって、組織である会社に立ち向かって残業代請求交渉を行うのは大きな負担になってしまいます。

会社は労働者個人よりも経済的に余裕があることが多く、また対応に割くことのできるマンパワー(人員)の面でも優位なためです。

また、会社に法務部門や顧問弁護士が存在する場合には、法的知識の面でも労働者側が劣勢となってしまうでしょう。

弁護士に依頼すれば、労働者本人に代わって残業代請求交渉を行ってもらうことができます。

弁護士は法的な論理性・正当性を根拠として、会社に対して毅然と残業代請求を行います。

残業の証拠を確保し、弁護士を通じて整理された主張を展開すれば、労使の交渉力格差を埋めることも十分可能です。

会社としても、労働者側に弁護士が付いた場合には、法律違反の安易な対応はできません。

後で法的手続きに発展した際に、会社にとって不利な結果になる可能性が高いからです。

弁護士に依頼することによって、労働者側の主張の正当性を、会社側に認めさせることができる可能性が高まります。

あらゆる法的手続きに対応可能

会社との残業代請求交渉が決裂した場合でも、弁護士に依頼していれば、スムーズに法的手続きへと移行できます。

残業代請求を目的とする法的手続きとしては、主に労働審判と訴訟が考えられます。

どちらの手続きでも、残業代の発生要件を満たしていることについて、論理的に記載した主張書面を裁判所に提出しなければなりません。

また、労働者側が主張する事実を立証するための証拠を、過不足なく提出することも重要です。

弁護士に依頼すれば、労働審判や訴訟の準備を周到に整え、万全の態勢で手続きに臨むことができます。

その結果、裁判所(労働審判委員会)に労働者側の主張が認められ、正当な残業代を回収できる可能性が高まるでしょう。

労働者の代理人として何でも相談できる

弁護士は、労働者の残業代請求権を直接実現するため、代理人として尽力します。

残業代に関する相談先としては、弁護士以外にも労働基準監督署などが考えられます。

しかし、労働基準監督署はあくまでも監督官庁であり、労働者のために直接行動してくれるわけではありません。

そのため、必ずしも労働者の希望どおりに動いてくれるとは限りません。

また、労働者の悩み相談に対しても、詳細には立ち入らない一般的な回答に留まるケースが多いです。

これに対して弁護士は、労働者の権利を実現する代理人としての立場で、労働者の希望を最大限尊重してくれます。

また細かい悩みや疑問が生じた際にも、いつでも弁護士に質問でき、迅速かつ正確な回答が得られるでしょう。

弁護士は、残業代の未払いに悩む労働者の方にとって、頼れる精神的支柱としての役割も果たすことができます。

残業代請求を弁護士に依頼する流れ

弁護士に相談するのが初めての方は、どのような流れで残業代請求を弁護士に依頼できるのかについて、事前に把握しておくと安心です。

残業代請求を弁護士に依頼する場合、大まかに以下の流れとなります。

法律相談を利用する

まずは、法律事務所(弁護士事務所)に連絡をとり、法律相談を申し込みましょう。

初回の法律相談では、残業の状況や残業代支払いの状況、さらにどのような解決を実現したいかなどが質問されます。

相談時間はおおむね30分~60分程度、相談料は弁護士によってさまざまです。

初回の相談は無料で実施している弁護士も多いので、気軽に法律相談を申し込んでみてください。

委任契約書を締結する

弁護士に依頼することを正式に決定した場合、弁護士との間で「委任契約書」を締結します。

委任契約書には、依頼の内容・報酬・追加費用の有無・解約条件など、依頼に関する重要事項が記載されています。

弁護士から交付されるひな形に目を通したうえで、わからない点や疑問点があれば、遠慮なく弁護士に質問してください。

弁護士が会社と交渉を行う

弁護士と委任契約書を締結すると、実際に弁護士が残業代請求の交渉に着手します。

基本的には、交渉には弁護士のみが出席することになります。

労働者本人は、裏で弁護士と打ち合わせを行い、交渉の方針や提案内容の検討などを行います。

あくまでも残業代全額を請求するのか、多少のディスカウントは受け入れて迅速な解決を目指すのかなど、考えられる方針はさまざまです。

希望条件や心情を率直に伝えれば、弁護士はそれを最大限尊重してくれますので、結果的に納得のいく解決が得られる可能性が高まります。

法的手続きによる請求を行う

残業代請求交渉は、必ずしも奏功するとは限らず、条件が折り合わずに決裂するケースもあります。

その場合、労働審判や訴訟によって、引き続き残業代請求を行っていくことになります。

交渉段階から弁護士に依頼していれば、労働審判や訴訟への移行はスムーズです。

すでに残業の証拠などは揃っていますので、比較的短時間で主張書面を作成し、証拠とともに裁判所へ提出して法的手続きを開始することができます。

労働審判や訴訟に移行する際に、気を付けておきたいのが弁護士費用です。

交渉のみで完結する場合と比較すると、労働審判や訴訟が必要となる場合には、追加の弁護士費用が発生するケースが多くなっています。

会社との交渉が決裂する可能性を考慮して、依頼を検討する段階から、労働審判・訴訟の弁護士費用を確認しておきましょう。

残業代請求を弁護士に相談する際、準備すべきこと

弁護士と関わりを持つ機会があまりない方にとっては、相談の際に何を準備していけばよいか分かりにくく、不安をお感じになるかもしれません。

結論から言うと、特に何も準備せずに弁護士に相談しても問題ありません。

残業代請求に必要な準備などは、弁護士からその都度アドバイスを受けられるので、相談前から入念に準備をしていく必要性は低いです。

また、当日必要な持ち物などについては、弁護士に質問すればよいでしょう。

もし可能であれば、事前に以下の準備を整えておくことで、スムーズに残業代請求の相談を行うことができます。

残業の実態を大まかに説明できるようにしておく

初回の相談は、残業の実態についてさまざまな角度から弁護士が質問を行います。

すべての質問に十分な回答ができなくても問題ありませんが、案件の全体像が弁護士に伝わる程度の説明ができれば望ましいでしょう。

たとえば、以下のような事項は残業代請求のポイントになりますので、把握できる範囲で調べておくことをお勧めいたします。

  • 所定労働時間は1日何時間か
  • 平均すると1日何時間くらい働いているのか
  • 残業代は月にどのくらい支払われているのか
  • 残業について、上司などから何か言われていないか

残業の事実を示す資料を持参する

残業代請求を行う際には、確固たる残業の証拠によって、労働者側の主張を裏付けることが大切です。

初回相談の段階から、ある程度残業の証拠が揃っていれば、弁護士としても残業代請求の見通しが立てやすくなります。

たとえば、以下の証拠を可能な範囲で確保し、初回相談に持参するとよいでしょう。

  • タイムカードのデータ
  • PCのログイン履歴
  • 仕事用メールの送受信日時
  • 交通ICカードの乗車履歴
  • 業務日誌 など

委任契約締結に備えて持参すべきもの

正式に残業代請求を弁護士に依頼する際には、委任契約書の締結が必要となります。

委任契約書を締結する際には、契約書への押印が必要ですので、印鑑(認印)を持参しましょう。

また、弁護士による本人確認も同じタイミングで行われますので、身分証明書を併せてご持参ください。

残業代請求を依頼する弁護士を選ぶ際のポイント

残業代請求を成功させるためには、資質を備えた頼りになる弁護士に依頼したいところです。

多数の弁護士の中から、残業代請求を安心して依頼できる弁護士を選ぶためには、主に以下のポイントに着目するとよいでしょう。

労務紛争への対応実績

残業代請求などの労務紛争への対応実績が豊富な弁護士であれば、会社との交渉に長け、また法的手続きにもスムーズに対応してもらえる可能性が高いです。

公式HPなどを参照すれば、労務紛争に関する対応実績を明記している法律事務所もありますので、依頼の際には参考にしましょう。

なお労務紛争に関する経験が豊富であっても、専ら会社側のみを担当しているケースもあります。

労働者側での対応が可能かどうかは、依頼時に弁護士へご確認ください。

説明のわかりやすさ

残業代請求では、「より多くの残業代を獲得する」ことも大切ですが、本質的には「労働者本人が納得のいく解決を得る」ことがもっとも重要です。

依頼者である労働者の納得を得るためには、弁護士は依頼者に対して、案件の進め方につき十分な説明を尽くす必要があります。

  • なぜこの金額を請求するのか
  • 会社の提案は法的に妥当なのか
  • 和解を受け入れることのメリット、デメリット
  • 法的手続きで争うことのメリット、デメリット
  • 弁護士費用の体系

など、依頼者が判断すべき事項についてわかりやすく説明してくれるならば、依頼者本位の信頼できる弁護士といえるでしょう。

レスポンスの早さ

弁護士には、受任した案件に関する依頼者の悩みや疑問に対して、タイムリーに回答することが求められます。

速やかに的確な回答を返すことで、依頼者の安心に繋がるからです。

そのため、メール等の連絡に対するレスポンスが早いことは、信頼できる弁護士の必須条件といえるでしょう。

もちろん、正確な回答を期すためには検討の時間も必要ですが、数日間も連絡を放置するような弁護士は避けた方が無難です。

残業代請求の弁護士費用について

残業代請求を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が心配という方もいらっしゃるか思います。

実際には、初回相談無料・着手金の分割払い・法テラスの利用など、弁護士費用に関する不安を解消する配慮もなされています。

そのため、弁護士に残業代請求を依頼するハードルは決して高くないので、気軽に相談してみてください。

初回相談は無料の弁護士も多い

幅広い方が気軽に法律相談を利用できるように、初回の相談を無料としている弁護士も多くなっています。

実際に依頼するかどうかが決まっていなくても、情報収集のつもりで、気軽に初回無料相談を利用するとよいでしょう。

着手金・成功報酬制が一般的

残業代請求の弁護士費用は、着手金・成功報酬の二段階制が一般的です。

  • 着手金:依頼時に支払う初期費用
  • 成功報酬:残業代が回収できた場合に支払う費用

それぞれの金額は弁護士によって異なりますが、着手金は請求額の4~8%程度、成功報酬は回収額の8~16%程度が相場です。

着手金を事前に準備することが難しい場合は、弁護士によっては分割払いを認めてもらえます。

経済的に困難な事情がある方は、支払い方法について弁護士に相談してみましょう。

依頼費用が賄えない場合は法テラスの利用を

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収入と資産が一定水準以下の方は、「法テラス」を利用することで、弁護士費用を立て替えてもらえます。

法テラスを利用できるのは、法テラスと契約している弁護士に依頼する場合のみです。

利用を希望する方は、法テラスを利用できるかどうか、事前に弁護士にご確認ください。

なお法テラスでは、契約弁護士を紹介してもらうこともできます。

そのため、弁護士との繋がりがない場合には、法テラスを利用するのも一つの選択肢です。

まとめ

残業代請求を弁護士に依頼すると、会社との交渉や法的手続きをすべて代行してもらえます。

そのため、労働者本人の負担なく、スムーズに残業代を回収できる可能性が高いです。

弁護士のタイプや資質はさまざまなので、無料法律相談などを活用して、信頼できる弁護士かどうかを見極めてから正式に依頼するとよいでしょう。

弁護士費用の支払いに不安がある場合には、弁護士に着手金の分割払いをお願いするか、法テラスを利用する方法が考えられます。

残業代請求の未払いにお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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この記事の調査・編集者
みぞ
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。