遺産相続の手続きの期限はいつまで?手続きの流れや期限が過ぎてしまったときの対応を解説

遺産相続の手続きの期限はいつまで?手続きの流れや期限が過ぎてしまったときの対応を解説

家族が亡くなったあと、遺産相続の手続きをおこなう必要がありますが、手続きのなかには期限が定められているものがあります。

中には相続税の申告の申告忘れに伴う加算税や延滞税のように、手続きの期限を忘れてしまうと大きなペナルティを課されるものもあり注意が必要です。

しかし、必要な手続きは多く、一つひとつの期限を覚えておくのは大変でしょう。

この記事では遺産相続に必要な手続きを、家族が亡くなった直後におこなう手続き、期限が決まっている相続手続き、期限が決まっていない相続手続きの3つに分けて解説します。

手続きの流れや期限が過ぎてしまった場合の対応も紹介しているので参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
野条 健人
野条 健人弁護士(弁護士法人かがりび綜合法律事務所)
かがりび綜合法律事務所は、お一人おひとりの悩みに最後まで寄り添いながら問題解決に取り組んでおります。お気軽にご相談ください。

遺産相続手続きの期限一覧

期限が定められている遺産相続の手続きには、以下のようなものがあります。

期限手続き
死亡を知ったときから7日以内死亡診断書の受領
死亡届の提出
死亡日から14日以内世帯主の変更届
年金・保険の手続き
自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内相続方法の決定
相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内準確定申告
相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内相続税の申告
死亡日の翌日から2年以内死亡一時金の請求
支払い事由が発生した日の翌日から3年以内死亡保険金の請求

家族が亡くなった直後におこなう手続きの期限

まずは亡くなった直後におこなわなくてはいけない手続きを紹介します。

まだ気持ちの整理がつかない時期だと思いますが、期限は短いため注意してください。

【7日以内】死亡診断書の受領・死亡届の提出

家族が亡くなった後、医療機関から死亡診断書を受領します。死亡診断書は、亡くなった人の死亡原因を記録した書類です。

この先のさまざまな手続きに必要になるので、大切に保管しておきましょう。

また、死亡届を役所に提出する必要があります。

死亡診断書と死亡届は、右側に死亡診断書、左側に死亡届といった形で、一枚の用紙にまとまっています。

家族が亡くなったのを知ったときから7日以内に提出する必要があるので、医療機関から死亡診断書を受領したら速やかに対応しましょう。

【14日以内】世帯主の変更届・年金や保険の手続き

亡くなった方が住民票上で世帯主だった場合、亡くなった日から14日以内に役所に世帯主変更届を出す必要があります。

なお、世帯に残った人がひとりのみで世帯主が明白な場合は、手続きは不要です。

また、亡くなった方が年金を受領していたなら、受給権者死亡届(報告書)を提出する必要があります。

提出の期限は、厚生年金は亡くなった日から10日以内、国民年金は亡くなって日から14日以内と異なるので注意しましょう。

ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されているなら、提出は不要です。

このほか、健康保険や介護保険についても受給資格の喪失届を提出する必要があります。

手続きは、国民保険の場合は亡くなった日から14日以内、会社員などの被雇用保険の場合は亡くなった日から5日以内におこなう必要があることや、保険証の返却をすることなどを覚えておきましょう。

期限のある遺産相続手続き

続いて、亡くなった直後におこなう必要はないものの、期限の決まっている手続きを紹介します。

気が付いたら期限が迫っていたということがないように確認しておきましょう。

【3ヵ月以内】相続方法の決定・相続放棄

自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内に相続方法を決定する必要があります。相続の方法には、単純承認・相続放棄・限定承認があります。

単純承認は、遺産をそのまま相続する方法です。借金のようなマイナスの遺産もそのまま相続することになるので注意しましょう。

なお、相続放棄や限定承認の手続きを3ヵ月以内におこなわなかった場合、自動的に単純承認となります。

相続放棄は、相続人の地位を放棄することで遺産の一切を相続しない方法です。遺産を全て相続できなくなりますが、被相続人が残した借金や債務を相続しないで済みます。

なお、相続放棄する場合は、家庭裁判所にて相続放棄の申述をおこなう必要があります。

限定承認は、相続したプラスの財産の範囲内で、被相続人の借金や債務を受け継ぐ方法です。

マイナスの遺産がどれくらいあるのかわからない場合や、どうしても相続したい遺産がある場合などに選択するのがおすすめです。

限定承認をおこなう場合には、家庭裁判所にて限定承認の申述をおこなう必要があります。

【4ヵ月以内】準確定申告

相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に準確定申告をおこないます。準確定申告は、亡くなった方の生前の所得に対する確定申告のことです。

亡くなった方に所得がない場合は手続きする必要はないので、早めに前年度の確定申告状況を確認しておくのがよいでしょう。

期限の4ヵ月を過ぎてしまうと、加算税や延滞税が課されてしまう可能性があるので注意してください。

【10ヵ月以内】相続税の申告および納税

相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、相続税の申告および納税をする必要があります。

申告のみでなく、納税まで完了しなければいけないので注意してください。なお、期限までに納税できなかった場合には、加算税や延滞税が課されます。

どうしても納税が間に合わないときは、延納もしくは物納の手続きを期限内におこないましょう。

延納は、以下の条件に全て当てはまる場合に、相続税を分割で納められる制度です。

(1) 相続税額が10万円を超えること。
(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
(3) 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。
ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
(4) 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
引用元:No.4211 相続税の延納|国税庁

物納は、相続税を金銭以外(不動産、国債、株式など)で納められる制度です。

【2年以内】死亡一時金の請求

死亡一時金とは、亡くなった方が厚生年金に加入しており、一定の要件を満たしている場合に、遺族が受け取ることができる給付のことです。

請求の期限は、死亡日の翌日から2年以内と定められています。

死亡一時金の請求は、住んでいる地域の役所や年金事務所にておこなえます。

戸籍謄本、請求者の住民票の写し、亡くなった方の年金手帳や住民票の除票などが必要になるので、事前に準備をしてから手続きしましょう。

【3年以内】死亡保険金の請求

亡くなった方が生命保険に加入していた場合、受取人として定められていた方は死亡保険金を受け取ることが可能です。

受け取り期限は、支払い事由が発生した日の翌日から3年以内と長いものの、期限が定められているため注意してください。

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期限のない遺産相続手続き

次に、期限が定められていない遺産相続の手続きを紹介します。

遺言書の検認

遺言書には有効期限が定められておらず、いつ書かれたものでも民法上効力があります。そのため、遺言書の検認はいつおこなっても問題はありません。

ただし、遺言書の検認をおこなわないと、遺産相続に関する手続きができない点には注意が必要です。

通夜や葬式などが落ち着いたら、なるべく早めに家庭裁判所に提出して、検認の手続きを受けるのがおすすめです。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人全員で亡くなった方の遺産の分割方法などについて話し合う手続きを指します。

遺産分割協議自体に期限は決まっていないため、いつおこなっても問題はありません。

しかし、2023年4月1日以降は、特別受益や寄与分についての主張できる期間が、相続開始のときから10年以内に制限されます。

また、遺産分割協議が終わらないと相続内容が定まらないため、相続税を支払う際に手続きが複雑化したり納税額が増えたりするなど、不利益を被る可能性があります。

相続税の支払いは、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内であるため、これに間に合うように遺産分割協議を進めましょう。

銀行口座の名義変更・解約

銀行口座の名義変更や解約について、定められている期限はありません。ただし、亡くなった方の銀行口座は、早めに銀行に連絡し、凍結してもらうのが無難です。

理由は、亡くなった方の銀行口座から預金の引き出しをおこなうと、遺産相続を単純承認したと捉えられてしまう場合があるためです。

そのため、誤って口座のお金に手をつけてしまわないように、早めに連絡するのがよいでしょう。

なお、凍結された口座は遺産分割協議が終わり次第、解除してもらえます。

また、葬儀代に充てたい場合など口座のお金を使いたいときは、相続預金の払い戻し制度を利用できることがあります。

不動産の名義変更・相続登記

不動産の名義変更や相続後の登記について、現状では期限が決められていません。

ただし、2024年4月1日以降より相続登記は義務化され、相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内におこなわなければなりません。

正当な理由がないにもかかわらず、相続登記を期限以内におこなわなかった場合、10万円以下の過料を科せられるので注意しましょう。

また、相続登記は義務化する以前に相続した不動産も対象になるので、なるべく早めに手続きをおこないましょう。

遺留分侵害額請求をするなら1年以内におこなう

遺留分侵害額請求とは、相続人が法定相続分に基づく遺留分に相当する財産を受け取れなかった場合に、その相続人が侵害者に対して、侵害額に相当する金銭を支払うよう請求する手続きを指します。

特に、遺言書によって遺留分を侵害されている場合や、生前贈与がおこなわれている場合には注意しましょう。

遺留分侵害額請求には消滅時効が存在するため、相続の開始および遺留分の侵害を知ったときから1年間のうちに請求する必要があります。

また、相続の開始や遺留分の侵害を知らない場合であっても、相続開始から10年経つと請求できなくなります(民法第1048条)。

遺産相続手続きの期限が過ぎたらどうなる?

遺産相続手続きには、罰則規定が設けられているものもあります。ここでは、遺産相続手続きの期限が過ぎたときのペナルティを確認しましょう。

届出が遅れると過料などが発生することがある

被相続人が亡くなった直後に必要になる死亡届や世帯主変更届の提出が、正当な理由なく遅れた場合、過料が科されることがあります。

罰則はいずれも5万円以下の過料となっています(戸籍法第137条、住民基本台帳法第52条)。

また、年金の受給権者死亡届の提出し忘れには特に注意が必要です。

届出の提出が遅れて年金を不正受給していると判断された場合は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」となり、より重い詐欺罪が成立した場合には「10年以下の懲役」が科されます(国民年金法第111条、刑法第246条)。

期限までに手続きを終えるようにしましょう。

相続税の申告や納付期限を過ぎると追加で税金がかかる

相続税の申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税が加算されます。無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を乗じた金額となっています。

また、納付期限を過ぎてしまうと延滞税がかかります。

延滞税は期限の翌日から実際に納付されるまでの日数に応じて加算され、期限の翌日から2ヵ月間は年7.3%、2ヵ月経過以降は年14.6%となっています。

納付期限に間に合わなかった場合でも、できる限り早く相続税を納付しましょう。

遺産相続手続きの期限に関するよくある質問

最後に、遺産相続手続きの期限に関するよくある質問に回答します。

亡くなった親の土地の名義変更をしないとどうなりますか?

土地などの不動産の相続登記・名義変更していない場合の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 土地の売却や賃貸をすることができなくなる
  • 利害関係者が増えてしまいトラブルに繋がる
  • 時間が経つにつれて必要書類の取得が困難になる など

土地の名義変更の期限はいつまでですか?

現在は、名義変更が義務付けられていないため、期限はありません。

2024年4月以降は、相続から3年以内に名義変更をおこなう必要があります。

正当な理由なく3年以内に名義変更が完了しない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続手続きしなかったらどうなりますか?

相続手続きをしなかった場合の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 預貯金や株券などの財産に関する権利が消滅する
  • 被相続人の借金や債務などの負担を負うことになる
  • 相続税の申告・納付ができずにペナルティが発生する
  • 侵害者に対して遺留分侵害額請求ができなくなってしまう など

まとめ|相続手続きを期限内に済ませられるか心配なら弁護士に相談を

遺産相続では、さまざまな手続きが必要になるうえ、期限が定められている手続きも多くあります。

期限に間に合わないと、届出の提出遅れによる過料が発生したり、相続放棄や限定承認ができずに多額の借金を負ったり、相続税の申告・納付が間に合わずに延滞税や加算税が課されたりする可能性があるので注意が必要です。

相続手続きのミスや漏れをなくし、万が一に備えるためには、相続問題が得意な弁護士に相談するのもひとつの方法といえます。

相続問題が得意な弁護士を探したいなら、「ベンナビ相続」を利用することをおすすめします。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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