相続手続き
兄弟のみの相続はどうやってする?手続き方法や相続分を解説
2023.07.24
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなり、相続によって新たにこの不動産を取得した人に、不動産の名義を変更するための手続きをいいます。
相続登記は、いつまでにしなければならないというような期間制限や、しないことについての罰則もないため、そういう意味では比較的緩やかな手続きと考えていただいて差し支えないかと思います。
しかし、相続登記をしないでおくと、不動産の売却ができない、何年も経過した後に所有権をめぐるトラブルを招く可能性があるなど、後日、様々な問題を生んでしまう可能性があります。
相続登記は、法務局や登記所に所定の申請書と必要書類を提出し、登録免許税を支払うことで完了することができますが、自分で行う場合と専門家に依頼する場合とで費用には若干の違いが出てきます。
今回は、相続登記にかかる費用について、必ずかかる登録免許税や実費のほか、専門家の費用相場もご紹介していきます。
結論からいうと、相続登記にかかる費用は「不動産の種類と数」と「相続内容」によって異なってきます。そのため、自身の状況を一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。
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相続登記とは、不動産の所有者が亡くなり、相続によってその不動産の所有者が変わった際に、故人から新たな所有者へ名義変更を行う不動産登記手続きのことをいいます。
相続登記は、不動産の住所地を管轄する法務局で手続きを行いますが、その際に「登録免許税」という税金と、所定の申請書および添付書類を準備する必要がありますので、無料でできるというわけではありません。
まずは、相続登記にかかる具体的な費用についてご紹介いたします。
不動産登記をする場合、「登録免許税」という税金が課されます。
この登録免許税は、どういった経緯で不動産を取得し登記に至ったかによって税率が異なっており、相続を原因とする登記申請の場合は「対象不動産の固定資産評価額の1,000分の4(0.4%)」という税率になっています。
登録免許税は、固定資産課税台帳価格(=固定資産税評価額※1,000円未満切り捨て)×税率によって算出することができ、100円未満の端数は切り捨てられることになっています。
例えば固定資産税評価額が510万1,300円の不動産を相続した場合、510万1,000円×0.4%=20,400円が登録免許税額ということになります。
なお、固定資産税評価額が1,000円に満たない場合は1,000円として計算し、算出した登録免許税が1,000円未満の場合は納税額は1,000円となります。
土地と建物など、複数の不動産を相続する場合は、対象不動産の固定資産評価額を合算した金額に0.4%の税率を掛けて登録免許税を計算します。
書面で登記申請を行う場合は収入印紙で、オンラインで申請を行う場合は「Pay-easy(ペイジー)」による電子納付で登録免許税を納めるのが一般的です。
いずれの方法でも、登録免許税は登記申請時に納める必要があります。
後払いではありませんので、注意が必要です。
相続登記の申請には、所定の申請書のほか、次のような添付書類を提出する必要があります(※あくまでモデルケースです。内容により必要な書類は異なります。)。
このうち、被相続人や相続人の戸籍謄本を取得する際には1通あたり450円~750円程度かかりますし、住民票の写しも300円程度かかります。
相続人が少なかったり、協力して各自が戸籍謄本等を取得できるのであればまとまった出費にはなりませんが、被相続人が転籍を繰り返していたり、相続人同士で協力が期待できない場合には、これらの書類を揃えるのにも手間やお金がかかります。
また、相続登記の申請をする際には、登記しようとする不動産の情報を正確に記入する必要があります。
この不動産の登記簿謄本を法務局の窓口で取得するのに1物件あたり600円がかかります(1物件で枚数が50枚を超える場合は、その超える枚数50枚までごとに追加で100円かかります。)。
必要書類を揃える費用は、相続人や不動産の数が少なければさほど高額にはならないかと思いますが、遠方の役所へ交付請求をする際には郵便代や交通費がかかってきますので、ケースによってはまとまった費用が発生する可能性があります。
相続登記の手続き自体は、所定の申請書が正しく記入でき、登録免許税の計算を間違えなければ、自力での手続きも充分可能になっています。
しかし、相続関係が複雑だったり、不動産の物件数が多数である場合は、相続関係の調査や物件調査が困難になるため、自力で手続きを行うことがとても困難になります。
そして、専門家に相続登記を依頼すると、登記にかかる費用(実費)に加えて、専門家の報酬も発生するのが通常です。
例えば関東在住の人が北海道の不動産の相続登記をしたい場合には、郵送やインターネットでの手続きを考えるかと思いますが、どうしても手続完了までの時間がある程度かかります。
登記申請から手続完了までは概ね2週間程度かかります。
郵送などタイムラグがある方法で申請を行うと、申請書に不備があった場合など訂正するのに時間がかかることになりますので、早く相続登記を済ませて不動産を処分したいといったケースでは不向きといえるでしょう。
またその際には、書類の不備を補正するために、例え遠方であっても、申請した法務局まで出向かないとならない場合もありますので、注意が必要です。
相続登記を専門家に頼む場合、登記の専門家である司法書士を選択する方が多いかと思います(登記業務を行えるのは司法書士は弁護士に限られます。しかし、登記業務を行う弁護士はとても稀なので、一般的には司法書士に依頼することが多くなります。)。
専門家の報酬は事案や依頼内容によって大きく変わってきます。
相続登記単体を依頼するのであれば、3万円~7万円程度が報酬相場になっていますし、相続人調査や戸籍の取り寄せ、遺産分割協議書の作成を含め相続登記までサポートするといった内容で7万円~15万円程度のお得なパック料金を設定している事務所もあります。
また、不動産の数や内容によっても費用が変動しますので、このあたりは相談の際に詳しく聞くのが一番かと思います。
【関連記事】相続の相談はどこにするのがいい?相談内容ごとの相談先の選び方や相談窓口を紹介
先ほど簡単に登録免許税の計算方法もご紹介いたしましたが、登録免許税の計算式自体は【課税標準×税率】というシンプルなものになっています。
登録免許税の課税標準は、登記の原因によって「不動産の価額」「債権金額」「不動産の個数」のいずれかが適用されます。
相続登記の場合は不動産の価額が適用される結果、固定資産税評価額(1,000円未満切り捨て)×税率(1,000分の4)が登録免許税の計算式になります。
固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書や市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)で管理される固定資産課税台帳などによって知ることができます。
ただし、相続登記にかかる登録免許税の計算に使用する固定資産税評価額は必ず申請年度(4月~翌3月)のものでなければならないので、相続から登記までの期間が開いている場合には、間違って前年度のものを使用しないように注意しましょう。
以上のことから、相続登記の登録免許税については、以下のポイントを押さえておけば良いかと思います。
1,500万2,500円+850万4,730円=2,350万7,230円
⇒1,000円未満切り捨て=2,350万7,000円
2,350万7,000円×0.004=9万4,028円
⇒100円未満切り捨て=9万4,000円
相続登記を専門家に依頼する場合、まず候補にあがるのが司法書士ですが、他の相続手続きも手伝ってもらいたい場合には、弁護士や税理士といった専門家も選択肢に入ってきます。
相続人間で遺産分割方法を巡って争いがある場合等は弁護士、相続税申告や準確定申告が必要な場合は税理士の出番です。
専門家の費用は事務所や事案によって結構な違いが出てくるため、一概にこれが相場であるといい切れない部分がありますが、司法書士に相続登記申請のような定型的な手続きだけを依頼する場合には、概ね5万円~10万円程度で収まるケースが多いです。
相続問題を専門家に依頼する場合、どこまでの手続きを依頼するかによって費用が大きく変動します。
例えば「士業」と呼ばれる専門家の場合、職権で戸籍等を集めることが比較的簡単にできますが、この書類収集を依頼すると1.5~2万円程度の費用がかかりますし、相続人調査や財産の調査、遺産分割協議書の作成代行を依頼すると、少なくともそれぞれ数万円程度の費用が発生します。
そのため、専門家費用をできるだけ抑えて相続登記を依頼したい場合には、自分でできる手続きは自分でこなして最低限の手続きだけを依頼するか、最初から全ての手続きがセットになっているプランを利用するかの2択で考えると良いかもしれません。
参考:相続登記の専門家費用の比較
司法書士 | 弁護士 | 税理士 | |
---|---|---|---|
依頼できる内容 | 不動産の登記全般 | 法律問題全般 遺産分割・相続に関する紛争解決 不動産の登記全般(※ただし登記業務を取り扱わない弁護士が大半です) | 相続税や準確定申告に関する相談 ※登記手続きはNG |
費用相場 | 報酬:3万円~7万円 書類収集などの手続き込みのパック料金:7万円~15万円預貯金口座解約、証券口座名義変更、生命保険金請求など、不動産以外も含めた一括した相続手続きを含めて(遺産整理業務)依頼する場合:40万円程度~ | 着手金:10万円~ 報酬:経済的利益によって異なる ※事案によって異なる | 報酬:被相続人の準確定申告は10万円程度~ ・相続税の申告は相続財産の1%程度が相場 |
相続登記を専門家に依頼するか否かは、大まかに「不動産の種類と数」と「相続内容」によって判断するのがおすすめです。
不動産は、「土地」「建物」「区分建物」に分けることができますが、その用途によって更に細分化した細かな区分が設けられています。
また、単独所有物件なのか、共有によって持分を所有する物件なのかといった違いもあります。
相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局に手続きすることになりますが、遠方の物件の場合、郵送やインターネットでの申請を検討しなければならないため、手続きが少々面倒になる可能性があります。
インターネットでの申請は、事前に申請用のソフトウェアをインストールし準備しなければならない、電子署名ができるように環境を整える必要があるなど意外に手間がかかるので、わざわざそれらを用意するのは現実的ではありません。
そして、相続登記は1枚の申請書で複数の物件をまとめて申請することができますが、申請先の法務局が管轄している物件に限られるので、A法務局の管轄する物件を他の物件とまとめてB法務局で相続登記することはできません。
また、登記原因や当事者が異なる場合(A物件は長男が相続、B物件は長女が相続する場合など)にも、まとめて手続きすることはできません。
このため、相続不動産が同一管轄内に複数ある場合はあまり問題になりませんが、点在している場合や当事者が異なる場合には手続きは複雑で煩雑になるため、まとめて専門家に依頼したほうが手間が少ないかと思います。
不動産を相続する場合、1つの所有権を数人で共有して相続することがあります。
例えば亡父の所有していた自宅不動産を母と子で共同相続する場合などが典型例になりますが、こういった場合には共有持分を決定してその旨を登記することになります。
共有によって不動産を相続する場合、持分の大きさに関わらず、その不動産の全体を利用する権利を有することになりますが、不動産を処分したい場合には共有者全員の合意がないと売却手続きを進めることができません(自己の持分のみを売却処分することは法律上は可能ですが、現実問題として持分だけ買いたいという人は普通はいないと思いますので、売却は難しくなります。)。
共有による登記は、相続人同士の仲が良く、全員が納得している場合であれば自力で手続きする方が安上がりになりますが、共有者間の関係性が悪化してしまうと、いざ売却しようという際も意思統一が図れない可能性が高くなりますので、できる限り共有状態にせずに誰か1人の名義にまとめておく方が、後々安心です。
また、自宅の敷地と建物とを別々の人が所有する場合など、登記申請の際に複数の申請書を作らなければならないケースでは、それぞれの登記申請につき異なる書類を用意しなければならないなど、手続きが複雑になってしまいますので専門家にまとめて手続きしてもらうと短期間でスッキリと手続きを終えられるでしょう。
相続登記を専門家に依頼するか否かは、相続手続きのうち何を重視したいかによって変わってきます。
費用を抑えたいのであれば極力自力で手続きした方が希望に添えると思いますし、相続財産等に余裕があり、早く確実に手続きを終わらせたいのであれば専門家に依頼した方がスムーズです。
ただし、後から「やっぱりこの手続も代行してもらいたい」というように思いつくまま依頼内容を増やしてしまうと、追加料金が発生したり、現在依頼している専門家では受任できない性質の手続きで他の専門家に頼み直さなければならないなどといった場合もありますので、実際に依頼を決める前に様々な可能性を考慮して、じっくり相談に乗ってもらってから依頼することをおすすめします。
どういった内容で相続するか、相続した後でどのように管理していくかによって将来的な出費が左右されることになりますから、早急に不動産の処分をしたいのであれば、できるだけ早い段階で相続登記まで済ませておくことをおすすめします。
結論からいうと、相続登記にかかる費用は「不動産の種類と数」と「相続内容」によって異なってきます。そのため、自身の状況を一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。
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