不動産相続を弁護士に依頼する理由は?依頼した場合のメリットや費用

不動産相続を弁護士に依頼する理由は?依頼した場合のメリットや費用

不動産相続に関わる士業には、税理士や司法書士、弁護士などがあげられますが、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、不動産相続に関して一貫したサポートが期待できるからです。

本記事では、弁護士に不動産相続を依頼するメリットについて解説します。

不動産相続をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
川村 勝之弁護士(リフト法律事務所)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。

不動産相続を弁護士に依頼するメリット6選

不動産の相続を弁護士に依頼すると、次のようなメリットが期待できます。

  • 不動産の分割方法についてアドバイスをもらえる
  • 不動産の価値を適正に計算してもらえる
  • 相続人との交渉を任せられる
  • 相続放棄に関する手続きを依頼できる
  • 収益物件や賃貸借契約についても相談できる
  • 不動産以外の相続の手続きについても相談できる

不動産相続に関する問題やトラブルは多岐にわたるため、専門的な知識がなければ解決が難しいケースもあるでしょう。

弁護士に依頼するメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

1.不動産の分割方法についてアドバイスをもらえる

不動産の分割方法についてアドバイスをもらえるのは、弁護士に依頼するメリットです。

相続財産の分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つの方法があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

遺産分割方法特徴
現物分割現物をそのまま分ける方法

(例:「長女には不動産、次女には預貯金」などに分割する)

代償分割遺産を多く受け取った方が、その代償金をほかの相続人に支払って調整する方法

(例:相続財産が自宅のみのため、兄が相続する代わりに、妹の相続分を兄の財産から現金で支払う)

換価分割遺産を売却して得たお金を分ける方法

(例:相続財産の空き家を売却し、売却によって得られた代金を相続人の間で分割する)

共有分割遺産の持分を決め、共有名義とする方法

(例:不動産を相続するにあたり、兄妹で2分の1ずつなどの共有持ち分で相続する)

このように、相続財産の分割方法は複数あるため、状況に応じた方法を選択しなければなりません。

不動産の分割に関してトラブルが発生しそうな場合には、不動産問題に強い弁護士に相談するのが確実です。

弁護士に依頼すると事前調整やトラブルの予防策も提案してもらえるため、話し合いがスムーズに進行しやすくなります。

相続人間での紛争を未然に防げるでしょう。

2.不動産の価値を適正に計算してもらえる

弁護士に依頼すると、相続する不動産の価値を正確に計算してもらえるメリットがあります。

不動産の評価には複数の算出方法が存在し、どの方法で計算するかによって不動産の価値に大きく影響します。

客観的な基準としては、土地であれば路線価方式か倍率方式、建物であれば固定資産税評価額を基準とするのが一般的ですが、いずれの評価が適切か専門的な知識が必要です。

この点、不動産の相続問題を得意とする弁護士であれば、最も適切な評価方法を選択したうえで、適正な不動産価値を算出してくれるでしょう。

3.相続人との交渉を任せられる

相続人との交渉を一任できるのも、弁護士に依頼するメリットのひとつです。

交渉中に相続人同士で意見が対立してしまうと、冷静な話し合いが困難になる可能性もあります。

そのような場合に弁護士に依頼すると、相続人への連絡や調整を弁護士に任せられるため、相続人間による争いを防げたり、解決することができます。

また、法律知識を活かした適切なアドバイスをしてくれるため、相続人全員が納得できる解決方法を見つけやすくなるでしょう。

4.相続登記に関する手続きを依頼できる

相続登記にも対応している弁護士に依頼すると、相続登記に関する手続きもおこなってくれます。

弁護士が対応していなくても、弁護士から信頼できる司法書士の紹介を期待できます。

相続登記は、不動産を相続した際に名義を変更する手続きです。

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産の名義変更を怠った場合には、過料を科されてしまう可能性があります。

そのため、不動産を相続した方は必ず相続登記をおこなわなければなりません。

しかし、相続登記では非常に多くの種類を準備する必要があります。

主な必要書類としては、以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 遺産分割協議書(もしくは遺言書)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続関係説明図
  • 固定資産評価証明書

これらの書類を自身で用意するには相応の時間がかかります。

特に名義変更を急ぐ場合や相続関係が複雑である場合には、申請ミスや余計な手間がかかる可能性があるため、相続登記にも対応した弁護士に依頼するのが確実であるといえるでしょう。

5.収益物件や賃貸借契約についても相談できる

不動産に詳しい弁護士に依頼すると、不動産相続にかかわる収益物件や賃貸借契約の対応についても相談可能です。

相続する不動産に家賃収入を生む収益物件が含まれる場合、それらの管理や賃貸借契約に関する問題も考慮する必要があります。

一般的な不動産相続よりも手順が複雑になるため、早い段階で弁護士へ相談して、相続手続きのアドバイスを受けることがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、遺産分割協議から賃貸借契約の引継ぎ、賃借人への通知といった必要な手続きをスムーズに進められるでしょう。

6.不動産以外の相続の手続きについても相談できる

弁護士に依頼するメリットとして、不動産以外の相続の手続きについても、まとめて相談できる点があげられます。

相続できる財産は、不動産以外にも現金・郵貯金・有価証券・貴金属など多岐にわたります。

また、これらプラスになる財産だけではなく、借金や買掛金のような負債についても相続財産に含まれます。

相続問題に注力している弁護士であれば、全ての財産の相続手続きを一括して任せられます

そのため、相続人の負担を大幅に軽減できるでしょう。

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不動産相続を弁護士に依頼する際の費用

弁護士へ不動産相続を依頼する費用の目安について、次の項目別に解説します。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金

弁護士費用に関しては、かつては日本弁護士連合会による報酬基準が存在しており、現在もその基準に合わせた料金を設定している法律事務所があります。

ただし、現在は法律事務所ごとに自由に設定してよいとされているため、ここで紹介する費用はあくまでも目安として参考にしてください。

相談料

相談料は、弁護士に法律相談をおこなうときに必要な費用です。

旧報酬基準による相談料の目安は、以下のようになっています(税別)。

初回法律相談料一般法律相談料
30分あたり5,000円〜1万円30分あたり5,000円〜2万5,000円以下

初回の相談に限り、無料で対応している場合があります。そのため、実際の料金は相談する法律事務所へ確認してみましょう。

不動産相続について相談する際は、相続する財産の詳細や問題点、目指す結果など具体的な情報を用意しておくと、より具体的なアドバイスを受けられます。

着手金

着手金とは、弁護士に依頼した段階で支払う費用で、事件処理の結果にかかわらず発生します。

旧報酬基準による着手金の目安は、以下のとおりです(税別)。

裁判などによる経済的利益着手金
300万円以下8%
300万円超え3,000万円以下5%+9万円
3,000万円超え3億円以下3%+69万円
3億円超え2%+369万円

裁判などで得られる利益によって着手金が異なりますが、最低額は10万円となっています。

報酬金

報酬金とは、弁護士に依頼した事件が終了したあとに、成功の程度に応じて支払う費用です。

旧報酬基準による報酬金の目安は、以下のようになっています(税別)。

裁判などによる経済的利益報酬金
30万円以下16%
300万円超え3,000万円以下10%+18万円
3,000万円超え3億円以下6%+138万円
3億円超え4%+738万円

報酬金も着手金と同様に、裁判などで得られる利益によって支払う金額が異なります

不動産相続を弁護士に依頼する際の選び方

不動産相続を弁護士に依頼する際は、次の5つのポイントを意識して選ぶのがおすすめです。

  • 不動産相続の知識・実績が豊富
  • ほかの士業との連携が取れている
  • 弁護士費用が明確である
  • わかりやすく説明してくれる
  • 対応がスムーズである
  • ほかの法律事務所と比較する

不動産相続を円滑に進めるためには、適切な弁護士を選ぶ必要があります。

選び方のポイントについて、以下で解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.不動産相続の知識・実績が豊富

弁護士の専門知識と経験は、不動産相続の問題を解決するうえで重要な要素のひとつです。

得意とする分野は弁護士によって異なるため、全ての弁護士が不動産相続問題に精通しているとは限りません

不動産相続に関する知識や経験が豊富な弁護士に依頼できれば、必要な手続きをスムーズに進められるでしょう。

2.ほかの士業との連携が取れている

弁護士を選ぶうえで、ほかの士業と連携しているかどうかも重要な判断基準となります。

相続税申告は税理士、不動産の名義変更は司法書士が主に担当している業務ですが、依頼内容に応じて専門家を探すとなると、手間と時間がかかってしまいます。

税理士や司法書士と連携している弁護士であれば、相続問題を一括してサポートしてもらえるため、依頼者の負担を大幅に軽減できるでしょう。

3.弁護士費用が明確である

弁護士に依頼する際は、費用が明確であるかも事前に確認しておきましょう。

相談料や着手金・報酬金といった弁護士費用は、依頼する法律事務所によって異なる基準を採用している可能性があります。

無理なく支払うことができる予算を決めたうえで、実際にかかる費用を明確に示してもらうようにしましょう。

4.わかりやすく説明してくれる

不動産相続で弁護士に依頼する際は、わかりやすく説明してくれる弁護士を選びましょう。

相続問題は複雑な手順と法律知識が関わるため、専門的な知識を持たない一般の方が理解するのは難しい場合があります。

依頼者が理解できるように丁寧に説明してくれる弁護士を選ぶことで、状況が理解しやすく、安心して手続きを任せられるでしょう。

5.対応がスムーズである

弁護士の対応がスムーズであるかどうかも、重要なポイントとなります。

相続問題は時間が経つほど複雑化しやすいだけでなく、相続税の申告期限もあるため、迅速に対応してくれる弁護士を選びましょう。

円滑に手続きを進めるためには、依頼者の質問に対してすぐに回答してくれる弁護士や、メールや電話での対応が迅速な弁護士を選ぶのが望ましいでしょう。

6.ほかの法律事務所と比較し相見積もりを取る

不動産相続に関して弁護士に依頼するときには、複数の法律事務所を比較して、必要であれば弁護士費用の見積もりを取得しましょう。

各法律事務所の弁護士費用の体系は大きく異なります。

法律事務所を比較することで、費用の相場や各法律事務所の料金体系やサービス内容を正確に把握できます。

結果的に、弁護士費用に納得した自身に最適な弁護士を選べるでしょう。

まとめ|不動産相続は弁護士に相談してみよう

不動産相続の手続きは複雑ではありますが、弁護士に依頼することで、相続に関する手続きを一括で対応してくれます。

また、できるだけ早い段階で弁護士に相談できれば、相続人同士でのトラブルや紛争を未然に防げるでしょう。

相続問題にお悩みの方は、ぜひ一度弁護士に相談し、アドバイスを受けてみてください

【参考】MIRAP(ミラップ)公式サイト|相続・つみたて投資の新定番

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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