遺産相続の場面では、相続手続きの進め方がわからず難航することもあれば、相続財産の分け方やその内容によって相続人同士でトラブルに発展することもあります。
相続手続きや相続トラブルでは多様な分野の法律知識が必要であり、スムーズかつ納得のいく形での相続を実現したいのであれば法律の専門家である弁護士へ依頼することをおすすめします。
もっとも、弁護士にはそれぞれ得意分野があるため「弁護士なら誰に依頼してもよい」というわけではなく、相続トラブルに強い弁護士を選ぶことが大切です。
本記事では、相続トラブルに強い弁護士の選び方や弁護士に依頼するメリット、実際にかかる弁護士費用などについて解説します。
相続トラブルに強い弁護士の選び方
遺言書の内容や相続分の話し合いなどで揉めそうになってしまった場合は、遺産分割協議書などに署名をする前に、早めの段階で弁護士に相談することをおすすめします。
ただし、弁護士だからといって必ずしも相続問題に詳しいとは限らないため、以下のポイントを参考にして相続トラブルに強い弁護士を選びましょう。
遺産相続問題の解決実績が豊富である
まず、相続問題について豊富な経験をもち、十分な解決実績のある弁護士を選ぶことが重要です。
相続問題は税務や登記など、多様な分野の知識が必要で、かつ、解決までに数年の時間を必要とすることもあります。
そうであれば、多様な経験を有している弁護士に依頼をすることをおすすめします。
弁護士事務所のホームページや口コミサイトなどで、過去にどのような相続問題に取り組んできたのか、どのような成果を出しているのかを確認してから問い合わせてみましょう。
相続税などに関する知識も有している
相続トラブルでは、相続税に関する問題が含まれている場合もあります。
そのため、相続税にも詳しい弁護士を選ぶことが望ましいでしょう。
ただし、相続税は弁護士の専門範囲ではないため、相続税問題を専門としている税理士を紹介してもらったり、相続税に関してだけは税理士に相談したりするのも有効な方法です。
質問しやすくて説明がわかりやすい
相続トラブルを弁護士に依頼する場合、弁護士と十分な信頼関係を築けることが重要です。
質問しにくい雰囲気で弁護士の対応が冷淡に感じたり、専門用語が多くて説明がわかりにくかったりする場合、十分な意思疎通ができずに満足のいく形での問題解決は難しいかもしれません。
弁護士の対応や相性の良さを確認するためにも、積極的に法律相談を活用してみましょう。
法律相談の費用は、1時間あたり1万円~2万円程度が相場です。
最近では無料相談に対応している法律事務所もありますが、そのような事務所でも、複雑な案件であれば有料相談となることもあります。
弁護士費用の説明が明確である
弁護士に相談したいが、いくらかかるか不安を感じている方もいるでしょう。
相続トラブルでは複雑な問題が含まれていることもあり、弁護士費用が高額になるケースもあります。
依頼後に予想以上の金額を請求されて戸惑うようなことがないよう、弁護士を選ぶ際は弁護士費用の説明が明確かどうかを確認することが重要です。
弁護士によっては、依頼前に見積書を提示してもらえる場合があります。
弁護士費用の支払方法や、追加費用が発生する場合も確認しておくのがよいでしょう。
相談者にとって不利な情報も伝えてくれる
相続トラブルで弁護士は心強い味方になってくれますが、裁判所や相手方のいる問題であるため、状況によっては依頼者の希望を実現するのが難しいケースもあります。
相談者にとって都合の良いことだけを伝えてくるような弁護士の場合、思うような結果にならずに不満が残ってしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、相談時に不利なこともしっかり伝えてくれる誠実な弁護士を選ぶことをおすすめします。
司法書士や税理士などの専門家とも連携している
たとえば不動産の登記を必要とする場合には司法書士、相続税が発生する場合は税理士など、相続状況によっては他士業のサポートが必要になることもあります。
弁護士事務所の中には司法書士や税理士などと連携しているところもあり、そのような事務所であればスムーズにサポートを受けることができるためおすすめです。
相続トラブルに強い弁護士の探し方
相続トラブルに強い弁護士の探し方には、以下のようなものがあります。
弁護士選びの参考にしてください。
ベンナビ相続で探す|無料相談・電話相談対応の弁護士が見つかる
当社が運営する「ベンナビ相続」は、相続問題に特化した弁護士紹介サイトです。
相続トラブルが得意な全国の弁護士を掲載しており、無料相談・電話相談・オンライン相談などに対応している弁護士を一括検索できます。
相続問題のジャンルごとに絞って弁護士を探すこともできるため、相続トラブルに強い弁護士を探したい方にはおすすめです。
インターネットでキーワード検索する
GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用するのも有効です。
住んでいる地域名に「相続 弁護士」などのキーワードを入れて検索することで、地元で相続問題に強い弁護士を探すことができます。
また、口コミや詳細情報などを確認することもできるので、自身に合う弁護士を選ぶことができます。
弁護士会や市役所の法律相談を利用する
お住まいの地域の弁護士会や市役所の市民法律相談を利用することもおすすめです。
その法律相談を担当する弁護士に一度話を聞いてもらうことで、法律の専門家からみて、あなたの悩みをどのように解決することが考えられるか、検討することができます。
市役所の市民法律相談を利用する際は、各自治体にお問い合わせください。
知人に紹介してもらう
知人や親族から、相続トラブルに強い弁護士を紹介してもらうこともおすすめの方法です。
身近な人が実際に利用した弁護士の情報を聞くことができるため、信頼性が高いといえるでしょう。
弁護士との相性や対応内容なども参考にすることが可能です。
相続トラブルに強い弁護士に相談・依頼するメリット
相続トラブルについて弁護士に相談・依頼する場合には弁護士費用がかかりますが、それに見合うメリットも存在します。
以下では、相続トラブルについて弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
相続方法や分割方法について適切なアドバイスをもらえる
たとえば「相続財産の分割方法について相続人同士で合意が成立しない」というのは、相続トラブルの中でも代表的なものといえます。
このような場合、相続トラブルに強い弁護士であれば法的知識や経験に基づいて適切なアドバイスを提供してくれます。
なお、弁護士費用を支払いたくないがため、裁判手続きで調停委員に相談される方もいますが、裁判所はあくまで中立な立場ですので、過度な期待をすべきではありません。
あなたの味方となってくれる弁護士のアドバイスを参考にしつつ、遺産分割協議などの相続手続きを進めることで、円満な形での問題解決が望めます。
遺産分割協議や裁判手続きなどを代行してくれる
相続人同士でトラブルが生じた場合、弁護士は代理人としてほかの相続人と交渉をおこなえるほか、交渉が決裂して裁判に発展した場合も引き続き対応してくれます。
弁護士が交渉に入ることで、感情的になりやすい相続人同士の対立を回避することができます。
相続人間での権利調整などの面倒な手続きをおこなわなくてもよくなります。
相続手続きでの事務にかかる手間が省ける
遺産相続の場面では、相続人調査・相続財産調査・遺産分割協議書の作成・遺産分割調停・相続放棄など、さまざまな手続きが存在します。
弁護士に依頼することで、これらの面倒な手続きを代行してもらうことが可能です。
弁護士以外の民間資格取得者や、司法書士、行政書士などの士業もおこなおうとしていることもありますが、裁判手続きをおこなえるのは法律上は原則として弁護士しかいません。
費用的にも、弁護士以外の士業の方とさほど変わらないケースもありますし、裁判手続きを経たからこその専門的な知識・経験をもって、あなたの味方として仕事をしてくれます。
単に代わりにおこなってくれるのではなく、法的な知見や専門知識を活かして対応してくれるため、ご自身でおこなったり、民間資格取得者などに相談するよりも適切かつ効率的に済ませてくれるでしょう。
将来的な相続トラブルを防止できる
相続トラブルに強い弁護士は、その知識や経験から将来的にトラブルが発生する可能性がある点なども見極めて対処法を提案してくれます。
弁護士のサポートを受けて事前に対策を講じることで、のちに面倒な手続きが発生したり、新たなトラブルに発展したりすることを避けられます。
相続トラブルで弁護士に依頼する場合の費用相場
弁護士へ依頼する場合の費用は、相談料・着手金・報酬金の3つに大きく分かれます。
相談料は初回であれば無料となる弁護士事務所も多くありますが、着手金や報酬金はトラブルに関する経済的利益によって変動します。
金額の決め方にルールは定められていませんが、昔の弁護士規定(旧日本弁護士連合会弁護士報酬基準)をそのまま現在も利用している弁護士も多いため、以下の表をひとつの目安としてください。
また、相談料・着手金・報酬金のほかに、弁護士が調査や裁判などをおこなう際にかかった交通費や郵便代を「実費」、裁判所で調停期日に出頭した際の費用を「日当」として支払うこともあります。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下 | 経済的利益の8% | 経済的利益の16% |
300万円を超え、3,000万円以下 | 経済的利益の5%+9万円 | 経済的利益の10%+18万円 |
3,000万円を超え、3億円以下 | 経済的利益の3%+69万円 | 経済的利益の6%+138万円 |
3億円を超える | 経済的利益の2%+369万円 | 経済的利益の4%+738万円 |
相続トラブルで弁護士以外に相談したほうがよいケース
以下のようなケースでは、弁護士以外の士業への相談も検討してみましょう。
ただし、相続人同士で紛争が生じている場合には、法律上、弁護士しか対応することができず、弁護士以外の司法書士や行政書士、税理士などでは対応してはいけないため、注意が必要です。
遺産分割後に相続登記を必要とする場合|司法書士
相続財産の中に土地や建物などの不動産が含まれる場合、遺産分割をおこなったあとに相続登記をおこない、その不動産の名義変更をする必要があります。
遺産分割後に登記手続きが予定されているのであれば、登記の専門家である司法書士に相談し、登記手続きの対応をしましょう。
形式的な書類対応だけ依頼できればよい場合|行政書士
行政書士には、相続手続きで発生するさまざまな書類の作成を依頼することが可能です。
弁護士に依頼する場合よりも、書類の作成費用を抑えられる可能性があるかもしれません。
ただし、あくまでも対応してもらえるのは書類作成までのため、ほかの相続人との交渉・権利調整といったそのほかの手続きは自身でおこなう必要があります。
結果的に時間と労力と費用が多くかかるケースもあり得ます。
相続税に関する悩みや不安がある場合|税理士
遺産相続して相続税が発生する場合、金額の計算や申告手続きなどが必要になります。
相続税には特例や控除制度などもあって計算が難しく、素人では計算ミスが生じて延滞税や加算税などのペナルティが課されるおそれがあります。
税金の専門家である税理士に相談すれば、的確なアドバイスが望めます。
まとめ|相続トラブルについて悩んだら弁護士に相談
遺産相続にはさまざまなトラブルがつきものですが、悩んでしまったときは法律の専門家である弁護士へ相談しましょう。
弁護士は、法律の専門職の中で唯一、紛争性のある事案を専門的に対応することができます。
相続案件で一番難しいのは、やはり紛争性のある事案です。
このような事案の解決実績のある弁護士であれば、あなたの味方として心強いといえるでしょう。
相続トラブルは、最初はトラブルとして顕在化していないこともありますので、銀行など、色々な資格者が関与しようとしていますが、紛争化してしまった際には、弁護士でなければ解決ができません。
そうであれば、相続トラブルとなる前から、相続手続きの専門家である弁護士に相談することが望ましいといえます。
当社が運営する「ベンナビ相続」なら相続トラブルが得意な全国の弁護士を一括検索でき、初めて弁護士探しをする方にもおすすめです。
初回相談無料・電話相談可能・オンライン面談可能など、さまざまな法律事務所を掲載しているので、まずは一度、あなたの味方となってくれる弁護士を探してみましょう。

