退職代行
弁護士に退職代行を依頼するときの選び方|費用の相場も解説
2023.01.26
など、退職ついて、お悩みの方は多いのではないでしょうか。
そのようなとき、退職に関するやり取りを代わりに行ってくれるのが「退職代行」です。
退職代行は弁護士に依頼することも可能なことをご存じでしたか?
この記事では、退職代行とやり方と弁護士に依頼するメリット・選び方について解説します。
近年、ニュースなどで取り上げられる機会が多くなったことで、よく耳にするようになった退職代行サービス。
退職代行とは、従業員や労働者本人がその会社に退職の意思を代わりに伝え、退職に関する手続きをすべておこなってくれるサービスのことを指します。
退職代行をおこなう業者は数多く存在しますが、弁護士もまた退職代行をおこなっています。
退職代行を弁護士以外の企業に依頼した場合、退職代行行為が「非弁行為」にあたり、手続きをスムーズに進めることができないばかりか、依頼した人も事情聴取を受けるかもしれないというリスクが存在します。
また、場合によっては、会社側から損害賠償請求訴訟を起こされてしまうケースもあり、初めから弁護士に依頼しておけばスムーズにできたはずの退職の代行が、弁護士以外に依頼することにより余計な手間がかかってしまうこともあります。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用元:弁護士法
つまり、「非弁行為」とは、弁護士以外の者が、弁護士でなければできない一定の法的サービスをおこなうことを言います。
この法律に違反した業者は2年以下の懲役または300万円以下の罰金の刑を受けるだけでなく(弁護士法第77条)、依頼した退職代行手続きそのものが無効になってしまう可能性があります。
たとえば、弁護士でしか行えない可能性のある行為とは以下のような行為となります。
これらはあくまでも非弁行為に当たる可能性のある行為の一例にすぎず、退職代行にかかるほかの行為についても、非弁行為と判断されてしまうケースがあります。
これらの点から、退職代行は弁護士に依頼すべきであるといえます。
それでは、退職代行を弁護士に依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。
弁護士に退職代行を依頼すると、退職に関する書面の提出や手続き関連の処理はもちろん、残っている業務の引き継ぎや、会社に残った私物の管理など、退職の際に行う処理を全て弁護士に任せることができます。
会社との面倒なやり取りをする必要がなくなり、精神的に非常に楽になるばかりではなく、退職者が不利になるような条件を会社側が提示してくるような場合にも、弁護士がいればそれらの対処法についてアドバイスをもらうことができます。
退職したあとに会社から連絡がきた場合にまでフォローしてくれる法律事務所もあるため、退職代行でどこまでフォローしてくれるのかを事前に確認するようにしましょう。
会社によっては、退職代行業者からの連絡には一切対応しないというケースもあるでしょう。
しかし、弁護士に依頼すれば、法的に円満に解決するように会社側と交渉することができる可能性があります。
会社側としても、弁護士が法律に基づいて請求してくることに対しては、素直に交渉に応じてくれるケースがほとんどです。
そのため、弁護士に退職の代行を依頼すれば、スムーズに退職することができるでしょう。
場合によっては裁判にまで発展するケースも考えられますが、弁護士であれば適切に退職者の権利を主張することで、スムーズに退職手続きを進めることができるのです。
退職する際には、会社に対してさまざまな請求をすることが考えられます。
特に、未払いの給与や残業代に関しては、退職の仕方によっては本来会社が払わなくてはいけないのに支払われないケースがあります。
弁護士に依頼すれば以下のような請求を代行してくれます。
会社は社員の勤務時間を管理する義務がありますが、自分の勤務時間を証明するのが難しい場合もあります。
また、残業代をもらえるかわからないケースであっても、悩んだ時にはまず弁護士に相談するようにしてみるとよいかもしれません。
セクハラやパワハラに対する慰謝料請求についても同様で、どういうケースで請求できるのかを判断するためには、法律の専門家の判断が必要にとなるでしょう。
ただし、これらの費用は「退職代行費用」とは別に請求されます。
業務中に負傷したり、病気になってしまったりしたことが退職の理由である場合は、弁護士に依頼するタイミングで、労災の申請代行についても依頼することができます。
長時間労働などにより疾患を負ってしまった場合や、セクハラやパワハラなどによってうつ病を患ってしまった場合は労災認定されることがあるため、該当事由があれば労災の申請を検討することになるでしょう。
しかし、労災の申請手続きはかなり複雑で、会社の担当者も労災についてよく理解していない場合があるなど、スムーズに申請手続きが進まないケースが多いようです。
診断書などの提出書類をしっかり揃え、適切な方法で申請する必要があることを考えると、自分で不慣れな申請手続きをするのではなく、それらもすべて弁護士に依頼することで、スムーズに労災を認定してもらえるでしょう。
いざ、退職代行を依頼しようとして弁護士を探してみても、その数の多さから、どの弁護士に依頼すればいいのか、わからなくなってしまうかもしれません。
ここからは、退職代行を弁護士に依頼する際の弁護士の選び方を解説していきます。
離婚や相続関係などの民事が得意な弁護士、殺人や詐欺、窃盗などの刑事が得意な弁護士など、その弁護士や弁護士が所属している法律事務所によって、得意なジャンルはさまざまです。
労働問題の得意な弁護士への相談であれば、問題解決のノウハウや知識、経験が豊富なので、スムーズに問題を解決することができるでしょう。
その弁護士のホームページを見れば、その弁護士が関わった事件の解決実績などが掲載されていることがあります。
また、自己紹介などで、労働問題について力を入れているなどの記載があれば、知識や経験、労働問題を解決する意欲があることがわかるでしょう。
実務経験の年数なども参考にしながら、労働問題の経験豊富な弁護士に依頼するようにしましょう。
依頼者としては、話しやすい・明るい・物腰が柔らかいといった印象の弁護士に相談したいと感じるものでしょう。
弁護士に相談してみると、話しやすい弁護士もいれば、とっつきにくいと感じる弁護士もいます。
弁護士の実績も重要ですが、初回相談時に弁護士の人柄も見ながら、この弁護士であれば信頼して依頼できる、と思えるような弁護士に依頼するようにしましょう。
それでは、退職代行を弁護士に依頼するといくらくらいかかるのでしょうか。
ここでは、一般的な弁護士費用を解説していきます。
一般的に、弁護士に相談する場合には相談料がかかることが多いです。
30分5,500円で設定されているところが多いですが、初回であれば相談料無料としているところも多くありますので、詳細は各事務所のホームページを確認してみましょう。
退職代行の場合、着手金および報酬金の合計額の相場は、およそ10万〜20万円前後となります。
それ以外にも、着手金は0円で、退職が成功した場合のみ報酬金が発生する完全成功報酬型と呼ばれる費用で依頼を受けてくれる弁護士も存在します。
弁護士に依頼する場合には、その手続きにかかる実費を請求されることも多いです。
実費とは、会社に書面を送る郵送費や、弁護士が会社におもむくことになった場合の交通費、依頼者に書面を送る際にかかった切手代などが、この実費に当たることになります。
もし、話し合いだけで解決できないとなった場合には裁判を起こすことになりますが、弁護士が裁判所に出頭した場合には、日当が別途かかる場合もあり、これも実費として追加されます。
退職代行の費用でどこまで対応してくれるかはその弁護士によるので、契約内容を事前にしっかり確認するようにしましょう。
退職代行を依頼する時に、未払いの残業代請求や、パワハラに対する慰謝料請求など、退職代行とは別の請求を依頼した場合には、それぞれの請求につき弁護士費用がかかってきます。
ここからは、退職代行に関するさまざまな疑問を解消していきましょう。
退職代行を使うこと自体全くおかしいことではないですし、退職代行を使ってはいけない場合というのも存在しません。
実際、2021年に行われた日本労働調査組合のアンケートによると、「今の会社を退職するとすれば退職代行を利用したいと思いますか?」という質問に対し、利用すると答えた人が21.9%、利用するかもしれないと答えた人は22.5%となっており、利用を検討している人が47.4%と、2人に1人が退職代行サービスの利用を検討しているという結果となりました。
たしかに、自身の都合で会社を退職する場合には、退職に関する手続きについては自分で進めた方が、いいケースがあるかもしれませんが、退職したい理由は人それぞれです。
その人が会社に退職の意思を伝えたいのに伝えられていないのであれば、退職の代行を弁護士に依頼してもまったく問題ありません。
【日労公式】
退職代行サービスを約6割が知っているという結果に。「退職代行サービスに関するアンケート調査」(日本労働調査組合)
新卒であっても、退職代行を利用することはまったくおかしいことではありません。
退職代行を利用したとしても、それはどこにも記録されないため、転職活動の際にマイナスに働くということもありません。
しかし、短期間で会社を辞めてしまった場合には、履歴書に入社日や退社日を記載することになるので、再就職の際に「また短期間で辞めてしまうのではないか」と思われてしまうリスクがあることは否定できません。
とはいえ、社会人1年目の場合、周囲の期待に応えようと必要以上に自分を追い込んでしまう傾向にあるため、退職したいのにできないと悩んでしまうこともあるでしょう。
そのような場合は、遠慮なく退職代行を依頼することをおすすめします。
弁護士に退職代行を依頼すると、弁護士が会社に対して、①退職の件で代理人になったこと、②今後の連絡は全て弁護士にし、本人に直接連絡しないよう、といった旨の連絡を行います。
そのため、原則として本人が会社に対して対応をすることはありません。
例えば、社員証や会社のパソコンなど、会社の所有物を自宅に持ち帰っていた場合、弁護士がそれらの返却方法、返却時期等を会社に確認し、対応をしてくれます。
本人が直接会社に郵送などで返却しても問題ありませんが、会社とコンタクトをとることが不安な方は弁護士に返却の代行についてもお願いするようにしましょう。
公務員も一般企業と同様に、退職代行を利用することもできます。
しかし、公務員の退職規定は民間企業とは異なり、国家公務員法や地方公務員法、自衛隊法などによって規定されているため、公務員が退職代行を利用する場合には、通常の退職代行よりも少し時間がかかり、一般企業のように2週間以内での退職は難しい場合もあります。
民法第627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:厚生労働省
国家公務員法第61条
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
引用:国家公務員法
自衛隊法第40条
第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
引用:自衛隊法
近年、会社に退職を言いにくいといった理由から、退職代行業者を利用する方が増えています。
しかし、弁護士資格のない代行業者が、非弁行為に該当するような交渉をしたことで、会社から損害賠償請求を受けてしまったり、かえってトラブルが深刻化してしまったりするというケースがあとを絶ちません。
退職代行をおこなってくれる弁護士であれば、退職手続きだけでなく、損害賠償請求などに対しても裁判でしっかり対応してくれるため安心です。
退職に関してお悩みの方は、まずは一度弁護士に相談してみましょう。
【参考】
・退職代行サービスおすすめ比較ランキング17選【口コミ・評判あり】|サクフリ株式会社
・退職代行の金額相場は?【結論:1万~10万でどこが運営するかで異なる】 | 相性就職マガジン
・退職代行おすすめ12選|利用方法や依頼時の注意点も解説!|CAUPiT