不当解雇
解雇予告手当請求書の書き方ガイド|サンプル文章付きでどう書けばいいのかを解説
2024.10.11
労働問題に直面した際は、複雑化・長期化を防ぐためにも、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
しかし、弁護士費用がネックとなり、相談を踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか。
実際、労働問題について弁護士に相談・依頼する場合はトラブルの内容や解決方法によって、相談料・着手金・報酬金などの金額も変わってくるので注意が必要です。
労働問題の解決には時間がかかるケースも少なくないため、弁護士費用を抑える工夫も必要でしょう。
本記事では、労働問題に直面し、弁護士への依頼を検討している方に向けて、以下の内容について説明します。
本記事を参考に、労働問題における弁護士費用の相場や費用を抑えるためのポイントを理解しましょう。
まずは、労働問題の解決を依頼した場合の弁護士費用の相場・目安について説明します。
弁護士費用は、主に相談料・着手金・実費・日当に分けられるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
相談料とは、弁護士に法的な問題について相談する際にかかる費用のことです。
30分5,000円~1万円程度が相場と考えておきましょう。
ただし、初回は無料で相談に応じてくれる法律事務所も数多くあります。
そのため、まずは無料相談に対応している法律事務所のなかから、相談先を選ぶのがおすすめです。
着手金は、弁護士に法的手続きを依頼する際の初期費用のことです。
事件の内容によっては着手金を無料としている法律事務所もありますが、一般的には10万円~30万円程度かかります。
なお、着手金は事件処理を依頼した時点で発生するため、たとえ解決に至らなかった場合でも支払う必要がある点に注意してください。
報酬金とは、弁護士に依頼して事件が解決された際に発生する費用のことです。
報酬金の金額は、獲得した経済的利益に応じて変動します。
法律事務所や依頼内容などによっても異なりますが、獲得金額の10〜16%程度に設定されているケースが一般的といえるでしょう。
たとえば、未払い給与の回収を依頼し、実際に300万円戻ってきた場合には、30万円~45万円程度を報酬金として支払うことになります。
実費はコピー代や郵送料など、事件処理のために要した経費のことです。
一般的な相場は1万円~3万円程度ですが、どのような方法で解決を目指すのかによっても、実費の額は大きく変わります。
そのため、依頼する前には、予想される実費の種類と金額を確認しておくことが大切です。
日当とは、弁護士が打ち合わせや裁判のために出張する際に生じる費用です。
基本的には半日あたり3万円~5万円、1日あたり5万円~10万円程度かかります。
なお、法律事務所によって違いはありますが、2時間以内の出張なら日当を要しないケースがほとんどです。
そのため、裁判が想定される問題を抱えている場合などは、出頭ごとに日当が生じることのないよう、裁判所の近くにある事務所のなかから相談先を選ぶとよいでしょう。
弁護士費用の金額は、具体的な事案の内容や難易度、着手から完了までの期間など、さまざまな要因によって変わります。
ここでは、弁護士費用の目安をトラブル別に解説するので、参考にしてみてください。
残業代請求を弁護士に依頼する場合は、20万~40万円に請求額の20%程度が上乗せされるものと考えておきましょう。
着手金を必要とせず、成果があった場合にのみ、回収できた残業代のなかから費用を支払うという報酬体系の事務所もあります。
もちろん事務所ごとに料金体系は異なるので、あらかじめ確認しておくようにしてください。
不当解雇の問題解決を依頼する場合は、40万~80万円程度の弁護士費用が必要です。
着手金は法律事務所によって異なり、無料のところもあれば30万円程度かかるところもあります。
成功報酬金は経済的利益の15%〜30%程度が一般的ですが、金銭的評価が難しい部分については別途、費用を請求される場合もあります。
また、最低報酬金を20万〜30万円程度の定めている法律事務所もあるため、注意が必要です。
労働災害への対応を依頼する場合、弁護士費用の相場は30万円~60万円程度です。
会社に損害賠償請求する際の着手金は10万円~30万円程度、労災申請を依頼すると費用が上乗せされるケースが一般的といえるでしょう。
会社から損害賠償金を受け取った場合は、支払われた金額の15%から30%程度が成功報酬金となります。
労災が認められた場合には、障害補償給付金の一定割合や50万円程度の定額料金が報酬金として加算されます。
パワハラ・セクハラに関するトラブルの解決を依頼する場合は、50万円~100万円程度の費用が必要です。
まず、着手金は通常10万円~30万円程度かかります。
そして、相手方から受け取った慰謝料や損害賠償金の15%~30%を成功報酬として支払うことになります。
退職代行を依頼する場合の弁護士費用は、5万円~15万円程度が相場です。
基本的な手数料は5万円程度ですが、未払いの残業代・退職金・慰謝料の請求なども依頼する場合は別途費用がかかります。
また、アルバイトよりも正社員のほうが料金が高くなるなど、雇用形態によって差が生じるケースもあります。
労働審判を依頼する場合は、20万円~40万円に請求額の15%~20%を加えた金額を支払うケースが一般的です。
依頼する内容によっても変わりますが、60万円~100万円程度はかかるものと考えておきましょう。
労働審判における弁護士費用は、着手金・成功報酬・実費など、いくつかの項目から構成されており、おおよその内訳は以下のとおりです。
内訳 | 費用の目安 |
---|---|
相談料 | 無料〜1万円/30分 |
着手金 | 30万円程度 |
報酬金 | 経済的利益の15%~20%程度 |
実費・日当 | 1万円~5万円程度 |
着手金に関しては、不当解雇の是非を争うようなケースなら定額、残業代などの金銭を請求するケースなら請求金額の一定割合としている法律事務所も多く見られます。
着手金を支払う余裕がない場合は、完全成功報酬型を取り入れている事務所に依頼するのもひとつの方法です。
ただし、成功報酬が割高に設定されていることが多い点には注意しておきましょう。
労働問題に関して民事訴訟を起こす場合、弁護士費用の算定には弁護士会の旧報酬基準を用いるケースが一般的です。
必ずしも全ての法律事務所が旧報酬基準を採用しているわけではありませんが、目安のひとつにはなるでしょう。
内訳 | 費用の目安 |
---|---|
相談料 | 無料〜1万円/30分 |
着手金 | 請求額が・・・ 300万円以下:8% ※最低10万円 300万円超~3000万円以下:5%+9万円 3000万円超~3億円以下:3%+169万円 3億円超:2%+369万円 |
報酬金 | 経済的利益が・・・ 300万円以下:16% 300万円超~3000万円以下:10%+18万円 3000万円超~3億円以下:6%+138万円 3億円超:4%+738万円 |
実費・日当 | 1万円~5万円程度 |
弁護士の報酬は高額なことが多く、相談・依頼する際の障壁になりがちです。
しかし、いくつかの方法で費用を抑えることができるので、詳しく見ていきましょう。
まずは、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切です。
一般的に、トラブルが複雑になればなるほど対応すべきことが増えるため、弁護士費用も高くなる傾向があります。
そのため、トラブルが複雑化する前に弁護士に相談・依頼することが賢明です。
早期の依頼なら、解決までの期間も短縮できるでしょう。
法律事務所の無料相談を活用することも、弁護士費用を抑えるためのコツといえるでしょう。
通常、弁護士との相談料は30分5,000円~1万円程度に設定されていますが、初回であれば無料で相談できるケースも多くあります。
弁護士への無料相談は、弁護士との相性を確かめたり、予算内で問題を解決できるかを相談したりするのに有効な手段です。
まずは無料相談を活用して、本当に弁護士に依頼する必要があるかどうかを確認することをおすすめします。
また、複数の法律事務所で無料相談を利用すれば弁護士の比較ができるので、最適な依頼先を選ぶことができるでしょう。
少しでも弁護士費用を抑えたいのであれば、複数の法律事務所から見積もりを取ることも重要です。
同じ内容を依頼する場合でも、法律事務所ごとに弁護士費用は大きく変わります。
そのため、それぞれの見積もりを比較して割安な法律事務所を選ぶことが、弁護士費用の節約につながります。
なお、弁護士費用の料金体系は複雑なケースも多いので、不明な点がある場合は納得できるまで説明を求めるようにしてください。
弁護士費用保険に加入している場合は、利用できないかどうかを確認してみましょう。
加入している保険の種類によっては、労働問題に関する弁護士費用も補償の対象とされている場合があります。
受け取れる保険金は通常100万円から200万円程度で、弁護士費用の大半をカバーできると考えられます。
費用をかけてでも弁護士に依頼すべき理由は、以下のとおりです。
少しでも早く確実に労働トラブルを解決したいのであれば、弁護士への依頼を積極的に検討してみてください。
労働問題の解決を弁護士に依頼するメリットとしては、最適な解決方法を提案してもらえる点が挙げられます。
労働問題にはさまざまな法律が関係してくるため、法的な知識をもたない個人がひとりで解決するのは難しいものです。
自力で無理やり解決しようとすると、問題をさらに大きくしてしまうおそれもあります。
その点、法律の専門家である弁護士に相談・依頼すれば、状況を客観的に分析し、最善の解決策を提案してくれます。
ひとりで悩むよりも、弁護士に相談して適切に対処したほうが、よりよい結果を得られる可能性は格段に高くなるでしょう。
証拠集めをサポートしてもらえる点も、弁護士に労働問題の解決を依頼するメリットのひとつです。
法律トラブルで争う場合は、基本的に会社側の落ち度を示すための証拠が必要になります。
しかし、何をどのような方法で集めていけばよいのか、判断が難しいケースも少なくありません。
弁護士に相談・依頼すれば、交渉や裁判で役立てられる証拠の種類を的確に指示してくれます。
また、自力では集められないような証拠でも、弁護士から会社に請求することで手に入るケースもあるでしょう。
悪質な会社は証拠を隠ぺいする可能性もあるので、できるだけ早く弁護士に相談し、証拠収集に着手することが大切です。
弁護士のサポートがあれば、会社に対して正当な額の支払いを求められるようになります。
たとえば、給与の未払いが生じていたとしても、いくら請求すればよいのか計算することは簡単ではありません。
パワハラやセクハラに対する慰謝料を請求する場合でも、何を根拠に金額を決めればよいのか、素人では判断できないことも多いはずです。
そのため、過去の事例や関係法律、各社の就業規則などをもとに、適切な金額を算定してもらえることは大きなメリットといえるでしょう。
算定作業を自力でおこなう場合は、本来受け取るべきはずの金額を請求できないまま終わってしまう可能性もあるので注意してください。
労働問題の解決を弁護士に依頼すれば、会社との交渉や裁判手続きを一任できます。
手間を削減できるだけでなく、同僚や上司と連絡を取り合う必要もなくなるので、精神的な負担も大幅に軽減できるでしょう。
また、従業員の立場で交渉や裁判手続きに臨むと、高圧的な態度をとられたり、不利な条件を無理やり飲まされたりする可能性も否定できません。
そのため、弁護士の力を借りながら、自身の権利を正当に主張することが重要です。
労働問題について弁護士に依頼する場合は、費用に関する以下の注意点も知っておくべきでしょう。
あとで後悔しないためにも、一つひとつの注意点を正しく理解したうえで、弁護士に相談・依頼するようにしてください。
会社に未払い賃金や残業代などを請求する際、請求額が小さいと「費用倒れ」のリスクがあります。
つまり、回収できる金額よりも弁護士費用のほうが高くなり、結果的に損をしてしまうことがあるのです。
見積もりをとった結果、費用倒れになりそうな場合は、自身で労働審判の手続きをおこなったり、労働基準監督署に相談したりといった対策をとる必要があります。
そのうえで、どうしても弁護士の力を必要とする部分のみを依頼するのがおすすめです。
弁護士費用は原則として、依頼者自身が支払う必要があります。
会社側に落ち度があるからといって、弁護士費用を請求することは基本的に認められません。
ただし、会社側の不法行為を受けて損害賠償請求訴訟を起こし、勝訴した場合など、例外的に弁護士費用を請求できるケースもありますが、全額が回収できるとも限りません。
そのため、弁護士に相談する際には、会社に対する弁護士費用の請求が可能かどうかも確認しておくようにしましょう。
依頼している事件の内容は変わらなくても、別の手続きに移行した場合には、新たに着手金が発生するケースも少なくありません。
一般的な労使間のトラブルは、まず交渉によって解決を目指しますが、話し合いがまとまらないときは労働審判に移行することがあります。
この場合、交渉と労働審判に着手するそれぞれのタイミングで、着手金の支払いを求められる可能性があるのです。
また、労働審判から通常訴訟に移行する場合にも、同様に追加の着手金が発生することがあります。
ただし、はじめから訴訟事件として依頼し、交渉からスタートした場合などは、追加の着手金が不要になるケースもあるため、追加料金の有無に関しては個別に確認しておくことが重要です。
弁護士への依頼は、トラブル内容が複雑になるほど、作業量が増えて費用が高額になります。
そのため、トラブルが複雑化する前に早い段階で弁護士に相談することが大切です。
無料法律相談なども活用して、費用を抑えながら依頼する弁護士を検討しましょう。
なお、労働問題を得意とする弁護士を探したい場合は、「ベンナビ労働問題」がおすすめです。
地域や相談内容を細かく指定して、自分に合った法律事務所を簡単に検索できます。
初回無料相談や成功報酬型に対応している法律事務所も掲載されているため、弁護士費用が気になる方は有効に活用してみて場合は確認してみるとよいでしょう。