労働災害
労働災害を報告してくれなければ労災申請できない?労災申請の方法を解説
2023.08.30
労災(労働災害)に遭った場合、主な相談先は労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士の3つです。
労災保険給付の請求については労働基準監督署または社会保険労務士、会社に対する損害賠償請求については弁護士に相談できます。
労働基準監督署への相談は完全無料で、社会保険労務士・弁護士にも無料で相談できる場合があります。
それぞれ相談できる内容が異なるので、相談先を適切に使い分け、労災による被害の回復を目指しましょう。
今回は労災に関する主な無料相談窓口として、労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士の3つを紹介します。
弁護士に無料相談する方法・相談時の注意点・弁護士費用などについてもまとめているので、弁護士を探す際の参考にしてください。
労災問題について、今すぐ弁護士に無料相談したいなら「ベンナビ労働問題(旧労働問題弁護士ナビ)」がおすすめです。
ベンナビ労働問題では、以下のような弁護士を探すことができます。
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弁護士はあなたの悩みに真摯に向き合います。お気軽にご相談ください。
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業務上の原因により、または通勤中に病気・ケガが発生した場合は「労災(労働災害)」に該当します。
労災については、労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士に相談可能です。
労働基準監督署への相談は完全無料で、社会保険労務士・弁護士にも無料で相談できる場合があります。
労働基準監督署は、労働法令の遵守状況等につき、管轄地域内の事業場を監督する行政官庁です。
労災保険給付の請求を受け付けており、会社による労働基準法違反の監督業務も行っているので、労災については幅広く相談できます。
労働基準監督署への相談には、費用は一切かかりません。
社会保険労務士は、労働および社会保険に関する申請書の作成等を取り扱う専門職です。
労災に関しては、主に労災保険給付の請求サポートを受け付けています。
社会保険労務士に依頼する際には費用がかかりますが、相談の段階では無料で対応してもらえることがあります。
弁護士は、法律に関する事務全般を取り扱う専門職です。
労災には、労災保険や会社の損害賠償責任などについて多数の法律が関係しているため、弁護士も有力な相談先となります。
弁護士に依頼する際にも費用がかかりますが、無料相談を受け付けているケースが多いです。
労働基準監督署には、労災について主に以下の事項を相談できます。
労働基準監督署は、労災保険給付の請求を受け付けています。
被災労働者は、労働基準監督署への請求により、以下の労災保険給付を受給可能です。
労災病院または労災保険指定医療機関において、労災によるケガや病気の治療を無償で受けられます(医療機関の窓口で手続きを行います)。
それ以外の医療機関では、いったん治療費全額を支払った後、労働基準監督署に請求すれば支払額の還付を受けられます。
労災によるケガや病気の治療のために仕事を休んだ場合、休業4日目以降の収入が補償されます。
休業(補償)給付の支給額は、1日当たり給付基礎日額(=平均賃金)の80%です。
労災によるケガや病気が完治せず後遺症が残った場合、障害等級に応じた金額の補償を受けられます。
障害等級は、障害(補償)給付の請求を受けた労働基準監督署が認定します。
参考:障害等級表|厚生労働省
被災労働者が死亡した場合に、遺族に対して生活保障の目的で支給されます。
被災労働者が死亡した場合に、遺族に対して葬儀費用の補填目的で支給されます。
労災によるケガや病気が傷病等級第3級以上に該当し、かつ1年6か月以上治らない場合に支給されます。
労働基準監督署長の職権によって給付が開始されるため、申請は必要ありません。
被災労働者が以下の要件を満たす場合に、介護費用を補填する目的で支給されます。
労災保険給付の請求方法については、労働基準監督署の窓口で案内を受けられます。
請求書の様式は厚生労働省のウェブサイトでダウンロードできるほか、労働基準監督署の窓口で交付を受けることも可能です。
参考:労災保険給付関係請求書等ダウンロード|厚生労働省
参考:労災保険給付の概要|厚生労働省
労災が発生した原因が、会社の労働基準法違反または労働安全衛生法違反に該当する場合、労働者はその事実を労働基準監督署に申告できます(労働基準法104条1項、労働安全衛生法97条1項)。
労働基準監督署に申告をしたことを理由に、会社は労働者を不利益に取り扱ってはなりません(労働基準法104条2項、労働安全衛生法97条2項)。
労働基準監督署は、法令違反の可能性がある事業場に対して調査を行った後、違反が認められれば刑事処分・行政処分・行政指導を行います。
会社に対してこれらの処分・指導が行われれば、法令違反状態の解消が期待できます。
特に会社を退職せずに復帰しようと考えている場合には、労災の再発防止を求めるべく、労働基準監督署への申告も検討すべきでしょう。
社会保険労務士には、主に労災保険給付の請求手続きを依頼できます。
労災保険給付は、請求の種類ごとに必要書類が異なり、そのすべてを自分で準備するのは手間がかかります。
また、本来であれば請求できるはずの労災保険給付を、見落としによって請求し忘れてしまうケースも見られます。
社会保険労務士に依頼すれば、受給できる労災保険給付についてアドバイスを受けられます。
さらに請求書・添付書類の準備や、労働基準監督署に対する書類の提出などを依頼できるため、手続きの労力が軽減される点がメリットです。
弁護士には、労災について主に以下の事項を相談できます。
被災労働者は労災保険給付を受けられますが、それだけでは労災による損害全額がカバーされません。
たとえば、精神的損害に対応する慰謝料は、労災保険給付の対象外とされています。
また、休業損害や逸失利益についても、実際の損害の一部しか補填されないケースが多いです。
労災保険給付と実際の損害の差額については、以下のいずれかの根拠に基づき、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
会社に対する損害賠償請求については、弁護士への相談・依頼が可能です。
弁護士は、協議・労働審判・訴訟の各手続きを通じて、被災労働者(または遺族)が適正額の損害賠償を受けられるようにサポートを行っています。
会社は労働者に対し、生命・身体等の安全を確保しながら労働できるように、必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。
これを「安全配慮義務」といいます。
会社が安全配慮義務に違反した結果として労災が発生した場合、被災労働者は会社に対して、安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求可能です(民法415条1項)。
従業員が会社の事業に関して第三者に損害を与えた場合、原則として会社も被害者に対する損害賠償責任を負います(民法715条1項)。
これを「使用者責任」といいます。
労災が他の従業員の故意または過失により発生した場合、被災労働者は会社に対して、使用者責任に基づく損害賠償を請求可能です。
労災によるケガや病気が治った後、会社に復帰しようと考えている場合には、会社に対して労災の再発防止を要請することが望ましいです。
しかし、被災労働者自身が会社に対して訴えても、満足な対策が講じられるとは限りません。
弁護士には、会社に対して労災に関する再発防止策を要請するに当たり、必要なサポートを依頼できます。
被災労働者自身が会社と交渉するのが難しければ、弁護士に再発防止策に関する交渉を依頼することも可能です。
ただし、会社に対する再発防止策の要請については対応していない弁護士もいるので、依頼前に対応可能な業務の範囲をご確認ください。
会社の労働基準法違反・労働安全衛生法違反を労働基準監督署に申告する際にも、弁護士にサポートを依頼できる場合があります。
会社がどのような法令違反を犯しているのか、なぜ是正指導が必要なのかにつき弁護士を通じて説得的に訴えれば、労働基準監督署に対応してもらえる可能性が高まります。
ただし労働基準監督署への申告サポートについても、弁護士によっては対応できない場合があるので、依頼前に対応の可否を確認しましょう。
労災については労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士に相談できますが、それぞれ対応可能な業務が異なります。
そのため、疑問点や希望するサポート内容などに応じて、相談先を使い分けることが大切です。
労災によるケガや病気については、労災保険給付を受給できる可能性が高いので、労働基準監督署には必ず相談しましょう。
労働基準監督署では、労災保険給付の種類や請求方法などについてアドバイスを受けられます。
労災保険給付は、受給要件を満たしていれば必ず受け取れます。
会社との交渉や法的手続きを経る必要がある損害賠償請求に比べて、スムーズかつ確実に受け取れるのが労災保険給付のメリットです。
そのため、会社に対して損害賠償を請求するか否かにかかわらず、労災保険給付について労働基準監督署に相談することをおすすめします。
労災保険給付の請求に当たっては、さまざまな書類を準備しなければなりません。
請求する労災保険給付の種類や、被災労働者の生活や仕事の状況などによっては、自分で請求を行うのが大変というケースもあるでしょう。
労災保険給付の請求を自分で準備するのが大変な場合は、社会保険労務士に相談しましょう。
依頼費用はかかりますが、労災保険給付の請求に関する労力が軽減されます。
労災保険給付だけでは、被災労働者に生じた損害全額がカバーされません。
不足額についても補償(賠償)を受けるには、弁護士に相談しましょう。
業務上の原因による労災(業務災害)であれば、安全配慮義務違反または使用者責任に基づき、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
通勤中に発生した労災(通勤災害)であれば、その原因を作った第三者に対する損害賠償請求の余地があります。
損害賠償請求に関する対応を依頼できる専門家は、原則として弁護士のみです。
労災保険給付の請求と並行して、弁護士にも相談することをおすすめします。
労災について弁護士に無料で相談したい場合、主に以下の方法が考えられます。
弁護士への法律相談は有料が原則ですが、弁護士によっては無料で相談できることがあります。
法律事務所のホームページなどを確認すれば、無料相談を受け付けているかどうかが分かります。
弁護士の無料相談は、正式に依頼するか否かにかかわらず利用可能です。
何人かの弁護士の無料相談を利用し、能力・サービス内容・弁護士費用などを比較すれば、納得して依頼できる弁護士に巡り会える可能性が高まるでしょう。
弁護士ポータルサイトの「ベンナビ労働問題」には、労働問題への対応を得意とする弁護士が多数登録しています。
地域や相談内容に応じて弁護士を検索できるため、労災についての悩みを解決してくれる弁護士を見つけるのにたいへん便利です。
無料相談を実施しているか否かも掲載されているため、自宅に居ながら簡単に相談先の弁護士を探せます。
被災労働者や遺族の方が弁護士をお探しの場合は、ベンナビ労働問題のご利用をご検討ください。
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「法テラス(日本司法支援センター)」は、弁護士などの法専門家と市民を繋ぐために設置された公的機関です。
収入と資産がいずれも一定水準以下の方は、1事件当たり3回まで弁護士の無料相談を利用できます。
さらに、弁護士費用の立替払い制度も利用可能です。
法テラスを利用するには、法テラスの窓口で申し込む方法のほか、法テラスの契約弁護士に直接相談する方法があります。
契約弁護士に直接相談すれば、依頼先の弁護士を自分で選ぶことが可能です。
法テラスの利用が可能かどうかについては、問い合わせや無料相談の段階で弁護士にご確認ください。
市役所・区役所・町村役場では、定期的または不定期に法律相談会が開催されています。
1枠当たり20分から30分程度が標準的で、住民であれば誰でも弁護士に無料で相談可能です。
相談に対応した弁護士に対し、労災に関する対応をそのまま依頼することもできます。
労災について相談できる弁護士に心当たりがない方は、市区町村が実施している法律相談会を利用することも選択肢の一つです。
労災について弁護士に無料相談をするに当たっては、準備や心構えについて以下の各点にご注意ください。
弁護士からは、労災に遭った当時の状況や経緯について、細かく質問されることが予想されます。
限られた相談時間の中で、弁護士に事件の概要をわかりやすく伝えるためには、時系列をまとめたメモなどを準備しておくとよいでしょう。
労災について依頼する場合の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。
また対応可能な業務の範囲や、着手金にどの業務が含まれているかなどについても、弁護士によって千差万別です。
弁護士費用の金額が合理的かどうかをチェックし、費用に対応する業務の範囲を明確化するため、無料相談の段階で弁護士費用の見積もりを提示してもらいましょう。
少しでも疑義があれば、依頼前の段階で解消しておくことが大切です。
被災労働者や遺族の方は、労災に関して心身にダメージを受け、難しい時間を過ごしているケースが多いかと思います。
そのような状況にある依頼者に寄り添い、精神的な支えになることも、弁護士の役割の一つです。
不安や辛さを軽減してくれる相談役と捉えた場合、親身になって対応してくれるかどうかも、弁護士を選ぶ際の重要なポイントになるでしょう。
人間同士としての相性も考慮し、心地よく相談できる弁護士を選べば、結果的に納得できる解決を得られる可能性が高まります。
弁護士の能力・得意分野・正確・弁護士費用などは、個々の弁護士によって違いがあります。
その中で、信頼できる弁護士に巡り会うためには、複数の弁護士を比較することが効果的です。
弁護士の無料相談は、正式に依頼するか否かにかかわらず利用できます。
複数の弁護士の無料相談を利用して、ご自身に合った弁護士が誰かを見極めるのがよいでしょう。
労災の損害賠償請求について、弁護士に正式に依頼する際には弁護士費用が発生します。
弁護士費用の主な内訳は以下のとおりです。
各弁護士費用について、「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考にした目安額を紹介します(いずれも税込)。
実際に依頼する際の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なるため、個別にご確認ください。
着手金は、弁護士へ正式に依頼した際に支払います。
一括払いが原則であり、事件の結果にかかわらず返金されません。
ただし、経済的な事情により一括払いが難しい場合は、弁護士に相談すれば分割払いが認められることもあります。
<労災の損害賠償請求に関する着手金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の額の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の額の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の額の2.2%+405万9,000円 |
※着手金の最低額は11万円
報酬金は、弁護士による事件処理の結果として、依頼者が得られた経済的利益の額に応じて支払います。
労災による損害賠償請求の場合、損害賠償の獲得額に応じて報酬金を計算するのが一般的です。
報酬金を支払うタイミングは、依頼の終了時となります。
<労災の損害賠償請求に関する報酬金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の額の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の額の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の額の4.4%+811万8,000円 |
日当は、弁護士による出張が発生した場合に支払います。
労災による損害賠償請求を依頼する場合、日当が発生するのは会社との対面交渉や、労働審判・訴訟等の期日への出席などです。
<労災の損害賠償請求に関する日当額の目安>
半日(往復2時間超4時間以内) | 3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) | 5万5,000円以上11万円以下 |
弁護士が依頼を受けた案件の対応を行う際、何らかの費用を支出した場合には、実費相当額が依頼者負担となります。
労災の損害賠償請求については、以下の実費などが発生します。
<労災の損害賠償請求に関する実費の例>
労災についての主な無料相談先は、労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士の3つです。
労災保険給付に関しては労働基準監督署または社会保険労務士、会社に対する損害賠償請求については弁護士に相談しましょう。
労災保険給付は必ず請求すべきですが、それだけでは労災による損害全額はカバーされないので、会社に対する損害賠償請求も検討すべきです。
弁護士に依頼すれば、協議・労働審判・訴訟の各手続きを通じて、適正額の損害賠償を得られるようにサポートしてもらえます。
弁護士の能力・得意分野・正確・弁護士費用などは千差万別なので、複数の弁護士を比較して依頼先を選ぶのがおすすめです。
「ベンナビ労働問題」などを活用して、お住まいの近くで相談できる弁護士をリストアップし、無料相談を申し込んでみましょう。
労働災害について弁護士に相談する 電話相談可・初回面談無料・完全成功報酬 | |
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参考:副業・ダブルワークなどの複数就業している場合の労災保険の取り扱いを解説します! | 一人親方の労災センター共済会