不動産の相続登記の流れ|相続があったら早めに手続きを

不動産の相続登記の流れ|相続があったら早めに手続きを

不動産の相続登記とは、もともと被相続人の持ち物だった不動産を相続人が引き継いだ際に、その不動産の所有権(登録名義)を、相続人に移す手続きのことを言います。

相続登記は元々義務ではありませんでしたが、令和3年4月21日「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が可決成立日したことにより、法律により義務化されました(令和6年までに施行される予定です)。

2021年11月現在、まだ義務化はされていませんが、登記はしておいたほうが後々のトラブルを防げるので、面倒でも早めに手続きしておくのがおすすめです。

では、不動産の相続登記を行わないとどういったトラブルがあるのか、実際の登記手続きはそのように進めていけば良いのかを、解説していきます。

相続登記の手続きや費用にお悩みの方へ

相続登記はご自身でも手続き可能ですが、知識や経験がないと大きな労力・時間がかかります。かといって相続登記をしないまま放置しておくと、以下のようなリスクが出てきます。

・不動産を売却・担保できない
・不動産の権利関係が複雑になり、子どもや孫が後々困る
・相続した不動産を差し押さえられる可能性がある
・相続登記の必要書類の取得が困難になる

相続登記手続きでお悩みの方は、お気軽に無料相談をご利用ください。

おまかせ相続登記

おまかせ相続登記

この記事を監修した司法書士
本松紳司
本松 紳司司法書士(ひまわり司法書士法人)
都内の大学の法学部で学び、広告代理店に勤務。その後、司法書士試験に合格。千葉市内の司法書士事務所等勤務を経て、都内の大手司法書士法人の役員に就任。退任後、平成24年「ひまわり司法書士法人」開設。

不動産を相続した際の相続登記の必要性とは

まずは、不動産の相続登記を行う意味や、なぜ行うべきなのかについてみていきましょう。

所有権を相続人に移したことを証明するため

冒頭でもお伝えしましたが、相続登記はこれまで義務ではありませんでしたので、極端な話をすれば登記せずに放置してしまっていても罰せられることはありませんでした。

ただ、問題はその相続した不動産の持ち主が亡くなった被相続人のままだと、そのあとの扱いが自由にできないということがあります。

1:売却ができない

不動産登記がないと、相続後に家を売りたくなった場合に、自由に売却することができないという問題があります。

不動産登記には権利関係を公示するという役割がありますから、世間一般に対しては不動産の登記簿で所有者と登記されている人物(または法人)が所有者であるという信頼のもと、取引を行います。

しかし、相続登記を行っていないと所有者が存在しない(死亡している)状態なので、売買契約を結ぶことができないのです。

そのため故人名義になっている不動産を売却するためには、必ずその前段階で相続登記を行う必要が生じます。

2:勝手に持分を差し押さえられる可能性

仮に借金がある場合や、税金などを滞納している相続人がいる場合、債権者や自治体がその相続人に代わって相続登記をし、差押えをすることができることにも注意が必要です。

差押えができる権利を有している者(債権者、自治体など)は相続人の意向とは関係なく相続登記ができてしまいます。

これを代位登記といいますが、代位登記による相続登記が行われた場合は、勝手に法定相続分通りに登記されてしまいます。

次の相続の際にトラブル防止になる

相続で不動産を取得した後、何年も経てば相続人だった人も亡くなり、次の相続が発生します。

そうなると死亡した相続人の権利はその配偶者や子供などが引き継ぐことになります。

しかし、前回の相続で登記が済んでいないと、「前の相続の相続人+死亡した相続人の相続人」など、全員の同意を得ないといけなくなり、必要な手間や手続きが増えることになります。

不動産を相続した際の相続登記を行う流れ

次に、相続登記をどのように行うのかをみていきます。

手間は確かにかかりますが、自分で行うことももちろんできますので、その手順の確認をしていただければ幸いです。

誰が相続するのかを決める

まずはだれが不動産を相続するのかを決めましょう。

被相続人から遺言等で指定がない限り、法定相続人全員で協議して誰が相続するかを決める方法が一般的です。

誰が相続するのか、もしくは何人かでどのような割合で共有するのか、どのように分けるのかはまったくの自由です。

相続人全員の同意があれば好きなように分け方を決めることができます。

この話し合いのことを、「遺産分割協議」とよびます。

不動産の分割割合を決める

しかし不動産は総じて価値の高いものになりますので、誰か一人が相続すると不公平が生じる可能性もありますし、相続しない他の相続人から不満を感じることも考えられます。

ではそういったトラブルを回避するには、どのような分割方法があるのかですが、基本的には下記の4つの方法が考えられます。

現物分割 不動産を物理的に分割する方法。一般的によく使われている方法ですが、例えば土地だと「分筆登記」をして完全に分ける方法が用いられています。
換価分割 不動産を「売却」して、お金に換えて分割する方法。
代償分割 相続人の1人が不動産を相続し、他の相続人には相続すべき不動産の持分相当額の対価を金銭で支払う方法。
共有分割 不動産を「共有」で分割する方法。この方法は不動産を物理的に分割しないで、不動産全体を相続人がそれぞれの割合で所有権を共有する方法。

預貯金など不動産以外の遺産の相続でよく使われているのは、「現物分割」ですが、不動産には不向きです。

不動産が遺産の大部分を占める場合は、「換価分割」がよく利用されますし、、不動産を相続する相続人に資金力がある場合は「代償分割」が利用される場合もあります。

相続には絶対的な正解があるわけではないので、相続人同士で話し合って、なるべく全員が納得できる方法で分割できれば一番です。

遺産分割協議書を作成し相続人全員が署名する

遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成しましょう。

書き方に特別な決まりないですが、以下のことは注意しておくことをおすすめします。

誰がどの財産を、どの割合で相続するのか、誰が読んでも誤解のないように明記しなければなりません。

協議書の作り直しなどが起こると改めて話し合いをするという手間がありますので、失敗したくないのであれば、専門家などに相談しておくのがよいかもしれませんね。

固定資産評価証明書を取りに行く

相続登記には「登録免許税」と言われる税金が発生します。登記申請時に収入印紙などで登録免許税を納付しなければなりません。

その登録免許税を計算する根拠となる固定資産評価額を確認するために、固定資産評価証明書という書類の提出が必要になります。

但し、管轄法務局によって運用が異なりますので、課税明細書など評価額が記載された公的書類なら何でもいいという法務局もありますし、法務局側で固定資産評価額を把握しているのでそもそも提出不要という法務局もあります。

不動産の登記申請書を書く

登記申請書(そうぞくとうきしんせいしょ)とは、法務局に名義変更を申請する書類のことで、A4サイズの白紙に全部自分で作成する必要がありかなり面倒ですが、法務局には登記申請書のひな型が用意されているので、こちらを参考にしていただくのが良いかと思います。

相続登記の申請書ダウンロード

申請先の法務局はどこの管轄になるのかは、【こちら】から探していただくのが良いでしょう。

その他の必要書類

相続登記に必要な書類としては、以下ものが考えられます(※あくまで一例です。内容により、登記済権利証など他の書類が必要になることもありますし、以下記載の書類の一部が不要な場合もあります)。

相続登記に必要な費用

法務局で申請書を出す

法務局で登記申請書を提出し、完了すると登記識別情報がもらえますので、これで相続登記は完了です。

不動産の相続登記でよくある問題

相続不動産の売却方法を知りたい場合

相続した不動産を売却する場合は、不動産会社へ相談しましょう。

ただ、特に知り合いの業者などがいない場合は、どこへ相談すればよいのかわからないと思います。

その際は、一括査定サイトを利用して不動産会社を探してみてください。

複数社の査定を受けるなかで販売価格の見当がつき、自分に合った不動産会社も見つかるでしょう。

住宅ローンの支払い中に被相続人が死亡した場合

住宅ローンが残っている状態で相続が発生した場合、相続放棄や限定承認を行わないと住宅ローンもすべて引き継ぐことになります。

しかし、住宅ローンには団体信用生命保険(住宅ローン名義人が死亡した場合は保険金で住宅ローンの残債務が支払われる)が付加されていることが多いので、実際には住宅ローンの負担なく不動産を相続できるケースも多いと思います。

まとめ

このように大変な手間が発生する相続登記ですが、法律による義務化の開始まであとわずかです。

もっとも義務化されていなくても、相続登記を行っていないとその後に様々なトラブルを引き起こしますし、何より次の世代に問題を残してしまうことになります。

相続登記は早く行えば行うほど、このような問題を引き起こす可能性が低くなります。

まだ相続登記を行っていない不動産がある方は、早めに司法書士に相談することをお勧めします。

この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。