会社からの給料が未払いとなっている場合、相談先のひとつとして労働基準監督署が挙げられます。
労働基準監督署に相談すれば、事業場への臨検などを経て行政指導や刑事処分が行おこなわれ、給料未払いの問題が解決する可能性があります。
ただし、労働基準監督署はあくまでも行政機関であるため、労働者ひとりのために動いてくれるわけではありません。
未払い給料の請求などについて、きめ細かいサポートを希望する場合には、弁護士への相談をおすすめします。
今回は、給料未払いに関する労働基準監督署の対応内容・相談時の注意点、弁護士への相談との比較などをまとめました。
会社から未払いの給料を支払ってもらいたいけどどうすればいいかわからず、悩んでいませんか?
結論からいうと会社に未払い給与を請求したい場合、ベンナビ労働問題を使って弁護士に相談・依頼することがおすすめです。
また、弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 具体的な未払い給与額を計算してもらえる
- 依頼すれば未払い分の給与を回収できる可能性が高まる
- 依頼すれば、支払いが遅れた分の損害金も回収できる可能性がある
- 勤務の証拠の開示請求も依頼できる
- 依頼すれば、会社との協議・労働審判・訴訟を一任できる
当サイトでは、未払い給与の請求を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。
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給料未払いのよくあるパターン
会社が労働者に給料を正しく支払わない場合、その背景にある理由はさまざまです。
たとえば、以下のような理由で給料未払いが発生している例がよく見られます。
- 残業時間を正しく集計していない(勤怠管理システムが導入されていない、強制的に定時で打刻させているなど)
- 労働者のミスを理由に、弁償金を給料から勝手に天引きしている
- 会社の経営状況が苦しいからという理由で、給料の支払いを滞納している など
上記のような事情がある場合、労働者は会社に対して、早急に未払い給料の支払いを求めるべきです。
労働基準監督署や弁護士に相談して、未払い給料請求の準備に着手しましょう。
給料未払いに関する労働基準監督署の対応内容
会社による給料未払いについては、相談先のひとつとして労働基準監督署が挙げられます。
労働基準監督署は、給料未払いについて主に以下の対応をおこなっています。
- 労働者からの相談受付
- 事業場への臨検(立ち入り検査)
- 会社に対する行政指導
- 違反者や会社に対する刑事処分
労働者からの相談受付
労働基準監督署には「総合労働相談コーナー」が設けられており、会社とのトラブルに関する労働者からの相談を受け付けています。
どうすれば未払い給料を回収できるのかについて、専門の相談員からアドバイスを受けられます。
総合労働相談コーナーは無料で利用でき、予約も不要です。
また、給料未払いは労働基準法違反に当たるため、労働者は労働基準監督署にその事実を申告することができます(労働基準法第104条1項)。
労働基準監督署に対する申告をおこなったことを理由に、会社が労働者を不利益に取り扱うことは違法です(同条第2項)。
事業場への臨検(立ち入り検査)など
労働者の申告などをきっかけとして、労働基準監督署が労働基準法違反の疑いを把握した場合、事業場に対する臨検(立ち入り調査)がおこなわれます。
さらに労働基準監督署は、会社に対して帳簿・書類の提出を求め、関係者に対する尋問をおこなうなどして、労働基準法違反の有無や内容を調査します(労働基準法第101条1項)。
労働者だけでは調査できない部分についても、労働基準監督署であれば調査が可能です。
労働基準監督署による調査が行われれば、給料の未払いを含めて、会社における違法行為の実態が明らかとなる可能性が高まります。
会社に対する行政指導
労働基準監督署が調査を通じて労働基準法違反の事実を把握した場合、会社に対して是正を求める行政指導をおこないます。
会社に対して是正勧告書を交付し、違法行為の内容を指摘したうえで、一定の期限を定めて是正を求めるのが一般的な方法です。
是正状況は、会社からの報告や再度の臨検などによって確認されます。
行政指導に法的拘束力がありませんが、会社が行政指導に従わない場合、違反者や会社に対する刑事処分が行われる可能性があります。
そのため、行政指導がなされた段階で、会社は自主的に労働基準法違反の状態を是正するケースが多いです。
給料未払いが横行している場合にも、労働基準監督署による行政指導がなされれば、過去に遡って給料が支払われる可能性があります。
違反者や会社に対する刑事処分
労働基準監督官は、労働基準法違反に当たる犯罪について、司法警察官と同等の職務をおこないます(労働基準法第102条)。
したがって、裁判官が発行する令状があれば違反者を逮捕したり、証拠書類を差し押さえたりすることが可能です。
労働基準監督官が差し押さえた証拠書類などは、検察官に送付された後、違反者を起訴するか否かの判断資料となります。
検察官によって違反者が起訴されれば、刑事罰を科される可能性があります。
また、労働基準法違反の犯罪については、違反者と同時に会社も処罰の対象となります。
会社が労働基準法違反で処罰されれば、会社のレピュテーションの低下は免れないでしょう。
労働基準法違反で刑事処分を受けることは、会社にとって非常に重大な事態です。
そのため、給料未払いなどの労働基準法違反に対して、強い抑止力として働くと考えられます。
給料未払いについて労働基準監督署に相談する際の注意点
給料未払いについて会社に相談する際には、対応してもらえる可能性を高めるため、以下のポイントに留意しましょう。
- 残業の証拠・雇用契約書・就業規則などを持参する
- 給料が未払いであることの計算根拠を説明する
- できれば複数人で相談する
残業の証拠・雇用契約書・就業規則等を持参する
会社による労働基準法違反の事実を示す証拠が揃っていれば、労働基準監督署が調査などに乗り出す可能性が高まります。
給料未払いについては、以下の証拠が揃っていることが望ましいです。
労働基準監督署に相談する際には、これらの証拠をできる限り揃えて持参しましょう。
①残業の証拠
- 勤怠管理システムの記録
- 交通系ICカードの乗車履歴
- 業務メールの送受信履歴 など
②労働契約の内容を示す証拠
- 労働契約書
- 就業規則 など
③実際に支給された給料の金額を示す証拠
- 給与明細
- 源泉徴収票 など
給料が未払いであることの計算根拠を説明する
労働基準監督署に対して給料未払いを訴える際には、未払い給料が発生していることの計算根拠を説明する必要があります。
未払い給料の金額は、本来支払われるべき給料額と、実際に支払われた給料額の差額です。
残業・労働契約の内容・実際に支給された給料に関する各証拠を踏まえ、法令・契約の規定に基づいて未払い給料の金額を計算し、労働基準監督署に対してわかりやすく説明しましょう。
できれば複数人で相談する
複数の労働者が同じ会社について労働基準法違反を申告した場合、違反事実が存在する確度が高まるため、労働基準監督署としても調査に動きやすくなります。
そのため可能であれば、給料未払いに悩んでいる他の労働者と協力して、複数人で労働基準監督署へ相談することが望ましいです。
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給料未払いについて、労働基準監督署が対応してくれないケースの例
給料未払いについて労働基準監督署に相談しても、必ず対応してもらえるとは限りません。
たとえば以下のようなケースでは、労働基準監督署に具体的な対応をしてもらえない可能性があります。
- 給料未払いに関する証拠資料が不十分な場合
- 給料未払いを訴えている労働者がひとりだけの場合
給料未払いに関する証拠資料が不十分な場合
未払い給料が発生していることの証拠が乏しい場合、労働基準監督署の調査がおこなわれる可能性は低くなってしまいます。
労働基準監督署の人員は限られており、違反の確度の高い事案に絞って調査する必要があるためです。
労働基準監督署に動いてもらえる可能性を高めるためには、残業・労働契約の内容・実際に支給された給料に関する証拠を豊富にそろえることが重要になります。
給料未払いを訴えている労働者がひとりだけの場合
給料未払いを主張する労働者がひとりしかいない場合、複数の労働者が給料未払いを主張しているケースに比べると、労働基準監督署にとっての優先順位はどうしても低くなってしまいます。
特に規模の大きな会社の場合、他の労働者と連携できるかどうかが大きなポイントです。
給料未払いは弁護士にも相談可能|労働基準監督署との比較
給料未払いについては、労働基準監督署のほか、弁護士にも相談できます。
弁護士のサポート内容は、労働基準監督署とは大きく異なります。
希望するサポートの内容や予算などに応じて、労働基準監督署と弁護士のどちらに相談するかを選択しましょう。
労働基準監督署との比較において、弁護士による給料未払いサポートの特徴は以下のとおりです。
- 弁護士は労働者の代理人|具体的な請求のサポートが可能
- 弁護士には疑問点をいつでも相談できる|レスポンスが速い
- 弁護士費用がかかる|少額の請求には向かない
弁護士は労働者の代理人|具体的な請求のサポートが可能
行政官庁である労働基準監督署とは異なり、弁護士は労働者の代理人としての立場で行動します。
そのため、未払い給料を請求するに当たり、労働者のために具体的なサポートをできる点が弁護士の大きな特徴です。
具体的には、未払い給料の金額に関する詳細な検討や、会社との協議・労働審判・訴訟の対応を全面的に依頼できます。
これらの対応を弁護士に依頼すれば、法的な観点から適切に請求を行うことが可能となります。
また、労働者本人の労力やストレスを大幅に軽減できる点も、弁護士に依頼することのメリットです。
弁護士には疑問点をいつでも相談できる|レスポンスが速い
未払い給料の請求を弁護士に依頼した場合、疑問や不安なことがあればいつでも弁護士に相談できます。
行政官庁である労働基準監督署に相談しても、必ず回答を得られるとは限らず、回答があったとしても時間がかかるケースが多いです。
これに対して弁護士に相談すれば、ほぼ必ず回答を得られる上に、レスポンスも労働基準監督署より圧倒的に速い傾向にあります。
給料未払いのトラブルに関する相談役が欲しい場合には、弁護士への相談をおすすめします。
弁護士費用がかかる|少額の請求には向かない
未払い給料の請求を弁護士に依頼する際には、弁護士費用が発生します。
「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)によれば、未払い給料請求に関する弁護士費用の目安は以下のとおりです。
<未払い給料請求に関する着手金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の額の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の額の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の額の2.2%+405万9,000円 |
※着手金の最低額は11万円
<未払い給料請求に関する報酬金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の額の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 経済的利益の額の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の額の4.4%+811万8,000円 |
少なくとも数十万円程度の弁護士費用がかかるため、未払い給料が少額の場合は、弁護士に依頼すると費用倒れになってしまう可能性があるので注意が必要です。
少額の場合は「少額訴訟」も検討すべき
未払い給料の額が60万円以下の場合は、弁護士に依頼せずに「少額訴訟」を利用することも考えられます。
少額訴訟は、審理が原則1回で終了する簡易的な訴訟手続きです。
通常の訴訟手続きに比べると、弁護士に依頼せずとも対応しやすいので、未払い給料が少額の場合は少額訴訟をご検討ください。
給料未払いの相談先に迷ったら、弁護士の無料相談を
未払い給料などの労働問題については、多くの弁護士が無料で相談を受け付けています。
正式に依頼するかどうかは無料相談の後で判断できるので、困ったら弁護士に無料相談してみるのがおすすめです。
「ベンナビ労働問題」には、労働問題への対応を得意とする弁護士が多数登録しています。
地域や相談内容に応じて弁護士を検索できるので、相談先の弁護士に心当たりがない方にとってはたいへん便利です。
会社に対する未払い給料請求を行いたい方は、「ベンナビ労働問題」の利用をご検討ください。
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