兄弟のみの相続はどうやってする?手続き方法や相続分を解説

兄弟のみの相続はどうやってする?手続き方法や相続分を解説

相続をするにあたって、相続人が被相続人の兄弟姉妹のみというケースは少なくありません。

兄弟姉妹のみで相続をする際の相続分や手続き方法について、不安に思う方もいるのではないでしょうか。

また、兄弟姉妹での相続分についての話し合いがまとまらずに困っている方もいるでしょう。

本記事では、相続人が兄弟姉妹間のみの場合の相続分、よくあるトラブルや解決策について解説します。

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この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

相続人が兄弟姉妹のみの場合の相続分

相続人が兄弟姉妹のみの場合の相続分は、以下のようになります。

  • 兄弟姉妹の相続分は2分の1
  • 兄弟姉妹も亡くなっていたらその子が相続できる

それぞれについて詳しく解説します。

兄弟姉妹の相続分は2分の1

相続人が兄弟姉妹2人のみの場合、各兄弟姉妹の法定相続分は2分の1になります

たとえば兄と弟で計1,000万円の遺産を相続する場合、各相続人の相続分は500万円ずつです。

ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1になります

父母の一方のみを同じくする半血兄弟姉妹の相続分については、民法で以下のように記載されています。

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

引用元:民法|e-Gov法令検索

基本的に兄弟姉妹は各自等しく相続します。

ただし、父母を一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は異なるため注意しましょう。

兄弟姉妹も亡くなっていたらその子が相続できる

被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子どもが相続できます

つまり、被相続人の甥や姪が相続人になります。

甥や姪が複数人いる場合は、各自で均等に相続します

たとえば、相続人が甥と姪の2人の場合、各自の相続分は2分の1ずつです。

本来相続人になるべき人が亡くなっており、代わりに相続人の子どもが相続することを代襲相続といいます。

相続では原則として遺言書の内容が優先される

相続では原則として遺言書の内容が優先されます。

遺言書の種類は自筆証書遺言、公正証書遺言と秘密証書遺言の3種類ですが、このうちよく利用されるのは自筆証書遺言公正証書遺言です。

自筆証書遺言は、定められた形式で遺言書を作成する必要があります。

定められた形式を満たさない場合は、遺言書の効力が発生しない可能性もあるため注意しましょう。

一方、公正証書遺言は公証役場で公証人が作成するため、形式的な不備により遺言書の効力が発生しないことはありません。

そのため、確実に遺言書を作成したいなら、公正証書遺言がおすすめです。

遺言書に記載された内容は、法定相続分や遺産分割協議よりも優先します。

そのため、相続の際には被相続人からの遺言書の有無や内容もよく確認しておきましょう。

生前に遺言書を作成することで遺留分を除いた遺産の割合を決められる

生前に遺言書を作成することで、相続人や遺留分を除いた遺産の割合を決められます。

そのため、遺言書の内容によっては法定相続人以外の人でも相続できますし、法定相続分よりも多くの相続が可能です。

ただし、相続の割合は遺留分を除いた金額になります

遺留分とは、相続人が最低限相続できる割合のことです。

遺留分については、民法で以下のように定められています。

(遺留分の帰属及びその割合)
第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

引用元:民法|e-Gov法令検索

遺留分が認められているのは配偶者や子ども、両親のような直系尊属です。

そのため、兄弟姉妹には遺留分は認められていません

たとえば、相続の際に被相続人の配偶者、子ども、両親などの直系尊属がいない場合は兄弟姉妹のみで相続しますが、この場合は遺留分を有する相続人は発生しないため注意しましょう。

兄弟姉妹のみで相続する際の具体例

兄弟姉妹のみで相続する際の相続割合を、具体例をふまえて紹介します。

  • 兄弟姉妹が3人の場合
  • 兄弟姉妹2人と半血兄弟1人の場合

それぞれの具体例で発生する各相続人の相続割合について詳しく解説します。

兄弟姉妹が3人の場合

兄弟姉妹が3人のみで相続する場合、財産は各相続人で等しくわけられます

兄弟姉妹のみで遺産相続をする場合、特別な遺言がない限りは兄弟姉妹で等しくわけられるのが通常です。

たとえば、被相続人が3,000万円の財産を遺したとしましょう。

法定相続人は3人の兄弟姉妹でほかに相続人がいないとします。

この場合、法定相続分により財産は3人の兄弟姉妹で等しくわけられるため、それぞれの相続人が1,000万円ずつを相続します。

兄弟姉妹2人と半血兄弟1人の場合

兄弟姉妹2人と半血兄弟1人の場合は兄弟姉妹2人をAB、半血兄弟1人をCと仮定するとA:B:Cの相続割合は2:2:1です。

相続人が兄弟姉妹のみの場合、各相続人は基本的に等しく財産を相続します。

ただし、父母の一方のみを同じくする半血兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1が相続分になります。

たとえば、被相続人が5,000万円を遺したとしましょう。

法定相続人は、兄弟姉妹2人と半血兄弟1人でほかに相続人がいないとします。

この場合、半血兄弟の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1です。

そのため、兄弟姉妹2人はそれぞれ2,000万円、半血兄弟姉妹1人は1,000万円を相続します。

兄弟姉妹の場合は血縁によって相続分が変わるため、遺産相続の際には各兄弟姉妹の地位を理解し、法的に正確な手続きをおこないましょう。

兄弟姉妹間での相続でよくあるトラブルと解決策

兄弟姉妹間での相続でよくあるトラブルは以下のとおりです。

  • 兄弟姉妹間で親の介護をしていた頻度が異なる
  • 相続分で合意ができない

それぞれのトラブルの解決策について詳しく解説します。

兄弟姉妹間で親の介護をしていた頻度が異なる

兄弟姉妹間で親の介護をしていた頻度が異なると、相続分でトラブルになりやすいでしょう。

よくあるケースとしては、親と同居している子どもに介護の負担が集中してしまうことがあります。

被相続人の遺産を兄弟姉妹で相続をするときに、介護を負担していた子どもが「自分だけが親の介護を負担してきたのだから、ほかの兄弟よりも多くの遺産を相続したい」と考えることがあるでしょう。

一方、介護を負担していない兄弟姉妹からは「同居している子どもが親の介護をするのは自然なことだから、それで相続分が異なるのはおかしい」という意見を持つこともあります。

法定相続分では、兄弟姉妹の相続分は平等です。

ただし、兄弟間で親の介護負担が異なると相続分について揉めてしまうこともあるでしょう。

遺産分割協議では親の介護を負担した際に使った資金も考慮しつつ、お互いを尊重しながら遺産の相続割合を検討することが大切です。

また、相続では「寄与分」という制度があります。

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人が、ほかの相続人よりも多くの財産を相続できる制度です。

寄与分は兄弟間でも請求権があります。

たとえば、被相続人を長期間介護し財産の保護に貢献した相続人には、その分ほかの相続人よりも多くの財産を相続できる場合があるでしょう。

たとえば、生前に被相続人の介護を3年間負担したことで、本来介護施設の入居にかかったであろう500万円分の財産保護に貢献したとします。

その場合は、介護を負担した相続人がほかの兄弟姉妹よりも、優先的に500万円を相続できる可能性があるでしょう。

ただし、介護の度合いが日常生活のお世話程度であれば、寄与分が認められないこともあります。

相続分で合意ができない

さまざまな事情で、兄弟姉妹間で相続分の合意ができない場合があります。

兄弟姉妹間で相続の合意ができない主なケースは、以下のようなものです。

  • 長男が家督相続を主張する
  • 被相続人の財産管理が不明確
  • 遺言の相続額が不平等

長男が家督相続を主張する場合、相続で揉める場合があります。

家督相続とは明治31年〜昭和22年まで採用されていた相続制度で、一家の財産を長男が引き継ぐ制度です。

長男が被相続人の財産を全て相続したいと主張すれば、当然ほかの相続人からは不満が出るでしょう。

現在、家督相続制度は採用されていません。

そのため、兄弟姉妹の相続分は遺言書がない限り平等です。

兄弟間の話し合いがまとまらずに仮に調停や裁判になったとしても、長男の主張は通らないでしょう。

そのため、現在認められている相続方法を前提にして話し合う必要があります。

また、被相続人の財産管理が不明確だと、相続トラブルになることがあります。

たとえば、生前に被相続人の財産管理をしていた相続人Aに対して、ほかの相続人が「相続財産がこれだけしかないのはおかしい」「財産管理をしていたAが財産を隠匿、もしくは使い込んでいるのではないか」と主張するケースです。

そのため、相続の際には各相続人が納得できるように財産調査をしっかりおこない、相続財産を明確にしておきましょう。

被相続人の銀行口座の入出金履歴を取り寄せたり、現金や不動産などを確認できる資料を作成したりすれば、被相続人の財産をしっかり確認しながら話し合いができるでしょう。

また、被相続人が残した遺言の内容で各相続人の相続分に偏りがあると、納得がいかない相続人がでてきて揉めるケースがあります。

結論、遺言書は法定相続分や遺産分割協議よりも優先されます

また、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

そのため、遺言書の内容に納得がいかない相続人がいても、被相続人が残した意思を尊重する必要があるでしょう。

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兄弟姉妹のみの相続を弁護士に依頼するメリット

兄弟姉妹のみの相続を弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。

  • 適切な相続分を算出してもらえる
  • 相続人である兄弟姉妹に代理で交渉してもらえる
  • 調停や裁判の対応も任せられる

それぞれのメリットを詳しく解説します。

適切な相続分を算出してもらえる

相続を弁護士に依頼することで、兄弟姉妹の適切な相続分を算出してもらえます。

相続分は被相続人が残した財産価値、相続人の数や関係性、遺言の有無や内容などさまざまな要素によって決定します。

適切な相続分を算出するためには、相続や法律に関しての専門的な知識や経験が必要です。

弁護士は相続と法律の専門家なので、各ケースに応じた適切な相続分の算出をおこなってくれます。

また、遺産に含まれる不動産や株式などの価値評価も専門的な知識が必要です。

弁護士に依頼することで、正確な遺産評価と相続分の算出ができるでしょう。

相続人である兄弟姉妹に代理で交渉してもらえる

弁護士に依頼することで、相続人である兄弟姉妹に対し代理で交渉してもらえます。

各相続人の相続分を決める遺産分割協議は、感情が高まりやすく冷静に交渉することが難しいこともあります。

関係性がある兄弟姉妹間であればなおさら、お互いに主張したい意見も多くなるでしょう。

弁護士に依頼することで、第三者である弁護士が中立的な立場から交渉をおこなってくれます

その結果、兄弟姉妹間での公平な対話をみちびくとともに、感情的な対立を防ぐ助けとなるでしょう。

また、弁護士は専門的な法律の観点からも適切なアドバイスをくれるため、納得のいく解決策を提案してくれます

調停や裁判の対応も任せられる

弁護士に依頼することで、調停や審判の対応も任せられます。

遺産分割協議がまとまらない場合は、調停や審判などの法的手段を用いる必要があります。

調停や審判手続きは法的な専門知識が必要になるため、手続きに戸惑ってしまうこともあるでしょう。

弁護士は専門的な知識と経験を持っているため、確実に法的手続きを進められます

また、弁護士が中心となって調停や裁判の対応をすることで、各相続人の精神的負担も軽減されるでしょう。

まとめ|兄弟姉妹の相続でトラブルになったら弁護士に相談!

兄弟姉妹の相続でトラブルになった際は、弁護士に相談するとよいでしょう。

兄弟姉妹での相続は適切な知識、感情の管理、公平な意見交換が必要です。

相続や法律に関しての知識が不十分であったり、冷静な話し合いができなかったりするとトラブルにつながることもあります。

トラブルの予防、解決のためには専門的な知識と経験を持つ弁護士への依頼が有効です。

弁護士は適切な相続分の算出から、兄弟姉妹間の代理交渉、必要となった場合の調停や裁判への対応まで、一貫してサポートしてくれます。

弁護士に依頼することで相続に関しての多くの手間、時間、精神的な負担から解放されるでしょう。

兄弟姉妹間の相続は、課題と困難を伴うことが多いです。

無用なトラブルを避けるためにも、弁護士に一度相談してみましょう。

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参考:遺産分割で他の相続人から弁護士を立てられてしまった方へ – 岡山で相続問題に強い弁護士相談なら西村綜合法律事務所

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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