生前贈与の前後で必要な書類は?書類の作り方や手続きの注意点を解説!!

生前贈与の前後で必要な書類は?書類の作り方や手続きの注意点を解説!!

相続税対策としてよく用いられるのが、生前贈与という方法です。

生前贈与をする場合、①生前贈与をする時と、②生前贈与をした後に贈与税の申告をする時の二つの段階において、それぞれ必要な書類があります。

どのような財産を贈与するかによって、必要となる書類が異なるので注意が必要です。

そこで、この記事では生前贈与に関わる必要書類や作成の方法をわかりやすく解説します。

手続きする際の注意点やアドバイスも紹介しているので、ぜひ書類準備の参考にしてください。

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生前贈与をしたいけど用意しなければならない書類がわからず、悩んでいませんか?

結論からいうと弁護士に相談・依頼すれば、生前贈与に必要な書類を教えてもらえます。

また、弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 正しい生前贈与のやり方を教えてもらえる
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この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

生前贈与をする際に必要な書類

まずは、贈与をする際に必要な書類について説明します。

贈与契約書

贈与契約書とは、贈与の内容を証明する書類のことです。

生前贈与では、財産を渡す贈与者と、財産を受け取る受贈者の間で合意をする必要があります。

実は、贈与者がある財産を無償で与えるという意思表示をし、受贈者がこれに応じるという合意がある場合には、合意が口頭でなされていたとしても贈与契約は法的には有効であり、贈与契約書を作成することは必須ではありません。

ただ、口約束で進めてしまうと、後に認識の違いで争いになってしまったり、税務署の調査が入った際に内容を証明できず課税されてしまったりと、トラブルが起きやすくなってしまいます。

また、不動産の贈与の場合には、名義変更のための所有権移転登記手続きの際に贈与契約書が必要となります。

そのため、一定の価値のあるものを生前贈与する場合、贈与契約書を作成し、贈与の内容をきちんと書面で残しておくことが重要です。

贈与契約書の書き方

贈与契約書は、以下の点が明確にわかるように作成しましょう。

  • 誰が
  • 誰に
  • いつ
  • 何を(金銭や動産等の場合)どのような方法で渡すか

契約書の当事者欄の記載ですが、できるだけ手書きで署名をするようにしましょう。

また、実印を使って押印した場合、当事者本人が契約書を作成したという証明力が高まります。

氏名部分を印字したり、実印以外の印鑑を用いて押印した場合でも法的には有効ですが、後に争いになった場合に、当人同士が作成したものかどうかが証明しにくいというデメリットがあります。

また、不動産の贈与であれば、その不動産の所在を住居表示ではなく地番で記載するようにしましょう。

住居表示とは普段一般的に使っている住所のことで、地番とは法務局に登録されているその不動産の所在を表すものです。

住居表示でも誤りではないですが、契約書のような公のものは登記上の住所である地番を用いて記載するのがおすすめです。
>贈与契約書の書き方について詳しく知る

不動産登記の申請書類

不動産の贈与をおこなう場合は、贈与契約書の作成のほかに、所有者の名義変更登記などさまざまな手続きが必要になるため、追加で書類を準備する必要があります。

登記申請書

登記申請書は、その不動産の名義や所在に変更などがあった場合に、その内容を申請するために必要な書類です。

登記申請書は専用の様式があるわけではありませんが、法務局でダウンロードできる申請書の書式を活用するか、依頼した専門家が用意した書式を利用するのがよいでしょう。

参考:不動産登記の申請書様式について|法務局

贈与者の印鑑証明書

贈与者は、贈与契約書や登記申請書に押印する実印の印鑑証明書を発行しましょう。

書類に押された印鑑がたしかに贈与者のものであると証明することができます。

なお、印鑑証明書は登記をおこなう日から3ヵ月以内に発行されたものに限ります。

そのため、事前に用意するのではなく、実際に手続きが進み始めてから取得するようにしましょう。

受贈者の住民票か戸籍の附票

贈与によって財産の所有者を変更する場合、その財産の謄本に新たな所有者の氏名・住所を登録する必要があります。

そのため、財産を受け取る受贈者は自分の住所・氏名がわかる書類として、住民票の写しや戸籍の附票が必要となります。

その際、贈与契約書や登記申請書に住所・氏名を記入する際は、住民票や戸籍の附票に記載されているとおりに書くようにしましょう。

贈与する不動産の権利証

贈与をする際は、その不動産の所有者の意志による申請であることを証明する必要があるため、不動産の権利証が必要となります。

登記済み権利証または登記識別情報通知を準備しておきましょう。

なお、不動産の権利証は手続き中に一時的に預けるだけであり、所有権の移転登記後に返却されるため安心してください。

贈与する不動産の固定資産評価証明書

登記をする際にかかる登録免許税を計算するために、その不動産の固定資産評価証明書が必要になります。

固定資産評価証明書は、その不動産の所在地を管轄している市役所や区役所で発行できます。

贈与契約書など、贈与によって登記がおこなわれたことがわかる書類

不動産を贈与する場合は、登記原因証明情報といってその登記の原因になった事実・行為と権利の変動があったことがわかる資料が必要となります。

不動産の贈与であれば、贈与契約書が登記原因証明情報に該当します。

贈与では、贈与契約書の作成は必須ではありません。

そのため、贈与契約書がない場合は贈与の内容を書面に起こしたうえで、贈与者と受贈者両者の署名・捺印が必要です。

ただし、実質的には贈与契約書を作成しているのと変わらないため、不動産の贈与の場合は贈与契約書の作成が必須といえるでしょう。

代理人に手続きを依頼する場合は委任状

登記はご自身で手続きすることも可能ですが、司法書士など専門家に依頼することもできます。

本人以外が手続きする場合は手続きを委任するための委任状を用意しましょう。

なお、委任状の書式は法務局からダウンロードすることも可能ですが、基本的には依頼する専門家が用意してくれます。

そのため、案内があったら必要な事項を記入して作成すれば大丈夫です。

印紙台紙

不動産を登記する場合、固定資産税評価額の2%分の登録免許税の支払いが必要です。

基本的には印紙を購入し、それを印紙台紙に貼付して納めます。

本人確認書類

どれか1点でよいもの
  • 運転免許証
  • 個人番号カード(マイナンバーカード)
  • 旅券(パスポート)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書
  • 運転経歴証明書 など
2点以上必要なもの
  • 健康保険の被保険者証
  • 健康保険日雇特例被保険者手帳
  • 国家公務員共済組合、地方公務員共済組合の組合員証
  • 国民年金手帳
  • 児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書
  • 母子健康手帳
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者福祉保健手帳
  • 療育手帳
  • 戦傷病者手帳                         など

申請する際は、受贈者・贈与者それぞれの本人確認書類が必要となります。

本人確認書類は書類によって1点だけで済むものと2点以上揃える必要がある2つのパターンがあるため、事前によく確認しておきましょう。

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贈与税の申告に必要な書類

ここまで、生前贈与をおこなう際に必要な書類を紹介してきました。

原則として、暦年贈与で110万円の非課税枠を超えて贈与を受けた方と、相続時精算課税制度や住宅取得資金の贈与の場合の非課税特例等の減税制度を利用した方は贈与税の申告が必要となります。

ここでは、生前贈与をしたあと贈与税の申告をする際に必要な書類について紹介します。

贈与税申告書

第一表贈与税の申告が必要な方全員
第一の二表住宅取得資金の非課税を利用した方
二表相続時精算課税制度を利用した方

まず贈与税の申告で必ず必要なのが、贈与税申告書とマイナンバーがわかる書類です。

贈与税申告書は、最寄りの税務署か国税庁のホームページからダウンロードして入手しましょう。

贈与税の申告書は、「第一表」「第一表の二」「第二表」の3部に分かれており、生前贈与の内容によって必要な書類が異なります。

そのため、ご自身の場合にはどの書類が必要かを確認してから作成するようにしましょう。

マイナンバーがわかる書類

マイナンバーカードを持っているのであれば、その写し1枚で問題ありません。

マイナンバーカードを持っていない場合は、顔写真付きの身分証明書とマイナンバーが記載されている資料をセットで用意しましょう。

相続時精算課税制度を利用した場合に必要な書類

相続時精算課税制度は60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子ども・孫に対して贈与する場合のみ利用できる制度です(令和4年3月31日以前の贈与については「20歳以上」の子ども・孫が対象となります)。

そのため、贈与者と受贈者の関係がわかる以下のような書類が必要となります。

  1. 相続時精算課税選択届出書
  2. 受贈者の戸籍謄本が戸籍抄本
  3. 受贈者の戸籍の附票
  4. 贈与者の住民票

なお、相続時精算課税選択届出書は国税庁のホームページから書式をダウンロードすることができます。

参考:相続時精算課税選択届出書|国税庁

配偶者控除を利用した場合に必要な書類

贈与税の配偶者控除とは、2,000万円を上限に配偶者への贈与が非課税になる制度のことです。

20年以上の夫婦関係があった方を対象に、自宅用の不動産やその不動産を取得するための金銭を贈与した場合に利用できます。

そのため、婚姻関係や贈与する不動産の情報が記載された、次のような書類が必要になります。

  1. 受贈者の戸籍謄本もしくは戸籍抄本
  2. 受贈者の戸籍の附票
  3. 受贈者が不動産を所有したことがわかる登記事項証明書

住宅取得資金として生前贈与した際に必要な書類

通常、暦年贈与で非課税になるのは年間110万円までです。

しかし、子どもが住宅を取得するための贈与であれば、省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の場合は500万円まで贈与税が非課税となります(令和5年12月31日まで)。

以下の要件を満たした場合には、住宅取得資金贈与の特例を利用することができます。

  • 直系尊属(父母や祖父母)から直系卑属(子供や孫)への贈与である
  • 贈与があった年の1月1日において、受贈者が18歳以上である
  • 贈与があった年の受贈者の合計所得が2,000万円以下である
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の金額を充てて住宅用の家屋の新築等をする
  • 受贈者が日本国内に住所を有している
  • 過去一定期間内に住宅取得資金の特例を利用していない
  • 自己の配偶者、親族などの一定の特別な関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと

住宅取得用の資金の贈与を受け、非課税の特例を利用する場合は、以下のような書類が必要です。

  1. 受贈者の戸籍謄本
  2. 贈与を受けた年の合計所得がわかる資料
  3. 新築の工事請負契約書や売買契約書
  4. 取得した住宅の登記事項証明書
  5. 省エネ等住宅に該当する場合には、住宅性能証明書等の書類

贈与を受けた年の合計所得がわかる資料は、会社に勤めている場合、源泉徴収票が該当します。

また、場合によっては上記の書類に加え、住宅性能証明書や耐震基準適合証明書などが必要になることもあります。

生前贈与をする際の注意点

節税対策としてよく用いられる生前贈与ですが、進め方や贈与の仕方を誤ると、かえって損をしてしまう場合があります。

そのため、弁護士などの専門家にサポートしてもらいながら慎重に手続きすることをおすすめします。

ここでは、具体的な注意ポイントを二つ紹介します。

相続が開始する3年前の贈与については相続税の対象になる

相続開始から3年前の贈与については、相続財産としてカウントされます。

つまり、亡くなる直前に生前贈与を開始しても、相続税対策にはなりません。

令和5年の税制改正により、2024年以降の贈与については3年から7年に延長されるため、さらに贈与する期間を長く確保する必要があります。

暦年贈与によって相続財産を減らそうと考えている方は、相続時精算課税制度とどちらを利用すべきか専門家とよく相談しながら決めましょう。

連年贈与とみなされると、贈与税がかかる場合がある

年間110万円までの贈与であれば贈与税が非課税になると説明しましたが、この枠の範囲に収めても課税されてしまうケースがあります。

たとえば、1,100万円の財産を10年にわたって贈与する場合、年間110万円ずつ渡せば非課税の枠の範囲内のため、通常であれば税金はかかりません。

ただし、単純に1,100万円を贈与するために分割して渡したと税務署が判断すると、贈与金額は1,100万円とみなされ追加で課税されてしまうケースがあります。

これを連年贈与と呼びます。

このような事態にならないためにも、毎年個別で贈与契約書を結んだり、毎年受け取る日にちをずらしたりするなど、贈与に関連性が出ないよう工夫する必要があります。

まとめ|手続きが困難なら専門家に依頼しよう

このように、生前贈与は必要となる書類が非常に多く複雑で、手続きも法律・税務の両方で高いレベルの知識が求められます。

節税や子ども・孫世代への財産活用を目的に生前贈与をしても、やり方を誤ると意図した結果にならないことも考えられます。

もし自分で手続きする自信がないなら、弁護士や税理士に相談しながら進めるのがよいでしょう。

書類の作成や損をしないような生前贈与のやり方のアドバイスなど、さまざまなサポートを受けることができます。

大事な資産をしっかりとあとの世代に遺すためにも、まずは相談するところから始めてみるのがよいでしょう。

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※一部の法律事務所に限り初回相談無料の場合があります

参考:財産管理がご自身でできなくなった時の備え | 終活サポート

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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