遺言書
遺言書の効力は絶対か?効力が及ぶ内容と認められるためのポイント
2023.07.06
遺言書は所定の要件を満たさないと無効になり、自分の想いを実現できない可能性があります。
また、遺言自体は問題なくても、親族が納得してくれなければ遺留分の請求といった形で争族に突入するリスクもあります。
トラブルなく遺言を残すためにも、まずは専門家などの無料相談を利用することをおすすめします。
本記事では、遺言書についての相談先を紹介します。
あわせて、相談時の流れや無効となる遺言の特徴についても紹介するので参考にしてください。
遺言書の作成を考えているが、どこに相談すればよいかわからずにお困りではありませんか?
結論からいうと、遺言書の作成については弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
ベンナビ相続では、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。
遺言書について相談できる専門家は以下4つです。
それぞれ相談できる内容や依頼できる内容について特徴があります。
遺言書で作成したい内容や依頼したい作業によって利用すべき相談先が変わるので、自身の状況を整理しながら選びましょう。
遺言・相続全般について相談したい方の中で、特に遺産や親族に悩んでいる方は弁護士への相談がおすすめです。
親族同士での争い防止はもちろん、必要に応じて司法書士や行政書士などの専門家を紹介してもらえるケースもあります。
このため遺言書についてとりあえず聞きたいという方でも弁護士はおすすめです。
弁護士は個別の事務所でも無料相談を実施しているところもあります。
無料相談をしている弁護士を探したり、紹介を受けたりするには以下のような方法があります。
それぞれ詳しく解説します。
ベンナビ相続とは、相続に注力している弁護士のみを掲載するポータルサイトです。
住んでいる地域から、遺言書について注力している弁護士を探すことが可能です。
また、無料相談や電話相談、LINE予約・オンライン面談など、さまざまな相談方法に対応している弁護士を多数掲載しています。
自分で弁護士を探すよりも、一括でいろいろな弁護士事務所の情報を比べられるので、手間もかからず効率的です。
弁護士探しについて、上のような悩みを抱えている方は、ぜひ活用してみてください。
法テラス(日本司法支援センター)とは、法務省によって設立された誰でも使える法律相談窓口です。
日本全国に窓口事務所があり、民事法律扶助制度に基づいてあらゆる相談を受け付けています。
事例ごとに弁護士の紹介も実施しており、遺言書の作成や財産目録の作成なども依頼可能です。
民事法律扶助制度とは、法テラスと契約する弁護士・司法書士と無料相談できる制度です。
遺言書の無料相談も、まずこの制度を利用することになります。
法テラス最大のメリットは、代理援助制度による弁護士・司法書士費用の立替支払です。
利用条件はありますが、月々最大1万円での分割支払いで返済していくことで、通常一括で必要となる弁護士費用を分散させることが可能です。
また、通常弁護士事務所は無料相談を初回のみに設定していますが、法テラスであれば最大3回まで無料で利用可能です。
法テラスを利用するデメリットとしては、利用条件が設けられていることと、担当してくれる弁護士は選べないことです。
法テラスの利用条件は、2人家族では月収が最大25万1000円以下、保有資産250万以下に限られます。
持ち家の場合、その時点で利用条件を満たしませんので注意しましょう。
各都道府県には、そこで活動する弁護士が加盟する弁護士会が存在します。
弁護士会では住民向け無料法律相談窓口を設けているところがあり、日常生活や債務整理といった様々な法律相談を受け付けています。
弁護士会を最初に頼るメリットとしては、誰でも無料で受けられることと、弁護士の紹介が受けられることです。
法テラスのような利用条件はないので、弁護士に相談すべきか迷っている方でも安心して利用できます。
デメリットとしては時間制限が厳しいことと、有料相談に移るとき弁護士を選べないことなどが挙げられます。
弁護士会は全弁護士が加盟している組織で、基本的に当番制なので、担当してくれた弁護士が相続・遺言書に精通している保証はありません。このため初めから弁護士に頼ろうと考えている方は不向きといえるでしょう。
また、弁護士会の無料相談は多くの場合30分が上限です。このため、事前に相談内容をまとめておかないと、要件を話しただけで時間が来てしまうことも考えられます。
遺言書の相談をする場合、とりあえず自分で書き上げてみて法的に通りそうかどうか弁護士に見てもらうまではできるかもしれません。
事前に下書き程度は作っておいて持っていきましょう。遺言書の内容について相談するには時間的にも向いていないため注意しましょう。
相続財産が主に不動産の方は司法書士への相談がおすすめです。
司法書士は不動産登記等の手続きやその他法務についての知識を持つ専門家です。
相続において不動産はかなり大きな負担となります。たとえば遺産分割の際、現金であればきれいに割ることができますが、不動産はそうはいきません。
不動産はその物件の所在地を管轄する法務局に登記されているため、相続割合を決めた後は登記変更をする必要があるのです。
司法書士は、土地などを持つ相談者から、遺言書作成段階から相談を受けているケースが多く、争族にならないようにアドバイスをすることも得意としています。
たとえば、100メートル四方の土地を2人で相続する場合、共有名義にしたり50メートルずつ分筆して登記したりする方法があります。
いずれの場合でも登記事項証明書や相続関係図といったさまざまな書類を入手・作成して申請する手間が発生します。
不動産登記は弁護士・司法書士しか対応できません。しかし、弁護士はその性質上さまざまな分野を履修しているため、こうした登記手続きに精通しているとは限らないので、司法書士のような登記のプロに依頼するのがベターなのです。
行政書士にも遺言書の作成を相談・依頼可能です。
行政書士は公正証書遺言や車の登記など、都道府県・市区町村の役場に提出する書類の作成をおこなう専門家です。
行政書士なら、証人の依頼も可能で、遺言執行者にも適しています。
遺言執行者とは相続人が被相続人の要望通りに財産の管理・譲渡をしているか見届け、必要であれば実施をおこなう人のことです。相続人も相続人の生活があるので、執行者を代行してくれる人がいるのは大変ありがたいものです。
なお、公正証書遺言や遺言執行人は弁護士でも対応可能ですが、一般的に行政書士のほうが安く対応してくれます。
相続には相続税の話がつきものです。税理士は税金のプロフェッショナルであり、唯一税に関して相談できる専門家でもあるので、相続税の計算・書類作成から申告まで全てを実行できます。
相続は始まってしまうとさまざまな手続きが必要となり、相続人の生活を圧迫してしまいます。税理士に依頼すれば、税金回りの手続きを全て代理で実施してもらえます。
2015年以降、基礎控除により3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)までの相続財産には相続税はかかりませんので、必要な方は一部と思われがちです。
しかし、持ち家や自動車・時計や貴金属といった宝飾品があると、基礎控除部分を超えてしまう可能性も0ではありません。
なお税理士の職務上、遺言書の内容自体の相談はできません。
しかし、相続税は誰が相続したかによって変動しますので、そうした内容については相談できます。
相談の仕方にややコツがいるので、事前に調べてから相談をするようにしましょう。
遺言書は自分で作成しても無効になる可能性があるばかりか、争族の種になったり、財産処分が適正におこなわれなかったりと相続人の負担を増やす可能性もあります。
法律相談は無料でおこなっている窓口が増えているので、しっかり検討しましょう。
ここでは、遺言書を専門家に相談するメリットを2つ紹介します。
遺言書の方式は、自筆証書遺言、秘密証書遺言及び公正証書遺言の3つに分けることができます。
そして、自筆証書遺言を法的に成立させるためには下記4つのルールを守っている必要があります。
このうちよくあるミスが、パソコンやワープロで作成してしまうことです。
内容自体を全て自分で考え書いていたとしても、自筆証書遺言は「自筆」である必要があります。また、作成日や署名を忘れてしまうこともあります。
なお、「秘密証書遺言」の場合パソコンやワープロで書かれていても問題ありません。
ただし、公証役場で11,000円の手数料が必要なほか、法的にふさわしいとされる証人2名を準備しなければなりません。
専門家に依頼すると、手間をかけずに正しい遺言書を作成できます。
もし自筆証書遺言を作成するのであれば、以下のような必要書類が必要です。
なお、相続関係図は必ずしも必要ではありませんが、相続人の確定・相続割合の検討がスムーズに進むため、できれば準備しましょう。
被相続人との続柄によって法定相続割合や相続税が変わってきます。
遺言書の作成において、相続登記や遺産分割協議書などの複雑な書類の準備が重要なポイントです。
そのため、自身で作成が不安な方も専門家に相談することをおすすめします。
弁護士などの専門家に遺言書の無料相談をするための流れを解説していきます。
事前に用意したほうが良いこともありますので、しっかり準備して向かいましょう。
最初の相談は無料相談を実施している事務所を選び、電話やメールで問い合わせをしましょう。
相談したい内容と都合の良い日程を伝え、専門家のスケジュールを押さえます。
所在地はなるべく自宅から通いやすいところが望ましいでしょう。
もし田舎で交通の便がよくない場合や、けがや病気で体調がすぐれず外出が難しい場合、出張やオンラインの相談を検討してください。
最近の専門家事務所は、出張してくれるところもありますし、Zoomなどオンラインでの相談も可能な事務所も増えています。
ベンナビ相続なら、電話相談・出張・オンライン可など都合のよい条件で弁護士を検索可能です。専門家選びでお悩みの方はぜひ利用してみて下さい。
日程調整が完了したら打ち合わせをします。
無料相談の場合時間の制限がある場合もあるので、事前に相談内容や悩みについてしっかりまとめておきましょう。
まとめておくべきこととして、最低でも親族の状況・遺言で記したい内容は合ったほうが望ましいです。
すでに自分で書いた遺言書があるならそれも用意しておきましょう。
打合せの際には、専門家の観点から手直しできることや対応可能な部分について教えてもらえます。
同時に見積もりも貰えるので、しっかりメモを残しておきましょう。
できれば打ち合わせは複数事務所でおこなったほうがよいです。
遺言書は実現したいことのズレがあってはならないため、担当の弁護士との相性が重要です。比較対象を得るためにも最低2〜3社と打ち合わせできると安心でしょう。
打ち合わせで出した要望や貰ったアドバイスをもとに遺言書の原案を作成していきます。
原案の作成は通常何往復もするものなので、納得いくまで作成・修正を繰り返しましょう。
なお、公正証書遺言の場合は自筆でなくても問題ありません。パソコンやワープロでもOKですので、修正しやすい方法で作成しましょう。
相続させたい家財や物品が決まっている場合、その旨はしっかり専門家に伝え、原案にも盛り込んでおきましょう。
遺言書を専門家に依頼する場合、必要書類の収集も依頼できます。
遺言書作成で必要となる書類は役所など複数の場所で取得しなければなりません。面倒な場合は依頼してしまいましょう。
ただし、発行に手数料がかかるものやご本人様自身でしか取得できない書類もあります。
専門家に依頼する場合は相談料に加えて実費も必要になるので注意しましょう。
必要となる書類と手数料は下記のとおりです。
住民票は相続人以外に相続させる場合必要になります。
また、資格証明書は法人に相続させたい場合に必要です。
どちらも相続人のみに相続させるなら必要ありません。
作成した遺言はしっかり保管しておきましょう。
公正証書遺言の場合、公証役場に保管されるため紛失のリスクはありません。
自筆証書遺言はしっかり自分で保管してなければなりません。
相続では遺言書が見つからないというトラブルがよくあります。
明示しておく必要はありませんが、見つけやすいところに保管しておくほうが、相続人の負担を軽減できます。
弁護士や司法書士といった専門家に預けておくという方法もあります。
弁護士などの専門家に自筆遺言のサポートや公正証書遺言の作成を依頼した場合の費用相場を解説していきます。
自筆遺言の作成に関する相談やサポートを依頼した際の費用相場は下記のとおりです。
専門家 | 費用目安 |
弁護士 | ・相談:初回無料のケースあり 5,000~10,000円(30分から1時間程度) ・遺言書作成:10万~20万円程度 ・遺言執行:費用や財産内容に応じて異なる 例)遺産額が1,500万円以下であれば報酬金は33万円(税込み) |
司法書士 | ・相談:30分当たり5,000円前後 ・遺言書作成:7万~15万円前後 ・遺言執行:25万~30万円 |
行政書士 | ・相談:初回無料のケースあり ~5,000円前後(30分程度) ・遺言書作成:4万~5万円前後 ・遺言執行:20万~40万円前後 |
税理士 | 相談:30分あたり無料~5,000円 遺言書作成:6万~15万円前後 遺言執行:50万円前後 |
公正証書遺言の作成には、上記の専門家費用に加えて、公証役場での手続きに費用がかかります。それぞれ解説していきます。
公証役場へ支払う手数料は、遺言書によって決定する遺産の相続額によって金額が変わります。
金額は公証人手数料令第9条別表により下記のように定められています。
遺産額 | かかる費用 |
100万円 | 5,000円+遺言加算11,000円 |
100万~200万円 | 7,000円+遺言加算11,000円 |
200万~500万円 | 11,000円+遺言加算11,000円 |
500万~1,000万円 | 17,000円+遺言加算11,000円 |
1,000万~3,000万円 | 23,000円+遺言加算11,000円 |
3,000万~5,000万円 | 29,000円+遺言加算11,000円 |
5,000万~1億円 | 43,000円+遺言加算11,000円 |
1億~3億円 | 43,000円+5,000万円超過ごとに13,000円 |
3億~10億円 | 95,000円+5,000万円超過ごとに11,000円 |
10億円~ | 249,000円+5,000万円超過ごとに8,000円 |
【参考】
e-Gov|公証人手数料令第9条別表
日本公証人連合会|Q7.公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらい掛かるのですか。
なお、公正証書遺言の場合、4枚(法務省令で定める横書きの公正証書は3枚)以上の原本を作成する場合、1枚当たり250円の手数料が発生します。
公正証書を作成するには法が定める基準を満たした証人2名を準備する必要があります。
知人友人に依頼する場合は不要です。弁護士や公証人の紹介など、証人を雇う場合には、1人につき1日当たり5,000円〜15,000円が相場といわれています。
遺言には様々な形式が認められていますが、法的要件を満たさないリスクがあったり、手間がかかったりと一長一短です。
専門家に依頼すれば、費用こそ掛かりますが、法的要件を満たし手間を大幅に削減することができます。
相続は遺言書に端を発して争いになることもあり得ます。相続人の負担を減らすという意味でも、遺言書の作成は専門家に依頼したほうが全体的なメリットは大きくなるでしょう。
遺言書の作成を考えているが、どこに相談すればよいかわからずにお困りではありませんか?
結論からいうと、遺言書の作成については弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
ベンナビ相続では、相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。