ブラック企業について相談するなら|各相談窓口の特徴と対策も解説

ブラック企業について相談するなら|各相談窓口の特徴と対策も解説

ブラック企業とは、極端に長時間労働を強いたり、過剰なノルマを従業員に課したり、残業代・給与などの賃金の不払い、ハラスメント行為をおこなうといったコンプライアンス意識の乏しい企業のことを指します。

ニュースやインターネットなどで取り上げられることもあり、社会問題のひとつといえます。今もブラック企業で勤務していて苦しい労働環境を強いられており、どこかに相談したいと思っている方もいるのではないでしょうか。

労働基準監督署などの窓口に相談すれば、今のような労働環境が改善することもあります。

この記事では、以下について解説していきます。

  • ブラック企業について相談できる窓口
  • ブラック企業の特徴
  • 労働基準監督署でできること
  • 相談前に準備したいこと
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この記事を監修した弁護士
下地 謙史(日暮里中央法律会計事務所)
下地 謙史弁護士(日暮里中央法律会計事務所)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て日暮里中央法律会計事務所を開業。
(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)

ブラック企業の相談窓口5選|各窓口の特徴も解説

ブラック企業の相談窓口としては、次の5つがあります。各窓口の特徴や、それぞれが得意としている分野などにについて知っておきましょう。

弁護士(労働問題弁護士ナビ)

労働問題は、弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士に依頼すれば、残業代や賃金、労働環境などの幅広い問題に対応してくれます。労働問題弁護士ナビでは、労働問題を得意とする弁護士を簡単に検索できます。

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労働基準監督署

勤めている企業が労働基準法に違反している場合は、労働基準監督署に申告することで、調査や是正勧告などの対応が望めます。特に残業代の未払いやサービス残業など、労働基準法に関する問題について相談できます。

労働条件相談ホットライン

労働条件などについて相談したい場合は、労働条件相談ホットラインが適しています。労働条件相談ホットラインでは、労働時間や労働による健康被害などの相談が可能です。ただし、相談にはのってくれますが、環境改善のために実際に動いてくれるわけではありません。問題解決のためには、相談者自ら動く必要があります。

労働局

労働局では、配置転換や賃金、企業内のハラスメントなどの相談が可能です。相談だけでなく、専門家との話し合いの場を設けるなど、多方面から問題解決を図ってくれます。

労働組合

労働組合は、労働条件を改善したい場合に適しています。たとえば、解雇やハラスメントなどの問題であれば、次のような対応が望めます。

  • 企業に対して労働条件の改善を求める団体交渉をおこなう
  • 相談者の希望実現のためのストライキをおこなう

なお、もし問題が解決した場合には、企業が従業員に対して解決金を支払うことになる場合もあります。また、有料でしか相談できない、問題解決までの実行力にバラつきがあるなどの注意点もあるため、よく見極めたうえで相談する必要があります。

今すぐに相談するべきブラック企業の特徴

ここでは、今すぐに相談するべきブラック企業の特徴について解説します。ブラック企業について明確な定義はありませんが、以下のいずれかに該当する場合は相談を検討しましょう。

残業代が支払われない

労働基準法では、会社には残業代の支払い義務があるということが定められています(労働基準法第37条)。たとえば、「期日内に仕事を完了させるために従業員が残業して、それを上司が黙認する」といったサービス残業は、違法です。

また、みなし残業やフレックスタイムなどの働き方についても、従業員への未払いが発生しないように企業側は対応する必要があります。

100時間以上の残業がある企業・45時間以上の残業が日常になっている企業

毎月100時間以上の残業がある企業や、45時間以上の残業が常態化している企業は、ブラック企業の可能性があります。このような企業は、以下のような状態になっている恐れがあります。

  • 離職率が高く、人員が常に不足している
  • 業務量が多く、十分に対応しきれていない
  • 同調圧力が高く、残業すればするほど評価される社風になっている

また、月80時間以上の残業は「過労死ライン」といわれており、もし過労死ラインを超えて働いている場合は速やかに相談することをおすすめします。

時給が最低賃金以下

全ての都道府県で最低時給が決められています。たとえば、東京都なら1,072円、千葉県なら984円です。企業側は、従業員に対して最低時給以上を支払うことが義務付けられています。

もし最低賃金を下回っている場合、従業員は使用者である企業に対して差額分を請求することが可能です。

休日を週1日または4週4日以上確保してくれない

「休日が週1日未満である」「4週4日未満しか確保できない」という場合もブラック企業の可能性があります。 人手不足などの問題も考えられますが、これは労働者を就業させるにあたって使用者が守らなければならない労働基準法に違反している状態です(労働基準法第35条)。

各種保険に入っていない

各種保険は、事業所の規模や労働者の就業時間によって、加入しなければならないものとして定められています。

たとえば、以下のような条件に該当するにもかかわらず保険未加入の場合は、ブラック企業の可能性があります。

  • 従業員の労働時間が週20時間以上である
  • 2ヶ月以上継続して雇用される見込みがある
  • 賃金が8万8,000円以上である
  • 学生ではない
  • 労働者の人数が101人以上である など

ハラスメントを報告しても改善してくれない

企業は、労働環境の維持のため、あらゆるハラスメントについて対策する必要があります。また、従業員から精神的・身体的な攻撃を含むハラスメントの報告があった場合には、改善しなければなりません。

しかし、ハラスメントを報告したとしても、社内では改善できず、報告内容がハラスメントの行為者に伝わって状況が悪化するという恐れもあります。

そのようなところはブラック企業の可能性があり、外部の相談窓口を利用することをおすすめします。

労働基準監督署に相談すればブラック企業は改善される?

労働基準監督署に相談した場合、ブラック企業が改善されることもあれば、改善されないこともあります。

労働基準監督署は、労働基準法に違反している企業に対して、調査・是正勧告・刑事処分などの対応が可能です。

是正勧告後に報告がなく、 企業から報告書の提出がない場合は、刑事事件に発展する可能性があります。

ただし、労働基準監督署は、個人的な労働問題やセクハラ・パワハラといった民事的なトラブルには介入できません。

企業に対して個人的な訴えをする際は、弁護士などにサポートしてもらうことをおすすめします。

各窓口に相談する前に準備しておいた方がよいこと

ここでは、各窓口に相談する前の準備について解説します。

企業側にどのような対応を求めるのか明確に決めておく

勤めている企業に対して、どのような対応を望むのかを明確にしておきましょう。たとえば、労働時間が長くて辛いという場合には、すぐにでも退職手続を進めたいのか、それとも労働時間を何時間短縮してくれれば勤続可能なのかといった方針などを決めておくと相談しやすくなります。

違法・不当な状態であることがわかる証拠を集めておく

相談する前に、次のような証拠を集めておくと、問題の解決にあたる際に役に立ちます。

残業代が未払いの場合

残業代が未払いになっている場合は、タイムカードのコピーや撮影した画像、実際の退勤時間のメモ、雇用契約書、 給与明細などが役立ちます。

また、日々の労働時間の記録と給与内容を照らし合わせることも大切です。

拘束時間が長い場合

拘束時間が長い場合は、実際の出勤・退勤のメモ、タイムカードのコピーや撮影した画像などが証拠となります。

年間の残業時間は360時間以内と定められているため、実際の労働時間を測定しておくのも有効です(労働基準法第36条4項)。

ハラスメントを受けている場合

ハラスメントを受けている場合には、次のような対策が効果的です。

  • 受けたハラスメントの内容をメモしておく
  • スマートフォンやボイスレコーダーで記録する

特に、言葉によるハラスメントは客観的な事実として証明しにくいため、十分な証拠を集めておくことが大切です。

事実関係を整理しておく

事実関係を整理する場合は、以下の項目をメモやノートにまとめましょう。

  • When(日時)
  • Where(場所)
  • Who(人物)
  • What(内容)
  • Why(理由)
  • How(方法)

事実関係を整理しておくことで、相談状況をスムーズに理解してもらえますし、的確なアドバイスが望めます。

まとめ

ブラック企業について相談する場合は、相談先の対応内容や得意分野などを十分に把握しておくことが大切です。

企業側に問題があることが明らかな場合でも、「法的に対処できるかどうか」「個人の問題まで解決できるかどうか」などはケースによって異なります。

賃金の未払いや残業代の支払いなどについては、数ある相談窓口の中でも弁護士がおすすめです。具体的なアドバイスだけでなく、個別の労働問題に対して法的に対処してくれて、心強い味方になってくれます。

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【参考】
【終わってる会社の特徴】働き続けたらどうなるのか | タレントスクエア
ブラック企業を辞めたい!ブラック企業の辞め方とスムーズな退職方法とは | リバティーワークス

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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