仕事を辞めさせてくれない会社は法律違反?退職する権利とリスクを知ろう

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目次
  1. 会社が仕事を辞めさせてくれないのは法律違反
  2. 民法に規定されている退職に関する基本ルール
    1. 基本|仕事を辞める2週間前に退職の意思を伝えれば退職できる
    2. 例外|有期雇用契約の場合はルールが異なる
  3. 仕事を辞めさせてくれない会社を辞めるための方法
    1. 退職届を提出して退職の意思表示をする
    2. 内容証明郵便を使って退職届を提出する
    3. 退職代行サービスを利用する
  4. 仕事を辞めさせてくれないときのおすすめの相談窓口4選
    1. 総合労働相談コーナー|労働トラブル全般について相談できる
    2. 法テラス|資力基準などを満たせば無料で弁護士に相談できる
    3. 弁護士会|労働問題の場合は初回無料で相談できることが多い
    4. ベンナビ労働問題|労働トラブルが得意な弁護士を見つけやすい
  5. 仕事を辞めさせないために会社が取る可能性がある違法行為
    1. 損害賠償・違約金を請求される
    2. 懲戒解雇として処分される
    3. 残りの給与が支払われない
    4. 離職票を発行してくれない
    5. 有給を消化させてくれない
  6. これから退職する方が知っておくべき退職前後の手続き
    1. 退職前|業務の引き継ぎや返却物の確認などを忘れずにおこなう
    2. 退職後|健康保険・年金の切り替え、失業保険の申請をおこなう
  7. 仕事を辞めさせてくれない会社を辞めるときの注意点
    1. 民法よりも就業規則などの退職規定が優先されるケースがある
    2. 会社が労働者を引き止めること自体は直ちに違法にはならない
    3. 民法や就業規則に違反して退職すると損害賠償のリスクを負う
  8. 仕事を辞めさせてくれないトラブルに関するよくある質問
    1. Q.なぜ会社は仕事を辞めさせてくれないのか?
    2. Q.仕事を辞められないとどのような問題が生じるか?
  9. さいごに|法律を正しく理解して仕事を辞めるようにしよう

退職の意向を伝えると会社から強引に引き止められ、なかなか辞めさせてもらえないケースも少なくありません。

しかし、どのような方法をとればスムーズに退職できるのか、どこに相談すればよいのかなど、今後とるべき行動がわからず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、仕事を辞めさせてもらえないときの対処法を解説します。

公的な相談窓口や退職前後に必要な手続きなども紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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この記事を監修した弁護士
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当社在籍弁護士(株式会社アシロ)
この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

会社が仕事を辞めさせてくれないのは法律違反

前提として、会社が仕事を辞めさせてくれないのは法律違反です。

まず、日本国民は、憲法によって職業選択の自由が認められています。

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

引用元:日本国憲法 | e-Gov法令検索

誰しもが自らの意思で職業を選ぶ権利があります。

たとえ雇用関係にあったとしても、会社が職業選択の自由を奪うことは許されません

また、労働基準法には、強制労働の禁止について以下のように定められています。

(強制労働の禁止)

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索

労働者が退職の意思を示している限り、会社がその意思に反する行動をとることは違法です。

もし退職届を受理してもらえなくても、退職は原則認められます。

民法に規定されている退職に関する基本ルール

ここからは、民法に規定されている退職の基本ルールを詳しく見ていきましょう。

雇用期間の定めがあるかどうかによって、適用されるルールが異なる点に注意してください。

基本|仕事を辞める2週間前に退職の意思を伝えれば退職できる

多くの場合、仕事を辞める2週間前に退職の意思を伝えれば退職できます。

退職の申し入れに関する民法の規定は、以下のとおりです。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

正社員は、基本的に雇用期間の定めがありません

よって、いつでも退職を申し出ることができます。

会社が退職を受け入れなかった場合は、法律違反となる可能性が高いでしょう。

ただし、退職を申し出たからといって、すぐに退職できるわけではありません

退職日は、退職を申し出た日から2週間後以降に設定する必要があります。

例外|有期雇用契約の場合はルールが異なる

有期雇用契約の場合は、例外的な扱いとなります。

適用されるルールを詳しく見ていきましょう。

有期雇用契約の場合|1年未満の契約の場合、原則として契約期間中の退職は認められない

1年未満の契約期間が設定されている有期雇用契約の場合は、契約期間中の退職が原則として認められません。

契約社員や派遣社員として働いている方は、事前に定められた契約期間を迎えるまで働き続ける必要があります。

しかし、やむを得ない事情がある場合は、その限りではありません。

民法第628条には、以下のような定めがあります。

(やむを得ない事由による雇用の解除)

第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

やむを得ない事由には、傷病・出産・介護などが挙げられるでしょう。

劣悪な労働環境に耐えられない場合も、即時に契約を解除できる可能性があります。

ただし、明確な線引きがあるものではないので、弁護士や社労士などの専門家に事前相談しておくと安心です。

これに対し、1年を超える契約期間が設定されている場合には、1年を超えて働いた場合には、契約期間満了前であっても、原則としていつでも解約することができます(労基法第137条)。

月給制・年俸制(無期雇用)の場合/現行法上、仕事を辞める2週間前に退職の意思を伝えれば退職できる

2020年4月1日の改正法施行前の旧民法627条2項および同条3項では、雇用の期間を定めておらず、期間に応じて報酬を定めていた場合、雇用契約の解約申入れをするには、労働者・使用者側ともに、(1)6か月未満の期間によって報酬を定めた場合(月給制の場合等)には当期の前半に次期以後の解約の申入れをすること、(2)6か月以上の期間によって報酬を定めた場合(年俸制の場合等)には3か月前に解約の申入れをすることがそれぞれ必要とされていました。

しかし、改正民法ではいずれの制限も企業(使用者)側が解約する場合にのみ適用されることになっています。

つまり、現行法上では、月給制・年俸制を問わず、無期雇用の従業員自らが2週間前の予告期間をおくことで契約を解除することができるようになっています。

仕事を辞めさせてくれない会社を辞めるための方法

会社が仕事を辞めさせてくれないときの対処法としては、以下のような選択肢があります。

  • 退職届を提出して退職の意思表示をする
  • 内容証明郵便を使って退職届を提出する
  • 退職代行サービスを利用する

それぞれのメリットや具体的な手順などを詳しく見ていきましょう。

退職届を提出して退職の意思表示をする

まずは、退職届を出して意思表示をしましょう。

口頭で伝えるだけでは、意思表示した事実が証拠として残りません。

のちのちトラブルに発展する可能性も否定できないので、しっかりと文書で伝えることが大切です。

退職届は、直属の上司に渡すケースが一般的といえます。

ただし、直属の上司に受け取りを拒否された場合は、さらに役職の高い上司へ渡すのもひとつの方法です。

なお、退職届は退職願と混同されがちですが、意思の強さが異なります。

退職願いは、会社に合意を求めるものです。

退職届は労働者からの一方的な通告であり、原則として撤回もできません

どうしても退職したい場合は、強い意志を示すためにも退職届を提出しましょう。

内容証明郵便を使って退職届を提出する

退職届を直接渡そうとしても受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便を利用してみてください。

退職届を内容証明郵便で提出されると、会社側も受け取りを拒否することは難しいでしょう。

内容証明郵便とは、文書の内容や送付日、宛先などを郵便局が証明してくれるサービスのことです。

退職届のコピーを郵便局に提出すれば、窓口で受理された日から5年間保管してくれます。

会社側と争うことになった場合には、意思表示をおこなった事実が重要になってきます。

退職の意思を示したにも関わらず、対応してもらえなかったことを証明できるように、内容証明郵便を積極的に活用してみてください。

退職代行サービスを利用する

仕事を辞めさせてもらえないときは、退職代行サービスを利用するのも選択肢のひとつです。

本人に代わって、専門業者が退職の意思を伝えてくれます。

自分自身で職場に出向いたり、上司と会話したりする必要がないので、引き止めにあう可能性も低いでしょう。

ただし、民間の退職代行サービスができるのは、退職の意思を使えることだけです。

会社との交渉や未払い賃金の請求などは、弁護士でなければできません

そのため、会社との間でトラブルが生じるおそれのあるときは、弁護士に退職代行を依頼するほうが手続きを円滑に進められます

仕事を辞めさせてくれないときのおすすめの相談窓口4選

仕事を辞めさせてもらえないときは、以下の窓口を活用してみてください。

  • 総合労働相談コーナー
  • 法テラス
  • 弁護士会
  • ベンナビ労働問題

では、利用条件や相談できる内容について詳しく見ていきましょう。

総合労働相談コーナー|労働トラブル全般について相談できる

仕事を辞めさせてもらえないときは、総合労働相談コーナーに相談してみることをおすすめします。

総合労働相談コーナーは、専門スタッフが労働者の相談に応じてくれる公的な相談窓口です。

退職にともなうトラブルを含め、労働問題全般に関して相談できます。

ただし、総合労働相談コーナーは、問題解決に向けて直接行動を起こしてくれるわけではありません。

主な役割は、解決方法の提案や労働基準監督署への取り次ぎなどにとどまることを理解しておきましょう。

総合労働相談コーナーは無料で利用でき、事前予約も不要です。

各都道府県に複数設置されているので、まずは公式サイトで最寄りの施設を探してみてください。

【参考】総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

法テラス|資力基準などを満たせば無料で弁護士に相談できる

経済的に余裕がない場合は、法テラスで弁護士に無料相談できる可能性があります。

法テラスは、国民が抱える法律トラブルの解決を目的に、国が設置している公的機関です。

一定の資力基準などを満たしている方を対象に、弁護士への無料相談の機会を提供しています。

相談回数は1つの問題につき3回まで、相談時間は1回あたり30分程度です。

最寄りの法テラスや、法律事務所で相談に乗ってもらえます。

なかには電話などのリモート相談に対応していることもあるので、移動が難しい場合は気軽に相談してみるとよいでしょう。

なお、資力基準には収入要件と資産要件の2つがあります。

世帯人数などによって具体的な金額が細かく決められているため、気になる方は一度公式サイトを確認してみてください。

【参考】無料の法律相談を受けたい|法テラス

弁護士会|労働問題の場合は初回無料で相談できることが多い

会社を辞めさせてもらえないときは、弁護士会の法律相談を利用するのもひとつの方法です。

弁護士に相談すれば、退職手続きはもちろん、トラブルに発展した際の対応まで全て任せられます

迅速な問題解決が期待できるうえ、会社と対立することによる精神的な負担も軽減できるでしょう。

労働問題に関する相談は、初回無料に設定されているケースも少なくありません。

弁護士費用が気になる方は、まず無料相談に対応した法律事務所に問い合せてみましょう。

ベンナビ労働問題|労働トラブルが得意な弁護士を見つけやすい

ベンナビ労働問題」を利用して、労働トラブルが得意な弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

弁護士には、それぞれ得意とする分野があります。

仕事を辞めさせてもらえないときは、労働問題の解決実績が多い弁護士に相談することが大切です。

豊富な知識と経験に基づき、個々の状況にあわせた適切なアドバイスを提案してもらえます。

ベンナビ労働問題では、無料相談に対応した弁護士をピックアップすることも可能です。

できるだけ費用をかけずに問題解決を図りたい方は、うまく活用してみてください。

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仕事を辞めさせないために会社が取る可能性がある違法行為

次に、仕事を辞めさせない会社で多くみられる違法行為を紹介します。

同じ行為を受けたときに冷静に対応できるよう、あらゆる事態を想定しておくことが大切です。

損害賠償・違約金を請求される

まず、注意しておくべきは損害賠償・違約金を請求されるケースです。

退職に関して、違約金や損害賠償を定める行為は違法といえます(労働基準法第16条)。

万が一雇用契約や社内規則に退職時に損害賠償や違約金を支払うという内容の規定があり、これを根拠に会社から実際に請求されたとしても、支払いに応じる必要はありません

また、給与から損害賠償が差し引かれている場合も違法行為であるため(労働基準法第24条第1項)、法的対処を講じる必要があります。

ただし、例えば会社が費用を負担する研修・留学への参加直後に退職する場合は、損害賠償請求や費用の返還請求をされる可能性もゼロではありません。

会社側に明らかな損失を生じさせることのないように、退職を申し出るタイミングには十分注意してください。

懲戒解雇として処分される

仕事を辞めようとすると、懲戒解雇として処分される可能性もあります。

しかし、懲戒解雇は、会社の秩序を乱した労働者に科せられるペナルティである懲戒処分の中でも最も重い処分です。

就業規則に定める懲戒解雇事由に違反したといった正当な理由もなく、懲戒解雇することは違法行為にあたります(労働契約法第15条)。

懲戒解雇になると、就業規則や社内規程上退職金を支給しないと定められていることが多く、基本的に退職金は支払われません

離職票にも懲戒解雇で処分された事実が記載されてしまうので、転職が不利になることもあるでしょう。

不当な懲戒解雇を受けた場合は、弁護士などに相談し、解雇を無効にする必要があります。

残りの給与が支払われない

仕事を辞めさせない会社では、残りの給与が支払われないケースもよくみられます。

労働に対して、給与を支払うことは会社の義務です。

退職するからといって、残りの給与を支払わない行為は違法といえます。

退職金の支給も就業規則に明記されているのであれば、会社が支払いを拒否することは認められません。

もし退職金が支払われなかった場合は、気づいた時点で速やかに会社に請求するべきといえます。

離職票を発行してくれない

会社によっては、離職票を発行してくれないこともあるかもしれません。

離職票は、退職後に失業給付を受給するために必要な書類です。

退職者が離職票を請求することによって、会社側には交付義務が発生します。

そのため、正当な理由なく離職票の発行を拒否することは違法です。

離職票を発行してもらえないときは、弁護士や労働基準監督署などに相談してみましょう。

有給を消化させてくれない

退職は認められたものの、残った有給を消化させてもらえないケースもあります。

しかし、有給休暇の取得は、法律によって保証された労働者の権利です。

退職が決まっていることを理由に、会社側が有給の取得を認めないのは違法行為にあたります。

ただし、退職までにやるべき仕事を無視して、有給を取得することは控えましょう。

仕事を放棄するかたちで有給を取得し、会社に損失が生じた場合は損害賠償請求される可能性も否定できません。

業務の引き継ぎなども考慮し、計画的に取得していくことをおすすめします。

これから退職する方が知っておくべき退職前後の手続き

次に、これから退職する方が知っておくべき退職前後の手続きを紹介します。

退職前|業務の引き継ぎや返却物の確認などを忘れずにおこなう

退職することが決まったらまず、業務をスムーズに引き継ぐための準備に取り掛かってください。

退職してから職場に迷惑がかかることのないよう、最大限の配慮が必要です。

退職後は連絡を取り合うことも難しくなるはずなので、マニュアルを作成するなど、口頭以外の方法でも業務を引き継げるようにしておきましょう。

また、貸与されている備品などは退職までに必ず返却してください。

たとえば、身分証明書・制服・健康保険被保険者証などの返却が求められます。

退職後|健康保険・年金の切り替え、失業保険の申請をおこなう

退職後は、健康保険・年金の切り替え手続きが必要です。

健康保険の切り替え先としては、以下の4つが選択肢として挙げられます。

  • 健康保険任意継続:これまでと同じ条件で健康保険に加入したい場合
  • 家族の健康保険:扶養に入る場合
  • 再就職先の健康保険:退職した月と再就職する月が同じ場合
  • 国民健康保険:上記以外の場合

年金は、厚生年金から国民年金に切り替えなければなりません。

退職後速やかに、市役所で手続きをおこなってください。

ただし、退職した月に再就職する場合に限っては、切り替え手続きが不要です。

また、再就職先が決まっていないときは、失業保険を申請しましょう。

退職前にもらっていた給与の5割~8割程度を一定期間受給できます。

会社から離職票を受け取り、ハローワークで手続きを進めてください。

仕事を辞めさせてくれない会社を辞めるときの注意点

ここからは、仕事を辞めさせてくれない会社を辞めるときの注意点を紹介します。

会社との間で余計な揉め事を起こさないためにも、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

民法よりも就業規則などの退職規定が優先されるケースがある

民法よりも、就業規則などの退職規定が優先されるケースがある点には注意しておきましょう。

民法の退職に関する規定は、任意規定として扱われるケースが一般的です。

そのため、会社の就業規則に退職の定めがある場合は、その内容が適用されてしまう可能性があります。

ただし、退職を申し出てから実際に退職できるまでの期間をあまりにも長く設定している場合などは、退職の自由が脅かされることになりかねません

よって、公序良俗に反するものとして無効になるものと考えられます。

会社が労働者を引き止めること自体は直ちに違法にはならない

会社が労働者を引き止めること自体は、直ちに違法になるものではありません。

考え直すように促されたり、条件を提示されたりした場合でも、強制されているのではなければ常識的なやりとりの範囲内です。

むやみやたらに会社側の違法性を問いただそうとすると、余計なトラブルにも発展しかねません。

会社側の主張もしっかりと聞きながら、退職に向けた話し合いを進めていくことが大切です。

民法や就業規則に違反して退職すると損害賠償のリスクを負う

民法や就業規則に違反して退職し、会社に損害を与えた場合は、損害賠償されるリスクを負ってしまいます。

規定に反する行動をとった労働者は、民事上の責任を追求されるケースがあるためです。

たとえば、退職する際は2週間以上前に申し出なければならないことが民法で規定されています。

また、就業規則で退職に関する規定がある場合、公序良俗に反するものでなければ従わなければなりません。

そのため、突然退職するといった行為の結果、会社に損失が生じた場合などは、損害賠償請求される可能性もゼロではありません

仕事を辞めさせてくれないトラブルに関するよくある質問

ここでは、仕事を辞めさせてもらえないトラブルに関するよくある質問に回答します。

同様の疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q.なぜ会社は仕事を辞めさせてくれないのか?

会社が仕事を辞めさせてくれない主な理由は、以下のとおりです。

  • 人手が足りていない
  • 離職率の上昇によって企業イメージに影響が出る
  • 上司自身の評価が悪くなる

人手不足が深刻な会社では、業務が回らなくなることを危惧して退職を認めようとしないケースがあります。

特に繁忙期などに人手を失うことは、なんとしても避けたいと考えるのは当然のことでしょう。

そのときの状況次第ではありますが、まずはできるだけ会社に負担をかけないタイミングで退職することを検討してみてください。

また、離職率の上昇を防ぐために退職を拒まれることもあります。

離職率は、企業イメージに直結するものです。

離職率の抑制は会社全体の方針とされていることも多く、上司としても一旦は拒まざるを得ない状況があるのかもしれません。

上司が自分自身の評価が下がることを気にして、退職を引き止めているケースもあるでしょう。

部下の退職は、上司の管理能力不足とも考えられます。

上司が出世や昇給に意欲的である場合は、まずほかの人に相談してみるのもひとつの方法です。

Q.仕事を辞められないとどのような問題が生じるか?

仕事を辞めさせてもらえない場合でも、適切に意思表示をおこなえば、一方的に退職すること自体は可能です。

しかし、離職票や雇用保険被保険者証などを発行してもらえないなどの対応をされる可能性がないとはいえません。

離職票は、退職した事実を示すための書類です。

失業給付の申請をおこなう際に、ハローワークへ提出しなければなりません。

退職者が請求すれば、会社側には離職票を発行する義務が発生しますが、会社が応じようとしない場合はハローワークに相談してみてください。

雇用保険被保険者証は、再就職先に提出しなければならない書類です。

一般的には、退職する日に会社側から手渡されます。

もし会社から入手できなければ、ハローワークで発行手続きをおこないましょう。

さいごに|法律を正しく理解して仕事を辞めるようにしよう

仕事を辞めるときは、法律を正しく理解してから行動することが大切です。

退職に際しては、さまざまな法律が関係してきます。

無計画に退職したい思いだけを伝えても、話し合いや手続きがスムーズに進まないかもしれません。

一人で抱え込んでも、問題は長期化するだけです。

どうしても仕事を辞めさせてもらえないときは、弁護士に相談して、法的対処をとることも検討してみてください。

労働問題を得意とする弁護士であれば、豊富な知識と経験に基づいた、最善のアドバイスを提案してくれるでしょう。

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【参考サイト】
人手不足で仕事を辞めさせてくれない場合の対処法|引き止められても退職したい! | 転職のサポートドットコム
【どこがいい?】退職代行サービスおすすめランキング|口コミ・評判が良い人気サービスを紹介 | キャリアクラス
「仕事を辞めさせてくれない……」人手不足の会社で退職するための方法|となりのいろは

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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