「自転車同士でぶつかった」「歩行中に自転車に轢かれた」など、自転車事故の被害に遭ってしまったら、弁護士に相談することをおすすめします。
自転車事故の場合、自動車事故とは違って自賠責保険はありませんし、加害者が保険未加入というケースも多く、損害賠償請求が困難になってしまうことも少なくありません。
弁護士に依頼すれば、被害状況に見合った額の損害賠償金を獲得できるよう、あなたに代わって示談交渉などを進めてくれます。
また、自転車事故の過失割合に関しては自動車事故とは違って十分に類型化されていない部分もあり、適切な補償を受けるためには弁護士のサポートが必要不可欠です。
本記事では、自転車事故で弁護士に相談すべき理由や、相談・依頼するメリット、弁護士費用や自転車事故に強い弁護士の選び方などを解説します。
自転車事故の被害に遭った方は、ぜひ参考にしてください。
自転車事故について、今すぐ弁護士に無料相談したいなら「ベンナビ交通事故」がおすすめです。
ベンナビ交通事故では、以下のような弁護士を探すことができます。
あなたの希望や悩みにあった弁護士を見つけましょう。
弁護士はあなたの悩みに真摯に向き合います。まずは気軽にご相談ください。
自転車事故に遭った際に弁護士に相談すべき理由
自転車事故の被害に遭った場合には、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
自転車事故で弁護士に相談すべき主な理由は、以下の4つです。
- 自転車事故では過失割合で争いになりやすいから
- 自動車事故とは違って後遺障害認定が複雑だから
- 自転車事故の加害者が示談金を踏み倒す可能性があるから
- 自転車事故では交通事故紛争処理センターのサポートが受けられないから
ここでは、自転車事故の特徴や自動車事故との違いなどを解説します。
自転車事故では過失割合で争いになりやすいから
過失割合とは、交通事故における被害者と加害者の責任の割合のことです。
上限を100、下限を0として「10:90」「25:75」などと表したり、「1対9」「3対7」などと表したりすることもあります。
被害者側にも事故について過失があった場合は、その割合に応じて加害者に請求できる損害賠償金が減額されるため、過失割合の決定は慎重におこなわなければなりません。
自動車事故であれば、過失割合は過去の判例をもとに類型ごとに整理されています。
一方、自転車事故の場合は自動車事故ほどは十分に類型化されていないため、過失割合の判断が難しく、加害者側と争いになりやすいという特徴があります。
過失割合は、まずは加害者との協議によって決めることになりますが、当事者同士では適切な判断ができず、裁判に発展してしまうこともあります。
【関連記事】交通事故における「過失割合」を算定する基準|代表的なケースの過失割合
自動車事故とは違って後遺障害認定が複雑だから
交通事故のけがが治らずに後遺症が残った場合、後遺障害として等級認定を受けることで「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」などの請求が可能となります。
後遺障害等級は第1級から第14級まであり、どの等級が認定されるのかによって獲得できる金額が大きく変わります。
自動車事故であれば、「損害保険料率算出機構」という第三者機関が、後遺障害診断書などの提出書類をチェックして等級認定をおこなってくれます。
一方、自転車事故では損害保険料率算出機構による審査が受けられません。
たとえば「当事者双方が保険に入っていない」というようなケースでは、裁判を起こして裁判所に判断を求めるなどの対応が必要になることもあります。
ただし、裁判手続は複雑であるため素人が対応するのは難しく、弁護士に依頼するのが一般的です。
自転車事故の加害者が示談金を踏み倒す可能性があるから
自転車事故に関しては、自動車事故に比べると保険制度が十分に整備されていないというのも特徴のひとつです。
最近では、事故時に補償が受けられる「自転車保険」の加入に関する条例が多くの都道府県で制定されているものの、2024年の全国加入率は約65%と、そこまで高くないのが実状です(au損保、自転車保険加入率を調査|au損保)。
自動車事故の場合、強制加入である自賠責保険に加えて任意保険に加入している方も多く、保険会社を通じて示談交渉をおこなうのが一般的です。
一方、自転車事故では加害者側が保険に入っていないこともあり、その場合は加害者本人に対して直接請求することになります。
たとえ自転車事故で加害者側が保険に加入していたとしても、補償内容が限定的で十分な保険金を受け取れないケースもあり、その場合も足りない部分は加害者本人に請求することになります。
加害者本人に直接請求する場合、必ずしもすんなり請求どおりに支払ってくれるとはかぎらず、請求対応に慣れていない素人では支払いを踏み倒されたりするおそれがあります。
自転車事故では交通事故紛争処理センターのサポートが受けられないから
自動車事故において当事者同士で争いになった場合には、交通事故紛争処理センターを利用することで問題解決につながることもあります。
交通事故紛争処理センターとは、交通事故の加害者と被害者による紛争を解決するために、中立的な立場で法律相談・和解あっせん・審査手続などを無料でおこなってくれる公益社団法人です。
しかし、自転車事故の場合、交通事故紛争処理センターは利用できません。
当事者同士で話し合って解決しようとしても、交通事故の知識や示談交渉の経験などがないと、お互いの主張がぶつかって妥協点がなかなか見つからず、解決が長引くおそれがあります。
自転車事故で弁護士に相談・依頼するメリット
ここでは、自転車事故について弁護士に相談・依頼した場合にどのようなサポートが望めるのかを解説します。
適切な過失割合を算出してくれる
「自転車事故に遭った際に弁護士に相談すべき理由」で解説したとおり、損害賠償請求の際は過失割合が何対何になるかがひとつのポイントとなります。
弁護士に依頼すれば、事故状況を整理して判例などを確認したうえで、適切な過失割合を算出してくれます。
また、過失割合を決める際はまず相手と協議をおこなうのが通常です。
相手方がなかなか納得してくれない場合でも、弁護士が根拠をもって説明することで相手方が理解し、こちら側の主張が認められる可能性があります。
後遺障害の主張・立証をしてくれる
自転車事故では、自動車事故とは違って損害保険料率算出機構による審査が受けられず、自動車事故に比べると後遺障害認定が複雑です。
弁護士に依頼すれば、どのような症状が残っているのかなどを的確に主張・立証してもらうこともでき、症状の程度に見合った額の賠償金の獲得が望めます。
後遺障害等級に関しては、主に医師が作成する後遺障害診断書などの資料を用いて証明をおこないます。
弁護士なら、代理人として必要な書類を準備してくれますし、後遺障害診断書の記載内容が十分かどうかなどのチェックもしてくれます。
適切な損害賠償金を算出してくれる
交通事故の被害者は、加害者に対して「事故によって発生した損害全て」を請求できますが、その内容は多岐にわたります。
慰謝料をはじめ、治療費・休業損害・逸失利益などさまざまなものがあり、個人が全てを漏れなく把握して請求するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、請求できる損害項目を漏れなく確認し、適切な損害賠償額を算出してくれます。
弁護士に請求対応を進めてもらうことで、「請求漏れに気付かずに本来よりも低い金額になってしまった」というような事態を避けられます。
加害者との示談交渉を代行してくれる
自転車事故の場合、加害者と被害者で直接示談交渉をおこなうのが一般的です。
ただし、示談交渉に慣れていない素人同士では、お互いに感情的になってしまったり、相手方を批判することに終始してしまったりすることもあります。
弁護士に依頼すれば、自分の代わりに示談交渉を進めてくれます。
弁護士が法的な根拠や判例をもとに的確に交渉することで、加害者側も納得してくれてスムーズに示談成立となることもあります。
また、自転車事故によってけがを負っている場合、治療しながらの示談交渉は大変な作業ですが、弁護士が代わりに交渉対応することで治療に専念できるというメリットもあります。
交渉不成立の場合は裁判手続も代行してくれる
加害者との示談交渉がまとまらない場合は、裁判などに移行して解決を図ることになります。
裁判では、証拠などを用いて主張・立証することになりますが、素人が自力で適切に対応するのは困難です。
弁護士なら、自分の代理人として裁判手続も代行してくれるため、示談交渉がうまくいかなかった場合でも納得のいく額の賠償金の獲得が望めます。
自転車事故を弁護士に依頼した場合の費用
ここでは、自転車事故でかかる弁護士費用の相場や内訳、弁護士費用の支払いを安く抑える方法などを解説します。
自転車事故の弁護士費用の相場・内訳
自転車事故について弁護士に相談・依頼する場合、主に以下のような弁護士費用がかかります。
項目 | 内容 |
---|---|
相談料 | 自転車事故について相談する際にかかる費用。相場は30分あたり5,000円~1万円程度で、法律事務所によっては初回相談無料のところもある。 |
着手金 | 弁護士に事件解決を依頼する際にかかる費用で、原則としてどのような結果でも返金されない。相場は10万円~100万円程度で、法律事務所によっては着手金0円の完全成功報酬制のところもある。 |
報酬金(成功報酬) | 弁護士に依頼したことで問題が解決した場合にかかる費用。交通事故の場合、獲得できた損害賠償金に一定割合を乗じた金額となるのが一般的。 |
実費 | 交通費や通信費など、弁護士が事件処理する際にかかった費用。依頼内容や状況によって金額は異なる。 |
日当 | 裁判所への出廷など、弁護士が法律事務所を離れて仕事をする場合にかかる費用。相場は拘束時間によって異なり、半日の場合は3万円~5万円程度、1日の場合は5万円~10万円程度。 |
弁護士費用は上記のような料金体系をとっていることが多いものの、法律事務所によっては異なる場合もあります。
具体的な金額設定なども法律事務所によってバラつきがあるため、正確な金額を知りたい場合は直接事務所にご確認ください。
弁護士費用特約を利用すれば自己負担0円で済む可能性がある
弁護士費用特約とは自動車保険のオプションのひとつで、「交通事故の弁護士費用を保険会社が一定額負担してくれる」というものです。
基本的に弁護士費用特約の適用対象は自動車事故ではあるものの、「自分が自転車で相手が自動車のケース」や「自動車+日常事故タイプの弁護士費用特約に加入しているケース」などでは適用対象となり、自己負担0円で依頼できることもあります。
自転車事故に遭った際は、保険の加入状況も確認しておくことをおすすめします。
【関連記事】交通事故の弁護士費用の相場はいくら?弁護士費用特約・計算方法を解説
自転車事故での弁護士の解決事例
ここでは、当社が運営している「ベンナビ交通事故」に掲載している解決事例の中から、自転車事故に関する事例を紹介します。
横断歩道を歩行中に自転車にはねられ、約850万円の賠償金を獲得できたケース
被害者は30代の女性で、横断歩道を歩行中に加害者が運転する自転車にはねられてしまい、上肢を負傷したというケースです。
このケースでは、被害者は事故による治療の終了後に後遺障害に関する心配事・不明点があり、弁護士に事故後対応を相談・依頼しました。
弁護士は、診断書作成などに関するアドバイスのほか、加害者側との示談交渉も代理人として対応しました。
加害者は共済系の保険会社に加入していて示談交渉は難航したものの、最終的には後遺障害等級12級が認められ、約850万円の損害賠償金を獲得することに成功しました。
むちうちの後遺障害が残り、約350万円の賠償金を獲得できたケース
被害者は50代の男性で、歩道を歩行中に後方から自転車に追突され、頸椎を負傷したというケースです。
このケースでは、加害者側が加入している火災保険に個人賠償責任保険があり、自己負担を負うことなく治療を進めることができました。
基本的にむちうちに関しては症状の存在を証明することが難しいものの、依頼を受けた弁護士が診断書などの書類を集めて的確に主張したことで無事に後遺障害等級14級が認められました。
加害者側と示談交渉をおこない、最終的には後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益なども含めて約350万円の損害賠償金を獲得することに成功しました。
自転車同士の事故で、約40万円から約150万円に賠償金を増額できたケース
被害者は50代の女性で、被害者・加害者ともに自転車で走行中、交差点で衝突したというケースです。
このケースでは、加害者が「事故を起こした責任は相手にあり、自分の過失割合は小さいはず」と主張していました。
そこで、依頼を受けた弁護士はまず刑事事件記録を取り寄せて事故状況を確認し、実際の事故状況と加害者側の主張について整合性がとれないことを反論しました。
また、損害賠償金に関しては交渉が難航したため、裁判に移行しました。
裁判では、刑事事件記録だけでなく事故現場まで行って事故状況を確認したうえで、加害者側の主張の不合理な点を指摘し、医療記録に基づいて慰謝料や休業損害などの請求もおこないました。
その結果、相手方の当初提示額は約40万円でしたが、3倍以上の約150万円の損害賠償金を獲得することに成功しました。
自転車事故に強い弁護士の探し方
弁護士を探す際は、自転車事故などの交通事故トラブルに注力しているかどうかを確認することが大切です。
弁護士は法律問題を取り扱っていますが、交通事故・離婚問題・遺産相続・債務整理・債権回収など、その内容は多岐にわたります。
交通事故案件の解決実績が少ない弁護士に依頼してしまうと、思うようなアドバイスやサポートが受けられずに十分な額の賠償金を獲得できないおそれがあります。
ここでは、自転車事故に強い弁護士の探し方について解説します。
弁護士ポータルサイトの「ベンナビ交通事故」で探す
自転車事故に強い弁護士に相談・依頼したい場合は、弁護士ポータルサイトを利用するのがおすすめです。
弁護士ポータルサイトでは、注力分野や対応地域などから弁護士を一括検索でき、効率的に弁護士を探すことができます。
当社が運営している「ベンナビ交通事故」では、自転車事故に強い全国の弁護士を掲載しています。
検索結果ページでは弁護士の解決実績や人柄などを確認できるほか、法律事務所の費用体系や相談可能な時間帯などの詳細情報も掲載しており、自分に合った依頼先を比較検討できます。
初回相談無料・電話相談可能・オンライン相談可能などの法律事務所も多く掲載しており、まずは一度利用してみることをおすすめします。
弁護士会で紹介してもらう
自分で弁護士を探すのは不安な方は、弁護士会で紹介してもらうという方法もあります。
弁護士会とは、全国の弁護士が加入している団体のことで、弁護士に対する監督や指導などをおこなっています。
たとえば東京弁護士会や大阪弁護士会など、弁護士会の中には、弁護士とのつながりがない方のために弁護士紹介などのサービスをおこなっているところもあります。
弁護士会は都道府県ごとに設けられており、もし利用したい場合はインターネットで「都道府県名 弁護士会」と検索し、公式ホームページから対応状況を確認しましょう。
法テラスを利用する
法テラスとは、法律トラブルで悩んでいる方をサポートするために設立された公的機関です。
法テラスでは、トラブル解決のための法制度・手続き・最適な相談窓口の案内のほか、弁護士との無料法律相談や弁護士費用の一時立替などの「民事法律扶助制度」も提供しています。
ただし、どの弁護士に相談するのかは自由に選択できず、必ずしも自転車事故に強い弁護士が対応するとはかぎらないため注意しましょう。
なお、民事法律扶助制度を利用するためには資力基準などを満たしている必要があり、経済的事情で弁護士費用の支払いが難しい方は利用を検討してみてもよいでしょう。
民事法律扶助制度の利用条件や利用の流れなどは「民事法律扶助業務|法テラス」をご確認ください。
さいごに|自転車事故に遭ったら、まずは弁護士との無料相談がおすすめ
自転車事故の場合、加害者が保険に加入していないケースも多く、示談交渉が難航しやすい傾向にあります。
できるだけ適切かつスムーズに損害賠償請求をおこないたい場合、弁護士が心強い味方になってくれます。
ベンナビ交通事故なら、自転車事故などの交通事故トラブルに強い弁護士を一括検索でき、弁護士探しが初めての方でも自分に合った相談先をすぐに探せます。
依頼はせずに法律相談だけの利用も可能ですし、初回相談無料の法律事務所も多く掲載しているので、まずは気軽にご相談ください。

