弁護士相談
警察に逮捕されるまでの流れと逮捕後の流れまとめ
2024.11.18
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「性犯罪」という用語は広く一般的にも使用されています。
おもに女性・子どもといった弱者を狙う悪質な犯罪として評価されており、社会的にも厳しい非難が向けられる犯罪です。
ニュースや新聞に目を向けると、毎日のように性犯罪事件の容疑で逮捕された事例が報道されているので「性犯罪は逮捕される」という認識をもっている方も多いでしょう。
では、どのような犯罪が「性犯罪」に該当し、加害者となった場合はどのような刑罰が科せられるのでしょうか?
本記事では、性犯罪の種類や刑罰、逮捕後の流れなどを解説していきます。
また、性犯罪事件について弁護士に無料相談する方法や窓口も紹介するので、「性犯罪で逮捕されるかも」と不安な方は参考にしてください。
「性犯罪」と聞けば、多くの方がレイプなどの凶悪犯罪や痴漢などのわいせつ行為をイメージするはずです。
では、法律の解釈に照らすとどのような行為が「性犯罪」にあたるのでしょうか?
性犯罪の定義を確認します。
実は、刑法をはじめとしたさまざまな処罰法令をみても「性犯罪」についての法的な定義を設けた法律は存在しません。
大きくみれば次のように定義できますが、法的な根拠はとくにないのが実情です。
「性犯罪」とはこれらに該当する犯罪の総称だと考えておきましょう。
しばしば性犯罪の成立に争いが生じるケースで問題となるのが「同意の有無」です。
たとえば、性行為について同意があるかどうかで犯罪の成否が決定するように、性犯罪に分類される行為の多くは「相手の同意を得ていたのか?」が成否を分けます。
ただし、言葉などによって明確に同意を告げるケースはまれで、多くは「同意していると思っていた」「相手も好意をもってくれているのだと思っていた」といった事情を背景にトラブルが生じます。
令和2年版犯罪白書によると、性犯罪の代表格である「強制性交等罪」について被害者と被疑者の関係を調べたところ、およそ7割が面識のある者同士でした。
引用元:令和2年版犯罪白書|法務省
このデータをみると、15.5%は親族関係、53.6%は面識ありとなっており、合計すると69.1%が面識のある者同士の間で発生していることがわかります。
性犯罪といえば「暴漢」や「変態」といったイメージが強いかもしれません。
しかし、実際には顔見知り同士の間で「同意があると思っていた」「相手も好意をもってくれていると思っていた」という勘違いから生じやすいという背景があります。
つまり、とくに偏った性癖をもっているわけではなくても、誰もが性犯罪の容疑をかけられてしまう危険があるのです。
性犯罪のなかには、たとえ相手の同意を得ていても犯罪が成立するものがあります。
たとえば、性的に未熟な児童が相手の場合は、たとえ同意する文言があったとしても性的な認識や判断能力が発達していないので犯罪になります。
また、親や保護者といった影響力を背景に性的な行為をくわえた場合も、被害者が抵抗できないという事情に乗じていることから厳しく罰せられるのです。
「同意さえあれば問題ない」と考えるのは間違いだと心得ておきましょう。
「性犯罪」は非常に広い概念にもとづく総称であり、どの犯罪が性犯罪にあたるのかの明確な基準は存在しません。
ただし、一定の基準を設けると次のような犯罪が「性犯罪」に分類されると考えられます。
相手の同意を得ず、暴力的な方法で性的な行為をはたらく犯罪は性犯罪の典型です。
これらは、暴行・脅迫を用いる、人の心神喪失や抗拒不能に乗じる、監護者であることの影響力に乗じるといった暴力的な方法によって性的な行為をはたらく犯罪です。
刑法に規定されているさまざまな犯罪のなかでも厳しい刑罰が設けられています。
暴力的な方法を用いない場合でも、次のような犯罪は性犯罪に分類されます。
性犯罪のなかでも代表的なものについて、どのような状況で成立するのか、どの程度の刑罰が科せられるのかを確認していきましょう。
強制性交等罪は、刑法第177条に規定されている犯罪です。
平成29年の法改正以前は「強姦罪」という名称でしたが、構成要件や刑罰の見直しとあわせて改称されました。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。引用元:刑法|e-Gov
いわゆる「レイプ行為」を罰する犯罪で、暴行または脅迫を用いて性交・肛門性交・口腔性交をした場合に成立します。
法改正以前は性交のみを処罰対象としており、肛門性交や口腔性交は刑罰の軽い犯罪でしか処罰できなかったという事情がありました。
強制性交等罪への改正後はこれらの行為も「性交等」として処罰の対象となり、原則として執行猶予もつかない5年以上の有期懲役へと厳罰化されています。
なお、13歳未満の者を対象とした場合は同意の有無にかかわらず処罰の対象です。
強制わいせつ罪は、刑法に規定されている性犯罪のなかでも認知・検挙ともに最多の犯罪です。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。引用元:刑法|e-Gov
ここでいう「わいせつな行為」とは、人の性的羞恥心を害する行為を指します。
具体的には次のような行為が該当します。
法定刑は6か月以上10年以下の懲役で、罰金は予定されていない重罪です。
なお、強制わいせつ罪も13歳未満が相手の場合は同意の有無に関係なく罪に問われます。
公然わいせつ罪は刑法第174条に規定されている犯罪です。
おもに公共の場でみずからの陰部を露出させる、店舗や乗り物のなかで裸になるなどの行為が処罰の対象となります。
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。引用元:刑法|e-Gov
刑法には「盗撮罪」といった罪名の犯罪は規定されていません。
盗撮行為は、おもに都道府県の「迷惑防止条例」によって規制されます。
東京都を例に挙げると、次のように規定されています。
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
都道府県によって規制内容に若干の差がありますが、風呂・トイレ・更衣室など人が通常は衣服の全部または一部を着けないでいる状態でいる場所においてカメラなどで撮影する行為が規制対象です。
東京都の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に加重されます。
なお、実際に盗撮行為をはたらいていなくても、盗撮目的で建物や敷地に立ち入れば刑法第130条の「建造物侵入罪」に、撮影していなくてものぞき見をしていれば軽犯罪法の「のぞき見」の罪によって罰せられます。
盗撮と同様で、刑法には「痴漢罪」といった犯罪はありません。
痴漢行為は、刑法の強制わいせつ罪か、都道府県の迷惑防止条例違反のどちらかが適用されます。
どちらが適用されるのかは行為・態様によって異なりますが、おおむね次のように分類可能です。
強制わいせつ罪が適用されるケース | 衣服の下に手を差し入れて身体を触った 陰部を触った など |
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迷惑防止条例違反が適用されるケース | 衣服の上から身体を触った |
東京都の迷惑防止条例違反の場合、罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されています。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役なので、どちらが適用されるのかは非常に重要な問題です。
性犯罪は逮捕される可能性が高い犯罪です。
ニュースなどの報道からみてもその認識は明らかですが、実際のところどのくらいの割合で逮捕されているのでしょうか?
令和2年版の犯罪白書には、各事件における「身柄率(=逮捕された割合)」が公表されています。
引用元:令和2年版犯罪白書|法務省
このデータをみると、強制わいせつ罪では55.6%、強制性交等罪では59.1%が逮捕されています。
刑法犯全体の平均が36.5%であることと比較すると、性犯罪は「逮捕されやすい」といえるでしょう。
性犯罪の身柄率をみると、およそ6割弱の割合で逮捕されていることがわかります。
言い換えれば、残る4割程度は逮捕されず、在宅事件として処理されていることになります。
逮捕の可否は「逃亡または証拠隠滅を図るおそれ」という逮捕の要件を満たしているかどうかで判断されますが、さらに重視されるのは「被害者の意向」です。
被害者が「加害者を厳しく罰してほしい」という意向をもっていれば、警察は捜査を推し進めて逮捕に踏み切ってきます。
つまり、警察が逮捕に踏み切るよりも前に被害者との示談交渉を進めて和解するのが最善策です。
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性犯罪の加害者として容疑をかけられて逮捕されると、その後はどのような刑事手続きを受けるのでしょうか?
警察に逮捕されると、48時間を限度とした身柄拘束を受けます。
この期間は警察署の留置場に身柄をおかれて取り調べを受けるため、自宅へ帰ったり、家族と連絡を取り合ったりといった自由は認められません。
検察官のもとへと送致されると、さらに検察官による取り調べを受けたうえで送致から24時間以内に釈放されるか、または勾留が請求されます。
裁判官が勾留を許可すると、原則10日間、延長請求があればさらに最長10日間の最長20日間にわたる身柄拘束を受けるため、社会生活への悪影響は避けられないでしょう。
勾留が満期を迎える日までに、検察官が起訴・不起訴を決定します。
検察官が起訴に踏み切れば被告人としてさらに勾留を受けることになり、保釈されない限り刑事裁判が終わるまでは社会から隔離されてしまいます。
一方で、検察官が不起訴とすると、刑事裁判は開かれません。
身柄を拘束する必要もなくなるので、即日で釈放されます。
刑事裁判は原則として公開の法廷で開かれます。
ただし、100万円以下の罰金または科料が予定されており、本人が罪を認めている事件では、書面審理のみで迅速に結論が下される「略式手続」の採用も可能です。
強制性交等罪や強制わいせつ罪のように懲役刑のみが予定されている犯罪では公開の刑事裁判が開かれますが、公然わいせつ罪や迷惑防止条例違反などの事件では略式手続が採用される可能性があります。
事件の終了までにかかるスピードが早いので素早い社会復帰が期待できますが、かならず有罪となって前科がついてしまいます。
略式手続を受け入れるかどうかは慎重に判断しなければなりません。
性犯罪事件の容疑をかけられてしまった場合は、ただちに弁護士に相談して弁護活動を依頼しましょう。
性犯罪の多くは社会的に強く非難されるものであり、逮捕・勾留による身柄拘束を受けやすいという特徴があります。
たとえ真実とは異なる容疑をかけられてしまった場合でも、身柄拘束が長期におよべば会社からの解雇、学校からの退学、家族との離縁・離婚といった不利益をまねくおそれが高いので、早期釈放を目指さなくてはなりません。
早期釈放を目指すには、一定の住居や職業があるので逃亡を図る可能性が低いこと、本人が捜査に協力する姿勢をみせており証拠隠滅の危険はないことなどを、客観的に説明する必要があります。
弁護士がこれらの点を検察官・裁判官に主張することで、勾留の回避や阻止が期待できます。
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉による事件の解決が期待できます。
被害者に対して真摯に謝罪したうえで精神的苦痛に対する慰謝料などを支払い、被害届や刑事告訴が取り下げられれば、検察官が不起訴処分としやすくなります。
ただし、性犯罪事件の被害者は加害者に対して強い怒りや嫌悪の感情を抱いているため、示談交渉をもちかけても頑なに拒絶されるケースが少なくありません。
弁護士を代理人として示談交渉を進めることで被害者の警戒心が解かれ、示談成立へとつながる可能性が高まります。
また、被害者のなかには「被害者だ」という立場を逆手にとって、相場を大きく超えた示談金の支払いを要求してくる者も少なからず存在しています。
経験豊富な弁護士に対応を一任すれば、適切な金額での決着を目指すことができるので、無用に金銭負担が大きくなる事態も回避できるでしょう。
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性犯罪事件の解決を弁護士に依頼した場合は「弁護士費用」が発生します。
「弁護士に依頼したい」と考えながらも、弁護士費用がどのくらいになるのか、高額の負担になるのではないかと不安になって、相談さえもためらってしまう方は少なくありません。
性犯罪事件の弁護士費用の相場をみていきましょう。
弁護士に刑事事件の解決を依頼した場合にかかる弁護士費用の内訳は次のとおりです。
内訳 | 相場 |
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相談料 | 30分あたり5,000円 ※初回無料・分野によっては無料とする事務所も多い |
接見費用 | 1回あたり2~5万円 |
着手金 | 30~50万円 |
成功報酬 | 30~50万円 |
実費 | 事件の内容によって異なる |
日当・タイムチャージ | 1時間あたり1万円 |
合計 | 60~100万円程度 |
これらは一般的な事件の相場であり、依頼する事務所や事件の難易度によって増減します。
正式に依頼契約を交わした際に支払う着手金や、依頼が成功した際に発生する報酬金など、弁護士費用の考えかたは複雑です。
相談の際にかならず詳しい見積もりを依頼し、実際にどのくらいの費用が発生するのかを教えてもらったうえで正式な依頼を検討しましょう。
性犯罪事件の解決を依頼した場合の弁護士費用の相場は100万円前後だといわれています。
ただし、逮捕されて勾留が長引いた場合や、無罪を主張するなど難易度が高い事件では、100~200万円程度の費用がかかることもあります。
起訴されて保釈を請求する場合や、刑事裁判が長引いた場合でもさらに高額になるので、保釈金の立替え制度を上手に活用するなどの対策が必要になるでしょう。
参考サイト:保釈保証金立替システム|一般社団法人日本保釈支援協会
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では、性犯罪事件の解決が得意な弁護士を探すにはどのような方法があるのでしょうか?
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参考サイト:弁護士紹介センター|東京弁護士会
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