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文京区で交通事故に遭ったら!弁護士やその他相談先について解説
2024.11.22
自転車事故の被害者は相手(加害者)に損害賠償請求できますが、自動車事故とは事情が異なるため、以下のような問題が発生します。
交通事故が発生した場合、一般的には被害者・加害者それぞれの保険会社が示談交渉しますが、自転車事故では当事者同士で示談交渉する可能性があります。
どちらも交通事故の専門家ではないので、どうやって示談を進めてよいのか迷ってしまうでしょう。
示談が成立しても「示談書の作成方法がわからない」というケースもあるので、困ったときは弁護士に相談してください。
本記事では、自転車事故の示談交渉が難しい理由や、弁護士に依頼するメリットなどをわかりやすく解説しています。
なお、損害賠償請求には時効があるため、事故の解決を急ぐ方はベンナビ交通事故(旧:交通事故相談ナビ)を活用してください。
交通事故に詳しい弁護士のみ登録されているので、自転車事故にも素早く対応してくれます。
自転車事故が発生した場合、基本的には次のような流れで示談します。
以下で詳しく解説します。
事故発生時は、まず安全な場所に移動させて負傷者の救護にあたりましょう。
交通事故が発生した場合は警察に通報する義務があり、これは自転車事故の場合も同様です(道路交通法第72条1項)。
警察に通報しないと「実況見分調書」や「交通事故証明書」などの必要書類が入手できなくなるうえ、刑事罰として「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科されるおそれもあります(道路交通法第119条10項)。
もし保険に加入していて示談交渉サービスが付いている場合は、保険会社にも連絡しましょう。
その際は保険会社に事故状況などを伝えたのち、保険会社からの指示に従って手続きを進めていきます。
連絡などが済んだあとは、速やかに病院でけがの治療を受けましょう。
事故発生から通院まで間隔が空きすぎたり、自己判断で治療途中に通院を止めたりすると、適切な額の治療費などを受け取れなくなるおそれがあります。
なお、けがの完治が難しい場合は、医師によって「症状固定」と診断されます。
その場合、症状の程度に応じた金額の「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」などを獲得できる可能性があります。
自転車事故による損害額が確定したら、加害者側と示談交渉をおこないます。
双方が納得すれば示談成立となり、合意内容についてまとめた示談書を作成します。
交渉がうまくいかない場合は、訴訟提起して裁判所で双方が意見を主張し合い、最終的に裁判官によって判断が下されます。
交渉などが済んだあとは示談金が支払われ、手続きは以上となります。
自転車事故で示談交渉をおこなう場合、事故発生からすぐに交渉を始めるわけではありません。
治療を続けている間は慰謝料などが確定しないため、示談交渉は以下のタイミングで始めることになります。
自転車事故の示談交渉は、症状固定時またはけがが完治したタイミングでスタートします。
症状固定とは、「治療を続けてもこれ以上の回復が見込めない状態」のことであり、一般的には症状固定時に治療を打ち切るため、示談交渉の開始時期となります。
示談交渉では損害賠償金について話し合い、相手と和解できれば示談成立となりますが、以下の理由から自転車事故の示談はハードルが高くなっています。
困ったときには弁護士に問題解決を依頼できますが、その前に自転車事故の示談交渉が難しい理由を知っておきましょう。
通常、示談交渉は事故の当事者が加入している保険会社がおこないます。
ただし、自転車事故の場合は以下の4つの事情があるため、自分で示談交渉する可能性が高いでしょう。
まともな話し合いすらできないおそれもあり、自転車事故特有の事情をよく理解しておいてください。
自転車事故の加害者が示談交渉サービス(自転車保険などのオプション契約)に加入していなければ、加害者本人と示談交渉しなければなりません。
保険会社の担当者と直接交渉できず、常に加害者とやり取りすることになるため、示談成立までの期間が長くなる可能性があります。
また、加害者に誠意や謝意が感じられなければ、交渉そのものが大きなストレスになるでしょう。
保険会社との交渉であれば、治療費だけでもスムーズに支払いに応じてもらえる可能性がありますが、加害者本人とでは話が進みにくく、しばらくの間は立替払いが必要になるかもしれません。
加害者との直接交渉では自分の主張が正しく伝わらず、慰謝料などを減額される可能性も高いので、弁護士への相談も視野に入れておくべきでしょう。
自動車の場合は加入が義務付けられている自賠責保険がありますが、自転車事故の多くは加害者が無保険です。
相手が無保険の場合、示談交渉では以下のような問題が発生します。
素人同士が示談交渉した場合、いくら示談金を請求してよいのか相場がわからず、相手も請求どおりに支払ってよいのか判断できません。
過失割合(事故の責任割合)の決め方もわからないため、話し合いにすらならない可能性もあるでしょう。
自転車事故の加害者が無保険の場合、示談金を支払ってもらえないおそれがあるので、弁護士に相談しておくことをおすすめします。
自動車やバイクの事故は後遺障害等級の認定機関(損害保険料率算出機構)があり、加害者側の保険会社を介して等級認定を申請できます。
しかし、自転車同士や自転車と歩行者の事故の場合、後遺障害等級の認定機関がないため、以下のように対応しなければなりません。
専門機関以外の認定結果は妥当性を欠くことがあり、特に人身傷害保険は自動車事故しか対応していないケースもあるので注意してください。
認定結果に不服があるときは再審査を請求できますが、同じ申請内容では結果も変わらないため、医師に診断書の書き方を変えてもらうなど、何らかの対策が必要です。
後遺障害等級は専門機関の審査でも非該当(後遺障害なし)になるケースがあるので、一度弁護士に相談しておいたほうがよいでしょう。
加害者に対する損害賠償請求権には時効があり、損害および加害者を知ったときから5年(後遺障害があれば症状固定から5年)で時効が完成します。
「5年あれば何とかなる」と思う方もいるかもしれませんが、示談交渉は一度揉めると長期化する可能性が高く、平行線のまま2年~3年経過するケースも少なくありません。
催告(内容証明郵便の送付)によって1回のみ6ヵ月間の延長もできますが、できるだけ早めに示談を成立させて、時効のスケジュール管理からも解放されるべきです。
時効になると損害賠償請求権が消滅し、慰謝料や治療費などが請求できなくなるので、示談がまとまらずに長期化している方は早めに弁護士へ相談してください。
自転車は道路交通法上の軽車両となり、歩行者は交通弱者として扱われるため、自転車対歩行者の事故では過失割合が10対0(歩行者が0)になる可能性もあります。
ただし、自転車同士の事故では「過失0」を主張するのが難しく、以下のような問題が生じるので注意してください。
過失割合の決定基準は事故態様(事故の発生状況)や同種の事故であり、以下の書籍から過去の判例を参考にします。
ただし、自転車事故は過去の判例が少ないため、不利な過失割合を提示されても反論できず、加害者側の主張どおりに決定される可能性があります。
自分の過失割合が高くなると、過失分に応じて慰謝料などの賠償金の獲得金額が減額(過失相殺)されるので注意してください。
過失割合の決定は情報量と分析力に左右されるので、相手側の提示に納得できないときは、交通事故に詳しい弁護士へ相談してください。
軽車両扱いの自転車には道路交通法上の安全運転義務があるので、自分も自転車に乗っていたときは損害賠償責任が重くなる可能性があります。
事故発生時の状況が以下のようなケースであれば、被害者であっても過失割合が高くなるでしょう。
自転車事故は証拠が残りにくいので、加害者から「前を見ていなかった」「無灯火だった」などと主張されるケースもあります。
過失割合を高くされると加害者に対する損害賠償責任も重くなるので、事実の証明が難しいときは弁護士に相談してみましょう。
自転車事故の示談金は以下のような内訳になっています。
示談金は「賠償金」や「損害賠償金」などとも呼ばれ、あまり請求できることを知られていない費用などもあるので、ここで自分にあてはまるものを全てチェックしておきましょう。
なお、事故に関係する支払いがあれば、領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。
下記の計算方法では自賠責基準に沿って算出していますが、あくまでも目安の金額として確認してください。
慰謝料には以下の3種類があり、被害者が受けた精神的苦痛への償いとして支払われます。
入通院慰謝料は、入院・通院にともなう苦痛に対して支払われます。
自賠責保険の場合は日額4,300円と決まっており、以下のように計算します。
対象日数は「通院期間」または「実通院日数×2」のどちらか少ないほうを用いるので、通院期間80日・実通院日数35日という場合は以下のようになります。
入通院慰謝料は、1回だけの通院や1日だけの入院でも請求できるので忘れないようにしましょう。
また、実通院日数には入院日数も含めます。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害にともなう精神的苦痛への補償です。
後遺障害等級は1級~14級までの14段階に分類されており、自賠法(自動車損害賠償保障法)によって後遺障害のレベルも定められています。
自賠責保険の場合、14級のむちうちは32万円、両眼失明の1級では1,150万円などの支払基準があり、症状の重さによって金額が大きく変わります。
ただし、必ずしも主張どおりの等級が認められるとは限らず、下位の等級や非該当(後遺障害なし)になる可能性もあるので注意してください。
もし結果に不服があるときは弁護士に相談してみるべきでしょう。
交通事故の被害者が亡くなった場合、被害者本人とその遺族の精神的苦痛に対して死亡慰謝料が支払われます。
自賠責保険の死亡慰謝料には以下の支払基準があり、3,000万円を上限として被害者本人と遺族の慰謝料を請求できます。
慰謝料請求権者は親族になるので、亡くなった方に配偶者と子ども二人(全て被扶養者)がいたときは、以下のような金額になります。
なお、親族の範囲は原則として父母・配偶者・子どもですが、被害者と家族の関わりや交友関係によっては、内縁の妻などに慰謝料請求権が認められるケースもあります。
治療費として請求できる費用には以下のようなものがあります。
基本的には病院で受けた治療に関する費用なので、整骨院での施術や温泉治療を受けるときなどは医師の許可をもらっておきましょう。
バス代・電車賃・車のガソリン代などは交通費として請求できます。
ただし、タクシーを利用するときは保険会社の許可が必要になるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
入院中に必要な日用品は入院雑費として請求できるので、歯ブラシ・洗面具・新聞などを購入したときはレシートを保管しておきましょう。
入院雑費の日額(1日の上限額)は以下のようになっており、弁護士に自転車事故の解決を依頼した場合は増額されます。
長期入院の場合は入院雑費もかなり高くなるので、特に骨折などで入院したときは弁護士に依頼しましょう。
介護士や専門ヘルパー、家族などが付添看護をしたときは、以下のような基準で付添看護費を請求できます。
付添看護費は介護・介助が必要な場合に認められるので、担当医が必要と判断していれば支払いに応じてもらえるでしょう。
事故による後遺障害で介護が必要になった場合、以下の基準で介護費用の請求が認められます。
介護費用については後遺障害のレベルが考慮され、たとえば高次脳機能障害による介護の場合は増額されやすいでしょう。
装具や器具については以下のような種類があり、医師が必要と判断していれば加害者側に請求できます。
基本的に「けがや後遺障害で失った身体機能の補完」が目的なので、重度の後遺障害であれば、超音波医療器具や電動車いすの購入費用を請求できるケースもあります。
器具や装具はいずれ買い換えや交換が必要になるため、将来的な買換費用も請求できる可能性があるでしょう。
休業損害とは休業による減収分の補償であり、以下のように計算します。
基礎収入とは、給与所得者(パートやアルバイトを含む)の場合は事故前3ヵ月間の平均給与となり、自営業者は前年所得を365日で割った金額です。
専業主婦(家事従事者)や学生、就労意欲のある無職者は賃金センサス(賃金構造基本統計調査)を参考にするので、基本的には働いていない方でも休業損害は請求できます。
ただし、家事従事者ではない兼業の方や、実収入と申告上の収入に違いのある個人事業主の場合、基礎収入の算定で揉めるケースがあるので注意してください。
保険会社の主張に納得できないときは弁護士に相談してみましょう。
逸失利益とは、自転車事故がなければ得られたはずの将来的な収入の補償のことであり、以下の2種類があります。
どちらも後遺障害慰謝料や死亡慰謝料と勘違いされるケースが多いので、以下のように基本的な考え方を理解しておくとよいでしょう。
後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害の影響がなければ得られるはずだった将来的な収入の補償です。
計算式は少し複雑ですが、基礎収入は賃金センサスを参考にできるので、専業主婦や学生の請求も認められます。
基礎収入や労働能力喪失率は、以下のような考え方になっています。
後遺障害逸失利益は一括で受け取ることになり、預金などの運用で利息が発生するため、ライプニッツ係数を使って利息分を差し引きます。
なお、後遺障害があっても収入に影響がないと、後遺障害逸失利益の請求は認められないケースがあります。
基礎収入も争点になりやすいので、算出根拠に納得できないときは弁護士に相談したほうがよいでしょう。
死亡逸失利益とは、事故の被害者が生きていれば得られたはずの将来的な収入の補償です。
計算式は以下のとおりですが、被害者が亡くなったことで生活費(食費や光熱費など)がかからなくなるため、生活費控除率を使って生活費分を減額させます。
生活費控除率は以下の割合が目安になります。
死亡逸失利益も、基礎収入を低くされる、または生活費控除率を高くされる(被害者が高額所得者だった場合など)ケースが多く、裁判で争う例も珍しくありません。
裁判になると多大な労力・時間がかかるので、弁護士に相談して早めに決着させるべきでしょう。
被害者が亡くなったときは、以下の葬儀費用を請求できます。
葬儀費用の総額は自賠責基準で100万円、弁護士基準で150万円が上限額となります。
なお、49日法要以降の法要費や、香典返しは請求できないので注意してください。
弁護士に依頼すると以下のメリットがあり、ハードルが高い自転車事故の示談交渉もスムーズになります。
慰謝料の増額も期待できるので、示談金を増やしたい方も弁護士への依頼を検討してみましょう。
特に保険会社と示談交渉する場合、専門知識や交渉テクニックの差があるため、被害者はどうしても不利な立場になってしまいます。
もっともらしい理由で納得させられる方も多いので、自分で示談交渉する際は必ず弁護士に相談してください。
交通事故に詳しい弁護士は保険会社の話法もよく知っているので、特に以下のようなことを言われたときは弁護士に相談しましょう。
相手側の担当者と良好な関係性になるほど納得しやすい傾向にありますが、保険会社による減額テクニックの場合も多いので注意してください。
話の内容に腑に落ちない点があれば、メモを取りながら交渉を進めましょう。
交通事故の示談は保険会社主導になってしまうため、示談交渉が不利な展開になっているときは弁護士に任せてください。
交渉は弁護士の得意分野なので、有利な状況に持ち直すことができる可能性があります。
特に以下のような状況であれば、弁護士に依頼するメリットが大きいでしょう。
弁護士が関わると加害者側は訴訟を警戒するため、被害者側の主張が通りやすくなるでしょう。
加害者側とのやり取りは全て任せられるので、交渉のストレスからも解放されます。
弁護士に依頼すると正しい過失割合を主張してくれるので、獲得金額を増やせる可能性もあります。
たとえば、本来であれば「10対0」の過失割合であるところ、保険会社が「7対3」などを提示してくるケースもありますが、事実と異なる場合は「過失なし」を証明しなければなりません。
自転車事故では映像などの記録がないケースがほとんどなので、主張を覆すのは難しいでしょう。
しかし、弁護士に解決を依頼すれば、過去の判例や事故状況を分析して明確な根拠に基づいた過失割合を主張してくれます。
正当な過失割合になれば獲得金額が増えて、自分の主張が認められることで精神的な負担も軽くなります。
過失割合は名誉やプライドにも関わる問題なので、不当な提示内容だったときは弁護士に依頼してください。
弁護士には示談書の作成を依頼できるので、加害者が示談金を支払わなかったときに法的措置(裁判や強制執行など)を取りやすくなります。
不慣れな方が作成すると重要な項目が抜け落ちやすく、そのまま双方がサインするとやり直しできなくなるので注意してください。
法的効力を担保しておきたいときは、公証人(公証役場にいる法律の専門家)に依頼して公正証書にすることもできます。
公正証書があれば訴訟に発展した場合も有利な展開になりやすく、強制執行にも備えられるので、弁護士に原案を作成してもらうとよいでしょう。
後遺障害等級の認定には、医師の診断書(後遺障害診断書)が大きく影響します。
しかし、後遺障害等級の認定に詳しくない医師もいるため、診断書の内容が不十分であったり、必要な検査が抜け落ちていたりする可能性もあります。
弁護士に依頼すれば、追加検査(MRIやCTなどの画像検査)の必要性や診断書の書き方などを医師に助言してくれるので、適正な後遺障害等級が認定されやすくなります。
後遺障害等級が認定されるかどうかで示談金は大きく変わるので、申請前には必ず弁護士にチェックしてもらいましょう。
交通事故の慰謝料には3種類の算定基準があり、もっとも高額になりやすいのは弁護士基準です。
自賠責基準は必要最低限の補償となり、ほかの算定基準よりも低額になりやすい傾向にあります。
任意保険基準は各保険会社独自の基準なので、計算方法も非公開ですが、自賠責基準と大差ありません。
一方、弁護士基準で慰謝料を算定すると任意保険基準の2倍~3倍程度になる可能性が高いので、被害者が真に必要とする補償を獲得できます。
弁護士による損害賠償請求の成功事例はベンナビ交通事故(旧:交通事故相談ナビ)にも掲載しているので、弁護士に依頼するかどうか迷っている方は参考にしてください。
自動車事故では加害者・被害者ともに自賠責保険に加入しているため、最低限の補償は受けられますが、自転車事故には適用されないので注意しなければなりません。
相手が無保険のケースも多く、加入していても示談交渉サービスは未加入の場合があるので、相手と自分で示談交渉する可能性が高いでしょう。
素人同士で交渉すると示談成立が難しく、相手が話し合いに応じてくれないケースも想定されます。
治療費すら満額を支払ってくれない可能性もあるので、困ったときは弁護士に相談してください。
弁護士に解決を依頼すれば、示談交渉のストレスからも解放されるでしょう。