日弁連交通事故相談センターとは、日本弁護士連合会などによって1967年に設立され、交通事故の相談・示談あっせん・審査などを事業としている組織です。
各都道府県に支部などが作られており、示談あっせんなどの事業をおこなっています。
担当は各地区の弁護士があたり、被害者・加害者の言い分を聞いたりしながら交通事故問題の解決をサポートしてくれます。
本記事では、日弁連交通事故相談センターで相談できることや相談方法、相談の流れなどを解説します。
案件対応の経験やノウハウが乏しい弁護士に相談してしまうと、適切な額の賠償金を受け取れないこともあるでしょう。
交通事故問題に注力している弁護士であれば、以下のようなメリットが望めます。
・損害賠償請求の抜け漏れを防止できる
・症状に適した後遺障害等級の獲得が望める
・示談交渉・書類作成・法的手続きなどの事故対応を一任できる
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日弁連交通事故相談センターとは?
引用元:日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは、一言で表すと「交通事故の損害賠償問題を素早く適切に解決するためのサポート機関」です。
基本的人権の擁護と社会的正義の実現を名目に、1967年に当時の運輸大臣の許可を得た財団法人として設立されました。
2012年4月に内閣府から公益法人認定を受けて、財団法人から公益財団法人に移行しています。
基本的な運営は弁護士がおこなっており、交通事故に関する損害賠償問題の迅速な処理を促進し、適正な判断のもと公共の福祉の増進に寄与することを目的として運営されています。
現在では全国150ヵ所以上で相談を受け付けており、40ヵ所以上で示談あっせんと審査を無料でおこなっています。
なお、日弁連交通事故相談センターは、国土交通省からの補助金・日弁連・弁護士会・弁護士個人・関係団体や一般市民からの寄付金などで運営されています。
【参考元】日弁連交通事故相談センター
交通事故紛争処理センターとの違い
日弁連交通事故相談センターと混同されやすいものとして、「交通事故紛争処理センター」というものもあります。
交通事故紛争処理センターとは、交通事故における損害賠償請求のサポートをおこなう公益財団法人です。
1977年にそれまであった「交通事故裁定委員会」という組織をより充実させるため、「財団法人交通事故紛争処理センター」と改めて、主に以下のような業務をおこなっています。
- 交通事故に関する無料での法律相談
- 交通事故に関する無料での和解あっせん
- 交通事故に関する無料での審査 など
交通事故紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターは似ている部分はありますが、たとえば以下のような点では異なります。
日弁連交通事故相談センター | 交通事故紛争処理センター | |
---|---|---|
相談所の数 | 全国150ヵ所以上 | 全国11ヵ所 |
電話相談 | できる | できない |
相談できるタイミング | 事故直後から相談可能 | 損害賠償額が確定してから相談可能 |
日弁連交通事故相談センターで相談できること
日弁連交通事故相談センターでは、主に以下のような相談に対応しています。
- 損害賠償金・損害賠償額に関する相談
- 損害賠償の請求内容・請求方法に関する相談
- 損害責任・過失割合に関する相談
- 損害責任者の認定に関する相談
- 示談交渉・示談時期に関する相談
- 自賠責保険・任意保険に関する相談
- その他交通事故の民事上の問題に関する相談 など
1.損害賠償金・損害賠償額に関する相談
交通事故に遭った際の損害の種類や、損害賠償金の具体的な金額に関することなどを相談することができます。
2.損害賠償の請求内容・請求方法に関する相談
交通事故における被害者が受けた損害を、加害者に対して請求する場合の方法などを相談できます。
例えば、加害者側の保険会社から一方的に交渉を進められて、低額な損害賠償金を提示されている場合などには日弁連交通事故相談センターへの相談が有効です。
交通事故での被害者請求に関する相談なども、日弁連交通事故相談センターで対応してもらえます。
3.損害責任・過失割合に関する相談
「損害に対して責任を負うべきなのは誰なのか」「損害賠償の義務や交通事故の過失割合はどうなのか」などについても日弁連交通事故相談センターで相談できます。
交通事故の過失割合は細かく項目が分かれており、素人では少々わかりにくい部分が多いため、日弁連交通事故相談センターでアドバイスを受けることで理解を早めることにつながります。
【関連記事】交通事故における「過失割合」を算定する基準|代表的なケースの過失割合
4.損害責任者の認定に関する相談
例えば、会社所有車での事故・マイカーで通勤中の事故・下請け会社の起こした事故などで、車の貸借中・無断転貸・子ども名義の車の場合には責任はどうなるのかなど、損害賠償の請求先を決めるにあたっての責任者の認定についても相談できます。
5.示談交渉・示談時期に関する相談
「加害者側の保険会社との適切な示談時期はいつなのか」なども、日弁連交通事故相談センターでは相談に乗ってくれます。
特に示談交渉では神経を使います。
自分で対応することもできますが、日弁連交通事故相談センターでアドバイスをもらうか、弁護士にサポートしてもらったほうがスムーズな示談成立が望めます。
6.自賠責保険・任意保険に関する相談
例えば「ひき逃げや加害者が保険未加入だった場合の事故ではどのように進めればよいか」なども相談できます(保障事業への損害のてん補請求手続きなど)。
日弁連交通事故相談センターで相談できないこと
日弁連交通事故相談センターでは、逮捕・勾留や罰金刑・懲役刑などの刑事処分に関する相談や、免許取消・免許停止などの行政処分に関する相談はできません。
また、以下のようなケースにあてはまる場合も相談できません。
- 弁護士ではない者が報酬目的で訴訟を起こそうとしている場合
- すでに別の弁護士に依頼している場合
- 過去に同様の相談を5回以上している場合
- 本人や家族以外が申し込んでいる場合(事故当事者の友人など)
- その他相談を利用するのが適当ではない場合(一般常識がない・堅気ではない) など
日弁連交通事故相談センターの相談方法・相談の流れ
日弁連交通事故相談センターの相談方法は以下の2種類です。
- 相談者と弁護士が面談形式でおこなう面接相談
- 電話相談
基本的には面接相談が推奨されています。
理由としては、電話相談では弁護士が事故状況などを十分に把握できないおそれがあり、簡単な相談事項についての回答のみになってしまうことがあるからです。
どうしても直接相談しに行く余裕がない場合や、基本的な対応内容について確認できればよい場合などは、電話相談を利用してみるのもよいでしょう。
ここでは、それぞれの相談方法について解説します。
電話相談
電話相談は、1回10分程度とされています。
したがって、事故や被害の状況などを詳しく話して具体的な回答が欲しい場合は、面接相談をするのがよいでしょう。
電話相談を利用する場合、平日10時00分~19時00分の間に電話をかけてそのまま相談をする、というのが通常の流れです。
面接相談
面接相談では1回30分程度×5回までとされています。
弁護士による自動車事故の損害賠償問題に関する相談は全国150ヵ所以上で受け付けているので、詳しくは各相談所に問い合わせてみてください。
相談所によっては先着順の場所もあるようです。
面接相談を利用する場合、希望する相談所に電話やインターネットなどで相談予約をしたのち、当日に相談所にて相談するという流れになります。
相談前に準備したほうがよいもの
日弁連交通事故相談センターで相談をする場合には、事前に以下のものを用意しましょう。
- 交通事故証明書、事故状況を示す図面(道路状況、加害・被害車(者)の位置、事故の場所、日時、天候等)、現場・物損等の写真
- 診断書、後遺障害診断書
- 治療費明細書(入通院日数、治療費、通院費のメモなど)
- 事故前の収入を証明するもの(給料明細書、休業損害証明書、源泉徴収票・確定申告書の写しなど)
- 相手方からの提出書類や、示談交渉をしていれば、その過程
- 加害者の任意保険の有無と種類
- その他(差額ベッド代、付添日数・費用、修理費、家屋改修費、有給休暇日数、相手方加入保険内容のメモ)など
引用元: ご案内|日弁連交通事故相談センター
あくまでも自分が用意できる範囲のものだけで構いません。
ただし、相談回数や相談時間には限りがありますし、できるだけ多くの資料を集めておいたほうがよいでしょう。
資料が多いほど弁護士もより正確に事故状況を把握でき、的確な助言ができるでしょう。
日弁連交通事故相談センターでは示談あっせんも利用可能
日弁連交通事故相談センターでは、交通事故に関する相談ができるだけでなく、示談あっせんなども利用可能です。
ここでは、示談あっせんとはどのような手続きなのか、どのような場合に利用できるのかなどを解説します。
示談あっせんとは?
日弁連交通事故相談センターが規定する示談あっせんとは、「損害賠償の交渉で当事者同士がトラブルになった際、日弁連交通事故相談センターの弁護士が間に入り、公平・中立な立場から示談成立の手伝いをすること」です。
通常は3回程度で終了し、早期かつ適正な賠償額での問題解決が期待できます。
示談あっせんが利用できるケース
示談あっせんが利用できるのは、自賠責保険・自賠責共済の加入を義務付けられている車両に限ります。
また、事故の種類によって以下のように扱いが異なります。
人身事故の場合
負傷者・死亡者がいる人身事故の場合は全てのケースで対応でき、自賠責保険・自賠責共済のみ、または加害者や被害者が無保険でも利用可能です。
物損事故の場合
負傷者などがおらず物損事故の場合、損害賠償義務者が指定の任意保険または任意共済のいずれかに加入している場合には利用可能です。
人身事故及び物損事故の場合
人損をともなう物損事故の場合は全てのケースで対応でき、自賠責保険・自賠責共済のみ、または無保険でも利用可能です。
示談あっせんが利用できないケース
以下のようなケースにあてはまる場合には、示談あっせんが利用できません。
- 調停または訴訟手続に係属中であるとき
- 他の機関にあっせんを申し込んでいる事案であるとき
- 不当な目的により申込みをしたものと認められるとき
- 当事者が権利又は権限を有しないと認められるとき
- 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反の疑いがある者からの申込みであるとき
- その他、示談あっせんを行うに適当でないと認められるとき
示談あっせんが不成立になった場合の対応
日弁連交通事故相談センターの示談あっせんを利用しても、場合によっては不調・不成立となる可能性はあります。
その場合は調停や訴訟などの対応も考えられますが、示談あっせんが不調・不成立となった一定の事案については審査という手続きが利用可能です。
「審査」とは、専門家によって構成される審査委員会(審査員3名)が審査を行って判断がなされるという仕組みで、審査結果について被害者側が同意するかどうかは自由である一方、被害者側が審査結果に同意した時は、相手方の共済は審査意見(評決)を尊重することになっています。
審査の申し出が可能なケース
以下のようなケースに該当する場合は、審査の申し出が可能です。
- 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」に加入している
- 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」に加入している
- JA(農業協同組合)の「自動車共済」に加入している
- 自治協会・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」に加入している
- 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」に加入している
- 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」に加入している
- 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」に加入している
- 交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」に加入している
- 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」に加入している
- 共済連(全国中小企業共済協同組合連合会)の「自動車共済(共同元受)」に加入している
日弁連交通事故相談センターを利用する4つのメリット
交通事故の被害に遭って日弁連交通事故相談センターを利用した場合、以下のようなメリットが望めます。
1.交通事故問題について無料でサポートしてくれる
日弁連交通事故相談センターでの相談や示談あっせんなどについては、費用がかからないというのが大きなメリットです。
日弁連交通事故相談センターは寄付金で賄って運営している公的な団体であり、公益性が高く中立的なアドバイスや示談あっせんなどが期待できます。
2.相談実績が豊富で示談成立率が高い
日弁連交通事故相談センターは、設立してから40年以上も交通事故被害者の救済のための事業をおこなっています。
2019年度の相談件数は3万6,941件((2)弁護士会等の法律相談件数の推移|日本弁護士連合会)、2023年度の示談成立率は87.37%にものぼります(示談あっせん・審査|日弁連交通事故相談センター)。
3.交通事故トラブルが得意な弁護士が担当してくれる
日弁連交通事故相談センターは、全国の弁護士会と連携しており、交通事故の民事紛争処理に注力する全国約6,400名の弁護士が相談を担当するという点も特徴的です。
4.相談所の数が豊富でアクセスが良い
日弁連交通事故相談センターは、全国150ヵ所以上に相談所があるため、最寄りの地域やお住まいの近くで相談できます。
交通事故で損害賠償請求するなら弁護士がおすすめ
交通事故トラブルについては、日弁連交通事故相談センターではなく個別の弁護士に相談・依頼するという選択肢もあります。
特に交通事故の損害賠償請求に関しては、自分で弁護士を探してサポートしてもらうのが有効です。
ここでは、交通事故トラブルについて弁護士にサポートしてもらうメリットを解説します。
示談交渉や裁判などの手続きを一任できる
日弁連交通事故相談センターでは無料相談を受けられますが、あくまでもアドバイスをもらえるだけであり、相談回数などにも上限があります。
なにより、相談者に代わって事故後の手続きを進めてくれることもありません。
交通事故問題が得意な弁護士に依頼すれば、代理人として大半の事故後対応を代行してくれます。
特に相手保険会社との示談交渉ではかかる負担が大きいため、弁護士に任せることで手続きの煩雑さや交渉時のストレスから解放されます。
保険会社は示談交渉に慣れていますし、交通事故に関する知識も豊富です。
素人では交渉のペースを握られて低額な賠償金で示談成立となるおそれがあるため、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
損害賠償金を増額できる可能性がある
交通事故で損害賠償請求する際は、「過失割合は何対何が妥当か」「自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどれを用いて金額を算定するか」など、さまざまなことを話し合ったりして決める必要があります。
被害状況に見合った額の賠償金を獲得するためには、交渉のノウハウや法律知識などが必要不可欠です。
交通事故トラブルが得意な弁護士に依頼すれば、事故対応を一任できるだけでなく、被害者が最大限有利になるように尽力してくれます。
たとえば、慰謝料などは弁護士が請求対応することで当初の提示額よりも2倍近く増額できる場合もあり、納得のいく形での問題解決が望めます。
弁護士費用特約があれば自己負担0円で依頼できる場合もある
弁護士費用特約とは、自動車保険のオプションのひとつです。
保険会社によって補償内容は異なるものの、最大300万円まで補償してもらえるケースもあります。
弁護士に事故対応を依頼する場合は「着手金」や「報酬金」などの弁護士費用がかかりますが、弁護士費用特約を利用できれば自己負担0円で依頼できる可能性があります。
事故当事者が加入していなくても、家族・親族が加入していれば利用できる場合もあるため、周囲も含めて契約状況を一度確認してみることをおすすめします。
さいごに
日弁連交通事故相談センターでは、交通事故被害者の「どうすればよいのか?」に対するアドバイスや示談あっせんなどのサポートを無料でおこなっています。
ただし、日弁連交通事故相談センターで対応できることは限られているため、より具体的なサポートを受けたい場合は交通事故問題が得意な弁護士を探しましょう。
当社が運営する「ベンナビ交通事故」では、交通事故問題が得意な全国の法律事務所を掲載しています。
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