弁護士特約を利用する際に、保険会社に嫌がれるのではないかと不安に思う方もいるでしょう。
ほとんどの保険会社は利用を嫌がりませんが、一部嫌がったり渋ったりすることもあるようです。
本記事では、弁護士特約の利用や契約を検討している方に向けて、以下の内容について説明します。
- 弁護士特約の利用を嫌がる保険会社はほとんどないこと
- 保険会社に弁護士特約の利用を嫌がられた場合の対処法
- そもそも弁護士特約が使えず保険会社に断られるケース など
本記事で、保険会社に弁護士特約の利用を嫌がられたときの対処法などを理解しましょう。
弁護士特約の利用を嫌がる保険会社はほとんどない
基本的に、保険会社は加入者が弁護士特約を利用することを嫌がったりしません。
弁護士費用特約は保険契約に基づく特約条項ですので、仮に約款上の要件を満たすのに保険会社が正当な理由なく特約利用を拒否する場合、契約不履行や保険業法違反といった問題が生じる可能性があります。
そのため、仮に賠償金額が数万円であっても、弁護士特約の利用条件を満たしていれば使うことができます。
弁護士特約はもらい事故などで示談代行サービスを利用できない場合に備えた保険ですので、法律トラブルに巻き込まれた際には保険会社に遠慮することなく利用するようにしましょう。
中には紛争が発生していないことなどを理由に拒否してくる保険会社もある
弁護士特約を利用しようとした際、以下のような理由で保険会社に断れることがあるようです。
- 被害が小さい事故だから利用できない
- 訴訟に発展してからでないと利用できない
- 保険会社と契約していない弁護士には利用できない など
このような理由で弁護士特約の利用を拒否する保険会社は、ごく少数といわれています。
仮にこのような理由で拒否した場合、前述した契約不履行等の問題にもなり得ます。
しかし、もしかしたら嫌がられたり、渋られたりする可能性があるということは理解しておきましょう。
万が一、保険会社に弁護士特約の利用を嫌がられた場合の対処法
ここでは、保険会社に弁護士特約の利用を嫌がられた場合の対処法について説明します。
1.日本損害保険協会(そんぽADRセンター)に相談する
日本損害保険協会のそんぽADRセンターは、損害保険に関する相談や苦情を受け付けている窓口のことです。
本来なら弁護士特約を利用できるのに拒否されたなどの事情があれば、苦情として受け付けてくれるでしょう。
苦情を受け付けたそんぽADRセンターは、損害保険会社に連絡し、トラブルを解決するよう促してくれます。
相談方法には電話・文書・対面があり、原則無料となっているため、まずは相談してみるとよいでしょう。
【参考】相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)|日本損害保険協会
2.先に弁護士に相談し、弁護士から保険会社へ連絡してもらう
先に弁護士に相談し、その弁護士から保険会社に連絡してもらうというのもひとつの方法です。
交通事故トラブルが得意な弁護士であれば、弁護士特約を利用できるかどうかの一般的な判断ができます。
また、保険会社との対応にも慣れているため、弁護士特約の利用について円滑に話し合ってくれるでしょう。
保険会社に弁護士特約の利用を拒否されていた場合には、その旨も弁護士に相談することをおすすめします。
そもそも弁護士特約が使えず保険会社に断られるケースはある
ここでは、弁護士特約の利用条件を満たしていないために保険会社に断られるケースについて説明します。
なお、弁護士特約が使えるかどうかは、任意保険の約款やしおりに記載されているので確認してください。
1.被害者の故意・重過失が認められる場合
被害者側に故意・重過失が認められる場合は、弁護士特約を利用することができません。
- 故意:被害者がわざと交通事故の被害に遭うこと
- 重過失:被害者の重大な不注意によって交通事故の被害に遭うこと
たとえば、当たり屋のようなわざと交通事故の被害に遭った場合は、故意になるため特約は利用できません。
また、居眠り運転や著しいスピード違反などは重過失がとなり、特約を利用できない可能性があるでしょう。
2.交通事故の内容が補償範囲外である場合
特別な原因によって生じた交通事故の場合は、弁護士特約を利用することができません。
特別な原因には、たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 戦争・革命・内乱などによる交通事故
- 地震・噴火・台風・洪水などによる交通事故
- 核燃料物質や放射性物質を原因とする交通事故
- 上記のような原因に随伴して発生した交通事故 など
このように加害者が関係しないような原因の交通事故では、特約を利用できないでしょう。
3.損害賠償の請求相手が家族の場合
損害賠償の請求相手によっても、弁護士特約が利用できない場合があります。
たとえば、請求相手が以下のような人の場合は利用を断られます。
- 契約者の配偶者
- 契約者の両親
- 契約者と同居している親族
- 契約者とは別居中の未婚の子ども など
原則として請求相手が家族の場合は利用できないと考えておきましょう。
4.交通事故後に弁護士特約に加入した場合
弁護士特約を利用するためには、交通事故の前までに特約に加入する必要があります。
仮に交通事故が発生したあとに弁護士特約に加入しても、特約を利用することはできません。
さいごに|弁護士特約の利用を嫌がられたら弁護士などに相談しよう
弁護士特約の利用を嫌がる保険会社はほとんどありませんし、約款上の要件を満たす場合には原則として保険会社は特約利用を拒否することはできません。
しかし、理由を付けて拒否される可能性もあるので注意しましょう。
もし弁護士特約の利用を嫌がられたり、渋られたりしたら、弁護士などに相談するのもおすすめです。
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