自己破産できる金額はいくら?借金額以外の条件や手続き費用の目安額などを解説

自己破産できる金額はいくら?借金額以外の条件や手続き費用の目安額などを解説

自己破産を検討している方の中にはどれくらいの金額から自己破産ができるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

また、自己破産手続きにどれくらい費用がかかるのかも気になるところです。

本記事では、自己破産ができる金額について解説します。

解決まで円滑に進めるため弁護士へ依頼することも想定して、費用相場についても触れていくため、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
野条 健人
野条 健人弁護士(弁護士法人かがりび綜合法律事務所)
かがりび綜合法律事務所は、お一人おひとりの悩みに最後まで寄り添いながら問題解決に取り組んでおります。お気軽にご相談ください。

自己破産できる金額はいくら?借金額の条件は設けられてない

自己破産手続きには、借金の上限や下限といった条件はなく、支払い不能な状態であることが条件として定められています

支払い不能とは、債務者に弁済能力がなく継続的に返済できない状態を指しており、債務者の収入や生活状況はさまざまであることから、借金額がいくらでも破産手続きが可能です。

反対に債務者の収入や資産に対して、あきらかに借金が少ない場合は破産手続きはできません。

たとえば、相続した不動産などの財産価値が借金額を上回るケースがまれにあります。

この場合は支払い不能と認められないため、財産を処分して借金返済に充てることになるのです。

借金額にかかわらず、現在や将来において支払い不能な状態であれば多くの債務者は要件を満たすため、自己破産ができないという心配はないに等しいでしょう。

自己破産者の平均負債額|2020年の日本弁護士連合会の調査より

自己破産をおこなった方の負債額はどれくらいになるのか、日本弁護士連合会が2020年度に調査した債務者の平均負債額をもとに紹介します。

負債額割合
100万円未満8.39%

男性 6.81%/女性 10.42%

100万円以上200万円未満13.87%

男性 10.58%/女性 18.10%

200万円以上300万円未満14.52%

男性 12.46%/女性 17.18%

300万円以上400万円未満11.13%

男性 10.00%/女性 12.61%

400万円以上500万円未満7.42%

男性 6.38%/女性 8.59%

500万円以上600万円未満5.56%

男性 6.67%/女性 4.20%

600万円以上700万円未満4.76%

男性 5.65%/女性 3.66%

700万円以上1,000万円未満8.71%

男性 9.57%/女性 7.68%

1,000万円以上2,000万円未満11.05%

男性 12.46%/女性 9.32%

2,000万円以上3,000万円未満5.65%

男性 7.10%/女性 3.66%

3,000万円以上4,000万円未満2.50%

男性 3.48%/女性 1.28%

4,000万円以上5,000万円未満1.05%

男性 1.45%/女性 0.55%

5,000万円以上1億円未満1.77%

男性 2.75%/女性 0.55%

1億円以上2.90%

男性 3.77%/女性 1.83%

不明0.73%

男性 0.87%/女性 0.37%

2020年度の調査によると自己破産者の平均負債額は1,449万9,580円となり、2017年度調査の1,975万6,718円から大幅に減少しています。

これまで増加傾向にあった100万円未満の割合は2020年度も増加しており、1997年の調査以降、最大値を更新しました。

特に、負債額が500万円未満の破産者については男性よりも女性のほうが多い傾向にあるようです。

また、1,000万円未満の破産者の合計値は74.36%で、2014年の調査以降増加しています。

調査結果から自己破産における負債額はさまざまなものの、100万円未満で破産手続きをおこなう方も一定数いることがわかります。

破産理由では生活苦や低所得が半数以上を占め、次いで病気・医療費の負担、負債の返済、失業・転職による理由が上位を占めています。

また、クレジットカードによる購入で自己破産をする方も大幅に増えているようです。

破産者の年齢に関しては40代~50代が最も多く次いで60代、30代となっており、20代や70代も2017年度の調査より増加しています。

【参考】日本弁護士連合会「2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査」

自己破産をするための3つの条件|金額以外の要件を満たす必要がある

自己破産ができる金額に制限はありませんが、自己破産をするためには、3つの条件を満たさなければいけません

ここからは、条件の詳細を解説します。

1.支払不能の状態であること

自己破産をするにあたって最も重要な条件は、支払い不能状態であることです。

これは、破産法第2条11号にて以下のように定められています。

支払不能とは、債務者が支払い能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態

引用元:破産法|e-Gov法令検索

支払い不能であると認められるには、収入や財産がないため返済期日に返済ができず、その状態が一時的ではなく継続的に続くことが条件です。

これらは借金の総額、収入状況、保有財産、家族構成などの情報から総合的に判断されます。

2.免責不許可事由に該当していないこと

免責不許可事由とは、主に以下の行為にあたるものです。

  • 破産の原因がギャンブルや浪費である
  • 債権者を害する目的で自身の財産を隠した
  • 裁判所に事実と異なる申告をした
  • 過去7年以内に破産をしている
  • 返済する意思がないのに借り入れをした
  • 破産管財人の業務を妨害する

免責不許可事由は破産法第252条第1項に定められており、該当する場合は裁判所が免責許可を認めない可能性があります。

自己破産をしても免責許可が得られなければ、借金を帳消しにできません

3.非免責債権以外の借金をしていること

非免責債権とは、破産法第253条に定められているもので、以下6つのものがあてはまります。

  • 養育費や婚姻費用など親族間で発生する費用
  • 税金や社会保険料などの租税請求
  • 故意や過失などで与えた損害賠償
  • 罰金などの請求
  • 債権者一覧に表記せず裁判所に報告しなかった債権
  • 従業員の給与

それぞれの項目について、以下で詳しくみていきましょう。

養育費や婚姻費用など親族間で発生する費用

養育費や婚姻費用は支払い義務がある自己破産をしても支払いが免除されることはありません

支払いを怠れば差し押さえを受ける恐れがあります。

親族間で発生する費用が支払えない場合は、相手と減額交渉をおこなうなど、当事者間で相談することが大切です。

なお、一番のタブーは何も相談せず一方的に支払いを怠る行為です。

話し合いが難しい場合は、弁護士への相談をおすすめします。

税金や社会保険料などの租税請求

租税の支払いを滞納していると、自治体や国は裁判所を通さずに強制執行をおこなう可能性があります。

税金や社会保険料などは自己破産をおこなうことができないため、すでに滞納している場合は、自治体や税務署へすぐに相談してください。

状況によっては、分割払いや支払いの猶予を受けることが可能です。

故意や過失などで与えた損害賠償

故意、または重大な過失で人の生命に関わる、身体を傷つけるような不法行為による損害賠償も非免責債権の対象です。

たとえば、飲酒運転や暴走運転で交通事故を起こし、怪我や死亡をさせた行為が該当します。

また、悪意をもってものを盗む、破壊する、暴力、モラハラなど精神的に損害を与える行為も同様です。

罰金などの請求

罰金や過料、刑事訴訟費用、追徴金なども非免責債権の借金に該当します。

代表的なのは交通違反による罰金が挙げられます。

罰金は制裁的な側面を重視しているため、自己破産などで免責対象となるのは適切ではないと考えられているのです。

債権者一覧に表記せず裁判所に報告しなかった債権

自己破産の手続きをする際、破産者は債権者一覧を作成します。

破産者が意図的に債権者を名簿に記載しなかった場合、その債権は非免責債権となります。

記載のない債権者は免責について意見を述べる機会が与えられないことから、記載は債権者を保護するための権利といえるのです。

また、意図的に記載をしない行為は免責不許可事由に該当する可能性があります。

自己破産をおこなう場合は、全ての債権者をもれなく記載するように注意しましょう。

従業員の給与

個人事業や商店経営など従業員を雇っている個人が破産した場合、労働者保護として従業員の未払い給与、預かり金などの債務も非免責債権となります。

未払い給与には退職金、預かり金には社内積立なども含まれます。

ただし、法人が破産した場合は法人は法律上消滅し、未払い給与などは支払い義務者がいなくなるため、免責されたと同様の状態になり、実質上は支払いが免除されたことになるでしょう。

しかし、その場合は代表取締役などの役員が個人として元従業員などから未払い給与の請求などをされる可能性があるので、注意が必要です。

【関連記事】自己破産の条件はなに?認められないケースや対処法、デメリットも解説

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自己破産するための手続き費用|最低でも数万円程度は必要になる

ここからは自己破産の際に、裁判所へ支払う費用の目安について解説します。

なお、自己破産には同時管財事件、少額管財事件、管財事件の3つがあり、どの事件として扱われるかは破産者の財産によって異なります。

事件の種類によって各手続きでかかる費用が異なる点にも注意しましょう。

1.申立手数料|1,500円

破産手続き申し立ての印紙代は1,000円、免責手続き申し立ての印紙代が500円となり、合計で1,500円が必要です。

なお、各印紙は申立書に貼って提出します。

2.予納郵券代|数千円程度

郵券代は債権者の数によって金額が異なり、同時廃止事件や少額管財事件よりも管財事件のほうが高額になる傾向があります。

相場は3,000円~1万5,000円です。

なお、郵券切手は収入印紙と同様に郵便局で購入できます。

3.予納金|同時廃止の場合1万円程度~、管財事件の場合20万円程度~

予納金とは、官報広告費や破産者の資産を処分する際にかかる費用のことです。

同時管財事件の場合は1万円~3万円程度、少額管財の場合は20万円前後が相場となっています。

管財事件の場合にかかる予納金は負債額によって異なり、以下のように高額な費用が必要です。

  • 負債総額5,000万円未満…予納金50万円
  • 負債総額5,000万円~1億円未満…予納金80万円
  • 負債総額1億円~5億円未満…予納金150万円
  • 負債総額5億円~10億円未満…予納金250万円

価値がある、換価できる財産を所有している場合の管財事件では高額な費用を裁判所へ収めなければなりません。

自己破産を弁護士に依頼した際の費用相場|50万円~80万円程度かかる

自己破産を弁護士に依頼する場合、裁判所への支払う費用のほか以下のような費用が発生します。

なお、弁護士費用は各法律事務所によって設定が異なるので、詳しくは各法律事務に問い合わせるか、無料相談の際に見積もりをもらうなどして確認しましょう。

【自己破産の弁護士費用の目安】

相談料法律事務所によって金額は異なりますが、1時間あたり5,000円~1万円程度となっています。

無料相談をおこなっている法律事務所も多いです。

着手金着手金は弁護士が受任した段階で発生する費用です。

自己破産で借金が免除されなかった場合でも支払う必要があり、相場は約25万円~40万円です。

報酬金報奨金は自己破産や免責が認められた際に支払う費用で、相場は0円~30万円です。

法律事務所によっては、着手金だけで報酬金を請求しないところもあります。

実費実費は弁護士が遠方の裁判所などに出向いたときにかかる交通費や郵送代、コピー代など、事件対応をおこなう際にかかる費用です。
日当日当は、弁護士が事件の処理のために、事務所所在地から移動することによって、時間的に拘束される際に支払う費用です。

交通費や宿泊費とは別の扱いになります。

半日の場合は3万円~5万円、一日の場合は5万円~10万円と定められています。

合計弁護士費用を合計すると、50万円~80万円程度です。

裁判所へ納める費用とは別に、手続きを弁護士に依頼するとなると高額な費用が必要です。

しかし、所定の条件を満たせば弁護士費用を立て替えてもらえる、あるいは分割払いが可能な法テラスを利用できます。

法テラスとは、国が運営する総合法律案内所でで、経済的に困窮している方の法律支援をおこなっています。

なお、法テラスを利用するには申込者と配偶者の手取り月収が以下のとおり基準以下であることが条件です。

  • 単身者は18万2,000円
  • 二人家族は25万1,000円
  • 三人家族では27万2,000円以下

また、家賃や住宅ローンを負担している場合、単身者は4万1,000円、二人家族は5万3,000円、三人家族では6万6,000円の限度額まで収入から控除できます。

そのほか、資産が一定額以下であること、民事法律扶助の趣旨に適することなども条件となっています。

法テラスで弁護士費用などを立て替えした場合、月々の支払いは5,000円~1万円となり利息はつきません。

詳しくは、以下の記事や法テラスの公式ホームページで確認しましょう。

【関連記事】自己破産の弁護士費用はどれくらい?費用が払えないときの対処法も解説

さいごに|自己破産のことなら弁護士に無料相談をするのがおすすめ!

自己破産は借金額に関係なく手続き可能です。

しかし、自己破産をおこなうには借金額以外の条件を満たす必要があります。

自己破産の手続きができるかどうか迷ってしまうことは少なくありません。

手続きができるかどうか不安な場合は、債務整理を得意とする弁護士への相談がおすすめです。

通常、弁護士に相談する際は相談料がかかりますが、ベンナビ債務整理であれば無料相談に対応をしている弁護士を簡単に検索できます。

遠方で足を運べない場合でも、電話相談やオンライン面談をおこなっている法律事務所があるため、ぜひ相談してみてください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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