自己破産の条件はなに?認められないケースや対処法、デメリットも解説

自己破産の条件はなに?認められないケースや対処法、デメリットも解説

自己破産は、借金の返済義務を免除(免責)してもらうためにおこないます。

借金が返済できなくなったときに、真っ先に思い浮かぶ方法かもしれません。

しかし、自己破産で免責を受けるためには一定の条件があります。

借金の免除を受けることは、同時に債権者の権利を奪うことになるため、免責(返済免除)は裁判所によって判断されるのです。

本記事では、自己破産で免責を受けるための条件について解説します。

また、条件に当てはまらなかった場合の対処方法についても説明しますので、借金を抱えてお困りの方は参考にしてください。

自己破産で失敗したくない方へ

自己破産をするには、裁判所での手続きが必要です。

手続きにあたっては、金融や法律などの知識が求められます。

また自己破産にはデメリットもあり、あなたの状況次第では、自己破産以外の債務整理の方が適している可能性もあります。

日弁連の調査では、自己破産をした調査対象者の内、約9割に弁護士が関与していました。(2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【データ編①破産事件】|日弁連)

自己破産をして後悔しないためにも、弁護士への相談が有効です。

弁護士に相談することで、次のようなメリットが期待できます。

  • 自身の状況にあった解決策を提案してもらえる
  • 自己破産をするにあたって、必要な事が分かる
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この記事を監修した弁護士
福田 圭志
福田 圭志弁護士(船橋リバティ法律事務所)
船橋で長年弁護士業をしている地元密着の弁護士。借金問題、離婚問題、相続問題、企業法務に注力。依頼者の納得のいくゴールを目指し、依頼者と二人三脚で事件に挑む。司法書士、税理士等の他士業との連携も武器。

自己破産をするために満たすべき3つの条件

銀行ローンやカードローンなどの借金が完済できないほど多額にあり、さらに借金をした原因がやむを得ない事情であれば、自己破産で免責が認められると考えてよいでしょう。

具体的には、自己破産で免責を受ける条件として、破産法では以下の3つを定めています。

  • 支払い不能状態であること
  • 免責不許可事由に該当しないこと
  • 非免責債権以外に借金をしていること

以下でひとつずつ解説します。

1.支払い不能状態であること

自己破産申立ての大前提となる要件は、「支払い不能」状態であることです。

破産法第2条11号では、以下の2点を支払い不能の要件としています。

  • 支払い能力を欠くこと
  • 弁済期の到来した債務について、一般的かつ継続的に弁済ができないこと

つまり、収入や所有財産などをもってしても、弁済期、つまり支払い期日が到来している借金の返済ができない状態であり、その状態が失業等の一時的な状態ではなく、継続的に続くことです。

将来的に返済できなくなる可能性があっても、現時点で支払い期日が到来している債務を返済できていれば、支払い不能とはみなされません。

2.免責不許可事由に該当しないこと

借金を負った理由が「免責不許可事由」に該当すると、自己破産が認められても免責されない(借金が帳消しにならない)可能性があります。

免責不許可事由とは、破産しても免責が許可されない事由です。

破産法第252条第1項では、以下のようなケースを免責不許可事由に定めています。

  • 破産をした原因がギャンブルなどの賭博行為である
  • 破産をした原因が浪費などの射幸行為である
  • 債権者を害する目的で自分の財産を誰かに譲ったり隠したりした
  • 裁判所や破産管財人に虚偽の申告をした
  • 7年以内に破産し免責を受けた など

これらの事実があると、原則として裁判所の免責許可が受けられないため、自己破産をしても借金を帳消しにすることができません。

3.非免責債権以外に借金をしていること

破産しても免責されない種類の債務が多い方の場合、破産しても十分な効果を得られないため、自己破産手続きは向きません。

非免責債権とは以下のようなものをいいます(破産法第253条)。

  • 税金や社会保険料等の租税請求権
  • 故意、もしくは重過失で与えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 婚姻費用、養育費など、家族間、夫婦間、または親族間で発生する費用負担義務
  • 従業員の給与など
  • わざと債権者一覧表に記載せず、裁判所に報告しなかった債権
  • 罰金などの請求権

上記のような非免責債権があっても自己破産は可能ですが、借金に対する非免責債権の割合が高いと、自己破産のメリットが低くなるといえるでしょう。

自己破産で免責を受けられない具体的なケースをご紹介

自己破産で免責を受けるための3つの条件に当てはまらないのは、どのようなケースでしょうか。

以下で具体的な例を交えて説明します。

借金が少額である

借金の総額が少額であると、裁判所から返済可能と判断されて、大前提の要件である「支払不能」とは認められず、自己破産できない場合があります。

もっとも、本人が生活保護受給中である場合や、病気などで長期的に就労が難しい場合など、本人の収入・財産状態によっては借金が少額でも自己破産が認められることもあります。

詳細は弁護士に相談してみましょう。

債務が税金や社会保険料の滞納分しかない

債務が税金や社会保険料だけの場合は、破産しても返済義務は免除されません。

そのため、破産手続きをしても意味がありません。

租税等の滞納割合が多い場合は、破産前でも優先的に支払うようにしましょう。

破産直前期になって一部の債権者にだけ支払うことは、免責不許可事由に該当します。

ただし、租税等の債権者にだけは、例外として返済しても免責不許可事由には当たりません(破産法第163条第3項)。

ちなみに、ここでいう租税等の債権とは、税金、国民健康保険料、国民年金保険料などのように、国や地方自治体、公的機関に対する滞納をいいます。

前回の自己破産から7年経過していない

過去7年間に自己破産により免責を受けたことがある場合は「免責不許可事由」に該当し、再度の破産はできません。

自己破産による免責は債権者の権利を害して、特別に債務者の返済義務を免除する制度です。

他者の権利を害する行為が制限なく認められるべきではないため、破産法上は7年という制限期間を設けています。

また、以前の破産から7年以上経過していたとしても、2回目以降の破産は初回よりも厳しく判断されるのです。

管財人がついて破産理由が厳しく調査されたり、場合によっては免責を受けられなかったりする可能性があります。

2回目以上の破産を検討される方は、弁護士に相談しましょう。

ギャンブルや浪費が原因で借金をつくった

ギャンブルや浪費は「免責不許可事由」に当たります。

それらが原因で債務を負った場合は、破産による免責(債務免除)は原則として受けられません。

パチンコや競馬などの賭博行為だけでなく、FXや株の信用取引、仮想通貨取引などの投機行為も、免責不許可事由に該当します。

レバレッジをかけた信用取引は、賭博行為と同じ扱いを受けるので注意しましょう。

ただし、ギャンブルや浪費が原因だとしても全てのケースで免責許可が受けられないわけではありません。

事情を隠さずに説明し、反省の態度を示し、裁判所の調査に真摯に協力する姿勢を見せることで、裁判官の裁量によって免責が認められる可能性が十分にあります。

これを「裁量免責」といいます。

まずは、自身の状況でも自己破産が認められる可能性があるのか、弁護士に確認しましょう。

自己破産のための予納金が支払えない

借金の返済を免除してもらうためにおこなう自己破産ですが、申し立てるためにはお金が必要です。

自己破産を申し立てるためには、裁判所に対し「予納金」を納付しなければならず、それができなければ当然に自己破産ができません。

予納金は、「官報」という公的な新聞のようなものに破産の事実を掲載するための「官報公告費」と、破産管財人が選任された場合に必要になる「管財人報酬」のために必要です。

そのため、自己破産の手続き方法により、納める予納金は変わります。

このほかにも、破産申し立てのための収入印紙1,500円分と、債権者数+若干数の郵便切手を納めます。

以下が、各手続き方法による予納金の目安です。

なお、裁判所により運用が異なる場合がありますので、詳細は最寄りの地方裁判所に確認しましょう。

  • 同時廃止事件:2万円程度
  • 少額管財事件:20万円程度
  • 管財事件:50万円以上(債務総額によって異なる)

同時廃止とは、換価する財産がほとんどないため、破産開始と同時に破産手続きが終了する手続きです。

破産者の財産を調査し、配当する「破産管財人」が選任されないため、納めるのは官報公告費のみです。

少額管財事件や管財事件では、官報公告費に加えて破産管財人の報酬を納めなければなりません。

自己破産が認められないときに取れる対処法

自己破産が認められなかった場合は、期限内であれば裁判所の決定に異議を申し立てられます。

ただし、異議が必ずしも認められるわけではないため、自己破産以外の方法も検討しなければなりません。

以下で詳しく解説します。

1週間以内に異議申し立てをおこなう

裁判所で免責不許可の決定が出てしまった場合、裁判所の決定に対して不服があれば即時抗告(異議の申し立て)が可能です(破産法第252条5項)。

異議申し立て期間は、免責不許可の決定を受けた日から1週間以内です。(破産法第13条民事訴訟法第332条

即時抗告を行えば、免責不許可決定を出した地方裁判所を管轄する高等裁判所に、再度審査してもらうことが出来ます。

自己破産以外の債務整理を検討する

債務整理の方法には、自己破産以外に個人再生と任意整理があります。

自己破産を認められなかったときは、自己破産以外の債務整理方法も検討してみましょう。

個人再生とは、債権者の許可を得て債務を減額し、原則3年で返済していく手続きです。

「住宅ローン特則」で自宅を手元に残しつつ、住宅ローン以外の債務を減額することもできます。

この方法であれば、債務の原因がギャンブルや浪費でも手続きが可能です。

ただし、個人再生が認められるためには、安定して継続した収入があることを証明しなければなりません。

また、大前提として「支払不能」状態であることが必要です。

任意整理とは、裁判所を介さずに弁護士等が債権者と直接交渉して、遅延損害金や将来利息のカットを目指す手続きです。

債権者との交渉が成立すれば、元金のみを5年程度で返済していくことができるようになるでしょう。

ただし、任意整理は3つの手続きの中で減額できる債務が最も少ないというデメリットがあります。

また、債権者との交渉なので、強硬な債権者が相手となる場合には効果が望めない可能性もあります。

任意整理でも安定した収入は必要ですが、個人再生ほど厳格ではなく、また、整理する借金を選択することができるため、「車のローンは任意整理をせずに車を手元に残す」というようなことも可能です。

実際自己破産はどれくらい認められている?

個人の自己破産件数は、毎年7万件程度で推移しています。

また、免責不許可事由に該当するケースでも、実際に破産の申し立てをすれば、ほとんどのケースで裁量免責が認められているようです。

裁判所の司法統計によると、2021年に既済した個人の破産事件は7万162件あり、うち免責が許可されたのは、破産手続き終結と破産手続き廃止の合計で6万8,871件です。

つまり、全体の約98%が免責許可となっています。

一方、2021年に既済した事件のうち、棄却や却下により破産できなかった事件は74件にとどまっており、これは全体の0.105%です。

2020年は0.124%、2019年は0.141%とおおむね1%にも満たない割合で推移しています。

ギャンブルや浪費など、免責不許可事由による破産でも、真摯に反省し、裁判所に協力する姿勢を見せることで、裁判所の裁量免責を得ることも実際は十分に可能でしょう。

【参考記事】

令和3年司法統計年報 1 民事・行政編|最高裁判所事務総局

破産既済事件数-破産者及び終局区分別-全地方裁判所(2020年)|最高裁判所事務総局

破産既済事件数-破産者及び終局区分別-全地方裁判所(2019年)|最高裁判所事務総局

借金が0になるだけではない!気を付けたい自己破産のデメリット

自己破産は借金を0にして再スタートを図るための制度ですが、もちろんメリットばかりではありません。

債務免除を受ける代償として、以下のようなデメリットがあることも考慮し、手続きを取るべきか検討しましょう。

免責まで一部職種は制限がかかる

破産手続き期間中は、一部の職業や公的資格が制限されます。

たとえば、警備員や保険外交員などのように、業務上現金を扱う可能性のある職業や、弁護士や公認会計士などのように社会的信用のある資格などです。

以下は、手続き中に制限を受ける職業や資格の一例です。

  • 弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・行政書士などの士業
  • 商工会議所、信用金庫などの役員
  • 生命保険募集人、警備員など、現金を扱う可能性のある職業 など

ただし、制限を受けるのは破産手続き中のみで、免責許可が出れば制限は解除されます(復権)。

同時廃止事件であれば、実質3ヵ月程度で復職できるでしょう。

自分が自己破産しても保証人には請求がいく

自己破産した債務者は債務免除を受けますが、保証人や連帯保証人は返済を免れません。

主債務者が自己破産してしまえば、保証人らが主債務者の代わりに一括請求を受けます。

保証人に請求がいくのは、自己破産だけではありません。

任意整理でも個人再生でも、保証人は債権者から一括で支払うよう請求されてしまうでしょう。

ただし、任意整理であれば、保証人の付いた債務を手続きから外すことで、保証人への影響を避けることができます。

支払いが困難な場合には、保証人も債務整理を検討する必要が生じるでしょう。

価値のある財産は処分される

自己破産すると、債務免除を受ける代償として、価値のある財産を処分する必要があります。

自宅や車などを失うことは覚悟しなければなりません。

ただし、自己破産は生活再建のための制度です。

生活に必要な最低限の財産は「自由財産」として処分を免れます。

以下のような財産は、債務者の生活を維持するため、破産後も所有が認められています(基本的に総額99万円まで)。

なお、以下の財産以外の財産も所有が認められる場合がありますので、詳細は弁護士に確認しましょう。

  • 99万円以下の現金
  • 残高が20万円以下の預貯金や生命保険解約返戻金
  • 評価額が20万円以下の自動車
  • 支給見込み額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
  • 家財道具などの生活必需品 など

まとめ|自己破産をご検討中の方は、ぜひ弁護士にご相談を

自己破産をするには、3つの条件があります。

  1. 支払い不能状態であること
  2. 免責不許可事由に該当しないこと
  3. 非免責債権以外の借金があること

2の免責不許可事由に該当する場合は、裁判所の裁量により免責を受けられる可能性があります。

ギャンブルや浪費が借金の原因でも、反省を示し、真摯に裁判所に協力しましょう。

自己破産ができなければ、任意整理や個人再生も検討しましょう。

ケースによっては自己破産がベストな選択ではないこともあります。

自己破産を検討しているなら弁護士に相談し、自分にとって最適な手続きを選びましょう。

債務整理の相談は早ければ早いほど良いので、本記事を読まれた方は、少しでも早く弁護士に相談するようにしていただきたいです。

自己破産で失敗したくない方へ

自己破産をするには、裁判所での手続きが必要です。

手続きにあたっては、金融や法律などの知識が求められます。

また自己破産にはデメリットもあり、あなたの状況次第では、自己破産以外の債務整理の方が適している可能性もあります。

日弁連の調査では、自己破産をした調査対象者の内、約9割に弁護士が関与していました。(2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【データ編①破産事件】|日弁連)

自己破産をして後悔しないためにも、弁護士への相談が有効です。

弁護士に相談することで、次のようなメリットが期待できます。

  • 自身の状況にあった解決策を提案してもらえる
  • 自己破産をするにあたって、必要な事が分かる
  • 自己破産に関する不安なことを聞くことができる など

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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