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クレジットカードの借金を債務整理で減額するデメリットをわかりやすく解説
2024.10.08
「催告書」とは、借金返済が滞っているときに送られてくる通知です。
通常、請求書や督促状よりも強い意味をもち、法的手続を予告するものも多くあります。
今までより強く返済を迫る内容に、プレッシャーを感じた方もいるのではないでしょうか。
この記事では、催告書を受け取って不安を感じている方のために、以下のことを中心に解説します。
また、ただちに支払ができない場合の対処方法についても詳しく説明するので、返済期限に間に合わないと悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
ある日突然催告書が届いたら、戸惑ってしまうでしょう。
強い言葉で請求を迫る内容を見ると、「すぐに支払わなければ」と慌ててしまうかもしれません。
しかし、催告書が届いたら、支払う前にいくつかの点について確認すべきです。
以下では、実際に届いたときに取るべき対応の流れを解説します。
まずは、催告書の送り主である債権者や請求内容に、心当たりがあるかどうかを確認しましょう。
近年、身に覚えのない架空請求詐欺も横行しています。
なかには巧妙で見分けにくいものもあるため、一見すると判断できないかもしれません。
国民生活センターや消費者庁、警視庁などでは、架空請求詐欺の実例を挙げて警告をおこなっています。
送り主や請求内容に身に覚えがないと思ったら、以下のサイトで確認してみてください。
【参考元】
「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています|独立行政法人国民生活センター
ただし、なかには貸金業者の合併、名称変更、または債権譲渡などで債権者名が変わっている場合もあります。
また、保証人になっている場合、主債務者の未払いなどによって請求書が届くことも考えられるでしょう。
あくまでも、債務の内容に覚えがあるかを前提に判断してみてください。
債務の内容について身に覚えがあったら、次に時効が成立していないかどうかを確認しましょう。
2020年4月1日以降に貸金業者などから借り入れた債務の場合、最後の支払から原則5年が経過すると消滅時効を迎えます(民法第166条第1項)。
時効期間が経過している債務でも、請求するのは違法ではありません。
消滅時効は権利の上に眠っている者を保護しないという制度であるため、債権者が請求をおこない、債務者に返済意思があれば完成しないという性質があるからです。
時効期間が経過している場合は、返済意思がないことを示すために「消滅時効の援用」をする必要があります。
ただし、時効は期間だけでは成立しているのかわからないこともあります。時効期間が過ぎている場合は、自分で債権者に連絡する前に、一度弁護士に相談してみるといいでしょう。
なお、2020年3月31日以前に信用金庫、住宅金融支援機構、個人などから借り入れた債務については、時効期間は10年となっています。
心当たりのある債務の請求であり、時効も成立していない場合、請求金額がすぐに用意できる範囲なら、期限までに支払を済ませなければなりません。
すぐに支払えない場合は債権者に連絡し、返済期限の延期や分割払いの相談をしましょう。
催告書を無視して返済期限が過ぎると、法的手続きに移行される可能性が高くなってしまいます。
請求に間違いはないが、支払ができない場合には、まずは弁護士などの専門家に相談し、債務整理などを検討しましょう。
弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士事務所から各債権者に受任通知が送付されます。
受任通知が債権者に届くと、法的手続きへの移行を待ってもらえる可能性があるでしょう。
また、債権者から直接の取立てが止まり、債務整理の方針が決まるまでは返済が猶予されます。
返済の猶予を受けている間に弁護士と話し合い、債務整理の方法を検討しましょう。
年金や税金など、公的機関への滞納金がすぐに支払えない場合は、催告書に記載されている担当窓口に連絡をして、返済方法などの相談をしてください。
多くの自治体では、支払ができない事情を伝えることで、返済期限の延長や分割払いに対応してくれるでしょう。
通常の債務の場合、お金を貸した側である「債権者」は、訴訟手続きなどを経て判決を得たうえで、強制執行を申立て、お金を借りた側である「債務者」の財産を差し押さえます。
しかし、年金や税金の滞納の場合、裁判手続を経ることなく財産の差押えを受けてしまうのです。
地方税法には、滞納処分について以下のように記載されています。
(市町村民税に係る滞納処分)
第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
また、公的機関は差押えをする際、滞納者の財産調査を裁判所の命令なしに、強制的におこなうこともできます。
年金や税金などの滞納は、たとえ自己破産手続きをとったとしても免除されません。
公的機関に対する債務は優先的に支払うようにし、催告書が届いたら、必ず担当窓口に連絡しましょう。
ここまでで、催告書が届いた際の対応方法について解説しました。
基本的には、催告書が届いたら無視は厳禁です。
身に覚えがあるにもかかわらず、支払えないからといって催告書に対して何も対応しなかった場合、以下のようなリスクが発生するおそれがあります。
催告書が届いても、支払えないからといって無視した場合、「期限の利益」を喪失し、債権者から一括請求を受けてしまいます。
「期限の利益」とは、約定どおりに返済を続けていれば、返済期限の到来していない債務を請求されることを免れる、という債務者側の利益です。
期限の利益を喪失すると、滞納している金額だけでなく、今後分割で支払っていく予定だった債務まで一括で支払うように請求を受けてしまいます。
さらに、今まで発生した分の遅延損害金も上乗せされることになるでしょう。
一括請求を受けると、返済の期限を指定されます。
そして、期限までに返済ができなければ、いつ法的手続きをとられてもおかしくありません。
法的手続きには、通常訴訟のほかに支払督促という手続きがあります。
支払督促は通常訴訟の半額の費用で申立てができ、登録すればインターネット経由でも申請ができるため、少額の債権回収にはよく利用される手段です。
債務が少額だからといって、「裁判まではしてこないだろう」と甘くみることはできません。
支払督促や訴訟になった際、債権者の請求を退けて支払義務を否定する判決を取ることは、たとえ弁護士であっても難しいでしょう。
返済をしていないことが事実であれば、反論の余地はありません。
支払督促により請求された場合、何も対抗できなければ最短1ヵ月程度で支払命令が出てしまいます。
また、通常の訴訟でも、答弁書を提出せずに初回期日を欠席すると欠席裁判となり、2ヵ月程度で相手の主張どおりの判決が出るでしょう。
【参考記事】督促手続オンラインシステム|裁判所
支払督促命令が決定、もしくは判決が確定すると、債権者は債務者の財産差押えを裁判所に申し立てます。
貸金業者からの借金の場合、通常債務者の給料を差し押さえられる可能性が高いでしょう。
給料差押えを受けると、完済するまでの間、毎月一定の金額が勤務先から債権者に直接振り込まれます。
差し押さえられる金額の上限は、手取り収入が44万円以下の場合は手取り額の4分の1、手取り収入が44万円を超える場合は33万円を差し引いた残りの金額です。
たとえば、手取りが20万円の方は上限5万円、手取りが50万円の方は上限17万円となります。
勤務先を経由する返済方法とあって、借金滞納で差押えを受けていることがバレてしまうという不利益も発生するでしょう。
「催告書」と似たものに、「督促状」があります。
催告書を受け取った方のなかには、それ以前に督促状を受け取っていたという方も多いでしょう。
「催告書」と「督促状」はどちらも返済を促す通知であり、法的な違いはありません。
ただし、通常督促状よりも催告書の方が、強く支払を迫る意味をもちます。
催告書とは、支払期限を過ぎても支払が済んでいない債務がある場合に送られてくる通知書です。
同じように支払を求める通知はいくつもあり、およそ以下のように使い分けられています。
債権者が「請求書」でも「督促状」でもなく、「催告書」を送るのには、時効に関わる以下のような意味があります。
前述したように、2020年4月1日以降に貸金業者などから借り入れた債務の場合、5年が経過すると時効が成立します。
催告書は、時効の成立を防ぐ、つまり時効の進行を一時的に停止することを目的として、債務者に送られてくることがあります。
催告書には、時効の完成を6ヵ月延長する効果があるからです。
民法では、これを「時効の完成猶予」といいます。
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
なお、ここでいう「6ヵ月」の起算点は、「催告がされたときから6ヵ月」です。
残り1ヵ月だった時効が7か月に延長されるものではありません。
また、催告書によって時効の完成猶予が認められるのは、1回のみです。
債権者は、時効完成日までに訴訟提起の準備が間に合わないときに、催告書を送って時効期間を延長させることがあります。
催告書が時効前に債務者に届けば、時効進行は6ヵ月停止されるので、債権者はその6ヵ月の猶予期間に訴訟提起の準備をおこなうのです。
そのため、催告書が届くと6ヵ月以内に訴訟を提起される可能性が高いといえるでしょう。
催告書は、催告書の内容と届いた日付を証明するために、内容証明郵便を使って送付されることもあります。
債権者が時効期間を延長する手段として、先に説明した「時効の完成猶予」のほかに、「時効の更新」があります。
時効の更新とは、それまで進行していた時効期間をリセットして、新たに0からカウントし直すことです。
時効の更新事由として認められる行為のひとつに、債務者による「債務の承認」(民法第152条)があり、以下のような行為が該当します。
催告書には、「これ以上滞納を続けると法的手続に移る」という強い内容とともに、「一度ご連絡ください」などと記されていることもあります。
これには、債務者とやり取りして一部だけでも返済させたり、返済猶予を求める発言を引き出したりして、債務の承認をさせたいという目的もあるのです。
消滅時効制度の根拠の裏返しで、債務者自身が債務を負っていることを認めているのであれば、債権の存在が裏付けられたといえます。
そのため、債務者が支払う意思が明らかにされた場合には、時効は成立しないのです。
催告書と督促状には、法律的に厳格な違いはありません。
しかし、実務上、督促状は返済期限が過ぎている際に送られ、催告書はそれでも返済がない場合に法的手続きを予告する最終通告として送られてきます。
特に、催告書が内容証明郵便で届いた場合、訴訟提起が現実的に迫ってきているといえるでしょう。
催告書が届いても返済できる見込みがない場合、債務整理すると返済の負担を軽減できるかもしれません。
債務整理には、以下3つの方法があります。
なお、債務整理を検討する際には、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、債権者からの請求が止まり、債務整理の方針が決まるまで、返済が猶予される効果があるからです。
この期間に、どの方法を選択すべきか弁護士と相談して決めましょう。
任意整理とは、今後の分割回数や債務のカットについて弁護士が直接交渉し、債権者との和解を締結する方法です。
減額できる債務は、基本的にこれまで発生した遅延損害金と今後の分割返済で発生する将来利息のみで、減額された債務を3~5年程度かけて返済していきます。
任意整理には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金残額の5分の1から10分の1程度まで債務を減額する許可を得る手続きです。
「住宅ローン特則」を使えば住宅ローンを対象債務から除外し、それ以外の債務のみ減額できるため、「家を残したいから自己破産はしたくない」という方にとってメリットの大きい方法といえます。
個人再生で減額できる額は、債務額によって以下のような違いがあります。
個人再生にもメリット・デメリットがあるため、以下を確認して選択すべきかどうかを決めましょう。
個人再生の手続きは、自己破産と比べて年間申立件数が7分の1程度しかありません。
また、複雑な手続きを経る必要もあるので、なかには申し立てた経験がない弁護士もいるでしょう。
個人再生を依頼する場合は、申立ての実績が豊富な弁護士を選ぶのが得策です。
【参考元】
令和3年司法統計年報概要版 1 民事・行政編|最高裁判所事務総局
※「第5 破産事件」の令和3年自然人の新受事件と、「第6 民事再生事件」の令和3年小規模個人再生事件新受の件数を比較
自己破産とは、自身の財産が制限されることを代償として、債務の免除を裁判所に申請する手続きです。
免責許可決定が下りれば、一部の債務を除き全額免除と同等の効果を受けられます。
自己破産は最後の手段だと思われがちですが、持ち家などの大きな財産や安定した収入がない方にとっては、任意整理や個人再生よりも有利な面もあります。
以下のメリットとデメリットを確認して、自分が自己破産を選択すべきか検討しましょう。
自己破産では、全ての財産を失うわけではありません。
評価額が20万円以下の財産や日用品、99万円以下の現金など、破産後の生活再建に必要な最低限の財産は手元に残すことができます。
催告書は、督促状でも支払がなかった場合に、強く支払を迫る最終通告です。
請求されている債務について身に覚えがあるなら、決して無視してはいけません。
内容を確認し、お金が用意できるならすぐに支払いましょう。
ただし、すぐに返済できないからといって、打つ手がないわけではありません。
債務整理で借金を減額できないか検討しましょう。
弁護士に債務整理を依頼すれば、方針が決まるまで一定期間返済の猶予ができるため、その間に弁護士のアドバイスを受けながら今後の見通しが立てられます。
催告書が届いたら、ひとりで悩まず、まずは専門家である弁護士に相談しましょう。